伝わる自己PRをエントリーシートに書くためのポイント【例文付き】

エントリーシート(ES)を作成する際に「自己PRに何を書けばいいのかわからない」「書けることがない」と思う学生は少なくないでしょう。しかし、自己PRで強みをアピールし、エントリーシートの質を高めることは、その後の面接選考においても非常に重要です。就職・転職支援スクール、我究館にてコーチを務める立川雄太さんに伝わる自己PRを書くためのポイントを聞きました。

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エントリーシートの自己PRで採用担当者は何を見ている?

企業の採用担当者は、多ければ一日に数百枚のエントリーシートを確認しています。そのため、エントリーシートでは設問の意図を的確に捉えた上で「自分がどのような人物であるのか」を簡潔にアピールすることが大事です。

以降で、企業が自己PRを通じて、どのようなポイントを見ているのかを解説していきます。

企業が求める強みを持っているのか

企業は求める人材像にマッチする強みを持っているかを見ています。採用においては「その人物を採用することが自社にとって有益であるか」が大きな判断ポイントとなります。
そのため「入社後、どのように強みを生かして活躍・貢献するのか」をイメージできることもポイントとなります。

とはいえ、学生はまだ社会人として仕事をした経験はないため、活躍・貢献の可能性があるかどうかを見ていると言えるでしょう。強みのバックグラウンドや考え方なども含めて、活躍・貢献できるだけのポテンシャルがあることを伝えることが大事です。

企業にマッチする人柄なのか

社風やカルチャーにマッチする人材であることもポイントとなります。入社後、職場や企業風土になじめるかどうかだけでなく、自社で活躍している人材の特徴と類似している要素を持っているかを見ているケースは多くあります。また、強みのバックグラウンドとして「スポーツに打ち込んでいた」など、自社の社員との共通項がある場合も評価につながりやすいでしょう。

要約力や伝える力などの基礎的な能力があるか

エントリーシートで「自分はこのような強みを持っている」と簡潔に伝えることができていない場合、どのような人物なのかわかりにくいため、選考を通過する要素を持っているのかどうかも判断しにくいと言えます。また、仕事においてはコミュニケーション能力が必要なので「相手に伝えることを意識しているか」という点も見られているでしょう。

エントリーシートに書いた自己PRは面接でも重要な鍵になる

エントリーシートに書いた内容は、面接を進める際のベースとなります。エントリーシートは企業とのファーストコンタクトであり、その第一印象は面接の場にも引き継がれるため、採用選考における重要な鍵となることを理解しておきましょう。

また、面接ではエントリーシートに書いた内容を深掘りされます。企業に合わせた内容ではなく、自分が自信を持って伝えられる強みや背景を書くことが大事です。面接の時間は限られているので、それを有効に使うためにも、自分として聞いてほしいこと、アピールしたいことを意識して書くとよいでしょう。

自己PRの例文

自己PRの例文を紹介します。2パターンの強みをアピールする自己PRについて、文字数制限が400文字と200文字の場合の例文を紹介するので、文字数も含めて参考にしてみましょう。

強み:プラスアルファの気配りができる

【400文字】

私は「お客さま第一」をモットーに、目の前の人が求めていることに対し、プラスアルファの気配りができる人間です。
高校時代から現在まで、ファストフード店のアルバイトを続けてきました。その中で、お客さまに目を配る意識が芽生えたため、頼まれていなくても椅子やテーブルを整理したり、子どもにおもちゃをプレゼントするサービスをしたり、トイレ清掃に力を入れたり、お客さまが快適に過ごせるように工夫を重ねてきました。
店長からも信頼してもらうことができ、大学1年生になってからはバイトリーダーとして新人の指導を任されるようになりました。また、現在までに、お客さまへの対応や清掃を徹底する改善策を自ら提案し、店舗スタッフ全体の取り組みとして実施することができています。
学生時代に身につけた気配りの力を生かして、社会人になってからはより多くのお客さまのために、プラスアルファの提案をしていきたいです。

【200文字】

「お客さま第一」をモットーに、目の前の人が求めていることに対し、プラスアルファの気配りができる人間です。
ファストフード店のアルバイトで、自主的に椅子を整理したり、子どもにおもちゃをプレゼントしたり、お客さまが快適に過ごすための工夫をし、現在はバイトリーダーとしてお客さま対応や清掃などの改善策を提案・実施しています。社会人になったらより多くのお客さまのためにプラスアルファの提案をしていきたいです。

