レジャー・アミューズメント・パチンコ業界は、テーマパークや遊園地、動物園や水族館、ゲームセンター、カラオケ、パチンコホールなどの運営を通じて娯楽を提供している。
主要な来場者は周辺住民が圧倒的で、滞在期間は1~2日という場合が多いテーマパークは「都市型テーマパーク」と呼ばれる。
一方で「ディスティネーション型テーマパーク」と呼ばれる、来場者が長期滞在するタイプが注目され始めている。 ディスティネーションとは「目的地」の意味。そこへの来場が旅行の目的となるようなテーマパークとなるのが狙いだ。 すでに海外ではこの種の大規模テーマパークが生まれている。 この形態は、複数のテーマパークやレジャー施設、ホテルなどを1カ所に集める必要があるが、日本でもこうしたテーマパークが出現する可能性もあるだろう。
パチンコ業界では、立地条件が売り上げを大きく左右するため、立地条件の良いエリアの用地取得が目立つ。 またカジノ運営に関心を寄せる企業も少なくない。カジノ法案関連のニュースについては、注目しておきたい。
遊園地・テーマパークの業績は好調。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、2010年における「遊園地・テーマパーク」の売上額は4626億円。 東日本大震災によって一時的に売り上げは減少したが、その後は年々順調に伸び、2015年には6560億円にまで増えた。 好況の理由は、業界トップ企業が順調に売り上げを伸ばしているためだ。 大規模テーマパークは魅力的なイベントやアトラクションを次々に導入することで、ここ数年、入場者数を増やし続けている。
外国人対応も重要なテーマとなっている。 訪日外国人は年々増加しており、多くのテーマパーク・レジャー施設は、需要の多い英語や中国語による案内の追加や、外国語対応ができるスタッフの増員などに積極的だ。
言語の対応に加えて注目されているのは「訪日リピーター」向けの施策である。 一般的に、訪日外国人は初めて訪れた際に買い物や著名な観光名所の訪問を済ませ、2度目以降に「日本ならではの体験・サービス」を期待する傾向が強い。 そこで、来日2度目以降の訪日リピーターをターゲットに、花見や雪、温泉、祭りなどの日本の四季や歴史・伝統文化を楽しめるイベントやアトラクションなどで彼らのニーズに応える取り組みを進めている。 日本特有の果物を産地で収穫して味わう、いわゆる「果物狩り」や、海外ファンも多い日本のアニメ・漫画に関連したイベント・サービスなども人気を集めている。
一方、パチンコホールやボウリング場などの売上額は、やや伸び悩んでいる状態。 各企業は来客数を伸ばすためにさまざまな取り組みを行っている。 人気のアニメ作品やアイドルとコラボレーションしたパチンコ台の開発は、代表的な取り組み例の一つ。 また、従来はパチンコ1玉4円で営業する店舗がほとんどだったが、現在では1玉1円など低価格で遊べるパチンコ台を用意し、来店客や競技人口の増加につなげようとするところもある。 さらに、社員の接客教育に力を入れる、社員の離職率低下のために福利厚生を充実させるなどの動きも活発だ。
レジャー・アミューズメント業界では、訪日外国人旅行者の急激な増加を受けて、言語や接客などのグローバル対応の必要性が高まりそうだ。 またパチンコ業界では、カジノ解禁法案に注目が集まっている。
日本政府観光局(JNTO:Japan National Tourism Organization)の発表によると、2015年に日本を訪れた外国人数は1973万人を記録。 過去最高を記録した2014年に比べ、47.1パーセント、632万人増となった。 政府は、「2020年の訪日外国人数4000万人」という新たな目標を打ち出している。
ITを活用し、来場者向けの案内を行うレジャー施設が増えている。 ある動物園では、スマートフォンを動物に向けると、その動物に関する解説が聞けたり、園内に設置された二次元コードを読み込むと動物の動画が見られたりするサービスがある。 このように、ITを活用して来場者を楽しませる工夫は、さらに増えるだろう。
2016年12月、通称「カジノ解禁法案」(観光客の呼び込みを目指し、今は禁止されているカジノの開設を認める法案)が衆議院内閣委員会で可決した。 これにより、近い将来、国内でカジノが建設される可能性は高まっている。 パチンコやレジャーなどの関連企業の中には、カジノ事業に前向きな企業もあると言われている。 遊戯台を作る企業にとっても、カジノ解禁はビジネスチャンスとなるだろう。
テーマパーク内の併設ホテルと協力するなどの動きは活発だ。ホテル自体が一つのテーマパークのようになっている場合もある。
