都市銀行・信託銀行業界とは?仕事内容や主な企業、最新の業界動向を解説

都市銀行は大都市に本店を置き、全国規模でサービスを提供している銀行のことです。一方、信託銀行は通常の銀行業務に加え、財産管理・運用、不動産、証券代行などの信託業務も行うところが特徴といえます。都市銀行・信託銀行の特徴や仕事内容、業界の動向についてまとめました。

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都市銀行・信託銀行とは?

都市銀行とは、大都市に本店を置き、全国規模でサービスを提供している銀行のことです。このうち、規模が極めて大きい銀行は「メガバンク」と呼ばれており、全国に展開した支店網や資金力を生かして幅広い金融サービスを提供しています。

一方、信託銀行は預金や融資といった銀行業務に加えて、顧客から託された資産の運用や、遺言・相続に関するサポートも担っています。お金を預かるだけでなく、顧客の人生や企業活動に長く伴走するところが特徴です。

金融庁の預金取扱等金融機関一覧の分類では、以下の4行が都市銀行に該当します。

  • 株式会社みずほ銀行
  • 株式会社三井住友銀行
  • 株式会社三菱UFJ銀行
  • 株式会社りそな銀行

信託銀行の一例としては、以下が挙げられます。

  • 三菱UFJ信託銀行株式会社
  • 野村信託銀行株式会社
  • みずほ信託銀行株式会社
  • SBI新生信託銀行株式会社

地方銀行・信用金庫・ネット銀行との違い

銀行業界には都市銀行や信託銀行のほかに、地方銀行・信用金庫・ネット銀行などがあります。それぞれの違いを簡単にまとめました。

■地方銀行

特定の地域を中心に営業活動を行う、地域密着型の銀行です。地元の街づくりや地域の中小企業への融資など、金融面から地域を支援しているところが特徴と言えます。

■信用金庫

中小企業や個人事業主を支える金融機関です。銀行と同様の業務を担いますが、企業としての利益よりも地域・会員の相互扶助を重視しています。

■ネット銀行

インターネット専業の銀行です。実店舗をほとんど持たず、口座開設や振り込み、残高確認などをオンライン上で行うことができます。近年は都市銀行や信託銀行もネットバンキングの導入に力を入れているため、銀行の種類を問わず、顧客接点のオンライン化が進んでいます。

都市銀行・信託銀行業界の主な業務

都市銀行や信託銀行は、個人・法人の資金管理を支えることに加えて、資産運用や相続サポート、企業の経営支援などにもかかわっています。都市銀行・信託銀行の主な業務について紹介します。

都市銀行の主な業務

都市銀行の主な業務は、銀行の三大業務として知られる「預金業務」「融資業務」「為替業務」です。

■預金業務…個人や企業からお金を預かり、預金額に応じて利子を支払います。

■融資業務…まとまった資金を必要としている企業や個人にお金を貸し出し、利子を受け取ります。

■為替業務…送金や振り込み、口座振替など、日常生活や企業活動に欠かせない決済サービスを提供します。

都市銀行は上記の三大業務に加えて、クライアント企業の経営支援も担っています。企業の資金調達を支えたり、海外展開に必要な送金や決済を支援したり、グループ会社と連携しながらM&Aや事業承継にかかわったりなど、サポートする領域はさまざまです。都市銀行は海外の金融網も有していることから、海外送金の手数料なども大きな収益源となっています。

信託銀行の主な業務

信託銀行は、銀行の三大業務である「預金業務」「融資業務」「為替業務」に加えて、信託業務や併営業務も担っています。

■信託業務

個人や法人から預けてもらった資産を管理・運用する業務です。顧客の資産をただ預かるのではなく、将来に向けてどう活用し、守るかを考えます。資産には株式や不動産、債券など、さまざまな財産や権利が含まれます。

■併営業務

個人や法人の財産の管理・処分をサポートする業務です。具体的には不動産売買の仲介や遺言の整理・執行に伴走します。法律などの専門知識は入社後に学ぶことが一般的ですが、学生時代から関心を持っておくと仕事の理解につながりやすいでしょう。

都市銀行・信託銀行の主な職種

都市銀行・信託銀行には、個人の資産形成の支援や、企業経営のサポート、デジタルサービスの企画といったさまざまな仕事があります。都市銀行・信託銀行の主な仕事内容をまとめました。

窓口スタッフ

来店したお客さまの口座開設や各種手続きをサポートするポジションです。銀行の顔としてお客さまと接する立場ですが、昨今はネットバンキングの導入により、実店舗の窓口を縮小する銀行も増えています。

個人営業・個人向けお客さまアドバイザー

個人の資産運用や相続・財産管理などをサポートする職種です。都市銀行では幅広い金融サービスを組み合わせた提案を行い、信託銀行では相続や遺言作成などの相談を受けることもあります。お客さまの将来設計を踏まえ、長期的に取引していただける関係を築くことが大切です。