自己PRのアルバイトのエピソードのイメージ

強み:一人も取り残さない組織を作ることができる

【400文字】

私はどのようなタイプの人とも良好な人間関係を築き、リーダーとして「一人も取り残さない」組織を作ることができる人間です。
中学時代にふとしたきっかけで自分が仲間外れにされた経験があり、取り残されることのつらさや寂しさを痛感しました。そのとき、勇気を出して声を掛けてくれた友人がいたことで、孤独にならずに済み、心から感謝しました。また、寄り添ってくれたことで自分自身に欠けていることを理解でき、仲間外れにされた友人たちと再び仲良くなることができました。どのようなタイプの人であっても、寄り添ってくれる人がいれば変わることができると感じ、以来、自らリーダーシップを発揮し、グループ内で仲間外れにされている人や、ついていけていない人がいたら、その人も巻き込んでみんなでハッピーな人間関係を作ることを心がけてきました。社会人になったらリーダーとして周囲を巻き込み、一人も取り残さない組織を作っていきたいです。

【200文字】

どのような人とも良好な人間関係を築き、「一人も取り残さない」組織を作ることができる人間です。
中学時代に仲間外れにされた経験がありましたが、寄り添ってくれた友人のおかげで、ほかの友人たちとも再び仲良くなれました。以来、グループ内で疎外感を味わっている人がいたら、みんなを巻き込んでハッピーな人間関係を作る努力をしてきました。社会人になったら、周囲を巻き込み、一人も取り残さない組織を作っていきたいです。

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エントリーシートに自己PRを書く時のポイント

自己PRの構成

エントリーシートに自己PRを書く際には、以下の構成を参考にするとよいでしょう。

  1. 結論(自分の強みを1行で端的に表す)
  2. 背景(強みを持った背景や原体験のエピソードを書く)
  3. 根拠(強みの根拠となる経験のエピソードを書く)
  4. 未来(入社後、志望企業でその強みをどう生かせるかを書く)

自己PRの説得力を増すために意識したいポイントを、それぞれ紹介します。

「結論」では、強みを具体的に表現する

冒頭で伝える強みは、いわば自分のキャッチコピーのようなものです。一般的な表現や抽象的な表現は、ほかの学生との違いが伝わりにくいため、自分らしく強みを表現することを意識しましょう。例えば「主体性」を強みとする場合は「その主体性を具体的に掘り下げるとどういうことなのか」を考えてみれば、より自分らしい表現ができます。一度、具体化した後で、端的にまとめることで自分の個性が伝わる表現にできるでしょう。

「背景」では、強みを身につけたストーリーを伝える

背景となるエピソードでは、その強みを身につけてきたストーリーを伝えましょう。より想像しやすくすることで、説得力を持たせることができます。「いつからその強みができたのか」「その強みを生かして成果を出せるようになったのはいつなのか」をまず考えてみるとよいでしょう。その時期を思い出すことによって「背景にどのような出来事があったのか」「どのように考え方が変化したのか」「いつからその強みを発揮するようになったのか」が見えてきます。それらを一つのストーリーにまとめるとよいでしょう。

「根拠」は事実ベースで書く

説得力を持たせるためには、客観性が大事です。根拠となるエピソードについては、事実ベースで具体的に「何をしたのか」「それによってどのような結果になったのか」を書きましょう。自分が取り組んだことについて「いろいろなことに挑戦した」と書いた場合、何をしたのかが伝わりません。挑戦したことについて、より具体的な事実を書くことが大事です。

また、結果について「こんなことに挑戦できたことがうれしかった」と書いた場合は、自分の気持ちを伝えているだけになってしまいます。客観的な成果につながっていない場合でも、事実として「その結果、どのように姿勢が変化し、取り組み方が変わったのか」を伝えればアピールにつながるでしょう。

説得力のある自己PRを書くために意識したいポイント

自己PRの説得力をより高めるために、意識したいポイントを紹介します。

強みとエピソードに一貫性を持たせる

強みの根拠となるものがエピソードなので、一貫性を持たせることが大事です。よくある失敗例としては、たくさんのエピソードを盛り込もうとした結果、強みと合致しないことを書いてしまうケースが挙げられます。論点がずれているエピソードを書いても、何をアピールしたいのかが伝わらず、説得力がなくなってしまいます。たくさんのエピソードを書くことより、強みと一貫性のあるエピソードを探すことを意識しましょう。