レジャー施設の親会社が鉄道会社である施設も多い。鉄道会社とレジャー施設が協力して、「乗り物+テーマパーク入場チケット」をセットにした企画商品を打ち出す動きも盛んだ。 鉄道に限らず、バス・飛行機などさまざまな交通機関との提携・連携を通じて来場者アップの取り組みが進んでいる。
レストランは、テーマパークの魅力を高めるために欠かせない存在。 また、園内レストランの売り上げは、テーマパークにとって収益の大きな柱の一つ。
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【監修】吉田賢哉(よしだ・けんや)さん
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 上席主任研究員/シニアマネジャー
東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。
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※記事制作時の業界状況を基にしています
志望業界や志望企業を絞り込んだり、志望動機をまとめたりするうえで、業界や業種への理解を深めるために「
業界ナビでは、各業界の仕組みや現状など、業界研究に役立つ情報をわかりやすく解説しています。業界の平均
教育業界には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校などの教育機関のほか、就学期の子どもを対象とした学習塾・予備校などの学習支援機関、社会人を対象にした語学・資格スクールやカルチャースクール、企業向けの社員研修を扱う企業など、幅広い企業がある。
高齢者や障がい者など日常生活に何らかの支援を必要としている人に対して、さまざまな形でサービスを提供するのが「福祉・介護」業界だ。広義には児童保育も含まれる。
ここでは、公社とは公益社団法人や公益財団法人など、私的な利益を追求するのではなく、公(おおやけ)、つまり社会のために存在している企業、または団体を指す。かつて中央官庁が担当していた事業のうち、一定の事務・事業を分離し、業務の質の向上や活性化などを狙って設立された独立行政法人も公社の一つと言える。
人材サービス業は、顧客企業のニーズに応じて人材を派遣したり、紹介・斡旋したりする事業だ。ビジネスの変化スピードが高まる中で、「新たな事業部門に適した人材を集めたい」「業務拡大に伴い早急に人員を確保したい」「勤怠管理を丸ごと委託したい」など顧客企業のニーズも多様化し、需要も高まっている。
鉄道会社は、人やモノを運ぶ移動手段としての鉄道を維持・運行している企業だ。また、多くの人々が集まる「駅」を基点とし、不動産、小売業、ホテル、レジャー施設といった事業を運営しているところもある。
目次航空・空港業界とは航空・空港業界の仕組み航空・空港業界にかかわる職種航空・空港業界の現状航空・空
レジャー・アミューズメント・パチンコ業界は、テーマパークや遊園地、動物園や水族館、ゲームセンター、カラオケ、パチンコホールなどの運営を通じて娯楽を提供している。
ホテル業界は利用者に対し、宿泊するための部屋や、ホテル内のレストランや結婚式場での各種サービスを提供している。ホテルや旅館の客室は、下図のように、自社サイトによる直接販売と、旅行会社・旅行代理店や旅行予約サイトなどを通じた委託販売によって消費者に提供される。近年は、インターネットからの予約が主流になりつつある。また、旅行予約サイトなどでは、ホテルの予約だけでなく、鉄道や飛行機の旅行券も併せて「セット予約」できる場合も多く、消費者の利用は増えている。
一般的に旅行業界とは、旅行者のための移動手段や宿泊施設手配、パッケージ旅行のプラン作成や販売などの事業に携わる者を指す。法律上、旅行業に従事する「旅行会社」と旅行業者代理業を行う「旅行代理店」の2つに分類される。
店舗に行って食事をすることを「外食」と呼ぶのに対し、弁当や総菜など、家庭外で調理された食品を持ち帰って自宅で食べることを「中食(なかしょく)」と呼ぶ。フードサービス業界は、レストラン、ファストフード店、喫茶店、居酒屋などの「外食」を手がける企業と、いわゆる「デパ地下」で弁当や総菜などを販売して「中食」に携わる企業とに大きく分かれている。
不動産業界とは、土地や建物などにかかわる業界のこと。商業施設、ビル、マンション、リゾート施設などを開発するデベロッパー(開発業者)、注文住宅や、建売住宅などを手がけるハウスメーカー、物件の売買・賃貸を仲介する不動産仲介業者なども、不動産業の重要な役割を担っている。
※1 2024年3月6日時点のリクナビ2024の掲載情報に基づいた各企業直近集計データを元に算出