「企業研究」とは、自分の志向に合う企業と出会い、マッチするかどうかを見極めるために企業への理解を深めることです。企業研究のやり方として、企業情報・事業内容・企業の実態の調べ方、業界内での位置づけ・他社との違いの分析の仕方、自分の心が動いたポイント・自分とのマッチング・ほかではなくその企業を自分が志望する理由のまとめ方を紹介します。
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企業研究は卒業・修了前年次(※)の6月ごろから始まるインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムの応募と合わせて始めるとよいでしょう。もちろん、6月以前から始めても問題はありません。一般的に卒業・修了前年次の3月になると経団連に加盟している企業などで、合同企業説明会や会社説明会、面接などが始まり「アポ」で予定が埋まりだします。企業研究は、これらのアポで忙しくなる前に、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへの参加やOB・OG訪問を重ね、ひと通り終えておくのが理想的です。
就活以外にも勉強や部活、サークル活動などやるべきことはたくさんあると思うので、1〜2日で一気に終わらせるのではなく、少しずつ進めていくことをオススメします。
※卒業・修了前年次とは、大学3年生、大学院1年生、短大1年生など。卒業・修了年次とは、大学4年生、大学院2年生、短大2年生などを指します。
説明会や面接などの「アポ」が入ってくると、じっくり考える時間が取れなくなってしまいます。忙しくアポをこなしていると、なんだか就活が順調に進んでいる気になってしまうものですが、企業理解を深めないまま作成した志望動機は内容が薄く、面接を重ねてもなかなか選考が進まなかったり、進んだとしても後で自分の志向に合わないと気づいたりするケースもあります。選考がうまく進まなくなってから「もう一度やり直そう」と企業研究をあらためて始めることがないように、少し早めに企業の情報を収集し思考する時間を取れるとよいでしょう。
一方で、学内外の活動など就活以外に優先することは個人によって異なるため、理想通りのスケジュールで動けないという人も多いものです。就活は誰かとの競争ではなく、自分が納得した会社で働くためにするものなので、開始時期がいつになったとしても、焦らず企業研究に臨みましょう。
企業研究は、「誰に、どんなものを、どのように提供している企業なのか」を自分なりに理解できるまでやりましょう。それがわかると、「ほかではなくこの企業を志望する理由」の切り口が増え、企業が求める人物像や経営理念の理解も深まります。
なお、とことん深く調べるのは、1社だけでも大丈夫です。1社をやると、どの情報を見るべきか観点がわかってくるので、ほかの企業にも応用できるようになるでしょう。
企業研究のために調べるとよい項目と、それはどんなツールや手法を使うことで調べられるかなど、具体的な8つやり方を紹介します。
まずは、基本的な企業情報、制度、採用情報などを調べてみましょう。具体的には、以下の情報などを調べます。
リクナビの個別の企業ページのうち、【会社トップ】には、その企業からのメッセージをはじめとして、事業内容、売上高、本社所在地などが明確かつコンパクトにまとまっています。【採用情報】には、その企業が募集している採用人数、福利厚生、求める人物像などが記載されています。企業情報や採用情報などの項目が統一されているので比較検討がしやすく、気になった企業をブックマークし、サイト上で応募ができる点も便利です。
企業情報を同じフォーマットに整理して掲載している書籍なども参考になります。平均年収や離職率、有休消化状況など、人事担当者や面接担当者には聞きにくいことが掲載されていたり、フォーマットも統一されていたりと、複数の企業を比較検討するのにオススメです。
扱っている商品・サービスと業態、取引先・販売先、事業規模、企業グループ内での資本構成などを調べながら、「誰に、どんなものを、どのように提供している会社なのか」を調べましょう。
複数の事業展開をしている企業は、売り上げシェアの一番高い事業は何かをチェックし、意外性のある事業も見ておくと、入社後の仕事の幅をイメージすることができます。各事業が会社全体の売り上げのどの程度を占めているかは、入ってから担当する仕事にも関係してくるでしょう。
その企業の公式ホームページには、企業がアピールしたい点、その企業からのメッセージが最も端的に表現されています。その企業らしさを理解する上で最適なツールと言えるでしょう。