「未来」を書く際には、自分の考えを伝える

そもそも学生は、社会人としての経験がないので、入社後の活躍・貢献する未来を書くことは難しいと言えます。採用担当者は、あくまで今後の可能性を見ているので、背伸びする必要はありません。未来に対し「このような意識を持って取り組んでいきたい」「こんなことで力を発揮していきたい」という自分の考えを伝えることで、今後の姿をイメージしてもらうとよいでしょう。

話し言葉ではなく、きちんとした文章を意識する

社会人になるための第一歩として、ビジネスの場にふさわしいきちんとした文章にすることも大事です。文章を作成する際には、話し言葉ではなく、きちんとした文章を意識しましょう。誤字・脱字などにも注意しましょう。

プロが教えるエントリーシート書き方のコツと例文【企業のチェック観点も解説】

自己PRのよくあるQ&A

自己PRについての疑問を解消するために、よくあるQ&Aを紹介します。

指定の文字数をオーバーしてもよい?

指定の文字数にきちんと従い、オーバーをしないことが大事です。指定の文字数が「200文字以内」など少ない場合は、再度見直して削ってもいい要素を考えるとよいでしょう。 自己PRでは冒頭で伝える強みとエピソードが重要なので、結びの「未来=将来どうしていきたいか」という文を削除するのも一つの方法です。

指定の文字数が多くて埋められない…。そのまま提出してもよい?

あまりに文字数が少ないと志望度が低いと判断される可能性があります。アピールできることを最大限に書く方が自分のためになるので、指定された文字数の8割以上は書く意識を持つことが大事です。文字数が埋められないケースでは、背景・根拠となるエピソードをきちんと説明できていない可能性があります。エピソードに書くことを増やしたり、背景のストーリーをより具体化してみたりするとよいでしょう。

自己PRに書けることがない…どうすれば見つかる?

マインドマップを自己分析に活用することで、自分では意識していなかった強みを発見できるでしょう。また、コロナ禍の影響で活動自粛の時期が長引いていたために「学生時代の経験で書けることがない」と思っている場合は、中学・高校時代のエピソードを探しましょう。「これからその強みを生かして、こんなふうに成長していきたい」と結ぶことで等身大の自分を伝えることができます。

関連記事:マインドマップで自己分析をする方法|書き方例、企業探し・ES準備への活用法も紹介

子どものころのエピソードだけでもいい?

人は日々成長しているため、子どものころと現在では、自分の強みが変化している可能性があります。子どものころのエピソードしか見つかっていない場合は、直近でも同じように力を発揮したことを探してみるとよいでしょう。

強みは一つじゃないとダメ?

複数の強みを書こうとすれば、論点がズレてしまうことがあります。また、エピソードなどを十分に書ききれず、説得力がなくなる可能性もあるでしょう。エントリーシートでは相手に伝わりやすいよう、一つに絞ることをオススメします。また、強く自信を持っている強みの中から応募企業に合う強みを選んでもよいでしょう。

自己PRとガクチカは何が違うの?

「学生時代に力を入れたこと」では、頑張ったことを通じてどのような能力を持っているのかを見ているので、事実ベースで結果・成果をしっかりと書くことがポイントになります。一方、自己PRは「自分はこういう人間です」とアピールするためのものなので、強み・価値観を伝えることが大事です。

 

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立川さんプロフィール画像

【監修】我究館 就活コーチ 立川雄太さん

オーストラリアへの留学・学習塾講師やアパレル販売店員など9つのアルバイトを掛け持ちした後「人生の転機にポジティブな影響を与えられる存在になりたい」と決意。2019年にエン・ジャパン(株)へ新卒入社。人材紹介事業部の営業担当として関西の大手から中小まで300社の担当企業の採用支援に携わる。落ち込んだIT領域の立て直しや積極的な面接対策等の求職者対応を通じて確固たる地位を築く。3年の勤務を通じ、目の前の人の「やりたい」を実現できる仕事に就きたいと考えて上京。2022年、我究館・就学コーチに就任し、300名以上の就活生の支援を実施。

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記事作成日:2023年3月29日
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