面接で聞かれる「仕事をする上で大切なこと」を自分らしく伝える方法 <回答例文付き>

面接で「仕事をする上で大切なこと」について質問する企業は少なくありません。仕事に対する自分なりの考えをどう伝えればいいのでしょうか。これまでに1000人以上の学生の就活を支えてきた就活コーチ・廣瀬泰幸さんに、考え方や伝え方のポイントなどを聞きました。

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「仕事をする上で大切なこと」を企業が質問する理由

仕事をする際には、それができる“能力”があることだけでなく、積極的に取り組む“意欲”や、やり遂げようとする“覚悟”があることも大事です。企業が「仕事をする上で大切なこと」を聞く理由は、「この会社の仕事を理解しているのか」「その上で、仕事に対する意欲と覚悟があるのか」を知りたいからといえます。つまり、その企業で仕事をする際、本人がどんな姿勢を持って取り組むのかを確認したいと考えているからなのです。

多くの企業は、毎年継続的に新卒採用を行っているので、その経験則を生かし、「どんな姿勢を持つ人物が入社後に成長・活躍できるのか」を基に、自社にマッチするかどうかを判断しているといえるでしょう。そのため、「仕事をする上で大切なこと」について聞く際には、「この会社でどう仕事をしていきたいのか」という質問もセットで聞くケースが多くあります。

また、組織で働く際には、協調性があることも重要なポイントのため、「仕事をする上で大切なこと」を通じて、本人がどんな価値観を持っているのか、周囲の人々とスムーズにコミュニケーションができるのかも見ています。自分1人で営業に出かける場合も、研究開発を行う場合も、チームの一員であることに違いはなく、組織で仕事をする際に「1人だけで完結できる仕事」はないといえるでしょう。自分がやりたいことだけでなく、チームや組織のために動いた経験があるのか、そこでどんな価値観が芽生えたのかを伝えることも大事です。

「仕事をする上で大切なこと」を通じて、企業が見ている点とアピールする際のポイント

それでは、「仕事をする上で大切なこと」を通じて、企業は学生のどんなところを見ているのでしょうか。質問に回答する際の大事なポイントと、上手にアピールするための3つの要素を紹介します。ポイントを押さえた上で、自分に重なる要素をアピールしていきましょう。

「仕事に対する価値観」を伝えることが最も大事なポイント

仕事に対する価値観には大きく2つの方向性があり、まず、「この仕事がやりたい」という自分ベースの価値観があります。一方、仕事には、「『社会に役立つ』という前提があり、その対価としてお金をもらう」という背景があるので、相手がいることをベースにした価値観があります。企業が知りたいのは後者であり、「仕事をする際に、社会や顧客、一緒に働く人々に対して、どんな姿勢を大事にしていきたいのか」を見ています。企業が大切にしている価値観と、学生の価値観がマッチしていることがポイントになるでしょう。

「仕事をする上で大切なこと」を伝える際には自分自身の価値観と、その価値観が生まれた背景として自身の経験もセットで伝えましょう。部活動やゼミ、サークル、アルバイト先などの身近な集団において、他者に対してどんな気持ちで接し、どんなところで自分の価値を発揮しようと考え、実際にどう行動してきたのかを伝えるといいでしょう。過去からの延長線上に、現在と未来は続くものなので、これまでの経験を伝えることで、「入社後の姿」をイメージしてもらいやすくなります

次に、上手にアピールするために盛り込みたい要素を紹介します。それぞれのポイントを知り、自分らしいアピールにつなげていきましょう。

上手にアピールするための要素1:人との関係性を築く「コミュニケーション力」

組織という集団の中で仕事をする際にも、顧客と接する仕事においても、人との関係性を築くコミュニケーション力があることは非常に大事です。チームで目標を達成するケースもあれば、困難に直面した際に人の力を借りたり、人を巻き込んで解決したりすることもあります。また、一緒に働く人や顧客は、相性のいい人ばかりではないものなので、そうした人物と信頼関係を築くことが必要になる場面もあるでしょう。

