志望動機の「書き出し」ポイントと例文。人事が読む気をなくす書き出しは?

志望動機を書こうにも、書き出しから躓いている…という人も多いのではないでしょうか。採用のプロ・曽和利光さんに、書き出し例文と人事が読む気を失くす書き出しについて聞きました。志望動機の書き方、盛り込んでおきたいポイントも解説していますので、参考にしてみてください。

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志望動機は「どんなこと」に「なぜ」魅力を感じたかを伝えることが大切

志望動機は、「その会社の何に魅力を感じたのか(=what)」と、「なぜ魅力を感じたのか(=why)」の2つを伝えるものです。その中でも、特に人事が注目するのは、なぜ魅力を感じたのかというwhyの部分。
企業が志望動機を通して知りたいのは、「この会社で働くに当たって十分なモチベーションを持っているか」という点なので、「何に魅力を感じたのか」や「どれだけその企業のことを知っているか」に終始するのではなく、動機や理由、背景など自分なりの考えを伝えるようにしましょう。志望動機の構成割合は、何に魅力を感じたのか(=what)2~3 : 8~7なぜ魅力を感じたのか(=why)をオススメします。
 

志望動機の書き出しは「結論」にすると読みやすい

結論=「何に魅力を感じたか」から書き始める

書き出しは、基本的には「その会社の何に魅力を感じたのか(=what)」からでも「なぜ魅力を感じたのか(=why)」からでも構いません。ただ、何に魅力を感じたのかのwhatから書きだした方が最初に結論がわかるため、読みやすい志望動機になるでしょう。
書き方や構成に不安がある方のために、志望動機の作成方法を次の3ステップで解説します。

ステップ1. 企業のどこに魅力を感じているのか、最初の一文で簡潔に語る

わかりやすく相手に伝えるためには、まずは端的に結論を伝えることが大切になります。その企業のどこに魅力を感じたのか、志望した理由を最初の一文で簡潔に伝えましょう。

ステップ2. そう考えている根拠を、自身の価値観を交えて説明する

次に、魅力を感じた理由・根拠を伝えることで説得力のある志望動機になります。その際、「仕事選びの軸」として大切にしている自分の価値観とその企業との接点を、「魅力を感じたポイント・理由」として伝えることができれば、自分ならではの志望動機になるでしょう。

ステップ3. 入社後、どのように活躍できるのかを書き入れ、全体をまとめる

その上で、文字数が許せば「入社したらどんなことに挑戦したいのか、どのような強みが仕事で生かせるのか」を伝え、全体をまとめましょう。そうすることで、あなたの「やる気」が伝わるとともに、企業側があなたと一緒に働くイメージを持ちやすくなるでしょう。

志望動機をESや履歴書に書こうとして書き出しで悩んでいる就活生

志望動機の書き出し例(2パターン)

例1「何に魅力を感じたのか(=what)」から書き出す

書き出しの例

  • 貴社の〇〇という理念に、△△な観点から魅力を感じました。
  • 貴社の〇〇という文化に、△△な観点から魅力を感じました。
  • 社員の皆さんからお話を伺った際に、〇〇な社風に魅力を感じました。
  • 貴社の経営理念である〇〇に共感し、貢献したいと考えました。
    など

志望動機の例文

貴社の説明会で話をうかがった社員の皆さんが、共通して「お客さまを支援したい」という熱い思いを持っていらっしゃることに魅力を感じました。私は、留学生支援サークルで、来日後間もない留学生のサポートに取り組んでいます。外国籍の友人から、日常会話はできても、書類手続きなどで困ることがあるという話を聞き、自分にできることを手伝いたいと思ったのがきっかけです。留学生が感じる不便や疑問を聞き出して必要な支援をしていくのは根気がいりますが、「日本での生活をできるだけ快適に始められるように」という思いで向き合ってきたので、貴社の社員の皆さんのお客さまに対する思いに共感しました。

