インターンシップは、企業などで一定期間の就業体験ができる、就活準備に役立つプログラムです。インターンシップに参加するメリットをはじめ、詳しいプログラム内容や応募方法、参加時に気をつけたいマナーなどを紹介。実際に参加した先輩たちや、採用に携わる人事担当者のアンケート結果を基に解説します。
リクナビでは、さまざまな「インターンシップ」「オープン・カンパニー&キャリア教育等」のプログラムを見ることができます。気になるプログラムがあるか見てみましょう。
目次
インターンシップは、社会に出る前に仕事の場について見聞きしたり経験できたりするキャリア形成支援プログラムです。参加中に実際の業務を近い体験ができ、社会人としての働き方や自身の適性などを知ることができます。
実施日数や就業体験などについて、産学協議会が定めた要件を満たすプログラムが「インターンシップ」と呼ばれます。
インターンシップのほかにも、「オープン・カンパニー」や「キャリア教育」と呼ばれる、キャリア形成支援プログラムもあります。インターンシップとの大きな違いは、実施日数や就業体験が必須かどうかです。
実施日数について、インターンシップは必ず5日以上となりますが、オープン・カンパニーやキャリア教育には特に規定がなく、単日など短期プログラムも多く見られます。また就業体験は、インターンシップでは必ず実施されますが、オープン・カンパニーやキャリア教育は必須ではありません。
「オープン・カンパニー」「キャリア教育」はどのようなプログラムなのかについて、解説します。
オープン・カンパニーでは、主に企業や就職情報会社などによる、各社や業界に関する情報を発信する説明会やイベントが行われます。一般的には、社会にはどんな企業があり、どういった仕事ができるのか、学生に知ってもらうことを目的に開催されます。単日やオンラインの短時間で参加できるプログラムが多いですが、中には長期のものや就業体験ができるケースもあります。
オープン・カンパニーでは、幅広い企業や業界について、多分野にわたって知見を広げやすいのが特徴。例えば自分の強みが生かせる分野や、興味のある職種への適性などを知るキッカケにできるプログラムでもあります。
キャリア教育は、主に授業の一環として、大学と企業が連携して実施するプログラムです。一般的には、さまざまな分野の職業理解や就職先選びに向けたキャリアデザインなど、社会に出るための基礎知識を学ぶ講座が行われます。セミナー形式やグループワークなど内容は幅広く、中には一定期間の就業体験をするケースも。またキャリア教育が必修科目になっていたり、自ら希望して受講したり、大学によって参加方法も異なります。なおキャリア教育は大学の講義として受けられるため、学生生活と両立しながら参加しやすいのも特徴です。
またキャリア教育の中には、大学主導ではなく、各企業の社会貢献活動として開催されるプログラムもあります。
インターンシップに参加できるのは、大学3・4年生、大学院1年生や大学院2年生など、卒業・修了年次または卒業・修了前年次の学生となっています。一方でオープン・カンパニーやキャリア教育は、低学年からでも参加することができます。例えば、大学1・2年生はインターンシップに参加することはできませんが、オープン・カンパニーやキャリア教育には参加することができます。
インターンシップをはじめ、オープン・カンパニーやキャリア教育といったキャリア形成支援プログラムについて、以下の表でそれぞれの要件を解説しているので、参考にしてみてください。
仕事を経験する意味では、アルバイトもインターンシップも同じような部分があります。しかしアルバイトは、あくまで適切に業務を回すための必要な人員として、雇用契約を結んで勤務してもらうものです。一方でインターンシップは、企業や仕事について学生に知ってもらう目的で実施するもので、必要な人員として配置されるわけではありません。またインターンシップでは普段学生が接する機会のない幅広い業界や職種の経験ができ、各企業の理念や仕事のやりがいなども体感できるように、就業体験の内容も工夫されています。
なおインターンシップは雇用契約を結ぶアルバイトとは異なるため、業務に従事した対価は給料ではなく、金銭などの「報酬」として支払われるケースがあります。
どのインターンシップに応募したらいいのか迷ったら、選び方には次の3つの考え方があります。
気になっている企業がインターンシップを実施していない、募集時期が終わっているなどの場合には、同じ業界内で探してみるのもよいでしょう。
参加可能な時期に実施予定で、短期や長期などスケジュールが合うものにまず参加してみるのも一つの方法です。
職場体験をしたい、グループワークをしたいなど、目的に合うものを探しましょう。