企業は、「困難なことがあっても人と向き合い、仕事と向き合っていける姿勢があるかどうか」を見ているので、コミュニケーション力を生かして、人と一緒に何かを成し遂げた経験や、何かを乗り越えた経験などを語ることがポイントになるといえます。また、どの程度のコミュニケーション力を求めているのかは、企業によって違うものです。企業研究で働き方や仕事内容、社風、文化などを理解しておくこともポイントになるでしょう。

上手にアピールするための要素2:仕事に対する「モチベーション」

誰しも、「好きなこと」「やりたいこと」に対してはモチベーションを高く持てるでしょう。しかし、どんな仕事にも地道な作業はつきものであり、苦手なことを克服する努力が必要な場面も多くあるものです。また、総合職採用の場合、配属先の幅が広いので、本人の希望とは違う部署に配属される可能性も少なくはありません。

多くの社会人は、入社当初は希望と違う部署に配属され、さまざまな仕事を経験するものです。どんな仕事に対しても、自分なりに目標を見つけ、自分を高めていける人材なら、1年たつころには「この仕事を経験したことで、成長できている」と感じるようになり、3年がたつころには、「あの経験があったからこそ、今の自分がある」と思えるようになるものなのです。

こうした人材は、やりたいことができるだけの実力を身につけ、組織に貢献しながら次のキャリアを実現していける可能性が高いといえます。そのため、企業は、「与えられた仕事に一生懸命に取り組み、自分なりにやりがいや喜びを感じながら成長していけるかどうか」を見ています。学生時代に、やりたくないことや苦手なことにも取り組み、その中で達成感や成長の喜びを実感した経験を伝えることで、入社後の成長性をイメージしてもらうことができるでしょう。

上手にアピールするための要素3:仕事に対する「責任感」

仕事においては、成果物の内容や期限を守ること、約束を守ることなどが前提で、そこに責任を持つものです。そのため、学生が物事に責任を持って取り組む際、どんな思いを大切にしているのかを見ています。部活動やゼミ、サークル、アルバイト先など、集団の中で自分が責任を持って取り組んだ経験を語るといいでしょう。

その際、「責任を負わされた」というネガティブな話ではなく、「責任を果たしたことで、達成感を得た」などのポジティブな感情と連動していることが大事です。例えば、アルバイト先で同じ仕事を任された場合でも、「やらされている」と感じて何となくこなすだけの人と、「自分なりに達成の基準を持とう」と考えてクリアしていく喜びを感じる人では、仕事のクオリティーも本人の成長性も大きく違ってしまうものです。責任を持って取り組んだことを語る際には、そのプロセスの中で、どんな部分に喜びややりがいを感じたかまで伝えることを意識しましょう

面接を受ける就活生

「仕事をする上で大切なこと」を明確にする方法

「仕事をする上で大切なこと」を明確にするためには、自分の軸となるものを探し、それをベースに働く姿をイメージすることがポイントです。ここでは、それらを掘り下げていく方法を紹介します。

「人と一緒に何かをした経験」から掘り下げる

「仕事をする上で大切なこと」については、これまでに「人と一緒に何かをした経験」を掘り下げるといいでしょう。達成したことや、挫折を経験して乗り越えたことを振り返り、そのとき、どんな背景や自分の思いがあり、どう困難を乗り越え、どんな結果につなげたのかまでしっかりと掘り下げましょう。

例えば、部活動やサークルの場合、同期や先輩、後輩など、立場や関係性の違う集団がいるものなので、それぞれの集団に対し、どんな思いを持って、どう取り組んだのかを振り返ってみるといいでしょう。1つの関係性だけでなく、さまざまな人との関係性において、「自分にとって何が大切だったのか」を考えてみましょう。それらの中で、一致している思いや、共通して行動したことなどが、「仕事をする上で大切なこと」の軸となるでしょう。