人事・採用コンサルティング曽和さんからのコメント

上記の志望動機の場合、魅力に感じた点(=what)として、「社員に共通していた熱意(社風)」を挙げています。その際に、具体的にどんな想いに魅力を感じたかまで書かれており、人事としては、魅力を感じた理由(=why)を違和感なく、重点的に読み込む段階に進めるのが良いと思います。

例2「なぜ魅力を感じたのか(=why)」から書き出す

書き出しの例

  • これまでの〇〇した経験から、△△という理由で魅力を感じました。
  • 自身の〇〇(特技や知識、スキルなど)を活かせると考えました。
    など

志望動機の例文

高校時代、私の地元駅の前に、再開発によって多数の店舗や行政機関、保育園などが入った複合施設が建てられたことで、街が活気を取り戻す様子を目の当たりにしました。通勤・通学の人だけでなく、子どもからお年寄り、中高生、家族連れまで人の往来が増えてにぎやかになり、行き帰りが楽しくなったことを覚えています。そんなまちづくりに自分も携わり、人々の暮らしを豊かにすることに貢献したいという思いから、土地開発やビル・施設づくりなど幅広い分野でまちづくりに取り組んでいる貴社を志望します。

人事・採用コンサルティング曽和さんからのコメント

上記の志望動機では「なぜ会社に魅力を感じたのか(=why)」の部分に、過去の経験に基づく価値観や企業選びの基準が詳しく書かれています。志望動機の中でも、特に人事が注目する部分が手厚く書かれているため、この会社で働くに当たって十分なモチベーションを持っているかを判断しやすいのが良いと思います。

人事が読む気をなくす、志望動機「書き出し」の例

「魅力を感じた点(=what)」で書き出した場合に、人事が読む気をなくしかねない「what」があります。

読む気をなくす例1 「説明会で会った社員(個人)に魅力を感じました」

「説明会で話を聞いた社員の〇〇さんに魅力を感じた」と書く学生は非常に多いです。しかし、たくさんの社員がいる会社の中で、一個人の情報を基に「魅力を感じた」と言われても、「その社員は辞めるかもれないし…」という懸念を持つ人事もいるでしょう。更に、よくある書き出しなので他と差別化するのが難しく、「あぁ、またこれか」という感想を抱きかねません。
会社そのものに魅力を感じているように思えないというのも、読む気を失くしてしまう理由のひとつです。

読む気をなくす例2 「(試験的にはじめた)事業や制度に魅力を感じました」

「世の中の注目を浴びているけれど、まだ始まったばかりの事業や制度」というのも、人事にとっては、「ここを1番の魅力に感じられても困る」というポイントと言えます。このように、可変的なものを、魅力を感じた点(=what)として提示されると、企業は「今後変わるかもしれないし…」「世間で話題になっているような会社の一部しか見てくれていないのでは?」などと、本当に魅力を感じているのか不安に感じる場合があります。
企業が、「ここに魅力を感じて欲しい」と感じているのは、企業の理念や文化、社風、事業上の目標など、普遍的で変わらない、コアな部分についてです。志望動機を考える際には、これらの観点に注目して企業研究をしてみるのもオススメです。

読む気をなくす例3 「具体的な中身がなく、“こそあど言葉”や比喩を用いた内容」

例えば、「貴社の商品にとても興味があったので志望した」なども注意が必要です。「どんなふうに魅力を感じたのか」や「商品のどんなところに興味を持ったのか」などを合わせて伝えなければ、「中身がない」と判断されて最後まで読んでもらえない可能性があります。「このような」といった“こそあど言葉”や比喩を用いた内容も同様です。情報はできるだけ具体的に書きましょう。

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【例文12選】新卒就活「志望動機」書き方と人事のチェックポイント

上記の記事では、人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和利光さんが、志望動機の作り方を具体的に解説しています。「社風・人の魅力」「事業・商品」「仕事内容」「企業理念・ビジョン」「制度・勤務地」のそれぞれに惹かれた場合の例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

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記事作成日:2019年1月31日 記事更新日:2023年3月3日

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