【就活で小論文が出題されたら】採用担当者の知りたいこと、よく出るテーマは?書くときのポイントをプロが解説

就活の採用選考では、小論文による試験があるケースも。採用担当者に小論文を通してどんなことを評価しているのか、どんなテーマを出題するのかアンケートをした結果を紹介します。また、小論文を書くときのポイントについて、公務員試験や教員採用試験、企業の採用試験などの小論文指導に携わっているプロに聞きました。

小論文を通して採用担当者が知りたいのは、どんなこと?

まず、企業は小論文による選考で、学生のどんなことについて知りたいと思っているのでしょうか?過去1年以内の新卒採用選考で、小論文による選考を実施した企業の人事担当者300人にアンケートを実施しました。

■小論文を通して、学生のどんな点を評価していますか?(n=300、複数回答)

「小論文を通して、学生のどんな点を評価していますか?」アンケート結果のグラフ

小論文を通して評価していることを選択式で聞いたところ、6割以上の回答があったのが、「与えられたテーマに対する学生自身の考え」(66.7%)、「与えられたテーマを考察する力」(61.3%)、「自分の考えを表現する力」(60.0%)という結果になりました。
その他の項目は、回答が多かった順に「論理的思考力」(58.0%)、「文章の構成力」(51.3%)、「与えられたテーマに対する知識」(40.7%)、「誤字脱字、その他文書作成のルールを守れているか」(22.0%)となりました。

「小論文だからこそわかる」ことは?

さらに、「エントリーシートや面接ではなく、『小論文』形式だからこそわかることは何ですか?」と質問したところ、人事担当者から以下のような声がありました。

  • 考えをまとめて表現する。その場で与えられた課題に対応する(公務員/男性)
  • 文書構成を見ることで、論理性や計画性、考え方などが見えてくる(医療業界/男性)
  • 文字の丁寧さ、学生の思考力、視野や幅広い視点を持って考えられるか(総合商社/女性)
  • ある事象についての説明力や話の展開力から、対人能力の程度もわかる(専門商社/男性)
  • 自分の言いたいことを簡潔に順序立てて説明できる力と説得力(教育業界/女性)

上記の声からは、限られた時間の中で小論文を書く中で、エントリーシートや面接ではつかみきれない応募者の考えや論理的思考力、文章構成力などを見ていることがうかがえます。

小論文のテーマ、どんなものが出題される?出題形式は?

小論文の出題テーマは?

続いて、人事担当者に小論文の選考でどんなテーマを出題したのかを聞きました。

■小論文のテーマはどんなものを出題しましたか?(n=300、複数回答)

「小論文のテーマはどんなものを出題しましたか?」アンケート結果のグラフ

最も多かったのが「学生自身に関すること」(49.0%)。続いて「社会に関すること」(41.0%)、「企業に関すること」(30.7%)という結果になりました。それぞれ具体的なテーマを聞いたところ、以下のような回答がありました。

学生自身に関すること

  • 学生時代に最も頑張ったことについて具体的な体験を基に書きなさい(福祉業界/男性)
  • 今までに挫折したこと(総合商社/女性)
  • 将来の自分(専門商社/男性)
  • うちの会社に入社したいのか(電機業界/男性)
  • 研究テーマ(公務員/男性)
  • 理想とする社会人(製薬業界/男性)

社会に関すること

  • 少子高齢化(公務員/男性)
  • 働き方改革(公務員/男性)
  • AIについて(インターネット業界/男性)
  • 地球温暖化による100年後の影響(建設業界/男性)
  • 東京オリンピックについて(レジャー・アミューズメント業界/男性)
  • 最近気になるニュースについて(銀行業界/女性)

企業に関すること

  • 当社で行いたいこと(損害保険業界/男性)
  • 業界の今後の展望(電機業界/男性)
  • 仕事を通してどう成長したいか(陸運業界/男性)
  • 当社の社会的役割と今後の展望(レジャー・アミューズメント業界/男性)

小論文選考の出題形式は?

なお、「小論文の選考の実施方法」について聞いたところ、「試験会場で制限時間内に記述し、提出する」が82.7%と大半を占め、「期日までに準備したものを提出(郵送、Web提出含む)」が28.3%という結果に。

小論文による選考は試験会場で記述して提出するケースが多いことを踏まえ、試験までに小論文を書く上で気をつけるポイントを確認しておくとよいでしょう。

選考会場で小論文の試験を受ける就活生のイメージ

小論文の選考で気をつけるポイントは?

