営業の仕事に興味があるけれど、自分が向いているかどうかわからず、選択肢に入れていいかどうか悩む人もいるようです。この記事では営業に向いている人の特徴や、具体的な営業の種類、実際に活躍している人の共通点などについてキャリアアドバイザーの山田英子さんに教えてもらいました。
営業に向いている人の特徴を紹介します。自分に当てはまるものがあれば、営業を選択肢に加えてみてもいいかもしれません。
営業は、初対面の人やさまざまな年代、職業の人と話す機会が特に多い仕事です。人と接するのが好きで、話すことが好きなのであれば、十分に営業としての素養があると言えます。
特に初対面の人とすぐに打ち解けられる人は、営業として力を発揮しやすいでしょう。
営業というと、話し上手の人が向いているように思われるかもしれませんが、実は「聞き上手」な人も営業に向いています。
営業に必要なのは、顧客を理解しニーズを探る力です。たとえ口下手であっても、相手の話をよく聞き、理解しようとする「傾聴力」がある人は、営業現場で活躍しています。
営業の仕事は、顧客のニーズに合った商品やサービスを提案すること。普段から相手の立場に立って物事を考えられる人は、顧客志向で提案ができるので、顧客との関係性も築きやすいと考えられます。
相手に合わせて、より伝わりやすい話し方や伝え方を考えることが得意な人は、営業に向いているでしょう。
営業で成果を上げるには、行動量も大切です。思いついた時にすぐに行動に移せるフットワークの良さは、営業の仕事でも強みになるでしょう。
顧客からの要望にフットワーク良く対応し、こまめにコンタクトを取れる営業は、顧客からの信頼も得やすいでしょう。
特に顕在的なニーズがない顧客にアプローチする場合、提案しても納得してもらえないケースや、そもそもアポイントすら取れないケースも少なくありません。
失敗したりうまくいかなかったりしても、そこでへこんでしまうのではなく、すぐに気持ちを切り替えて行動できる人は、営業に向いているでしょう。
ひと口に営業と言っても、さまざまな種類があります。ここでは、営業の種類の紹介と、それぞれに向いているタイプをご紹介します。
ニーズがあると思われる企業や個人に対し電話や訪問でアプローチを行い、新規顧客を開拓していく営業のこと。「営業」というと、まずはこの新規開拓営業を思い浮かべる人が多いようです。
企業や個人宅にどんどん電話を掛けたり飛び込んだりしながら新規開拓するので、フットワークが良く行動力がある人に向いています。門前払いを食らうケースも多いので、少しでも見込みがあれば繰り返しアプローチできる粘り強さも必要です。
成果に応じてインセンティブ(成果報酬)が設けられているケースが多いので、「頑張った分が給与に反映される仕事がしたい」という人にも向いています。
すでに取引のある顧客を定期的に回り、関係性を築きながら継続的な取引につなげる営業のこと。担当顧客の困り事をヒアリングし、それに合った商品やサービスを提案することで、課題解決へと導きます。
新しい顧客をどんどん開拓する新規開拓営業とは異なり、特定の顧客を担当するため、一つひとつの顧客にじっくり向き合いたい人や、深い人間関係を築きたい人に向いています。観察力や傾聴力がある人も向いているでしょう。
商品やサービスを提案するだけでなく、企画段階から考えたり、自社商品・サービスを活用したさまざまな施策まで考えたりする営業のこと。視野が広く、好奇心旺盛な人が向いているでしょう。
社内外のさまざまな人とかかわる機会が多いので、コミュニケーション力がある人、周りを巻き込むのがうまい人も適性があると言えます。
顧客の課題解決に主眼を置き、自社のさまざまなサービスを組み合わせ、カスタマイズして提案する営業のこと。まだ表面化していない課題やニーズを掘り起こせる傾聴力やヒアリング力、課題発見力などに自信がある人が向いています。
社内のほかの部署と連携して顧客に提案することもあるため、企画営業と同じくコミュニケーション力がある人、周りを巻き込むのがうまい人も向いているでしょう。
すでに取引のある顧客が、自社の製品やサービスを最大限に活用して成果を出せるよう支援する役割のこと。課題やニーズを定期的にヒアリングし、信頼関係を構築しながら、タイミングを見計らって売上単価を上げるアップセル提案や、関連する製品・サービスを紹介するクロスセル提案も行います。
一つの顧客に長く向き合うことになるため、長期にわたり信頼関係を築く仕事がしたい人に向いています。また、電話やオンラインなど非対面でコミュニケーションを取るケースが多いため、相手に寄り添い話を聞く傾聴力やヒアリング力がある人も向いているでしょう。
実際に企業の営業として活躍している人は、どのようなスキルや特性を持っているのか、共通点を紹介します。
営業の仕事に就いたら、このようなスキルが身につき、磨かれると期待できます。
活躍している営業は、おしなべてコミュニケーション力が高いのが特徴です。
顧客の要望を正しくくみ取り、最適な解を提供することが求められます。現場経験を積む中で「聞く力、話す力、理解する力」がブラッシュアップされ、高いコミュニケーション力が身につきます。
高い成果を上げ続けている営業の多くは、初対面の顧客とも短期間で信頼関係を築き、懐に入り込む力を持っています。
