「自分に合った仕事・会社」を見つけるには?プロのアドバイスと先輩たちの実践方法を紹介!

就活で、自分に合った仕事や会社がわからない…と悩んでしまう学生は多いようです。まずはどうすればよいのか、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和さんに解説いただきました。

また社会人1、2年目の先輩がどのように自分に合った会社を見つけたのか、後輩へのアドバイスも合わせて紹介します。

「自分に合った仕事・会社」を見つけるために、自分の「欲求」「価値観」を明確にする

「自分に合った仕事・会社」を見つけるためには、まずは自分の仕事に対する欲求や価値観を知ることが大切。「なんとなく自分に合いそうだから」というフワフワした理由で就職先を選ぶと、入社してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔する恐れがあります。
では、仕事に対する自身の欲求・価値観を知るにはどうすればよいのでしょうか?採用のプロ・曽和さんに聞きました。

自分の「欲求」「価値観」を知る3つのステップ

仕事に対する欲求や価値観は人それぞれ異なります。自分に合った企業を選ぶためには、まず自身の欲求・価値観を知ることが大切です。

Step1 「欲求・価値観リスト」から自身に合いそうなものを探し出す

「欲求」「価値観」は非常に多様であるため、自分で考え、「私の価値観は〇〇だ」と特定するのは難易度が高いもの。「欲求」や「価値観」がリスト化されたものを参考に、一つひとつ自分に当てはまるかどうかを確認し、ピックアップするといいでしょう。
例えば、心理学者のヘンリー・マレーの「欲求リスト」では、人間の欲求を40種類に分類しています。その中の「心理発生的欲求」が参考になります。

マレーによる心理発生的欲求の例

達成欲求…困難を乗り越え成長したい、難しいことをうまくやりたい
承認欲求…周りに認められたい、尊敬されたい
自律欲求…他人の影響や支配に抵抗したい、独立したい
対立欲求…他人と違った行動を取りたい、ユニークな存在でいたい

マレー以外にも、欲求や価値観をリスト化している例はあり、検索するといくつかのリストがヒットします。このようなリストの中から、自分にフィットしそうなものを選んでみましょう。

Step2 「リクナビ診断」を使って「普段の行動、考え方」の中にある共通点を探す

次は、普段の自分の行動、考え方に共通する点を探り、「自身の傾向」を洗い出してみましょう。

自己分析ツール「リクナビ診断」は、自身の日常の行動や考えに関するさまざまな質問に答えることで、向いている仕事のタイプと、個人としての特徴を診断できるツール。質問は約100問で、一つひとつ「当てはまる・当てはまらない」のどちらに近いかなどを直感で選んでいきます。その結果、漠然としていた自分の欲求や志向、価値観が洗い出されます。

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Step1、2はどちらか一方だけでもいいですが、Step1だけだと人にこう見られたいという“社会的な望ましさ”が邪魔をして、本当の価値観が洗い出されない可能性があります。直観を基に振り分けるStep2と両方やってみた方が、多様な観点から自身の欲求・価値観が洗い出され、共通項もつかみやすくなります。

なお、「共通項がつかみづらい、自分一人で判断するのは自信がない」という場合は、洗い出された欲求・価値観を友人や先輩などの「第三者」に見てもらうという方法もあります。本人だと気づかないことも、第三者が客観的に見ることでわかる場合も。「案外安定志向なんだ」「チャレンジングな環境の方が好きなんだね」「人に感謝される仕事がしたいんじゃない?」などの意見をもらうことで、自分の思わぬ欲求・価値観に気づける可能性があります。

Step3 洗い出された「欲求」「価値観」を一つずつ掘り下げてみる

Step1、2で自身の欲求・価値観がある程度絞られたら、一つひとつを「なぜそう思うのか」掘り下げてみましょう。

洗い出されたいくつかの欲求・価値観は、「強度」に差があるはずです。自分にとって大切な、根っこが生えた欲求・価値観なのか、それともなんとなく「いいな」と思っている程度なのか。会社選びという重要な選択においては、根っこが生えた欲求・価値観を基にすべきです。