小論文による選考がある場合、書くときはどんなことに気をつけるとよいのでしょうか?インターネット上の小論文指導塾「ウェブ小論文塾」代表として、数多くの小論文を添削・指導してきた今道琢也さんに、書くときに気をつけるポイントや構成のコツ、練習方法などをうかがいました。

小論文を書く前に、問題を読み、答えるべきポイントを把握しよう

小論文を書く上で一番大事なのが「問題文を理解すること」です。問題をよく読んで、何が問われているかを正確に押さえてください。当たり前と思うかもしれませんが、私が小論文を添削した学生の6割以上ができていませんでした。例えば、以下の例を見てみましょう。

【問題】
入社後にどのようなキャリアを積んでいきたいか、あなたの考えを述べなさい。

【残念な解答例】
私は将来、食品を通じて多くの人を笑顔にしたいという思いで貴社を志望している。食品は、人間が生きる上で欠かせないものだ。また、毎日口に入れるものである以上、安心、信頼できるものでなければならず、そのような仕事にかかわれることに大きな喜びを感じながら、日々業務に励んでいきたい。

上記の答案は「志望動機」を書いており、問題にある「入社後にどのようなキャリアを積んでいきたいか」の答えになっていません。出題者が何を聞いているか意識しながら書かないと、このように見当違いな答案になってしまいます。実は、このような答案が大変多いです。

【OKな解答例】
 私の目標は、組織に好影響を与え、会社の業績をもけん引できるようなトップ営業になることだ。そのため、入社後は一日も早く知識を習得し、先輩方に営業同行させていただきながら、なるべく早い時期に支店全域の営業先を一人で回れるようになりたい。そして2年目には完全に独り立ちし、後輩の指導もできるくらいの力をつけたい。その後も現場経験を積み上げることで業界知識も営業スキルも磨き上げ、3~4年目ごろには後輩たちのロールモデル的な存在になりたいと考えている。

小論文を書くときの手順は?

続いて小論文を書いていく上での手順を紹介します。

小論文の構成・話の流れを決める

小論文は、採点する人が読んで解答の内容をきちんと理解できるような構成と話の流れを意識して書きましょう。例えば「あなたがこれまでにリーダーシップを発揮した経験を述べなさい」のように、聞かれていることが1つの場合は、以下のような順に書いていくと、小論文での主張がわかりやすく伝わります。

  1. 初めに、解答の中で述べようとすることを端的に伝える(私がリーダーシップを発揮したのは〇〇という場面だ)
  2. 次のブロックで、内容を詳しく説明、分析、解説する(具体的にどう発揮したのか、エピソードを交えながら書く)
  3. 最後に全体をまとめる(この経験は私自身を大きく成長させてくれた、など)

この段階では、どんな要素をどのような順番で小論文に書いていくか、メモ書きする程度で構いません。

ただし、問題で複数の項目が問われている場合など、上記の構成では対応しきれないケースもあります。例えば、「あなたがこれまで一番力を入れて取り組んだことは何か、またそれを今後の仕事の中でどのように生かしていきたいと考えるか、述べなさい」という問題文では、「これまで一番力を入れて取り組んだこと」と「仕事の中でどのように生かしたいか」の2つが問われています。この場合は、問題文で聞かれている以下の順番の通りに書いていくとよいでしょう。

  1. これまで一番力を入れて取り組んだことをまとめる
  2. それを今後の仕事の中でどのように生かしていきたいのか、説明する
  3. 全体のまとめ

字数配分を考える

字数を指定する表現には、「〇字以内」「〇字以上〇字以内」「〇字程度」の3種類があります。例えば「800字程度」なら、出題者は時間内にそれくらいの字数で文章をまとめる力を見たいと考えています。800字を大幅に下回ると、その意図に応えられません。

また、字数いっぱいまで書いていると、採点するときに好印象を抱く答案になるでしょう。もちろん中身を伴っていることが前提です。
そのため、小論文試験ではなるべく上限近くまで書きたいです。以下の例で、それぞれどれくらいの字数を書けば良いのかを示しますので、参考にしてみてください。

〇字以内

上限字数の8割は書き、9割以上を目指しましょう。「800字以内」の場合は、最低640字、720字以上が理想です。

〇字以上〇字以内

採用担当者は「指定の字数で考えをまとめる力」を見ているので、「〇字以上」という文字数の下限をクリアすればいいというものではありません。上記の「〇字以内」と同様、最低でも上限字数の8割、理想は9割以上書けるとよいでしょう。

〇字程度

指定文字数のプラスマイナス1割の範囲に収めましょう。「800字程度」であれば、720字~880字が目安です。

清書する

小論文に書く要素と流れを書いたメモを基に、清書をしていきます。文体は、学術論文などでも採用されている「だ・である」調で書くとよいでしょう。「です・ます」調は丁寧ですが、文章が長くなりやすい上、自分の主張を伝えるための文章としては印象が弱くなります。

誤字脱字などをチェックする

小論文を清書し終えたら、最後にチェックをしましょう。効率的にミスを見つける方法は「声に出して読み上げること」です。声に出すだけで、目視より誤字や脱字を発見しやすくなります。試験会場では、声を出すことはできませんが、「声には出さず、口を動かしてみる」だけでも十分効果があります。

小論文の例

これまでに紹介したポイントを踏まえて小論文を書くと、どのようになるのでしょうか?以下で例を紹介します。

【問題例】
市民が公務員に期待していることは何か、あなたの考えを述べなさい。

【解答例】
※初めのブロックでこれから述べようとすることを端的に伝える
 市民が公務員に期待していること、それは特別なことではなく「日々の仕事を誠実にこなす」ということだ。公務員の仕事は、予算や条例の原案作成や市の将来計画の策定、役所の窓口等での対応、苦情の受け付けなどさまざまあるが、これはどんな職務にも共通して言える。そして「誠実」には、二つの意味が含まれている。

