面接に役立つ“短所”の答え方|よくある短所一覧と回答例文付き

インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムの選考や就活時に、聞かれることのある「あなたの短所とは?」という質問。しかし、短所をそのまま伝えていいのか、マイナス評価につながるのではないかと考え、どう答えればいいか悩む学生も少なくはありません。そこで、就職・転職支援スクール、我究館の館長を務める熊谷智宏さんに、短所の考え方から探し方、伝え方まで聞きました。

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企業が短所を聞くのはなぜ?短所はマイナス評価につながる?

短所を聞かれたとき、「選考のふるいにかけるために、学生の欠点や問題点を知ってマイナス評価を行っているのでは?」と考えてしまう学生もいるでしょう。しかし、企業が短所を聞くのは、マイナス評価をするためではありません。長所を聞くことと同様に、本人の性格、性質、姿勢などを知るための質問だと考えましょう。

企業が短所を聞くのは、「弱さと向き合える強さ」があるか知るため

企業が面接で短所を聞くのは、「弱さと向き合える強さ」があるか知りたいからです。社会人として仕事をする際には、困難にぶつかることもあり、やり遂げるためには、自分の足りない部分や弱い部分と向き合い、克服して乗り越えていける強さが必要となります。そして、うまくいかないときにこそ、その人の人格や性質が表に出やすく、どんなプロセスを踏むのかによって、困難にどう立ち向かう人なのかが見えやすくなるのです。面接では、「学生時代に頑張ったこと」という質問もよくされます。その際、併せて「困難だったことやうまくいかなかった点は何か」と聞かれるものですが、これは、頑張ったことそのものより、むしろ、自分の弱さとどう向き合う性格なのかを知りたいからであり、短所と同様の構造といえます。面接でネガティブなことを聞かれても、マイナス評価のためではないと考えましょう。

短所を通じて企業が見ているポイントとは?

企業は、「自分の短所にきちんと向き合うことができているのか」「それをどう克服しようとしているのか」を見ています。自己分析で自分自身を客観視した上で、自分なりに課題を持って短所と向き合っているかどうかがポイントになるでしょう。面接で短所を聞かれた場合には、これらのこともセットで聞かれるものなので、しっかりと答えられるようにすることが大事です。弱さと向き合う性格の特性を表現する場と考え、自分の良さを知ってもらいましょう。

短所は伝えなくてはダメ?伝えない方がよい短所はある?

エントリーシート(ES)や面接で短所を伝える際、「伝えない方が評価を下げずに済むのでは?」「できるだけ良く見えるような短所を伝えた方がいいのでは?」と悩む学生もいるでしょう。では、どのように考えればいいのでしょうか。

「短所が見つからない」「短所を長所のように見せる」は避けること

誰にでも長所があるように、短所のない人はいないものです。短所が見つからないとしたり、書かなかったりした場合には、「自分を客観視できていない」「自己分析ができていない」と思われてしまうでしょう。また、短所を長所のように見せようと考える学生もいて、「真面目過ぎる」「優し過ぎる」など、長所を過剰にすることで自分を良く見せようとするケースもあります。これについても、「短所を取り繕おうとしている」「自分の問題点や弱点に向き合うことができていない」という印象を与える可能性が大きいでしょう。自分の短所をきちんと自覚した上で、エントリーシート(ES)では、その短所を克服するためにどう取り組んでいるのかという点にも触れておくことが大事です。面接では、その取り組みについてより深く聞かれるものと考えましょう。

懺悔するように「心からダメだと思う短所」を答える必要はない

学生の中には、短所について自己分析を進めるうちに、「だから自分はダメなのだ」と反省し過ぎてしまい、懺悔(ざんげ)するような気持ちで「心からダメだと思う短所」を探して答えてしまうケースもあります。自己反省のみの短所では、克服しようと向き合う姿勢を伝えることができませんし、致命的な欠点のように回答していれば、企業側もそのような人材を採用しようとは思わないものです。短所を考える際には、自分を責めるのではなく、「現在、自分が課題だと思っていること」「もっと成長させていきたいと思う部分」をクローズアップするといいでしょう。裏を返せば、それこそが今の自分に足りないもの、克服していきたいと思っていることであり、短所といえるものなのです。