インターンシップの実施企業や内容を調べる方法としては、リクナビなどの就活準備サイトや企業のホームページ、インターンシップの合同企業説明会、学校のキャリアセンターなどがあります。
インターンシップの選び方について詳しく知りたい人は、こちら↓
続いて、インターンシップの参加目的やプログラムの内容、参加時期など、2025年卒の先輩たちにアンケートで聞いた結果を紹介します。
2025年卒のインターンシップ等(※)に参加した先輩たちに参加目的を聞いたところ、最も回答が多かったのは、「業界・企業・職種理解を深めるため」で93.4%。次いで「就活の予行練習のため」(44.1%)、「自己分析を深めるため」(42.7%)という結果になりました。
※アンケートは、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加した学生、選考に携わった人事に実施しました。アンケート結果は、「インターンシップ等」と表記して紹介します。
■インターンシップ等にはどんな目的で参加しましたか?(n=213、複数回答)
具体的な目的について回答してくれた先輩の声を紹介します。
「社会人とのコミュニケーションに慣れるため」(31.0%)、「ビジネスに必要なスキルを知るため」(23.9%)、「人脈を広げるため」(11.7%)、「その他」(0.9%)と回答した先輩たちの声の中には、「社会人と知り合い、将来的に仕事でつながり合えるかと思ったから」「インターンシップの参加者限定の選考に参加するため」という意見もありました。
先輩たちが感じた、インターンシップ等に参加することのメリットはどのようなものでしょうか。
1つ目は「仕事の現場」を経験し、社会人としての心構えや、その企業・業界で働くことを具体的にイメージしやすくなることが挙げられます。
2つ目は、社会人として求められる能力や自分に足りないスキルに気がついたり、やりたいことが見つかったりと、自己分析を深める機会につながりやすいことが挙げられます。
さらに、学校やアルバイトとは違う社会に飛び込んでみることで、学生生活の過ごし方を考えたり、将来の進む道を模索したりするきっかけにもなります。
インターンシップの参加目的・メリットについて詳しく知りたい人は、こちら↓
インターンシップに参加する意味・目的とは?必要性はある?【先輩たちにアンケート】
2025年卒の先輩たちに「参加したインターンシップ等のうち、特に印象に残っているプログラムについて、具体的に教えてください」とアンケートしたところ、以下のような回答がありました。
2025年卒の先輩たちに、参加したインターンシップ等の開催期間を聞いたアンケート結果を見ると、最も多かったのは「1日」との回答で、7割以上を占めました。次いで「半日」との回答が6割近くに上りました。
またインターンシップの実施日数の規定とされている「5日以上」の開催期間で見てみると、「5日以上~1週間未満」の回答が最多となっています。次に「1週間以上~2週間未満」「2週間以上~1カ月未満」との回答が多くなりましたが、いずれも10%に満たない程度。インターンシップの期間としては、1週間未満のプログラムに参加しているケースが多数見られました。
■参加したインターンシップ等の期間を教えてください(n=213、複数回答)
先輩たちはいつからインターンシップ等に参加したのでしょうか?アンケート結果によると、参加時期は、8月が57.7%と最多の結果となりました。
■先輩たちがインターンシップ等に参加した時期(n=213、複数回答)
インターンシップ等の申し込みを受け付ける時期は、企業によってさまざま。ただ、2025年卒の先輩たちのアンケートでは、申し込み時期は、多い順に6月(45.5%)、8月(44.1%)、7月(42.3%)となっています。
参加者の多い8月に開催されるインターンシップ等の申し込みを6~8月に行っている傾向が読み取れます。
インターンシップ等にはどのように応募するとよいのでしょうか?先輩たちに聞いたところ、申し込み窓口としてよく利用したのは、「インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム・就活準備サイト」と回答した人が一番多く、62.9%と全体の半分以上に上りました。「企業のホームページ」も21.6%と2割以上を占め、次いで「学校のキャリアセンター」が9.4%で続きました。
■インターンシップ等に申し込む際に、最も利用した窓口は?(n=213、単一回答)
インターンシップの申し込み方法について、詳しくはこちら↓
インターンシップの申し込みはいつから?どうやって申し込むもの?