「企業でどう役立てていけるか」を考える

自分の過去を振り返り、大切にしている価値観や、どんな力を発揮したのかを明確にしたら、それを「どう企業で役立てていけるか」を考えましょう。まずは、自分の能力や信念を生かし、志望する企業において、将来どんな活躍をしたいかというビジョンを描くといいでしょう。

また、志望する企業が、この先、社会の中でどう変化していくのかを考えることも大事です。時代や社会環境の変化に伴い、企業が「社会に提供するもの」や「ビジネスを展開する領域」なども変化していくものです。長期的な時間軸で企業のあり方を捉え、そこで自分の力をどう役立てていけるかを考えることもポイントとなるでしょう。

例えば、高校時代を通じて部活動を続けた場合、3年の間に、先輩や後輩などのメンバーが入れ替わり、部員数や全体のムードも毎年変化するものです。その中で、自分の考えがどう変化し、どんな力を発揮し、人との関係性を築いてきたのかを振り返ってみましょう。さまざまな角度から、自分が役立った出来事を発見できるはずです。1つのエピソードについても、長期的な視点で見た時間軸や、それぞれの人々との関係によって生まれる空間軸を意識すれば、より多面的に掘り下げていくことができるでしょう。

自分らしく「仕事をする上で大切なこと」を伝えるためのポイント

それでは、面接で「仕事をする上で大切なこと」を自分らしく伝えるためのポイントを紹介していきましょう。

根拠となるエピソードを具体的・客観的に語ること

「入社後、この会社でこんなことを大事にしていきたい」というイメージだけを伝えても、その根拠を具体的に語ることができなければ、「説得力がない」と判断される可能性があります。自分がこれまでに育んできた価値観や、それによって芽生えた姿勢について伝えるだけでなく、根拠となるエピソードをしっかり語りましょう。その際には、「どんな集団・組織の、どんなシチュエーションで、いつ、どんなことが起き、どんな状況に対し、どんな行動を起こしたのか」を説明するように意識しましょう。状況描写がないエピソードは、相手にもイメージしにくいものなで、ディテール(詳細)までしっかり伝えることが大事です。

また、自分の価値観を基にした行動によって、周囲にどんな良い影響を与えることができたのかまで伝えることも意識しましょう。客観的な事実として成果を伝えるために、行動する前と後で、周囲にどんな変化があったのかを伝え、数字による変化なども示すといいでしょう。「こんな人から、こんな言葉をもらった」など、他人から褒められたり、評価されたりしたことを伝えることも大事です。登場人物が自分一人しかいないエピソードには客観性がなく、「自分の視点でしか物事を捉えることができない」と思われる可能性もあるでしょう。さまざまな人とかかわったことを話し、より広い視点でそのエピソードを語ることがポイントです。

小さなエピソードでも「自信」を持って語ること

派手な経験や目を引くような経歴がない場合、「自分は、この程度のことしかやっていない」「何の肩書もなく、大きな責任を任されたとはいえない」と考えてしまう学生も少なくはありません。しかし、小さなエピソードであっても、活躍の幅が狭かった場合でも、自分で自信を持って語れる経験は評価されるものです。企業が「仕事をする上で大切なこと」を聞く根底には、「その人の人間性を知りたい」という考えがあり、「入社後にどう成長し、どう活躍していけるのかをイメージできること」を大事にしているのです。

また、仕事においては、学生が思っている以上に、地味な作業や地道な努力を積み重ねていく場面が多いので、小さなことを積み重ねて頑張った経験は、一定の評価につながるといえるでしょう。小さなエピソードでも、自分がどれだけ頑張ったかを思い出し、そこに自信を持って語ることがポイントになります。