「社会人として問題視される短所」は伝えず、早期に改善・克服を

「時間にルーズ」「約束を守れない」「責任感がない」「うそをつく」「人とコミュニケーションができない」など、社会人として問題視されるような短所がある場合は、伝えない方がいいでしょう。「組織で働く際の基本を理解できていない、社会人となる姿勢に欠けている」と見なされてしまう可能性が高いといえます。もしもそのような短所があると自覚したなら、社会人となる前に改善・克服するよう心がけましょう。

「表面的な短所」ではなく、自分の信念にかかわるような短所を伝えよう

「遅刻が多い」「忘れ物をしてしまう」「仕事が雑になりやすい」など、自分で意識して行動すれば直せるような、「表面的な短所」もアピールにつながりません。本人の信念や生き方にかかわるような短所について、「このように思っていたが、実はそれが短所であると気づき、現在、このように克服しようと努力している」という背景や思いを伝えれば、より人柄が浮き上がり、自分自身の内面を知ってもらうことができるでしょう。

採用面接を受けている女子学生と男子学生

短所を探す際に、心構えをしておきたいこと

まずは、短所を探す際に、心構えをしておきたいことについて紹介します。

“最強の短所”を見つける必要はない。なるべく多く書き出そう

面接対策として、「どこの企業でも語れる“最強の短所”を一つ見つけなくては」と思い込んでいる学生もいますが、その必要はありません。人は短所も長所もたくさん持っているものなので、まずはなるべく多くの短所を書き出してみることから始めましょう。自分が弱いと思う部分、足りないと感じることを考えてみれば、いくつも挙げることができるはずです。その上で、志望する企業の仕事内容や働き方、社風、求める人物像などを踏まえ、「その企業で働くために、自分が克服した方がいい課題や、成長させていくべきだと思うこと」に重なるものを選ぶといいでしょう。

自分にマッチする企業であるかを見極めることにも役立てる

志望先の企業に対し、克服すべきことがあまりにも多かったり、仕事内容や働き方、社風などにマッチしない大きな短所があると感じたりした場合は、自分と企業の相性がマッチしていない可能性があります。例えば、「事業をけん引するリーダー候補を求めている」という企業に対し、「プレッシャーに弱く、人を引っ張ることも苦手」という短所があったなら、企業が求める人物像にマッチしていませんし、「そもそも、うちの会社ではやっていけないタイプ」と判断される可能性も高いでしょう。無理に入社しても、働き方や社風が合わない場合、本人にとって不幸な結果になりかねないので、自分にマッチする企業を見極めることにも役立てましょう。

短所を探す過程では、「落ち込まないこと」が大事

短所を探すうちに、「自分はここがダメ。ここもダメ」と感じ、落ち込んでしまう学生もいます。しかし、弱点や足りない部分があるということは、裏を返せば、それを改善・克服すればさらに成長できるということであり、たくさんの伸びしろがあるということなのです。短所があること自体は問題ではなく、それを放置することが問題だと考えましょう。短所を探すことは、自分にとって改善・克服すべき点を見つけ、より成長していく機会となります。現時点で克服の努力をしていなくても、今日からできることを考え、改善・克服に向かう行動や取り組みを積み重ねていけば、必ず自分自身の成長につながります。そして、それこそが、エントリーシート(ES)に書ける内容、面接で話せるエピソードとなるはずです。

短所を探す3つの方法 「よくある短所一覧」も紹介!

