【プロに聞く】就活の不安・ストレス解消法

就活を始めたけれどうまくいかなくて不安、スケジュールが立て込んで疲れてきた、緊張の連続でストレスがたまってきた…という人も多いことでしょう。そんなあなたのために、人事として新卒採用を20年担当してきた採用のプロ・曽和利光さんが気持ちの切り替え方を伝授。不安やストレスを軽減し、就活を進めるポイントがつかめますよ。

(1) 就活の不安・ストレスの原因

そもそも就活の不安やストレスを感じる原因はどんなところにあるのでしょうか?就活を経験した社会人1、2年目の先輩222名に、「就活中、どんなときに不安やストレスを感じたか」を聞いてみました。

■就活中、どんなときに不安やストレスを感じましたか?(n=222、複数回答)

「就活中、どんなときに不安やストレスを感じたか」のアンケート結果グラフ

最も多かったのは「なかなか内定が出ず、終わりが見えないと感じたとき」(約44%)。次いで「面接などの緊張する場面が続いて、疲れが出ていたとき」(約37%)、「第1志望の企業に落ちたとき」(約30%)、「選考に落ち続けて、自分を否定されているように感じたとき」(約25%)という結果になりました。

(2) 就活で不安・ストレスを感じたときの解消法

アンケート結果から就活で感じる不安・ストレスの原因が見えてきました。そこで、心理学にも詳しい曽和さんに、就活で不安・ストレスを感じたときのオススメの解消法を教えてもらいました。

1.内定の取りやすい業界にも目を向け、「どこかの内定をもらう」

先輩たちが不安・ストレスを感じた原因として一番多かった「なかなか内定が出ず、終わりが見えないと感じたとき」。こういう状態のときに一番の癒やしになるのは、「どこかの内定をもらう」こと。「認められた」ことで安心でき、心が軽くなります。

求人倍率の高い業界の企業を探してみる

そのために、求人倍率が高い業界の中で、自分に合った企業を探してみるのも一つの案です。人気があったり、採用人数が少なかったりする難易度の高い企業ばかりではなく、内定を取りやすいところにも目を向けてみましょう。

求人倍率とは、「求人数」を「仕事をしたい人の数」で割ったものです。世の中にどれくらいの求人(仕事)があって、どれくらい応募(仕事をしたい人)があるかを表しています。つまり、1倍を超えれば、企業の求人数が仕事をしたい人の数を上回っていることになるのです。

求人倍率は、業界ごとに数字が大きく異なります。業界によっては1倍に満たない、買い手市場もあります。各業界の倍率を知らずにいると、選考に通らない場合もあるんです。求人倍率は、以下のリクルートワークス研究所のデータを確認してみましょう。
http://www.works-i.com/surveys/graduate.html

内定をもらったら自分の評価を聞いてみる

また、内定をもらったら「私のどこを評価してくださったのですか?」と聞いてみるのもオススメです。そうすれば、あなたの強み、魅力がわかりますし、褒めてもらえたことでさらに気持ちがアガるはず。結果、自分に合う企業に出会えたらそのまま入社を決めてもいいし、得られた評価を糧に新たな企業に挑戦するのもいいと思います。

2.就活を一時的にやめる「就活デトックス」をしてみる

精神的、肉体的に疲れがたまってくると、就活をうまく進めることができません。無理をして体を壊したら、元も子もありませんよね。

いよいよ疲れが限界に達したときにオススメしたいのは、「就活デトックス」。数日~1、2週間ほど思い切って就活をやめてみるのです。
旅に出るのもいいし、親元から離れて暮らしているのであれば実家に帰るのもいい。自分が「心が休まる」と感じる場所に行ってみて、リフレッシュしましょう。その間は、就活サイトや就活SNSを見るのは控えましょう。友人の就活話も一切聞かない方が効果的だと思いますよ。

「就活デトックス」をする際は時期に注意

ただし、デトックスをする際は時期に注意してください。多くの企業の選考活動が開始する6月(2018年現在)に休んでしまうと、選考に申し込めなかったり、求人が少なくなってしまったりすることがありますので、採用の時期も考慮して、デトックスするようにしましょう。

「就活デトックス」が難しい場合

一時的にでも就活をやめるのが難しければ、就活に関する小説や漫画、ドラマなどを見るのもオススメ。現実世界は「どこに受かった」「どこの内定が出た」などの情報にあふれていて落ち込むこともあるかもしれませんが、フィクションの世界は意外と就活のリアルが描かれているので共感性が高く、「大変なのは自分だけじゃない」と思えるでしょう。