法人営業

クライアント企業に対して、融資や資金管理、決済、海外取引などに関する提案を行います。都市銀行では、大手を中心とする企業の事業拡大や海外展開を支えることが多いです。

法人向けコンサルタント

企業の経営課題に対して、融資にとどまらない解決策を提案する職種です。事業承継やM&A、不動産活用など、企業が抱える課題に応じたサポートを担います。企業の成長や再編に深くかかわるため、金融知識に加えて、経営者の考えを汲み取り、課題を整理する力が求められます。

法人向け専門部門

法人営業の担当者と連携し、企業の課題に応じた専門的な情報提供や提案を行うポジションです。法人営業だけでは対応が難しいテーマについて、専門知識を生かして営業担当を支えるのが主な役割であり、M&Aに関する専門チームや、海外展開を支援するチームなどが設けられています。

エンジニア

銀行のスマホアプリやネットバンキング、決済サービスなどの開発・改善にかかわる職種です。店舗に行かなくても手続きができる仕組みや、行内業務を効率化するシステムを整えます。

都市銀行・信託銀行業界の現状と今後の動向

銀行業界の事業環境は、ここ数年で大きく変わりつつあります。大きなきっかけの一つが、2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除したことです。金利の上昇に伴って銀行が得られる利息も増えたことから、2026年にはメガバンク各社で過去最高益が報じられています。

信託銀行についても、今後のニーズの拡大が見込まれています。もともと信託銀行の主な顧客層は個人の富裕層や法人でしたが、少子高齢化が進む中で、相続や財産管理に関する相談はより身近なテーマになりました。個人信託への関心が高まる一方で、信託会社として参入する企業も増えており、各社はオンラインシステムの導入や相談しやすいサービスを通じて、利便性を高めようとしています。

一方で、都市銀行・信託銀行業界は次のような課題も抱えています。

人口減少による国内市場の伸び悩み

国内人口の減少により、今後は個人の預金やローン、企業の資金需要が伸びにくくなる可能性があります。そのため各銀行は国内だけに依存するのではなく、海外展開を目指す企業を支援したり、海外の金融ニーズを取り込んだりすることで、収益機会を広げようとしています。

サイバーセキュリティの向上

各銀行ではネットバンキングやスマホアプリの導入と併せて、不正ログインや不正送金などのリスクにも備えています。各金融機関では、口座への不正なログインを検知する仕組みの導入や、利用者に向けた注意喚起など、セキュリティ強化に取り組んでいます。

都市銀行・信託銀行業界の最新トピックス

最後に、就活生が知っておきたい、都市銀行・信託銀行業界のトピックスをご紹介します。

三大業務以外の収益源づくり

都市銀行では、預金・融資・為替という銀行の三大業務に加えて、企業の経営を支えるサービスにも力を入れています。長く続いた低金利の情勢では、貸し出しによる利息だけでは収益を伸ばしにくく、手数料収入やコンサルティング型の支援といった多様な収益源を確保する必要があったためです。

近年はマイナス金利が解除され、銀行の収益環境は変わりつつあります。ただ、企業との関係を深めるためには、経営課題に寄り添う支援も引き続き重要です。後継者不足に悩む企業には事業承継などの選択肢を示し、海外進出を考える企業には現地情報や取引先探しを支援するなど、状況に応じたサポートが行われています。

店舗縮小に伴う人材ニーズの変化

ネットバンキングの導入に伴い、窓口業務をはじめとする店舗での接客業務は減っていく可能性があります。ただし、銀行全体の仕事がなくなるわけではありません。中小企業向けサービスや海外ビジネスを広げる動きもあるほか、デジタルサービスに注力する銀行も増えています。今後は、店舗での手続き対応だけでなく、新しい領域を担う人材も求められていくでしょう。

個人向け金融サービスの拡充

昨今、多くの銀行がネットバンキングやスマホアプリの提供に力を入れていますが、これは実店舗の縮小を図るためだけではありません。口座残高の管理アプリや資産運用アプリといった便利なサービスを呼び水に、クレジットカード利用や投資といった多様な自社サービスを使ってもらい、収益につなげていく狙いがあるためです。今後も個人向けの金融サービスの拡充を通して、収益を最大化する動きが続いていくことが予想されます。

まとめ

都市銀行・信託銀行業界の特徴や主な職種、業界の動向などについてご紹介しました。金利上昇や信託ニーズの広がりなどを受けて、銀行は従来の三大業務にとどまらないサービスの多様化を進めています。都市銀行・信託銀行業界に関するインターンシップやオープン・カンパニーなどのキャリア形成支援プログラムに興味がある方は、下記ページもぜひチェックしてみてください。

吉田賢哉さんプロフィール写真

監修

吉田賢哉(よしだ・けんや)さん

株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 上席主任研究員/シニアマネジャー
東京工業大学(現:東京科学大学)大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。