営業の仕事は、相手から信頼を得ないことには取引が成立しません。業務を誠実に遂行することはもちろんですが、雑談力や傾聴力、寄り添う姿勢なども重要。これらの力を発揮しながら、相手との距離を縮めるアプローチを続ける中で、信頼関係構築力も磨かれます。
ほとんどの営業には、「目標数字」がついて回ります。目標達成のための行動計画を立て、日々の行動を振り返り修正しながら努力し続ける力が、おのずと磨かれます。時には高い目標を課せられることもありますが、目標達成に向けてモチベーションを維持しながら走り続けられる人が、高い成果を生み出しています。
目標達成に向けて計画を立てて行動しても、うまくいかないときもあります。その際、現状のやり方に固執しすぎず、新たな方法を模索するなど、柔軟で臨機応変に対応できる人は、営業として活躍しています。
顧客からの難しい要望に対しても、何とか対応できる方法はないか柔軟な思考で考える力がある人が多いようです。
顧客の心に響く提案を行うには、「顧客の課題解決や要望実現×自社の利益追求」という視点で最適な解を考える力が求められます。その過程で、論理的に顧客と自社のメリットを分析しながら最適解を導き出す力が磨かれていきます。
できる営業は、思うような成果が上げられないときにも、どのように行動すれば目標数字を達成できるのか、現状を分析しながら冷静に思考できる力も持ち合わせています。
自分に合った営業職に就くための、就活準備のポイントを4ステップに分けてご紹介します。
まずは、なぜ営業の仕事に興味を持っているのかを言語化しましょう。
自分の強みが生かせると思うから、やりがいが得られそうだから・・・などさまざまな理由があると思いますが、それをできるだけ深掘りし、どんな強みがどのように生かせるのか、なぜそのやりがいを得たいのかなどを具体的に洗い出してみましょう。それが就活の軸になり、自分に合った営業を選ぶポイントにもなります。
前述の「営業の種類」も参考にしながら、自分に合った営業を選びましょう。
営業とひと口に言ってもさまざまな種類があり、行う業務も与えられるミッションも、必要なスキルも異なります。「○○営業は向いているけれど、△△営業はあまり向いていない」というケースもあるため、自分の強みや持ち味、志向などを考えながら、より力を発揮できそうな営業の種類をピックアップしましょう。
自分に合った営業の種類を見つけたら、例えば「企画営業」で検索するなど、その営業を求めている企業を探してみましょう。
そして、興味のある企業を見つけたら企業の採用サイトなどを読み込み、その企業が営業職に求めているもの、人物像を調べて自分の強みや持ち味などとマッチする部分を抽出しましょう。それがES(エントリーシート)や面接でのアピールポイントになります。
ESや面接の自己PRやガクチカなどでは、Step3で洗い出した「マッチする部分」について、エピソードを交えて具体的にアピールしましょう。その際、前述した「営業に向いている人の特徴」を加えながら説明できるとより効果的です。
営業職に興味を抱いているけれど、自分が本当に営業に向いているのかどうか確信が持てないという場合は、自己分析をしてみましょう。その結果、前述のような「向いている人の特徴」や「活躍している人の共通点」の要素が自分にもありそうだと思ったら、「営業に適性があり、向いている」と言えるため、応募してみるといいでしょう。
自己分析の方法には「モチベーショングラフ」や「自分史」、「Will・Can・Must」のフレームワークなど、さまざまな方法がありますが、手軽に行いたい場合は自己分析ツールを活用するのも有効です。
自己分析の方法について詳しく知りたい人はこちらをご覧ください。
【自己分析のやり方】手軽にできる9つの方法や目的・志望動機の作り方まで
営業は日々の業務を通じてさまざまなスキルが身につけられる仕事です。また、顧客からは「その企業の代表」として見られるため、日々責任とやりがいを感じられる役割でもあります。仕事を通じてさまざまなスキルが磨かれ、やりがいを感じながら働くことで、ビジネスパーソンとしても成長できるでしょう。将来的には、それらのスキルを生かして別の職種にチャレンジすることも考えられます。
営業に興味を持っている人も、そうではない人も、「飛び込みばかりで大変そう」「目標が厳しそう」などと、営業の仕事を表面的に捉えないことが大切。どのような種類や役割があるのかを十分理解した上で、自分に合った営業があるかどうかを調べ、納得のいく就活につなげてほしいと思います。
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【監修】山田英子(やまだ・えいこ)さん
早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒業。 大手ファーストフードサー
ビス企業、人材サービス企業を経て、IT系コンサルティングファームに入
社。採用部門のリーダーとして新卒・中途採用業務全般に加え、就職セミナ
ーでの講演などの広報活動や人事制度設計などに携わる。2005年5月に個人事業
主として独立し、大学生の就活支援、社会人の転職支援などを中心に活
動中。 【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント。米国CCE,Inc.認定G
CDF-Japanキャリアカウンセラー
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