【例文あり】志望動機の締めくくりはどうすればいい?考え方のポイントと注意点

ES(エントリーシート)や面接用に志望動機をまとめる際、「締めくくり」に悩む人は少なくないようです。締めくくりは、志望動機全体の印象を左右します。締めくくりの考え方と効果的な締めくくり方について、人材研究所の曽和利光さんに教えてもらいました。締めくくりの参考になる志望動機の例文も紹介しています。

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志望動機の基本構成と締めくくりの考え方

まずは志望動機の基本構成についてご説明します。

<志望動機の基本構成>

ステップ1:志望する理由

その会社の何に魅力を感じたのか、まずは結論から伝える。

例:「貴社の〇〇という理念に、△△な観点から魅力を感じました」など

ステップ2:その裏付けとなるエピソード

志望する理由を裏付ける「きっかけ」「意見」「行動化」をエピソードとして伝える。

例:「大学時代に〇〇をした経験がきっかけです」「それを機にこんな意見を持つようになり、個人的にこのような活動をしています」など

ステップ3:入社後の展望に関する言葉で締めくくる

上記を受け「だからこの会社でこのように働きたい」と思いを伝える。

例:「この経験を生かし、○○のような部署で力を発揮したいと思っています」など

ステップ1で伝える志望する理由は、「なぜこの会社を志望するのか」という就活生それぞれの気持ちや思いであり、抽象的なものです。したがって、ステップ2の裏付けとなるエピソードで「その気持ちや思いが本物である理由」を伝え、抽象的なものを具体化することが大切です。

ステップ2のエピソードを伝える際のポイントは、「きっかけ」「意見」「行動化」の3つ。このうちのどれか1つ、できれば3つすべてをエピソードに盛り込んで伝えると、「そういう経験や行動をしているから、当社を志望してくれたのだ」とわかり、志望理由の信ぴょう性が高まります。

そして、上記を受けてステップ3で「だから貴社で○○をしたい(こんな仕事に就きたい、こんな役割を任されたいなど)」と締めくくり、まとめましょう。

面接を受ける就活生のイメージカット

志望動機の締めくくりが重要である理由

まず、企業が志望動機を通じて確認したいのは、次の3点です。

  1. 自社への志望度を知りたい
  2. その志望動機がうわべだけのものではなく、根拠があるものなのか確認したい
  3. 就活生の思いを自社のリソースでかなえられるかどうか判断したい

1と2は、志望する理由とその裏付けエピソードで確認し、3の「応募者の思いをかなえられるかどうか」は主に締めくくりで確認しています。

中には、志望理由と裏付けエピソードのみで志望動機をまとめる人もいるようですが、締めくくりまで丁寧に伝えることで、企業が確認したいことを網羅することができます。

締めくくりで「貴社の○○事業で(もしくは○○部署で)こういうことをやりたい」との展望を伝えられれば、企業側は「確かに当社にはこの学生の思いをかなえられる受け皿がありそうだ」などと判断できます。「自社の事業や部門についてもしっかり調べた上で応募している」こともわかるため、志望動機に一本の軸が通り本気度も伝わりやすくなります。

ちなみに、売り手市場の昨今は特に「締めくくりが弱いから」という理由で採用を見送ることは、ほとんどないでしょう。応募者の多い超人気企業は別かもしれませんが、多くの場合、企業は締めくくりが弱いと「当社のことをまだ伝えきれていないようだから、もっとフォローしよう」と考えます。

ただ、だからこそ志望動機の締めくくりまでしっかり語れる人は、「自社への志望度が高そうだ」と一目置かれやすくなります。

そして最終面接では、志望動機の締めくくりまで入念に準備した方がいいでしょう。選考が進めば進むほど、残っているのは企業にとって粒ぞろいの学生ばかり。能力やポテンシャルが同等であれば、より入社後の展望まで語れる人(=志望動機が強い人)の方が活躍してくれそうだと判断できるからです。

選考をスムーズに進めるためにも、ESの段階から、志望動機の書き出しから締めくくりまでを丁寧に準備しておくことをオススメします。

締めくくりを考える上でのポイント

志望動機の締めくくりを考える際には、次の3点に気を配るといいでしょう。

1. あまり具体的に伝えすぎない

入社後の展望で締めくくるとお伝えしましたが、総合職採用の場合はあまりに個別具体的すぎる展望や、志望企業の中のマイナー部門に絞った展望は避けた方がいいでしょう。

本人の意向は知りたいものの、あまりに狭い範囲の希望を伝えられてしまうと、「入社後はいろいろなことに挑戦してほしいのに、この一部分しかやりたくないのかな」と思われてしまう可能性があります。ストライクゾーンはあまり狭めすぎないように気を配りましょう。