その企業が属する業界全体を俯瞰(ふかん)して、同業他社との立ち位置の違いを確認しましょう。同業他社と比べたときに、「その」企業の特徴や魅力を理解することが大切です。
「業界地図」と銘打った書籍が、複数の出版社などから発刊されています。これらの書籍は、業界における各企業の位置づけや立ち位置を知るのに役立ちます。志望企業については、同業他社との違いも明確になるので、志望動機をまとめる上でもぜひ活用したいもの。体裁や取り扱い業界なども書籍によって異なるので、自分にとって読みやすいものを選ぶとよいでしょう。
企業研究のやり方①~③で調べた情報や会社説明を基に、以下のような点に着目して、他社と違いを調べてみましょう。
企業が個別に行う会社説明会や、複数の企業で開催する合同企業説明会、学校で行われる説明会などに参加すれば、その企業で働いている社員の話を直接聞くことができます。事業内容や企業の今後の方向性に加えて、社員が自分の仕事内容について説明してくれることも多く、社員の生の声を聞くこともできます。
なお、会社説明会は、リクナビのサイトから予約できます。
働いている人の雰囲気やどんな人が活躍しているのか、どんなキャリアステップが歩めるかは、自分に合った会社を選び、入社後にミスマッチを感じることなく働くためにも重要な項目です。気になる職種や、心に響いたり、共感したりした先輩社員の言葉などがあれば、メモしておきましょう。
企業によっては、先輩社員のインタビューを自社の採用サイトや、リクナビの企業ページに掲載していることがあります。こういったインタビューに掲載されている人物は、その企業で活躍しやすい人の特徴を兼ね揃えていることが多いので、企業が求める人物像の具体例として参考にしてみるのもよいでしょう。
下調べをして魅力を感じていた項目があれば、その実態も確認できると安心です。例えば、企業理念に引かれている場合はその理念がどれだけ会社内で浸透しているのか、魅力的な制度がある場合には社内でどれだけ活用されているのかなども確認しましょう。
その企業で働いている先輩社員に直接話を聞くことで、社員の生の声を聞くことができます。1対1で話すことができるので、企業のホームページや説明会といった公式な場では聞きづらいような情報も気軽に質問ができる貴重な機会です。
インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに参加することで、気になる業界や職種、企業について理解を深めましょう。仕事について具体的にイメージできるようになるほか、「楽しい・もっとやりたい」と思うのか、「意外とつまらない・つらい」と思うのかなど、自分の本当の気持ちに気がつく機会にもなるでしょう。
リクナビ2026では、4類型の総称を「インターンシップ&キャリア」と呼びます。また、タイプ1とタイプ2については「オープン・カンパニー&キャリア教育等」、タイプ3と4は「インターンシップ」と呼びます。
インターンシップ&キャリアについて、詳しくはこちら
企業研究のやり方①~⑦で調べた内容を基に、「興味を感じた理由」「魅力を感じた点」「気になる点」を挙げましょう。興味を持った理由を掘り下げていくと、自身の価値観やその企業に魅力を感じた理由が明確になっていきます。企業ごとの違いが明確になると「ほかではなくこの企業を志望する理由」の切り口も増えます。
自己分析で見つけた自分の志向と企業研究で調べた企業特徴を照らし合わせると、「自分のどんなところをPRするとよいか」も見えてきます。
あらかじめ調べる項目と記入欄を設けた「企業研究シート」を使って企業研究を進めると、複数の志望企業について比較しやすくなり、その企業ならではの魅力にも気がつきやすくなります。企業研究シートは表計算ソフトを使ってオリジナルで作ることもできますが、就活を効率的に進めるためには、まずはリクナビのような就活サイトからダウンロードできる見本フォーマットを使うのがオススメです。
例えば、以下のような形で、企業ごとに調べた内容をまとめてみるとよいでしょう。
企業研究は、興味のある業界の中からあなたに合う企業を見つけることに役立ちます。志望業界の中での立ち位置、同業他社・競合他社との違いなどの観点から、自分の志向に合う企業を絞り込んでいきましょう。
また、企業研究を通して「なぜこの企業で働きたいのか」「この企業で何をしたいのか」といった企業への熱意(志望動機)を具体化することができます。これらを志望動機に取り入れると、より具体的で説得力のあるものへとレベルアップさせることができます。
企業研究で調べた内容は、面接前にさっと見返すことができるように、企業研究ノートや企業研究シートとしてまとめておくのがオススメです。
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