それでは、短所を探すために役立つ具体的な方法を紹介していきます。よくある短所の一覧も参考にしてみましょう。

短所を探す3つの方法

「失敗体験」を振り返って自己分析する

過去を振り返り、失敗した体験を分析してみましょう。何事においても失敗する際には、本人の弱みが出るケースが多いので、「なぜうまくいかなかったのか」「自分に足りないことは何だったか」「どうすれば、うまくいかせることができたのか」を考えてみるといいでしょう。

「信頼できる相手」に他己分析してもらう

誰しも、自分と向き合うことは苦しいもの。自己分析がつらいと思う場合は、信頼できる友人に、克服すべき点について他己分析してもらえば、言語化していくことができます。その際には、学校、部活動、サークルなどで苦楽を共にした人物や、日ごろから自分の悩みを打ち明けてきた人物、互いに尊敬でき、応援し合えると思える人物を選びましょう。お互いの良い面、悪い面も知っている上で、「もっとこうしたらいいのでは」という真剣なアドバイスをもらうことができるはずです。本音で語り合うことは、自分自身で短所を言語化していくことにもつながりますし、こうした友人との絆は、就活を進める際の勇気にもなるでしょう。

企業研究で「求められる力」と自分自身を比較してみる

短所は長所と表裏一体のため、ある領域では短所とされるものが、ほかの領域で長所とされるケースもよくあります。志望する企業を分析し、その会社で働く際に、どんな力が必要とされるのか、どんな社員なら活躍できるのかを知り、自分に足りない部分や克服すべき課題を探してみましょう。

「よくある短所」一覧もヒントにしてみよう

以下の「よくある短所」一覧を参考に、自分に重なる部分や、思い当たる出来事がないか考えてみるのもいいでしょう。その上で、短所を改善するために今までどんなことに取り組んできたのか、もしくは、今後、克服するためにどう向き合っていくのかを考えていきましょう。

考え込みがちな場合

「細かいことに執着する」「効率が悪い」「一人で抱え込む」「頑固」「融通が利かない」「固く考えてしまう」「疑り深い」

マイペースな場合

「周りが見えなくなる」「大ざっぱ」「行き当たりばったり」「話をよく聞いていない」

自我が強い場合

「他人に厳しい」「鈍感」「おせっかい」「負けず嫌い」「調子に乗る」「人を評価する」「目立ちたがり」「人の意見を聞かない」

自我に欠ける場合

「他人に合わせがち」「流されやすい」「遠慮がちになる」「常に気をつかう」「引っ込み思案」「臆病」「話し下手」「プレッシャーに弱い」「緊張しやすい」「繊細」

情報の整理や判断が苦手な場合

「分析力が足りない」「優柔不断」「決断に時間がかかる」「見切りをつけるのが遅い」「動き出しが遅い」「単純」「だまされやすい」「そそっかしい」「アクシデントに弱い」「柔軟性がない」

継続性・計画性がない場合

「短気」「せっかち」「先走ってしまう」「飽き性」「長続きしない」「追い込み型」

短所の書き方、面接での答え方のポイント

自分の短所を書き出した後は、一覧表を作成してみましょう。そして、いくつもある短所の中から、志望する企業で働く際、自分にとって最も克服すべき課題と思えるものを一つ選ぶといいでしょう。そこに対し、どんな努力をしているかを伝えることで、客観性を持って自分の弱さに向き合える人物であることをアピールできます。また、企業研究をしっかりと行っていることも伝わるため、志望度の高さもアピールできるでしょう。

エントリーシート(ES)では、1行程度の文章で克服方法の補足説明を

エントリーシート(ES)には、自分の短所を簡潔に書いた上で、現在、取り組んでいる克服方法について1行程度の文章で補足説明をしましょう。また、信頼できる友人や社会人の先輩、キャリアセンターの担当者などに内容をチェックしてもらうのもいいでしょう。社会人として問題視される短所や、その企業にマッチしていないと思われるような短所を書いていないかを、客観的に判断してもらうことができます。書き込む内容の再考や、自分にマッチしている企業かどうかを見極める材料として役立てましょう。

面接では、短所の克服について「ビフォー・アフター」で語る

面接では、「短所によって、どんな失敗体験をしたのか」「短所を自覚した後、克服に向かうためにどんな努力をしたのか」「その結果、自分や周囲にどんな変化があったのか」という流れで、短所克服のビフォー・アフターを伝えましょう。企業が知りたいのは、短所を克服できたかどうかではなく、「短所をどう受け止めて、どう克服していく人物なのか」であり、「入社後、壁を乗り越えていけるような成長の伸びしろがあるか」を見ているのです。現在、克服できていない短所でも、努力する中で変化した考え方などを話すことで、入社後に成長していく姿を想像してもらうことができるでしょう。

先輩の回答例文を参考に、自分の短所の伝え方を考えてみよう!

