高齢者や障がい者など日常生活に何らかの支援を必要としている人に対して、さまざまな形でサービスを提供するのが「福祉・介護」業界だ。広義には児童保育も含まれる。
介護サービスは、介護を受ける人が自宅に住みながら利用できる「居宅サービス」と、介護老人福祉施設などに入所している人が利用する「施設サービス」とに分けられる。
居宅サービスには、ホームヘルパーなどが介護を必要としている人の自宅を訪れ、食事や入浴などの支援をする「訪問介護」、介護を必要としている人が施設に通い、食事や入浴などのサービスを受ける「通所介護」(デイサービスと呼ばれることもある)などが含まれる。
一方、施設サービスには、「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)、「介護老人保健施設」(老健)、「介護療養型医療施設」という3施設がある。
日本には、高齢者を支えるための制度「介護保険」が設けられている。 この仕組みによって、介護・支援が必要だと認定された人は少ない自己負担で介護サービスが受けられる。 一方、家事や買い物の支援、配食、高齢者の安否確認や見守りといったサービスは介護保険の対象外だ。 こうした「保険外サービス」の料金は、事業者ごとに独自に設定できて経営的にメリットが大きいため、この領域に力を入れる企業は今後も増えそうだ。
また、元気なうちにケアやサービスの整った住まいに移って、安心して暮らしたいシニア層を対象にした有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の運営にも注目が集まり、異業種からの参入も盛んだ。
内閣府の「平成28年版 高齢社会白書」によると、2000年時点における日本の65歳以上の人口は2201万人、総人口に占める割合は17.4パーセントだったが、2015年には3392万人に増え26.7%になった。 さらに2025年には3658万人になると推計され、高齢化率は3割を超える(推計数字は国立社会保障・人口問題研究所より)ことから、福祉・介護市場の需要は大きく、当分拡大を続けていく業界だと見られる。
急速な高齢化を背景に、福祉・介護業界ではすでに慢性的な人手不足が起きている。 厚生労働省は、2025年における介護業界の人材需要が253.0万人に達する一方、人材供給は215.2万人にとどまると予測。 37.7万人もの人手不足が発生する見込みで、2016年3月時点でも介護人材の有効求人倍率は2.5倍以上となっている。
政府は「介護離職ゼロ」を目指して介護職員の待遇改善を進めている。 業界も人材の需給ギャップを埋めるため、従業員の賃金引き上げや昇給制度、キャリアアップ支援など待遇改善を進めて定着率を高めようとする動きが盛んだ。 また、外国人技能実習制度(後述)を活用して介護従事者を確保しようとしたり、ロボットを介護現場に導入したりして、従業員の負担を軽くする取り組みにも注目が集まっている。
医療との連携を目指す動きにも注目だ。介護保険法に基づく介護サービスには、全25種類あるが、2012年に創設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のように、訪問介護員だけでなく看護師なども連携しているものもあり、医療機関と協力関係を深める介護事業者が増えている。 また、今後も需要増が見込まれているため、大手企業を中心に取り組み強化を図る事業者が増えている。
「団塊の世代」が70歳前後になり、高齢化のスピードが加速している。 業界の人手不足の解消、労働環境の改善など、解決しなければならない問題は多い。
団塊の世代とは、第2次世界大戦終了後の1947~49年にかけて生まれた世代を指す。 この時期、日本では毎年の出生数が260万人を超えており、空前のベビーブームだった。 2022年以降、この世代が後期高齢者(75歳以上)となり、介護市場の急拡大が予測されている。
今後市場の拡大が見込まれる介護業界は、医療と異なり異業種からの参入も比較的しやすい。 2015年以降は損害保険会社や生命保険会社、大手スーパーマーケット、スポーツ用品メーカー、アパレルメーカーなど、多彩な企業が参入。 高齢者向けの商品を手がけている企業が、介護事業者と提携して福祉・介護事業に乗り出すケースも目立つ。
重いものを軽々と持ち上げられるなど、身体に装着することで人の動きを支援する装置「ロボットスーツ」(パワードスーツ、パワーアシストスーツなどとも呼ばれる)を、介護を必要としている人の抱き上げなどに使う研究が進められている。