したがって、締めくくりを考える際は、例えば「たくさんの人とかかわれる仕事に就いて力を発揮したい」「語学力を生かして海外にかかわれるような仕事がしたい」など、やや抽象度を上げるといいでしょう。その上で、具体的な希望部署や部門があるならば、「例えば○○のような部署などをイメージしています」などと伝えると、あくまで一例だとわかる上に本人の希望もそれとなく伝わります。

2. 裏付けのない誇張した表現は避ける

締めくくりで「入社したら○○の部署でトップを目指します」「海外事業部の責任者になります」などといった表現をする人がたまにいます。自分をできるだけアピールしたいという思いからなのでしょうが、高い目標に見合うだけの裏付け(自分なりの「意見」がある、実際に「行動」を始めている)を伝えられないと逆効果になりかねません。

例えばですが、志望動機の締めくくりとして「御社のSDGsをけん引する存在になりたい」と言われたら、聞き手は「この人はおそらく環境問題に対する自分なりの意見を持っていて、実際に環境保全のための活動を独自に行っているのだろう」と思うものです。にもかかわらず、意見が弱く、特に行動もしていなければ「自分を良く見せるためのハッタリか」と思われてしまうかもしれません。無理に良く見せようとせず、今の自分に見合った締めくくりを考えましょう。

3. 締めくくり後の「ツッコミ」を想定しておく

面接の場合、一連の志望動機を伝えた後に、「その理由であれば当社(この業界)でなくてもいいのでは?」と突っ込まれることがあります。企業側は意地悪で言っているわけではなく、多くの場合「その思いは、別の業界や他社でもかなえられそうだけれど、なぜ当社なのか」と素朴に思っているケースが大半です。

しかし急にこのように突っ込まれると、多くの人は慌ててしまうはず。「この会社である理由を何か言わなければ」と焦るあまり、取ってつけたような理由を伝えてしまったり、頭が真っ白になってしどろもどろになったりしてしまうケースが見受けられます。

そうならないためにも、あらかじめ自身の志望動機を客観的に見直し、ほかにも当てはまりそうな業界や企業がないか考えてみましょう。もし他社や他業界にも当てはまりそうな内容だったら、「この業界、この会社である理由」をあらためて考え、志望動機に組み込むといいでしょう。

ただ、面接は「議論する場」ではないので、基本的には「当社でなくてもいいのでは?」と突っ込まれても「何か正当な理由を返して論破しないと!」と構える必要はありません。無理に返そうとして慌てたり、変な言い訳をしたりするのであれば、「確かにおっしゃる通りかもしれません。御社しか見ていませんでした」などと素直に受け止めた方が好印象です。

締めくくりに注目!志望動機例文を紹介

締めくくりを意識した志望動機の例文をご紹介します。以下を参考に、自分ならではの締めくくりを考えてみましょう。なお、いずれもESでの志望動機を想定しています。面接では「貴社」を「御社」に変えて伝えるといいでしょう。

例文1:志望している事業に携わりたい

私は以前から環境問題に興味を持っており、自然エネルギー事業に注力している貴社を志望しました。環境問題に興味を持ったのは、授業でSDGsについて学び、特に環境問題に対する考えに共感したのがきっかけです。「まずは自分ができることから取り組もう」と考え、リサイクル商品を積極的に活用したり、海の清掃ボランティアに参加したりと自主的に行動しています。

この思いや姿勢を仕事でも生かしたいと考え、自然エネルギーにかかわる仕事に就きたいと考えるようになりました。自然エネルギー事業を拡大している貴社において、何らかの部署で環境問題に貢献したいと思っています。例えば、自然エネルギー事業の営業部門などで活躍してみたいという思いを持っています。

例文2:海外にかかわる仕事に就きたい

貴社を志望した理由は、海外事業を現在の2倍に拡大するという中期経営計画を拝見したためです。高校2年生の夏に、ロサンゼルスに1カ月間留学しました。その際に、さまざまな国から来た同年代の学生と知り合い、異文化に触れる経験をしたことで、「将来は海外の人とかかわる仕事に就きたい」と考えるようになりました。

そのためには少なくとも英語を日常会話レベルで話せる必要があると考え、2年前に英検準1級に合格、現在は1級合格に向けて勉強しています。この経験を生かして貴社で活躍し、将来的には海外部門で力を発揮できるようになりたいと思っています。

例文3:企業理念に共感しながら働きたい

「お客さまの思いを第一に考え、寄り添う存在になる」という貴社の企業理念に共感したことが志望理由です。以前、貴社の店舗でサービスを受けたことがあり、その親身な姿勢に感銘を受けました。こちらのニーズを丁寧に引き出し、寄り添った提案をしてくれたことに感動させられました。

それを機に、貴社のように「相手の気持ちに寄り添う働き方がしたい」と思うようになり、貴社の店舗スタッフになりたいと考えました。現場で経験を積み、私が受けたような感動できるサービスを、いつか提供できるようになりたいと思っています。

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

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記事作成日:2023年9月19日
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