面接で話している女子就活生

3.無理をせず、とことんまで落ち込む

「第1志望の企業に落ちたとき」にオススメなのがこの解消法。
ずっと憧れていて、会社のことを調べつくし、思いを持って臨んだのに落ちてしまった…本当につらい状況にあると思います。
そんなときは、無理をせず、とことんまで落ち込んだ方がいいと思います。

精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスは、喪失から自分を取り戻していくまでの「悲しみの5段階」を定義しています。

第1段階は「否認」。落ちたのは何かの間違いだ!と思うこと。
第2段階は「怒り」。どうして落ちたんだ!と腹を立てること。
第3段階は「取引」。何とかならないものか、もう一度受ける方法はないかと考えること。

そして、やはりどうしてもかなわないとわかると、第4段階の「絶望」の境地になり、絶望し切った先に第5段階の「受容」、つまり「こんなことをしていちゃダメだ!」という気持ちにようやく至れる…といいます。
この「悲しみの5段階」にのっとり、「第1志望に落ちた」という事実から逃げず、とことんまで悲しめば、早く気持ちを切り替えられそうです。

「入社しなくてよかった!」と思いこむ方法も

まったく逆のアプローチもあります。
心理学に「すっぱいブドウの法則」というものがあります。これはイソップ童話の『キツネとブドウ」を心理学者のフロイトが引用したもの。

童話の内容は、キツネがおいしそうなブドウの木を見つけ、食べようと跳び上がるのですが、高いところにあるため手が届かない。悔しさのあまり、「どうせこのブドウはすっぱいに違いない。誰が食べてやるものか!」と捨てぜりふを吐いて去っていく…というもの。

「すっぱいブドウの法則」とは、このキツネのように、手に入れたいのに努力しても届かないとき、自分に都合のいい理屈で欲求と現実の溝を埋めようとする心理のことを指します。心理的自己防御本能の一つですが、この法則に倣って、行きたかった企業の悪い部分ばかりを思い浮かべて「あー、あんな会社、入らなくてよかった!」「危うく入社するところだった、危なかった!」などと口に出せば、心が軽くなるかもしれません。

とことんまで落ち込むか、入社しなくてよかった!と回避するか。自分に合った方法を試してみてください。

「就活デトックス」をする女子就活生

4.選考に落ちても「自分を否定されている」と捉えず、「伝え方」の見直しをする

「選考に落ち続けて、自分を否定されているように感じたとき」に不安やストレスを感じる人も多いようですが、選考に「落ち続けて」ということは、おそらく選考の早い段階で落ち続けているということなのでしょう。ならば「自分を否定されている」と感じる必要はありません。初期選考で落ちるのは応募者自身の問題ではなく、「伝え方」の問題である可能性が高いからです。

特に大手企業の場合、何百人、何千人もの応募があるため、どんどん絞っていかないと選考が進みません。エントリーシート(ES)を見て、「このESではよくわからないな」と思えばどんどん落とす可能性が高いです。応募者が比較的少ない中小企業ならば、応募者のことがあまりわからなくても1次面接に呼び、質問をして理解してくれようとしますが、大手企業にはそんな時間的余裕がないことが多いです。

抽象的な言葉は避け、具体的に伝える工夫を

わかりにくい要因として多いのが、抽象的な言葉ばかりを並べた表現をしていること。裏付けとなる事実やエピソードが記されていないのに「好奇心の強さでは誰にも負けません!」なんて言われても本当かどうか判断ができないし、応募者の特徴がまったくつかめません。
多くの学生がやりがちな「抽象化・思いを伝える」はやめて、「具体化・事実を伝える」を徹底するだけでも、初期選考通過率はガラリと変わってくるはずです。

ネガティブ表現をポジティブに変換して自己肯定感を上げる

それでも「自分を否定された」という思いがぬぐえないならば、自己肯定感を自ら上げにいくのも一案。紙に自分の特徴を書き出してみて、ネガティブに思えるワードをすべてポジティブな表現に変換してみるのです。

「ストレスに弱い」は「周囲の変化に敏感」「感受性が豊か」に変えられますし、「性格が暗い」は「落ち着きがある」「穏やか」と言い換えられるでしょう。このようなポジティブな表現で自分を固めていくのは、自己肯定感を上げる効果的な方法。ぜひ試してみてください。

 

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【調査概要】
調査期間:2018年5月7日
調査サンプル:就活を経験した社会人1~2年目の222人
調査協力:株式会社ジャストシステム

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか? 人事のプロによる逆説のマネジメント』(星海社新書)など著書多数。

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記事作成日:2018年6月8日

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