発展途上国から外国人実習生を受け入れて技術・知識を学んでもらい、帰国後、自国の発展に役立ててもらうための仕組み。 これによって、介護現場での人手不足を緩和できるのではと期待されている。
福祉・介護系企業は、従業員の残業時間の低減や短時間労働など、柔軟な労働スタイルを用意することで、より働きやすい環境を提供しようと努力している。 また、パラレルキャリア(本業以外でも仕事をしたり、ボランティア活動に参加したりすること)を支援する企業もある。
介護サービス企業が医療機関と協力しながら高齢者のケアを担うケースは、今後さらに増えそう。また、医療機関が直接、介護サービスを提供するところもある。
独り暮らしの高齢者が、病気などで倒れていないか確認する「高齢者向け見守りサービス」のニーズが増加。 介護サービス企業が警備会社などと提携して見守りサービスを提供する例も増している。
高齢者向け住宅の建設を手がけるマンションディベロッパーも少なくない。 子育て世帯との交流など、新しいコンセプトを打ち出しているところもある。
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監修:日本総合研究所 吉田賢哉
※記事制作時の業界状況をもとにしています
志望業界や志望企業を絞り込んだり、志望動機をまとめたりするうえで、業界や業種への理解を深めるために「
業界ナビでは、各業界の仕組みや現状など、業界研究に役立つ情報をわかりやすく解説しています。業界の平均
教育業界には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校などの教育機関のほか、就学期の子どもを対象とした学習塾・予備校などの学習支援機関、社会人を対象にした語学・資格スクールやカルチャースクール、企業向けの社員研修を扱う企業など、幅広い企業がある。
高齢者や障がい者など日常生活に何らかの支援を必要としている人に対して、さまざまな形でサービスを提供するのが「福祉・介護」業界だ。広義には児童保育も含まれる。
ここでは、公社とは公益社団法人や公益財団法人など、私的な利益を追求するのではなく、公(おおやけ)、つまり社会のために存在している企業、または団体を指す。かつて中央官庁が担当していた事業のうち、一定の事務・事業を分離し、業務の質の向上や活性化などを狙って設立された独立行政法人も公社の一つと言える。
人材サービス業は、顧客企業のニーズに応じて人材を派遣したり、紹介・斡旋したりする事業だ。ビジネスの変化スピードが高まる中で、「新たな事業部門に適した人材を集めたい」「業務拡大に伴い早急に人員を確保したい」「勤怠管理を丸ごと委託したい」など顧客企業のニーズも多様化し、需要も高まっている。
鉄道会社は、人やモノを運ぶ移動手段としての鉄道を維持・運行している企業だ。また、多くの人々が集まる「駅」を基点とし、不動産、小売業、ホテル、レジャー施設といった事業を運営しているところもある。
目次航空・空港業界とは航空・空港業界の仕組み航空・空港業界にかかわる職種航空・空港業界の現状航空・空
レジャー・アミューズメント・パチンコ業界は、テーマパークや遊園地、動物園や水族館、ゲームセンター、カラオケ、パチンコホールなどの運営を通じて娯楽を提供している。
ホテル業界は利用者に対し、宿泊するための部屋や、ホテル内のレストランや結婚式場での各種サービスを提供している。ホテルや旅館の客室は、下図のように、自社サイトによる直接販売と、旅行会社・旅行代理店や旅行予約サイトなどを通じた委託販売によって消費者に提供される。近年は、インターネットからの予約が主流になりつつある。また、旅行予約サイトなどでは、ホテルの予約だけでなく、鉄道や飛行機の旅行券も併せて「セット予約」できる場合も多く、消費者の利用は増えている。
一般的に旅行業界とは、旅行者のための移動手段や宿泊施設手配、パッケージ旅行のプラン作成や販売などの事業に携わる者を指す。法律上、旅行業に従事する「旅行会社」と旅行業者代理業を行う「旅行代理店」の2つに分類される。
店舗に行って食事をすることを「外食」と呼ぶのに対し、弁当や総菜など、家庭外で調理された食品を持ち帰って自宅で食べることを「中食(なかしょく)」と呼ぶ。フードサービス業界は、レストラン、ファストフード店、喫茶店、居酒屋などの「外食」を手がける企業と、いわゆる「デパ地下」で弁当や総菜などを販売して「中食」に携わる企業とに大きく分かれている。
