「周りの友人は内定をもらっているのに、自分はまだ1社ももらえていない…。」
就活中は、周りとの比較で不安や焦りを抱いてしまうこともあるでしょう。しかし、受けている業界や企業を変えたり、自己PRの伝え方や伝える内容を変えてみたりと、少しの見直しでいつでも挽回することは可能です。
就活がうまくいかない理由について、これまでに多くの就活生をサポートしてきた廣瀬泰幸さんにお話をうかがったところ、「『就活がうまくいかない…』と学生から相談は、大きく4つの内容に分けることができる」とのこと。今回は、それぞれの原因と解決方法を紹介します。
どうしたらうまくいくのか、廣瀬さんと一緒に考えていきましょう。
目次
学生に「自分の長所・短所は何か」といった自己PRに類する内容について聞いてみると、エピソードの例が弱かったり説得力がなかったりすることがあります。
うまくいかない方の中には、1つのエピソードを例に「私の長所は〇〇です」と説明する方がいますが、「ほかに、その長所が生きたエピソードはありますか?」と聞くと答えに詰まってしまう。そうすると、企業に「本当にそれが長所と言えるのか。説得力に欠ける」と感じさせてしまうのです。エピソードの例が弱かったり説得力がなかったりする原因は、自己分析が不十分な可能性があります。
自己分析を深める方法として試してほしいのは、過去の経験などを多角的に振り返るということです。例えば、サークルだけに限らず、学校の授業やアルバイトなど、さまざまなシチュエーションで「自分はどんな考えや価値観に基づき、どんな行動をとったのか?」を振り返ってみるのです。
自分だけで振り返らず、関わりのある人に聞いて振り返ることも大切です。いくつか自分の特徴をまとめることができたら、それを友人、親や家族、学校のキャリアセンターなど、第三者に聞いてもらい、納得感があるかフィードバックをもらいましょう。
こうして自己分析を深めることで、自分の特徴をさまざまな観点で語ることができるようになるため、相手への説得力が増すでしょう。
「自己分析の方法」については、こちらでもくわしく紹介しています。
“自己分析“は就活でどうして必要なの? 方法は?
また、「リクナビ診断」のような自己分析ツールを活用してみるのも良いでしょう。
「自分の強みはこれだ!」とアピールしているものの、企業が求める人材への理解が浅く、自己PRしたことと企業のニーズとがかみ合っていないケースです。
業界や企業によって、学生に求める要素は異なります。企業の採用ホームページに書かれてある内容を読み込んだり、会社説明会で社員の声を聞いたりと、情報収集の仕方はさまざま。よりリアルな声を聞きたいのであれば、実際に働いているOB・OG、その企業に内定した先輩、学校のキャリアセンターなどにその企業が求める要素は何か聞いてみてください。
また、経済産業省ではどの組織にも共通する「社会人基礎力」を、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」と説明しています。学生時代の経験に、これらの力を伝えるエピソードがあるかを考えてみてもよいでしょう。
複数のエピソードから自分の強みが見えてきたら、面接の練習も兼ねて第三者の方にそれを伝えましょう。企業が求める要素と自分の長所がマッチしているか客観的に意見をもらうとよいと思います。
「志望動機」を説明されても、数ある企業の中からその会社に興味を持った理由が見えてこないケースです。「その会社で何がやりたいのか?」という問いに、答えられない学生も少なくありません。
企業側が志望動機を聞くのは、本人の価値観、考え方、経験と、その会社の経営理念や事業内容、組織風土とがリンクしているかどうかを知りたいからです。自分の内面とのリンクがなくても「これからの社会はこうなっていくので、その社会課題に向き合う事業内容に興味を持った」など、興味関心から志望してもよいでしょう。
企業選びの理由には、福利厚生や待遇など条件面も一つの要素ではありますが、長く働く上で「仕事にやりがい・面白さを感じるかどうか」は外せないポイントだと思います。その会社で働く姿を具体的にイメージし、志望した理由とどんな仕事を手掛けたいか、自分の言葉で語れるようにしましょう。
仕事内容は実際にその仕事をしている人から話を聞かなければわかりません。会社説明会やOB・OG訪問で社員の方に話を聞き、「こんなところが面白そう」「自分だったらこうしてみたい」と思えるかどうかを見極めましょう。
ES(エントリーシート)や面接で伝える「内容」ではなく、その「伝え方」でつまずいてしまうケースもあります。特に面接では、笑顔が苦手で表情が硬い、声が小さくて自信のない印象を与えてしまうといったノンバーバルな(「表情」「発声」「動き」といった「言語」によらない)表現も影響します。
皆さんが思っている以上に、担当者は話す内容以外もしっかり見ています。「本心で言っているかどうか」は、中身だけではなく、声や表情、動きに反映されることが多いもの。社会人になってからのビジネスコミュニケーションも同様で、話の内容だけで相手を納得させることは難しいのです。
コミュニケーションとは「スキル」です。表情もしゃべり方も、改善しようと思えば変えることができます。社会を見渡せば、コミュニケーションのうまさによって仕事を得ている人はたくさんいるでしょう。就職活動の段階で、トレーニングによってコミュニケーションの技術を学ぶことは、社会人準備の中でも大切な要素の一つといえます。
まずは、コミュニケーションとは「スキル」によっていくらでも変えられる、という認識を持つこと。面接の回数を増やして場数を踏むことも一つですが、家族や先輩、学校のキャリアセンターなど周りの大人に協力してもらい「話してフィードバックをもらう」ことを繰り返しましょう。
「会話の中で気になったことはない?」とできるだけ多くの人に聞き、自分からヒントを取りに行くことで、ノンバーバルな表現手法は変わっていくでしょう。
就活がうまくいかない原因を4つに分けて考えてきましたが、すべてに共通するのは「相手がどう思うかがすべて」という視点が欠けているところです。
社会は、「人と一緒に仕事する」場所であり、働くとは「相手が求めるもの、相手の期待に沿って動く」こと。仕事とは「周りから認められて初めて成立するもの」です。そこでのコミュニケーションの基本は、「自分が伝えたか」どうかではなく「相手がどう受け取ったか」。就職活動においても、それは当然必要になります。
その前提を理解していないと、企業側が求めることに無頓着なまま一方的に自分の強みをアピールすることにつながります。「この話をすると、相手はどう感じるだろう」という視点がなければ、社会に出てもチームで仕事を進める際に壁にぶつかるでしょう。
企業側は選考を通じて、社会人の基本となる「相手の立場に立って考える視点」があるかを見ています。就活がうまくいかない…と悩んでいる方は、対面のコミュニケーション量を増やし、「第三者に聞いてもらう」機会を自ら作っていくことが大切です。他人の目というフィルターを通して自分を捉えなおすことは、就職活動だけではなく、社会に出た際にも必ず役に立ちます。
就活につまずいたとしても、それはあくまでも「受けた会社とは合わなかった」ということです。受ける業界や会社を変えれば、すっと道が開けることはたくさんあります。社会人になる前に、自分をよりよくするチャンスを得たと思って、前向きに行動を続けていってほしいです。
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【監修】廣瀬泰幸さん
株式会社オールウェイズ代表。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社リクルートにて管理職として10年間勤務しながら、大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、1部上場企業の人事部採用責任者として年間500名の採用と人材育成を行う。就活コーチとして独立後、現在までに1000名を超える学生に就活コーチングを実施。
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