※二つ目のブロックで、内容を詳しく説明、分析、解説する
 一つ目は、自分の仕事を一生懸命にやるという意味だ。公務員は市民の税金から給料を頂いているので、これは当然のことと言える。どうすれば市の課題を解決できるか、どうすればもっと効率的に仕事が進むか、日々考え積極的に提案や改善をすること、また、上の立場になれば、後輩やスタッフの指導にも意欲的に取り組まなければならない。
 二つ目は、コンプライアンスに反することをしないという意味だ。パワハラ・セクハラをしない、あるいは私生活も含め飲酒運転をしないなど、仕事を離れた場でも公務員として見られていることを忘れてはいけない。公務員がセクハラや飲酒運転などで処分されたり検挙されたりするニュースをしばしば見聞きするが、このような問題が起きると、市民からの期待を裏切ることになる。

※最後のブロックで全体をまとめる
 私はこれらの点を十分に留意して日々の仕事に誠実に向き合い、市民の期待に応える職員になりたい。

『全試験対応! 直前でも一発合格! 落とされない小論文』より

小論文の選考に向けた準備のポイントは?

小論文による選考がある企業を受ける場合は、ぶっつけ本番で臨むのではなく、事前に練習をしておいた方がよいでしょう。文章に自信のある人であっても、「言いたいことがうまくまとめられなかった」「予想以上に時間がかかってしまい、書き切れなかった」という声をよく耳にします。練習の際には、以下を参考にしてみてください。

小論文を書くのにどれくらい時間がかかるのか知ろう

小論文の選考は、多くの場合が試験会場で制限時間内に書いて提出します。例えば制限時間が60分の場合、初めの20分で答えるべきポイントをまとめ、文字数配分を考えながら下書き用のメモを取り、30分で清書、そして最後の10分で誤字脱字チェックができると理想的でしょう。

しかし、最近は文字を書く機会が減っているため、小論文を書くのに予想以上に時間がかかってしまったという学生さんも多いようです。過去問題などで小論文の文字数の目安をチェックして、「〇字の小論文を書くのに、自分はどれぐらいの時間がかかるのか」を把握しておくことをオススメします。初めは制限時間内に書けなくても、練習するうちに書くことに慣れて、時間短縮できるようになります。

練習する際は、志望企業や団体の過去問題に数年分挑戦すると、出題傾向がつかめるでしょう。過去問題が公表されていない場合は、同業他社で公表しているところを探してみましょう。

書いたものは、第三者に見てもらうこと

小論文の良し悪しは、自分自身では判断できないもの。第三者に読んでもらい、問題文に対して答えるべきポイントをとらえているか、わかりやすい内容になっているかなど、意見をもらってみましょう。頼む場合は、先輩やキャリアセンター(就職課)の職員、志望企業のOB・OGなど社会人の方に依頼してみてください。友人に頼むのも一つの方法ですが、文章を書くのがうまい人を選びましょう。

「自分の意見を持つ」トレーニングをすることも大切

志望企業や団体で出題される小論文のテーマが時事問題にまつわる傾向にあるならば、普段からニュースに目を通しておくことが大切です。その際は、ニュースに対して「自分なりの意見」を持つように心がけましょう

例えば、消費税増税に対して、自分は賛成か反対か、なぜそう思うのか。行政や企業で女性の活躍推進を進めるには、具体的にどのような取り組みを行うとよいと思うのかを考えてみましょう。
日ごろからニュースを聞き流すだけでなく、自分なりの意見を言えるよう考える習慣をつけておけば、選考本番で予想外のテーマが出題されたとしても、慌てることなく自分の考えをまとめられるようになるでしょう。

これは、自分にかかわることを問われる小論文も同様です。学生時代に一番頑張ったこと、挫折したこと、将来の夢、〇年後の自分、などを問われるケースが多いようですが、事実を伝えるだけでなく、「なぜそういう行動をとったのか」「なぜそう考えたのか」を深掘りして考える習慣をつけることで、より具体的で深みのある解答ができるようになります。

 

筆記試験では、小論文以外にもさまざまな問題が出題されます。SPI開発部が監修したリクナビの「言語・非言語Webテスト」でどんな問題が出るのか、見てみましょう。

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【調査概要】
調査期間:2019年6月7日~10日
調査サンプル:過去1年以内に新卒採用選考で「小論文」を出題したことがある企業の人事担当者300人
調査協力:楽天インサイト株式会社

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今道琢也さんプロフィール写真

【監修】今道琢也さん
元NHKアナウンサー。インターネット上の小論文指導塾「ウェブ小論文塾」代表。公務員試験や教員試験、マスコミ・一般企業の就職試験など、あらゆる分野の小論文を約2000枚添削・指導してきた経験を持つ。著書『全試験対応! 直前でも一発合格! 落とされない小論文』(ダイヤモンド社)が話題。

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記事作成日:2019年7月31日

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