不動産業界とは、土地や建物などにかかわる業界のこと。商業施設、ビル、マンション、リゾート施設などを開発するデベロッパー(開発業者)、注文住宅や、建売住宅などを手がけるハウスメーカー、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者なども、不動産業の重要な役割を担っている。
公社・官庁
17.9
電力・電気
16.4
団体・連合会
15.7
海運
14.3
鉄道
14.2
ガス・水道
14.2
建設コンサルタント
14.1
エネルギー
13.9
芸能・芸術
12.9
機械設計
12.3
倉庫
12.0
陸運
11.7
航空・空港
11.6
その他サービス・インフラ
11.4
警備・安全・メンテナンス・清掃
11.3
タクシー・バス・観光バス
10.9
レジャー・アミューズメント・パチンコ
10.3
建築設計
10.1
旅行
9.9
教育
9.4
外食・レストラン・フードサービス
9.1
医療関連・医療機関
8.9
コンサルタント・専門コンサルタント
8.6
ブライダル・冠婚葬祭
8.6
ホテル
8.5
不動産
8.3
福祉・介護
7.5
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
7.2
エステ・理容・美容
6.4
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
6.1
エステ・理容・美容
29.2
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
31.9
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
32.6
教育
35.2
レジャー・アミューズメント・パチンコ
35.3
外食・レストラン・フードサービス
35.4
コンサルタント・専門コンサルタント
36.2
ブライダル・冠婚葬祭
36.6
不動産
36.6
芸能・芸術
36.9
医療関連・医療機関
37.1
ホテル
37.7
航空・空港
37.9
機械設計
37.9
旅行
38.3
建築設計
38.4
その他サービス・インフラ
38.9
倉庫
39.5
団体・連合会
40.2
福祉・介護
40.2
海運
40.8
鉄道
40.8
エネルギー
40.9
電力・電気
41.2
公社・官庁
41.5
ガス・水道
41.8
警備・安全・メンテナンス・清掃
41.9
陸運
42.1
建設コンサルタント
43.6
タクシー・バス・観光バス
47.4
公社・官庁
99.4
医療関連・医療機関
98.5
倉庫
97.7
ホテル
97.5
電力・電気
97.1
不動産
97.0
団体・連合会
96.9
海運
96.6
エネルギー
96.5
コンサルタント・専門コンサルタント
96.4
福祉・介護
96.3
教育
95.8
ガス・水道
95.7
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
95.4
警備・安全・メンテナンス・清掃
95.4
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
95.1
ブライダル・冠婚葬祭
94.9
航空・空港
94.8
外食・レストラン・フードサービス
94.5
鉄道
94.3
エステ・理容・美容
93.7
その他サービス・インフラ
93.7
建築設計
93.5
建設コンサルタント
93.2
レジャー・アミューズメント・パチンコ
92.3
陸運
91.1
機械設計
90.9
タクシー・バス・観光バス
88.1
旅行
83.6
ホテル
33.3
レジャー・アミューズメント・パチンコ
31.4
エネルギー
30.4
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
29.9
福祉・介護
28.7
コンサルタント・専門コンサルタント
27.9
医療関連・医療機関
27.8
警備・安全・メンテナンス・清掃
23.0
教育
22.8
鉄道
22.6
ブライダル・冠婚葬祭
20.8
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
19.5
外食・レストラン・フードサービス
18.4
建設コンサルタント
17.7
タクシー・バス・観光バス
17.3
電力・電気
16.1
建築設計
15.1
陸運
13.5
団体・連合会
13.3
その他サービス・インフラ
13.2
不動産