「仕事をする上で大切なこと」の回答例文を紹介

「仕事をする上で大切なこと」に対する内定者の回答例文を紹介します。自分らしく伝える際の参考にしてみましょう。

総合電機メーカーに内定した先輩の回答例文

私が仕事をする上で大切にしたいと思うことは、「どんなポジションでも、チーム全体に貢献していくこと」です。中学、高校と野球部に所属し、大学時代も野球部に入部しました。1年生の時点から、1軍の先輩たちと一緒に練習をし、試合に出場させてもらうこともありました。しかし、3年生になったころ、ケガを重ね、プレーで思うように活躍ができなくなりました。

一時は退部も考えましたが、やはり野球から離れたくないと思いました。そこで、チームに貢献できることを考え、自分を育ててくれた監督や先輩に恩返しをしようと決意しました。レギュラーになれない同期や後輩の練習に力を入れ、みんなのモチベーションを上げて、それぞれに居場所があると思えるようなチームづくりを目指しました。それによって、同期も後輩も積極的に練習メニューを提案してくれるようになったのです。監督や先輩からも「部内が活気づいた」「退部者が減った」と評価してもらうことができました。

レギュラーになれなくても部員全員が部活動に意味を見いだせるようになったと感じ、プレー以外でも貢献できることがあると実感しました。御社には、電機製品の企画・製造以外にも、営業や生産管理、物流などにかかわるさまざまな職種があり、期間工などのアルバイトスタッフと一緒に働く工場などもありますが、どのポジションでも周囲の人々のモチベーションを上げ、チームに貢献していくことを大切にしていきたいと思っています。

生命保険会社に内定した先輩の回答例文

私が仕事をする上で大切にしたいことは、「人と人の関係性をつなぐ懸け橋」となることです。学生時代、国際寮に入り、外国人留学生のチューターを経験しました。当初、国際寮は学生同士が交流するための大きなイベントを単発で開催していましたが、タイミングが合わずに参加できない人や、大人数で集まる場が苦手な人もいて、参加者が限定されてしまうと感じました。

国際寮では、1室につき4人1組で生活をしていたので、部屋単位で夕食会やランチ会などを行うように働きかけ、少人数での交流機会を増やしていきました。また、交流を重ねるうちに、協力してくれる人が増え、同じフロアで暮らす人同士が交流する小規模なパーティーなども開催しました。大きなイベントには参加しなかった人たちも足を運んでくれるようになり、「おかげで寮生活が充実できている」「国籍を超えて、長く付き合える友人ができた」などの言葉ももらいました。

人と協力し合い、一つのことを実現できたこの経験を通じて、自分がきっかけをつくり、懸け橋となっていくことに大きな喜びを感じました。仕事においても、互いに協力し合って、一つの目標を達成していくことが大事だと思うので、さまざまな人をつなぐ懸け橋になりたいと考えています。御社には、お客さまに対応する際、複数の部署で連携していくことが多いと知ったので、組織の枠を超えて連携できるよう、それぞれの人々に働きかけていきたいと考えています。

エピソードを振り返る際には、人に協力してもらう方法もある

「仕事をする上で大切なこと」を語る際には、根拠となるエピソードが大事であり、自己分析で自問自答を重ねながら、しっかりと過去を振り返ることが必要です。しかし、自問自答をすることが苦手で、詳しいことまで思い出せない人もいるでしょう。

その場合は、部活動やサークル、ゼミ、アルバイト先などで一緒に過ごしたメンバーに協力してもらうといいでしょう。当時の出来事を振り返り、さまざまな質問をしてもらう中、「あのとき、あんなこともあったね」「この人が、こう言っていた」など、自分では忘れていた出来事や、気づかなかったことを指摘してもらうことができます。

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廣瀬泰幸さん

【監修】廣瀬泰幸さん
株式会社オールウェイズ代表取締役。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社リクルートにて管理職として10年間勤務しながら、大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、1部上場企業の人事部採用責任者として年間500名の採用と人材育成を行う。就活コーチとして独立後、現在までに1000名を超える学生に就活コーチングを実施。

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記事作成日:2020年4月14日 記事更新日:2022年1月27日
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