教育業界は、学校教育や企業研修、生涯学習といった、さまざまな「学び」を幅広くカバーしている業界です。そんな教育業界の仕事内容や代表的な企業、業界の現状、今後の課題など、就活準備に役立つトピックスをまとめました。
教育業界とは

教育業界は、人々の幅広い「学び」をサポートしている業界です。受験勉強を支援する予備校や社会人向けの研修サービス、生涯学習を支える通信講座など、学習者のニーズに合わせたさまざまなカリキュラムを提供しています。
少子化や国内人口の減少の影響を受けやすい業界ですが、近年は学び直し(リスキリング)をはじめとする、新しい学習ニーズも生まれています。人生100年時代を見据えた多彩な学習需要に応えながら成長を続けていく業界といえるでしょう。
教育業界で働くやりがい
教育業界で働くやりがいは、さまざまな形で人の成長を支援できるところです。講師や教師としてじかに教えるだけでなく、学習に役立つ教材やプログラムを企画・運営する職種も多くあります。
また、子どもの教育格差をなくすための学習機会づくりや、社会人のキャリア形成を支えるサービスなど、社会的意義の高い仕事に携われる点も魅力です。近年では、AIを活用した個別最適化学習やオンラインスクール、デジタル教材など、新しい学びの形を生み出す取り組みも進んでいます。教育とテクノロジーを組み合わせた分野に挑戦ができるところも、近年の教育業界のやりがいといえるでしょう。
教育業界の主な事業内容と主な企業
教育業界では、学習者の年齢層や意欲に合わせた多様な学習サービスを展開しています。具体的な事業内容と主な企業をまとめました。
幼児教育
就学前の子どもの学習をサポートします。スイミングやピアノといった習い事を教えるクラスのほか、小学校受験をサポートする教室もあります。小学校でプログラミング教育が必修となったことを受けて、論理的に考える力やITに親しむ力を育てるロボット教室やプログラミング教室も登場しています。
学習塾
主に小・中・高校生を対象とした教育機関です。学校教育を補完しつつ、学力向上や受験準備のサポートを担います。大きく分けて「進学塾」と「補習塾」があり、「進学塾」は中学や高校への進学、「補習塾」は学校での授業の理解度が深まるようなサポートをするのが主な役目です。
昨今はオンラインスクールや個別指導塾、少人数指導塾なども増えており、子どもの学力やニーズに合わせた学習支援が進んでいます。
予備校
予備校は、大学受験に向けた専門的な指導を行う教育機関です。志望校ごとのカリキュラム設計や入試傾向分析など、体系的な受験対策を行う点が特徴といえます。
かつては大規模教室での一斉授業が主流でしたが、近年はオンラインによるライブ講義や録画配信など、予備校の立地にかかわらず人気講師の授業を受けられるようにしている予備校も多いです。また、学力指導に加え、学習計画や進路相談など、メンタル面も含めたトータルサポートに力を入れる企業も珍しくありません。
社会人教育
社会人の学習意欲に応じた、さまざまなコースを提供する教育サービスです。キャリアアップや語学力の強化、専門資格の取得、法人研修などを支援しています。
例えばキャリアアップを目指す層向けのカリキュラムには、マネジメント研修やロジカルシンキング講座などがあります。英会話スクールやオンライン英語講座といった語学系講座や、IT・AIに関するノウハウを学ぶリスキリング講座も人気です。
資格取得を目指すスクールも根強い人気があります。入門的な資格取得を目指す短期講座から、公認会計士や税理士などの難関資格を目指す専門学校など、多彩なキャリア形成を支えているところが特徴です。
また、法人研修の実施をサポートするサービスもあります。組織の課題に合わせたオーダーメードの研修の設計や、組織全体のスキルの底上げを目指したプログラムの提供などを担うケースも多いです。
その他の教育サービス
教育業界が提供しているサービスの中には、趣味系のプログラムや、幅広い年齢層向けの生涯学習などのカリキュラムも多くあります。料理・ネイル・アロマ・スポーツ・文化活動などが一例です。
教育業界の主な企業
少子化により学生向け市場が縮小する中、特定の年代や目的に特化したサービスだけでなく、幅広い学習ニーズに応えようとする動きが広がっています。一例として、複数の学習塾を展開して小・中・高校生向けに多様なラインナップを整える企業や、社会人のリスキリング、趣味・文化領域の学びといった新たな分野を取り込む企業が挙げられます。こうした取り組みによって、各年齢層に対応したサービス提供体制を構築し、顧客が年齢を重ねても継続的に自社サービスを利用するよう囲い込むことで、事業成長を図ろうとする動きが活発になっています。
幅広い教育サービスを展開している企業としては、以下が挙げられます。
- 株式会社学研ホールディングス
- ヒューマンホールディングス株式会社
- 株式会社ナガセ
- 株式会社スプリックス
- 株式会社早稲田アカデミー
