広告業界

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(1)広告業界の概況

広告代理店は、扱う媒体によって分けることができる。
テレビや新聞などの広告を手がける「マスメディア系」、電車や駅などの広告を主軸とする「鉄道系」、屋外広告やチラシ・折り込み、DMなど、自社の得意とする分野を扱う「専門系」などがある。
また、近年はインターネットメディアやインターネット専業の広告代理店などの存在感が非常に大きい。

株式会社電通が発表した「2016年 日本の広告費」によると、2016年の総広告費は6兆2880億円、前年比101.9パーセントとなっている。成長をけん引しているのが、全体の20.8パーセントを占めるインターネット広告費だ。マスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の広告費は、2兆8596億円で前年比0.4パーセント減と落ち込んだのに対し、インターネット広告費は、1兆3100億円、同13.0パーセント増と2ケタの伸びを示した。広告代理店各社も、インターネットメディアを通じて商品やブランディングのプロモーションを行う「デジタルマーケティング」に注力するなど、インターネット広告への対応に本格的に乗り出している。

(2)広告業界の仕組み

広告代理店の収益は、主に2つある。まず1つ目は、テレビやラジオなどのメディアから広告枠を買い取り、広告主である企業に販売することで得る手数料収入。そして2つ目は、広告主と共に販売戦略を立て、商品やサービスの告知イベントやセールスプロモーションを企画・運営する広告制作費である。

従来の広告代理店は、メディアを使ってマスマーケティング(対象を特定せず、ひとつのコミュニケーション手法で行うマーケティング戦略)を行うのが一般的であった。しかし最近では消費者のニーズが多様化し、その効果が薄れつつあると言われている。広告主である企業は、自社商品の購買層に直接結び付くことを、これまで以上に重視するようになってきた。そこで、広告代理店も企業に提案する戦略を変えてきている。中でも、注目が集まっているのはインターネット広告だ。「アドテクノロジー(後述)」を活用することによって、購買の可能性が高い消費者を選んで直接広告を配信するなど、より消費者ニーズに合ったマーケティング戦略が可能になっている。
また、SNSの活用も盛んだ。顧客企業のSNSのアカウントを広告代理店が運営し、消費者と直接交流をしながら情報を発信していくようなケースも多い。今後も広告業界とSNSとの関わりには注目したい。

ほかにも、広告代理店自らがスポーツイベントのプロデュースを手がけたり、企業がスポーツに協賛することをサポートしたり、また、映画製作の際に複数の協賛企業を集めてすすめる取り組み(「製作委員会方式」と呼ばれる)に関与して、その作品にまつわる広告やイベントから収益を得るなど、収益構造の多角化も図られている。

(3)広告業界のHot Topics

ITの普及により、インターネット広告が急激に伸びており、広告代理店各社もインターネット広告分野への取り組みに注力している。

アドテクノロジーの進歩

アドテクノロジーとは、「advertising(広告)」と「technology(技術)」を組み合わせた言葉。その広告に興味を持ちそうな人に絞ってインターネット広告を表示させたり、配信した広告の効果を算出したりする技術のこと。広告テクノロジー、アドテクなどとも呼ばれる。インターネットメディアが広がるにつれ、急速に進化している領域だ。

動画広告の普及

動画広告は、インターネット広告市場で急成長している分野。スマートフォンやタブレット端末の利用人数および一人当たりの利用時間は年々増えており、総務省の「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、75.2パーセントの人が動画共有・配信サービスを利用している。利用者・利用時間の増加と足並みをそろえ、動画サイトやニュースアプリ、SNSのコンテンツの合間に表示さされる動画広告の市場は、一気に拡大している。

(4)関連業界とのつながり

テレビ局

既存メディアの広告費が減ったとはいえ、広告枠の販売から得られる収益は、広告代理店の売上の大きな割合を占めている。中でもテレビ広告は、依然、益柱の柱となっている。

化粧品・トイレタリー用品メーカー

減少傾向にはあるものの、マスコミ4媒体の広告費の構成で1割を占めているのが、化粧品やトイレタリー用品である。これらを扱うメーカーは、広告代理店にとって大広告主と言える。

 

監修:日本総合研究所 吉田賢哉

 

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業界データ ※1

平均勤続年数(年)

  • 新聞

    17.8

  • 放送・テレビ・ラジオ

    15.7

  • 出版・雑誌

    11.3

  • 通信

    11.3

  • 広告

    8.3

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平均年齢(歳)

  • 広告

    33.4

  • 通信

    36.3

  • 出版・雑誌

    37.6

  • 放送・テレビ・ラジオ

    37.6

  • 新聞

    43.5

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女性の育児休業取得者比率(%)

  • 出版・雑誌

    100.0

  • 新聞

    100.0

  • 通信

    95.7

  • 広告

    94.9

  • 放送・テレビ・ラジオ

    89.4

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男性の育児休業取得者比率(%)

  • 通信

    11.5

  • 広告

    8.0

  • 新聞

    5.2

  • 放送・テレビ・ラジオ

    3.9

  • 出版・雑誌

    1.0

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平均月別所定外労働時間(時間)

  • 新聞

    16.5

  • 通信

    22.1

  • 放送・テレビ・ラジオ

    27.0

  • 広告

    27.2

  • 出版・雑誌

    28.6

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平均有休休暇消化日数(日)

  • 通信

    11.5

  • 出版・雑誌

    9.9

  • 放送・テレビ・ラジオ

    8.9

  • 広告

    8.4

  • 新聞

    7.8

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役員の女性比率(%)

  • 広告

    15.3

  • 出版・雑誌

    10.9

  • 放送・テレビ・ラジオ

    10.7

  • 通信

    10.3

  • 新聞

    4.8

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管理職の女性比率(%)

  • 出版・雑誌

    29.3

  • 広告

    21.5

  • 通信

    15.1

  • 放送・テレビ・ラジオ

    13.3

  • 新聞

    11.2

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※1 2017年5月15日時点のリクナビ2018の掲載情報に基づいた各企業直近集計データを元に算出