インターンシップ等は、企業が受け入れられる人数に限りがあるため、参加人数を絞るための選考が行われる場合もあります。
企業で「人事・採用」を担当し、2025年3月卒業学生向けのインターンシップ等の選考に携わった300人にアンケートで聞いたところ、以下のような結果となりました。
■インターンシップ等の選考方法はどのように実施しましたか?(n=300、複数回答)
インターンシップ等の選考方法は、「エントリーシート」(59.3%)が最も多く、次いで多い「面接」(47.3%)は5割弱、「履歴書」(39.7%)も4割弱の企業が実施していました。「適性検査」(28.3%)、「筆記試験」(22.0%)も約2~3割の企業が実施しています。
企業が選出方法として最もよく利用しているエントリーシートには、一般的に「志望動機」や「自己PR」「インターンシップで学びたいこと」「学生時代に力を入れて取り組んだこと(ガクチカ)」などの項目が設けられていることが多く、作成には意外に時間がかかるもの。応募の締め切り期日より前から準備をしておくと安心でしょう。
実際にインターンシップ等に参加するとき、どんなことに気をつけるとよいでしょうか?ここでは、「マナー」「持ち物」「参加中の質問」について紹介していきます。
インターンシップ等に参加するときは、受け入れてくれる企業への感謝の気持ちとマナーを持って参加しましょう。
実は、参加する学生のマナーが「気になる」と回答した人事担当者は全体の約8割に上っています。
具体的に気になったマナーについて質問したところ、「言葉遣い」「あいさつ」「服装」「態度」という回答が多く見られました。正しい敬語や相手の目を見て行うあいさつ、清潔感のある身だしなみなどを普段から心がけておきたいものです。
そのほか、「学校のカリキュラムとして来る場合に、主体性がなく“やらされ感”が見られる学生もいた」「眠そうにしていたり、説明会の途中で寝てしまったりする」「常にスマートフォンを触っているのが気になった」という声もありました。
参加中のマナーで人事が気になることについて、詳しくはこちら↓
参加に際しては、人事担当者とメールのやりとりをする場面も出てきます。友人とのSNSと違い、メールにもビジネスマナーが必要。件名や宛名、本文の書き方など基本の型を押さえておきましょう。
メールのやりとり、マナーについて、詳しくはこちら↓
企業とのやりとりに役立つ! インターンシップに関するメールの書き方とマナー【例文あり】
プログラム参加中に役立った持ち物として先輩たちが挙げたのは、見聞きしたことを記録するための「筆記用具」や「ノート、メモ帳」と、時間の確認や調べ物などマルチに活用できる「スマートフォン」でした。ただしスマートフォンは、インターンシップのプログラムによっては使用禁止の場合もあるので、スマートフォンを取り出さなくても時間を確認できる「腕時計」も持っていくとよいでしょう。
インターンシップ時の持ち物について、詳しく知りたい人はこちら↓
【当日までに確認!】インターンシップ参加時に役立つ持ち物は?
仕事の内容ややりがいなどについて、直接社会人の先輩に話を聞けるチャンス。事前に自分が聞きたいことを整理しておきましょう。複数の社員に同じ質問をしてみると、企業や仕事についての理解も深まるかもしれません。なお先輩たちは、「仕事内容」「職場の雰囲気」「活躍している社員の人物像(能力や性格など)」といった質問をしているケースが多く見られました。
先輩たちがインターンシップ参加中にどんな質問をしたか、以下の記事で聞きたいテーマ別に質問例を紹介!↓
インターンシップではどんなことを質問したらいいの?質問例公開
参加後は、インターンシップ等について振り返りをしておくことが重要です。実際、人事担当者へのアンケートでは、「プログラム終了後、参加学生に感想文の提出を求めた」が46.0%となっています。プログラムを通して何を感じたのか、企業や働いている社員にどんな印象を持ったのか、自分はどんなときに面白いと感じたのかなどを振り返り、記録しておくことは、その後の就活にも役立ちます。
参加後スケジュールに余裕があったら、別のプログラムも経験してみましょう。
オススメは思い切って違うタイプの企業のプログラムに参加してみること。例えば、今までノーマークだった企業や、興味がなかった業界、あるいは前回とまったく違う企業規模の会社など。学生の皆さんが知らなくても実力のある企業は、世の中にたくさんあります。「逆」の会社や「別」の業界を見ることで、自分はなぜその会社や業種に興味を持っているのかを明確化できます。
もちろん、興味を持った業界について掘り下げるために、同業他社のプログラムに参加して、企業による仕事の進め方や風土の違いを実感してもよいでしょう。
リクナビでは、さまざまな「インターンシップ」「オープン・カンパニー&キャリア教育等」のプログラムを見ることができます。気になるプログラムがあるか見てみましょう。
【調査概要】
先輩アンケート
調査期間:2024年12月4日~2025年1月7日
調査対象:2025年3月に卒業予定の大学生、大学院生、短大生、専門学校生213人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング
人事アンケート
調査期間:2024年12月4日~2025年1月7日
調査対象:2025年3月卒業学生向けのインターンシップ等の採用選考に携わったことがある人事担当者300人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング
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オープン・カンパニーとは?実施内容や特徴、インターンシップとの違いを紹介
2025年卒の採用活動から、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムは4つに類型化されています
インターンシップで企業に提出する「履歴書」の書き方のマナーとポイント
インターンシップに応募する際、提出を求められることがある「履歴書」。「どんなふうに書けばいいんだろう
【例文付き】「インターンシップで学びたいこと」の書き方をプロが解説!
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【質問例あり】インターンシップ面接でよく聞かれる質問と答え方のヒント
インターンシップの面接では、どんな質問をされるのでしょうか。面接で実際に聞かれている質問や先輩たちが