上記のほかにも、年齢層やニーズにとらわれない多様な教育コンテンツを提供している企業は多く存在します。企業研究をする際は「自分自身がどのような学びを支えたいか」を考えた上で、事業内容や提供サービスをチェックしてみるとよいでしょう。
教育業界の主な職種
教育業界では、教室で指導に当たる仕事だけでなく、カリキュラムそのものを企画したり、教育サービスを広報としてPRしたりする仕事もあります。教育業界を支えている主な職種をまとめました。
講師・教員
生徒や受講者に、知識やノウハウを教えるポジションです。単に知識を伝えるだけでなく、どのように学べば理解が深まるのかを示し、学習習慣の形成や目標達成を後押しします。
学校の教員になるには基本的に教員免許が必要ですが、優れた知識を有する人に授与される「特別免許状」を持っているケースなど、一定の条件を満たせば教員免許なしで働ける場合もあります。
教材開発
学習塾や通信教育、企業研修、模試などで使用する教材を開発します。講師の問題執筆のための下調べなど、教材開発が円滑に進むようサポートすることも大切な役目です。
広報
自社の教育サービスをPRし、集客を狙います。特に社会人向けの教育サービスの場合は、自社教材の導入の提案を行うケースも多いです。そのほか、体験レッスンの開催や、広告チラシの配布、学校との連携促進なども行います。
教育業界の現状と今後の課題
近年の教育業界は、より幅広い年齢層の学習者に「いつでも、どこからでも学べる教育サービス」を届けるために、カリキュラムのIT化を進めながら市場全体の拡大を目指しています。
一方で、こういった「IT×教育」サービスの需要拡大を受けて、ITを強みとする異業種からの参入も増えています。今後は教育サービスの速やかなDX化や、趣味・教養分野まで領域を広げたサービス展開を行うことで、競争力をより高めていくことが求められるでしょう。
業界のそのほかの課題としては、以下が挙げられます。
課題1:少子化による市場縮小
少子化の影響により、学習塾や通信教育などの顧客層が減少しています。ただし、高校無償化制度の広がりによって通塾の余裕が生まれやすくなっていることや、難関校の受験ニーズは引き続き高いことから、限られた顧客をいかに獲得するかがより重要となっています。また、限られた顧客を相手にしながらも利益を上げていくために、ITやオンラインの活用などを通じ、従来より効率的にサービスを提供していくことも課題です。
課題2:「教える側のリスキリング」問題
教育の現場では、「教える側」にも常にアップデートが求められます。近年、学校教育でプログラミング教育や探究学習が必修化されたように、時代に合わせて教育内容そのものが変化していくためです。
こうした変化に向き合うには、教員や講師が学び続けられる環境が必要です。しかし、日々の業務と並行してスキルを磨くことは容易ではありません。教える側のリスキリングをどのように支えていくかは、教育業界にとって大きな課題といえます。
教育業界の最新トピックス
最後に、教育業界に関心がある学生が知っておきたいテーマを紹介します。
EdTech(エドテック)
EdTechは、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。IT技術を使って教育事業を推進していく仕組みやサービスのことで、eラーニングやオンライン授業、VRを使った疑似体験学習、生成AIを活用した教材作成などが有名です。インドやアメリカ、中国といった海外のEdTech市場も拡大しているため、海外でも通用するサービスの確立が急がれています。
フリースクール
フリースクールとは、民間団体が運営する教育機関です。何らかの理由で学校に通えない子どもたちの交流の場として設けられており、異年齢のコミュニケーションはもちろん、学校のカリキュラムに沿った学習サポートを受けられる場として注目されています。在学中の学校の方針によっては、フリースクールに通うことで本来の在籍校の出席扱いになることもあります。
部活動の地域移行
部活動の地域移行とは、これまで学校単位で行われてきた部活動を、地域クラブ活動に移行させようという試みです。教職員の負担の重さや少子化を受けて、休日の運動部の活動を地域で担う取り組みがスタートしています。実際に学校の部活動を支援しているスポーツスクールも出てきており、新たな学習サービスの一環として、今後の動向が注目されています。
終わりに
教育業界は進学やビジネスだけでなく、より幅広い学びの機会を支える業界へと変化しつつあります。業界研究の際は各社が提供しているカリキュラムの内容にも目を通し、「どのような学びを支えようとしている企業なのか」を、自分なりに分析してみるのもよいでしょう。
教育業界に関するインターンシップやオープン・カンパニーに興味がある方は、下記ページもぜひチェックしてみてください。
東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。