洗い出された欲求・価値観一つひとつに対して、「なんでそう思う?」を繰り返すことで掘り下げていきますが、「なんで?」に対してすべて「理屈」や「一般論」で答えてしまっている場合は、根っこが生えていない可能性が大。一方、「自分のライフヒストリー(生育歴)やエピソード」に紐づいた答えになっていたら、根っこが生えた強固な欲求・価値観である可能性が高いと判断できます。

例:「発想力を生かしたい」という欲求・価値観を掘り下げる場合

<根っこが生えていないケース>

Q:なぜ発想力を生かしたい?
「発想力はこれからのビジネスパーソンに必要なスキルだと思うから」
Q:なんでそう思う?
「目まぐるしく変化し多様化する消費者ニーズを受けて、商品やサービス、事業の寿命が短命化する中、発想力が求められるシーン自体が増えると思われるから」

↑いずれも一般論であり、自分のライフヒストリーに絡んだ答えが出てきていない。欲求・価値観としての強度が弱いと判断できる。

<根っこが生えている(本当の欲求・価値観である)ケース>

Q:なぜ発想力を生かしたい?
「以前から人と異なる発想をするのが得意。皆が同じ意見であるときほど、別の見方ができないか考えるのが好きだった」
Q:なぜ人と異なる発想がしたい?
「小5の時、小学生を対象にしたお菓子メーカーの新商品企画コンテストで入賞したことがある。その際に発想力の高さを褒められたのがうれしく、発想力を磨けるようさまざまな考え方をするのが習慣になった」

↑自身のライフヒストリーに絡んだ答えであり、今までの人生に根付いた強固な欲求・価値観と判断できる。

根っこが生えた欲求・価値観は、自分自身を支えるエネルギーになり、入社後のモチベーションにもつながります。これを基に会社選びを行えば、志望動機に筋が通るため企業に思いが伝わりやすく、入社後に「こんなはずじゃなかった、想像と違った」と後悔するリスクも軽減することができます。

価値観から自分に合う仕事・会社を探してみる 

自身に根付いた仕事に対する欲求・価値観が洗い出されたら、それに沿った仕事・会社を探してみましょう。

  1. 価値観をキーワードとして検索してみる(例えば「人の役に立てる」などのキーワードで検索)
  2. 気になっている企業にその要素があるかどうか、ホームページや求人サイトをチェックする

などの方法が考えられますが、最終的には「各企業のVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)」を確認することをオススメします。

「ビジョン」は企業が目指しているもの、「ミッション」はビジョン実現のための方法でありビジネスモデル、そして「バリュー」はミッション実現のための行動規範(その会社の行動基準=価値観や社風など)です。ホームページなどでこの3つを確認し、自身の価値観に沿ったものが打ち出されている企業は、自分に合う企業である可能性が高いと判断できます。

ただ、「ビジョン」「ミッション」はホームページや会社案内、採用ページなどで語られていることが多いですが、「バリュー」は行動規範であり、外からは見えづらいという側面があります。表に出している企業もありますが、行動規範は打ち出すだけでなく、現場で実行されていないと意味がありません。

例えば、「アイデアを生かして自由に働きたい」という価値観が強い場合、「個人に裁量を与え、自由な働き方を推奨する」というバリューを打ち出している企業が合う可能性が高いですが、それが実際に行われているかどうかは、「中に入って確認する」「中の人に会って聞く」しかありません。

「バリュー」は日々の仕事の進め方や職場の雰囲気にも大きくかかわります。ここが合わないと、入社後にギャップを感じる人が多いので、これぞと思う企業と出会ったらインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加して内部を見る、OB・OG訪問する、会社説明会に参加して社員の生の声を聞くなどして確認しましょう。

インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加している就活生

先輩たちはどうやって「自分に合った仕事」を見つけた?後輩たちへのアドバイスも

自分に合う会社をどう見つければいいのか…今回は、実際に就活を経験した社会人1、2年目の先輩500人へのアンケートも実施しました。
まず「自分に合う仕事を見つけるために、就活中に意識したこと、実施したこと」を聞いたところ、以下のような声が上がりました。

<先輩たちが行ったこと>

  • 勤務地、仕事内容、給与など、自分が重視することは何か、優先順位をつけた(損害保険)
  • いろいろな社会人に会い、いろいろな会社の説明を聞いたら、ホームページを見たり口コミを見たりすること。そして、自分がどんな大人になりたいかを考えること(ホテル)
  • 何になりたいか何をしたいのか、自問自答を繰り返すこと(医療)
  • 自己分析をしっかりやる(機械部品)
  • 気になった企業はできるだけ詳しくリサーチした(化学)
  • いろいろな会社説明会にいく。決まった職種じゃなくさまざまな職種の会社にいく(不動産)
  • 実際に仕事場に行って雰囲気を感じるようにした。自分がその環境で働けるか知りたかったから。百聞は一見にしかずで、いくら先輩方から話を聞いていたり、資料を見ていたりしてもそれが自分に合っているか100%はわからない。行ってみてよかったと思う(公務員)
  • その会社の雰囲気がしっくりくるか、働いている人や環境をしっかり見ること(化粧品)
  • これだけは曲げられない自分の軸を定めました。その軸に従って企業ごとに志望動機を考えました(製薬)
  • 自分の今までの経験や価値観と合うような企業をひたすらに探した(金融)
  • 友達に「自分にはどういう企業が向いているか」と聞いて回ること。意外とそれが当たっている(公務員)
  • 自分がどんなものにかかわれば受動的でなく能動的に仕事に取り組めるかを考えました(出版)
  • 自己分析をし続けることは就活中ずっとしていました。また、人と会って話すこともずっとしていました。他者と話すことで自分の価値観に気づくこともあるので大切だと思いました(クレジットカード)

続いて、「自分に合う仕事を見つけるための、後輩たちへのアドバイス」も聞いてみました。

<後輩たちへのアドバイス>

  • 自分が何をするのが好きなのかよく考えながら選ぶべき(銀行)
  • 一番興味があり、やりたいと思った仕事をするのがいいと思います。入社して最初は大変なため、働き続けることができることが第一関門だと思います(不動産)
  • 自分の性格や考え方などを何度も見つめ直すことで、就職の前と後でのギャップを少なくできると思います(出版)
  • さまざまな業界を見ること、そこにいる「人」を見ることです(SI)
  • 職場の雰囲気はさまざまなところで垣間見えるため、いろいろなところに触手を伸ばして観察することが大切です(金融)
  • 入ってから思っていたのと違った!なんてことになる人がいっぱいいるので、それが嫌ならきちんと情報を識別しましょう(コンサルティング)
  • 実際に働いている人の様子を見られたり、社員の話を聞く機会があれば参加する方がいい(航空)
  • やりたいことがなくても、価値観の一致で企業を選べば、失敗はしないと思う(金融)
  • 自分は一番何を重視するのかをよく考えて、業界を選ぶべき(レジャー・アミューズメント)
  • 先輩や友達の話を聞くと、自分が持ってない視点があるかもしれません。参考になると思います(製薬)

先輩たちもさまざまな方法で、自分自身の欲求・価値観に向き合い、就職先を決断したことがうかがえます。先輩たちのアドバイスも参考にしながら、自分の中に根付いた強固な欲求・価値観を探ってみましょう。入社後ギャップのない、自分に合った一社に巡り合える可能性が高まるでしょう。

【調査概要】
調査期間:2019年6月26日~6月28日
調査サンプル:就活を経験した1~2年目の社会人500人
調査協力:楽天インサイト株式会社

性格検査や適職診断など、自己分析に役立つツールを活用してみましょう!

 

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

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記事作成日:2019年7月29日