12.2
航空・空港
12.2
公社・官庁
10.4
倉庫
8.0
ガス・水道
7.6
海運
4.5
機械設計
2.1
福祉・介護
7.2
団体・連合会
10.7
レジャー・アミューズメント・パチンコ
11.1
医療関連・医療機関
11.4
公社・官庁
12.5
エステ・理容・美容
12.6
航空・空港
12.9
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
14.3
ガス・水道
14.6
教育
14.6
旅行
15.9
鉄道
16.7
エネルギー
17.6
その他サービス・インフラ
18.2
ホテル
18.7
不動産
18.7
コンサルタント・専門コンサルタント
20.0
ブライダル・冠婚葬祭
20.1
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
20.4
海運
20.7
タクシー・バス・観光バス
21.2
機械設計
22.2
建設コンサルタント
23.3
電力・電気
23.4
警備・安全・メンテナンス・清掃
23.5
倉庫
23.9
外食・レストラン・フードサービス
24.5
陸運
24.7
建築設計
25.7
芸能・芸術
26.8
シンクタンク
15.0
鉄道
14.4
航空・空港
13.4
機械設計
12.7
電力・電気
11.4
公社・官庁
11.3
エネルギー
10.6
その他サービス・インフラ
10.2
建設コンサルタント
9.9
海運
9.9
医療関連・医療機関
9.8
タクシー・バス・観光バス
9.5
コンサルタント・専門コンサルタント
9.5
警備・安全・メンテナンス・清掃
9.4
旅行
9.3
不動産
9.0
教育
9.0
レジャー・アミューズメント・パチンコ
8.9
エステ・理容・美容
8.9
福祉・介護
8.8
団体・連合会
8.7
ガス・水道
8.6
倉庫
8.5
建築設計
8.4
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
8.1
陸運
7.9
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
7.6
芸能・芸術
7.5
ブライダル・冠婚葬祭
7.0
ホテル
6.9
外食・レストラン・フードサービス
6.3
エステ・理容・美容
39.4
教育
24.3
福祉・介護
22.4
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
22.1
医療関連・医療機関
19.2
ホテル
19.1
ブライダル・冠婚葬祭
16.5
建築設計
15.4
その他サービス・インフラ
14.1
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
13.2
コンサルタント・専門コンサルタント
12.7
レジャー・アミューズメント・パチンコ
12.3
警備・安全・メンテナンス・清掃
12.1
外食・レストラン・フードサービス
10.2
芸能・芸術
9.8
不動産
9.6
機械設計
9.1
陸運
8.3
団体・連合会
7.1
シンクタンク
6.8
ガス・水道
5.7
電力・電気
5.4
エネルギー
5.0
旅行
3.8
建設コンサルタント
3.6
航空・空港
3.5
鉄道
2.7
海運
2.6
公社・官庁
2.2
倉庫
2.2
タクシー・バス・観光バス
1.9
エステ・理容・美容
76.7
医療関連・医療機関
40.6
福祉・介護
39.3
教育
35.9
ブライダル・冠婚葬祭
28.9
スポーツ・フィットネス・ヘルス関連施設
26.7
航空・空港
24.5
芸能・芸術
22.5
旅行
20.7
コンサルタント・専門コンサルタント
19.8
人材サービス(人材紹介・人材派遣)
19.1
ホテル
18.9
その他サービス・インフラ
18.3
公社・官庁
17.0
シンクタンク
14.9
団体・連合会
13.2
外食・レストラン・フードサービス
12.2
建築設計
10.8
不動産
10.4
機械設計
8.3
レジャー・アミューズメント・パチンコ
6.7
警備・安全・メンテナンス・清掃
6.4
陸運
5.5
鉄道
5.1
タクシー・バス・観光バス
4.7
エネルギー
4.5
海運
4.2
ガス・水道
3.5
建設コンサルタント
3.1
倉庫
3.0
電力・電気
3.0
※1 2020年6月16日時点のリクナビ2021の掲載情報に基づいた各企業直近集計データを元に算出