ここで、2人の内定者による回答例文を紹介します。ケース1の短所は、「人の意見を聞き入れられない点」、ケース2は「自分よりも、相手の意見を尊重してしまう点」で、真逆の短所を回答していますが、伝え方における本質的なポイントは同じといえるでしょう。回答例文を参考に、自分自身の短所を伝える際のヒントにしてみましょう。

ケース1:「人の意見を聞き入れられない点」を伝えた

食品メーカー(研究職)内定 

私の短所は、「人の意見を聞き入れられない点」です。父の教育で、「自分で決めたことを最後までやり抜きなさい」と言われて育った背景があり、自分の信念として、一度決めたことは覆さないように生きてきました。部活動で部長を任されたときも、自分で方針を決め、それをやり抜こうとしましたが、ある日、信頼できる仲間から「リーダーとして傲慢(ごうまん)だ」「ほかの人の意見も聞いてほしい」「変えた方がいいこともある」という指摘を受けました。自分の考えだけが正解ではないと痛感し、以降、リーダーとしての意思決定について、常に部員たちからフィードバックをもらうようにしました。多くの人の視点や考えを取り入れることができるようになり、その結果、みんなが納得できる結論を導くことができるようになりました。

ケース2:「自分よりも、相手の意見を尊重してしまう点」を伝えた

IT企業内定 

私の短所は、「自分よりも、相手の意見を尊重してしまう点」です。私はサークル活動で調整役に回ることが多く、メンバーからさまざまな意見を聞いて取りまとめることで、貢献しようと努めてきました。しかし、リーダー的な立場になったとき、自分で方針を示さなくてはならないのに、周囲の意見を尊重しようと思うあまり、考えがブレてしまうことがありました。この弱点を克服するために、尊敬できる友人に協力を仰ぎ、自分で決めた方針を何度もプレゼンし、アドバイスをもらうようにしています。自分では見えていない視点を把握し、ブラッシュアップしていくこの過程のおかげで、「自信を持ってメンバーに伝えられる内容とするためには、とことん考え抜くことが大事だ」と気づくことができました。

2つの回答例のポイントを知って、短所の伝え方に役立てよう

2つの回答例は、自分の“信念”や“生き方”にかかわる短所について言及しています。エピソードや背景を通じて、そもそもなぜそのような短所ができたのかまで説明できているため、本人の人柄がより伝わる内容となっています。

最も重要なポイントは、それらの短所を克服するための対策に「再現性」があることです。短所を克服する方法を学生が語る際には、「〇〇するように意識しています」「〇〇するように注意しています」など、精神論で終わってしまうケースが多くあります。しかし、短所によって何らかの問題が発生しているのは、精神論では解決できないからなのです。この2つのケースについては、「外部の人の力」や「ルールを作るなどの仕組み」を使っている点が共通しています。社会に出てさまざまな壁にぶつかっても、同じような方法で乗り越えていくことができるため、非常に再現性が高い対策といえますし、精神論ではなく、具体的な克服方法を見つけ、仕事の中で成長していける人物であることが伝わるのです。

また、ケース1では、「短所を乗り越えて、結果を出した経験」まで伝えることができており、ケース2では、「短所を克服していく過程で、自分自身がどう変化したのか」が伝わります。短所を克服している場合でも、その過程にある場合でも、ビフォー・アフターをしっかり伝えることで、成長の伸びしろを伝えることが大事なポイントとなるでしょう。

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熊谷智宏さんのプロフィール写真 撮影/hikitachisato

【監修】我究館 館長 熊谷智宏さん

我究館館長。株式会社リクルートに勤務した後、2009年、株式会社ジャパンビジネスラボに参画。現在までに3000人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職・転職、キャリアチェンジのサポートを行ってきた。難関企業への就・転職の成功だけなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。著書に、就活全般の考え方や面接対策などを指南する『絶対内定2021』(ダイヤモンド社)シリーズがある。

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記事作成日:2020年1月31日 記事更新日:2022年1月27日
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