就活の自己PRで「好奇心旺盛」な点を強みとして伝える場合、どんなポイントがあるのでしょう。人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和利光さんに聞きました。
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就活の選考で問われる質問にはすべて「あなたはどういう人かを知りたい」という企業側の意図があります。自己PRは「あなたの能力・性格(何ができるか)」を伝えるためのものであり、企業はその特性が、「自社で仕事をしていく上で合っているか」という点を見ています。 大切なのは、その能力や性格を企業が求めているか、仕事で役立てられそうか、という部分。企業が必要とする力は何か、働くイメージを持って考えるといいでしょう。
企業が自己PRを聞く意図について、詳しく知りたい人はこちら↓
【例文付き】就活で自己PRを聞く意図は?人事に評価される書き方・話し方のポイントは?
好奇心とはその文字通り、「奇なるものを好む心」のこと。珍しいものや、今まで出合ったことがないもの、目新しいものに興味を持ち、見たい、知りたい、経験してみたいと思う人を「好奇心旺盛」ということが多いでしょう。
「好奇心」と近い言葉に「探究心」がありますが、こちらは「一つの物事を深く掘り下げしつこく粘り強く追究する姿勢」を指します。自分の特性はどちらに近いのかを整理すると、自己PRで伝える具体的なエピソードも変わってくるかもしれません。
「探究心」で自己PRの方法を知りたい方はこちら↓
【例文あり】自己PRで「探究心」を伝えるときのポイント
常に新しいものに触れていたいという「好奇心旺盛」という特性は、変化が激しく流行を生み出す仕事で力を発揮します。
例えば、業界でいえば、メディアやファッション関連、職種でいえば新規事業開発、新商品開発がそれに当たるでしょう。新たな流行を届ける側にいる人は、流行をフォローする側ではなく、いち早く取り入れる好奇心がなければ務まりません。 社会には新しいものを生み出す「好奇心」タイプの仕事もあれば、インフラ領域のように変わらないものを守る「探究心」タイプの仕事もあります。例えば私が長く携わっている人事・採用の仕事は、所属企業の事業内容や商品にかかわらず、考えるべき組織論など、物事の本質は変わりません。その点で、好奇心よりも探究心の方が、より求められる仕事だといえるでしょう。
「好奇心旺盛」とひと言で言っても、「受容的」か「能動的」かによっても意味が大きく異なります。
「好奇心旺盛」な点をアピールする理由として、「周りから提供されたものを食わず嫌いをせず何でも楽しめる」「与えられたものに自分なりに面白さを見いだし、積極的に取り組める」と話す学生が一定数います。 しかしこれは、どちらかというと「感受性が強い」「適応力が高い」「意味づけ力がある」といった受容的な特性で、「好奇心旺盛」とアピールするには弱いでしょう。
「好奇心旺盛」な点を特性として伝えるのであれば、能動的に、自分から新しい情報を取りに行けるのかどうかが問われます。 好奇心が旺盛であるということは、あらゆる情報源に触れ、新商品を試し、「新しい飲食店を発見したら必ず入って食べてみる」「映画はジャンルを問わず年300本見る」など自ら積極的に情報を得ようとすることを指します。 受容的か能動的かは良し悪しではなく、その人の特性です。ただ選考において「好奇心旺盛」な点をアピールする以上は、自ら行動する程度の甚だしさを説明できる、具体的な事実を伝える必要があります。
ただ、業界や企業によっては好奇心の旺盛さをそもそも強く求めていないところもあるでしょう。「目の前の地道な仕事にじっくり取り組む」「ミスのない安定稼働を目指す」ことが重視されている仕事では、好奇心旺盛な点は「飽きっぽい」という印象を与える可能性があります。さらに、求める人物像に「好奇心旺盛」な点とありながら、実際は「どんなことも深く探究する姿勢」という「探究心」を求めている場合もあります。 その仕事の事業内容から、どんな特性が生かせそうか。OB・OGの話を聞いてイメージを膨らませるなど、企業研究を深めるといいでしょう。
企業研究の方法について、詳しく知りたい人は、こちら↓
このポイントを押さえよう! 就活に役立つ企業研究のやり方
企業側は、行動などの事実から人となりを知りたいと思っています。アピールする特性が「習慣として根づいているかどうか」も、仕事で生かせるかどうかを見る上で重要な判断材料となります。普段から続けていることがあれば、採用担当者がイメージできるよう、具体的な数字を入れて説明できると理想的です。
好奇心が強く、新しい環境で生の情報を得ることが好きです。
大学3年の夏に2カ月間、自転車で日本一周6000㎞の旅に出ました。現地の宿泊場所、飲食店、観光スポットなどはスマートフォンではなく「現地で出会った人に聞いて決める」とテーマを設け、小学生からご高齢の方まで老若男女、通算約400人から情報を集めました。地域を支える小さな工場を訪れたり、知られざる秘湯や老舗の民宿を教えてもらったりと、人づてでなければ出合えない景色に触れることができました。情報はインターネットだけではなく、リアルな声も併せて集める大切さを知りました。
面接では、聞き手が理解しやすくなるよう、結論を先に伝えます。集団面接などでは、面接担当者との質問のやりとりがない「プレゼンテーション型の自己PR」も少なくありません。その場合は、伝えたいポイントを一度ですべて伝えきれるよう整理しておくとよいでしょう。
好奇心が強く、集めた情報を新しいアイデアにつなげることが得意です。
大学入学時、やりたいことがあれば全部挑戦しようと考え、サークルとゼミそれぞれ2つずつ所属していました。サークルはサッカーとダンス、ゼミはマーケティング戦略と社会心理学と、領域はまったく異なり、そこで出会う学生のタイプもさまざまでした。 活動領域の広さからユニークな友人に多く出会い、学内で面白い活動をしている学生を紹介するWebサイトを作ろうと考えました。マーケティング理論と心理学を学んでいたこともWeb制作やインタビューを進める上で役に立ち、今では学内で高い認知度のあるサイトになっています。
「好奇心旺盛」な点のほかにも自己PRで伝えるアピールポイントがあるかも?気になる人はリクナビ診断を活用して、自分の強みや特徴を調べてみましょう。
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【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。
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