多くのインターン(インターンシップ)で行われる「グループワーク」。より有意義な時間にするためにはどんな準備や心構えが必要なのでしょう。先輩たちが体験した実際のテーマと、プロからのアドバイスを紹介します。
リクナビ2026では、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム4タイプの総称を「インターンシップ&キャリア」と呼びます。
この記事では、アンケート実施当時の「インターンシップ」について紹介します。
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インターンのグループワークはどんなことをして、何を得られる場なのでしょうか?人事として新卒採用を20年担当してきた採用のプロ・曽和利光さんに聞きました。
グループワークとは、インターンに参加した複数の学生同士でグループを組み、与えられたテーマについて議論したり、最終プレゼンテーションに向けて成果物を作ったりするプロセスのことです。
インターンのグループワークとはビジネスシーンにおける“ミーティング(会議)”であると言えるでしょう。
グループワークという名前がついていることで、就活特有のゲームのように考える方もいるかもしれませんが、グループワークとはチームやグループで行うミーティングとほぼ同じもの。社会に出れば毎日のように行われています。インターンとは社会人の疑似体験をすることが大きな目的ですので、そこで行われるグループワークは、“ミーティングでの立ち居振る舞いを学ぶ場”であると考えられます。
なお、企業内で行われるミーティングには、大きく3種類があります。
ほとんどの場合、インターンのグループワークにもこの3つが含まれますが、企業内のミーティングとの違いは、かけられる時間の長さです。実際の仕事では、3プロセスごとに会議を設け、いいアイデアが出るまで複数回行われることもあるでしょう。一方インターンでは、意思決定と最終プレゼンテーションまでの時間に制限があるため、濃縮した形で議論を進めていかなければいけません。
インターンでグループワークを経験したことがある人はどのくらいいるのでしょう。インターン参加経験のある先輩たちに聞きました。
■インターン参加時に、グループワークを経験したことありますか?(n=774、単一回答 )
インターンに参加した約770名の内定者、社会人1~2年目の先輩にアンケートを実施したところ、75.2%がグループワークを経験したと回答しています。
具体的には次のようなテーマでグループワークが行われたようです。
・アパレル業界の業務体験というテーマで、自分が新しくお店を構えるとしたらどのような場所にどのような広さの店を建てるか
・実際にあった融資や証券営業の案件を基に、融資計画の作成や資産運用のポートフォリオの作成
・若者の利用を増やすための新たな旅行プランの提案
・新しい商業施設にどんな店舗を誘致するべきか
・旅行会社のインターンシップで、とある企業の法人旅行を企画するという内容。ヒアリングから企画、発表までをグループで行った
・都市計画をテーマに、グループで街づくりの方針を話し合い、ポスターを1枚製作し発表する
・保険会社のインターンシップで、家族構成の一例を渡されて、その家族に合った保険の提案を考え、発表する
・ウェディング業界の企業でお子さんがいる人向けに、結婚式を挙げたくなるような新たなプランを練る
・その会社(製菓)のバレンタイン向けの新商品を考える
・化学製品の市場開拓をテーマに、新規参入するならどの国・地域がよいかを討議した
・運輸系のインターンで飛行機や船に効率よく荷物を積むにはどうしたらよいか。また、これから生産性を高めるにはどうしたらよいかを考える
・保険会社のグループワークでこれからの社会で必要とされる新しい保険とは何か、どのような保険が必要とされるかを考え、ディスカッションし発表しました
・テレビ局の新しい番組の企画案の作成
・自動車部品業界のインターンシップに参加し、2025年には完全自動運転となると仮定したときにどのような車を開発するかというグループワークをしました
・家の間取りを出され、その家を販売する際のターゲットを考える
テーマは多岐にわたりますが、業界や企業の特徴ごとに実業務に関連のある内容が多いことがわかります。
インターンのグループワークは、当日にテーマが与えられ、限られた時間でアイデア出しや意思決定を進めることが多くあります。事前のインプットは難しいにしても、グループワークの捉え方、役割を整理しておくことはできるでしょう。曽和さんに詳しく伺いました。
テーマが与えられたとき、それが「アイデア出し」に重きを置かれるものか、「意思決定」に重きを置かれるものかを見極めることが大事です。
インターンでのグループワークは、議論の場をどう設計するかを含めて、自分たちで考えていく必要があります。
グループワークで与えられるテーマのほとんどは、“クリエーティブな発想を求められるアイデアコンテスト”か、“状況が定められた中で何を選ぶか意見を集約させていくコンセンサスゲーム(グループ全員の合意・納得によって意思決定をするゲーム)”のどちらかです。前者であれば、アイデア出しに多くの時間を割くべきで、後者であれば意思決定に時間が必要です。与えられたテーマには、どちらの要素が強いかを判断し時間配分を間違えないことが重要になります。
アイデア出しか意思決定か。どちらに重点が置かれるかによって、グループワークのプロセスは変わります。ただ、どちらにせよ、グループワークを進めるに当たり一定の“役回り”があります。
グループワークの一連のプロセスで必要な役割は、主に以下の5つです。
この中で、自分は何に強いのかを考えていきましょう。
就活では、どのポジションが一番活躍できるか…という視点で見がちですが、仕事は適材適所。ミーティングでも、自分の特徴が生きるポジションはどこかを考え、いかに貢献するかを考えることが大切です。
自分の役回りを考える際、忘れてはいけないのは「人の特徴は相対的なもの」という視点です。グループワークは、自己理解とともに、初対面のメンバーとの相互理解を深める場でもあるのです。
たとえ「私は理論派ではなく、感覚派」と自己認識をしていても、周りのメンバーが自分よりもさらに感覚的に物事を捉えていれば、「このメンバーの中では比較的理論派」ということになります。
メンバーとの相互理解を深める上で、最も有効な情報収集のチャンスは、グループワーク前のアイスブレイクでしょう。メンバー同士で自己紹介をする時間がほぼ必ず設けられているので、周りがどんなタイプなのかをアイスブレイクを通じてしっかり観察しておきましょう。メンバー内の適材適所を考え自分の役回りを決めるために、わからないことがあればメンバーに質問してもいいと思います。
社会人になれば、他者との相対的な関係性の中で自分の能力を見極め、仕事をしていくことが求められます。グループワークは、それを実践的に学べる貴重な場。自己認識と他者認識を深める機会として、グループワークを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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【調査概要】
調査期間:2019年9月27日~9月30日
調査サンプル:就活のときにインターンを経験したことがある社会人1~2年目、内定者774人
調査協力:株式会社クロスマーケティング
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【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。
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