プロが教えるエントリーシート書き方のコツと例文【企業のチェック観点も解説】

エントリーシート(ES)を書くに当たって、「何をどう書けばいいのかわからない…」「アピールの仕方がわからない…」と悩む人は多いようです。 そこで今回は、企業の採用担当者がESでチェックしている観点を踏まえ、エントリーシートの書き方と例文について解説します。

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エントリーシート(ES)とは?

エントリーシート(ES)とは、就活において学生が企業に提出する「応募書類」の一つ。企業に対して最初に自分をアピールする場となります。採用選考の第一段階であり、面接に進むと参考資料として使われることも多いのが特徴です。

エントリーシートで企業が見ている3つのポイント

企業はエントリーシートでは、主に自己PRと志望動機をチェックすることで、以下の3つのポイントを確認しようとしています

  1. あなたの能力・性格(何ができるか)
  2.  働くモチベーションが十分にあるか
  3. 「なぜ」その企業に魅力を感じたか

1. あなたの能力・性格(何ができるか)

主に、自己PRを通して確認されるポイントです。企業は、「あなたはどういう人なのかを知り、自社で力を発揮できそうか」を見極めようとしています。そのため、自己PRを考える際は、数ある自分の能力や性格のうち、その企業が求めるものは何かを踏まえて検討してみるとよいでしょう。例えば、物事にコツコツ取り組む姿勢を求めている企業に対して、「好奇心旺盛で行動力がある」と伝えては「うちには合わない」と評価されてしまうかもしれません。自分がアピールした能力や性格が、企業が求めている要素と合っているかどうかが重要です。

2. 働くモチベーションが十分にあるか

主に、志望動機を通して確認されるポイントです。仕事の成果は、能力とモチベーションの掛け合わせで最大化されるものです。また、仕事で大変なことがあっても、踏ん張って頑張ってくれそうな人かどうかも重要。企業は、本人の能力を最大限発揮できるくらいにその企業の事業や業務に動機づけされているのかどうかを知ろうとしています。

3. 「なぜ」その企業に魅力を感じたか

これも主に、志望動機を通して確認されるポイントです。企業に対して魅力を感じた理由には、その人のなんらかの価値観や判断基準が必ず存在します。その価値観や判断基準に至った背景や経緯が、本人のライフヒストリー(成育歴)に基づいているような、根っこの確かなものかどうかを企業は確認しています。

伝わるエントリーシートの書き方4つのポイント

自分の魅力や思いが伝わるエントリーシートを書くには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?伝わるエントリーシートを書くための4つのポイントを解説します。

1. 伝えたいポイントを絞る

わかりやすく相手に伝えるには、伝えたいポイントを絞ることが大切です。

サークル、ゼミ、アルバイト、ボランティアなど、学生時代にいろいろな活動をしてきた人に多いのが、さまざまなエピソードを盛り込みすぎて、一つひとつが浅くなってしまっているケースです。あれもこれもアピールしたい!と盛り込みすぎると、伝えたいことがぼやけてしまい、あなたの魅力が伝わりにくくなります。
エピソードの中から、「自分の意思で動き、何か結果につながったこと」をピックアップし、「その中でも特に印象に残っていること」に絞るといいでしょう。

2. エピソードは具体的に書く

アピールしたいポイントを伝えるには、読み手がイメージしやすいように、具体的なエピソードを入れることが大切です。

伝えたいポイントを絞ったら、その時のことを思い出しながら、「いつ、どこで、誰が(誰に)、何を、なぜ、どのように」したのかという軸で整理してみましょう。具体的に書くことで「あなたが実際に体験したこと」を読み手にリアルに伝えることができます。

3. 働く人の立場で考える

あなたの「自分らしさ」や「強み」を伝える目的は、入社後にどんな活躍をしてくれるかを相手にイメージしてもらうためです。働く人の立場で考えて書くことを意識しましょう。

「遅刻をしない」「締め切りを守る」などを強みとして挙げる人もいますが、これだけでは入社後の活躍イメージは伝わらず、強みとも言えません。「遅刻をしない」ために、どんな工夫をして、どんな行動を取っているのか。その過程から強みが何かを考え、社会人になったらこの強みをどう生かしたいのかを考えることが大切です。例えば、「遅刻をしない」ために、スケジュールを逆算して行動計画を立てているのであれば、「計画性がある」ことが強みになるかもしれません。

社会人としての活躍イメージを伝えることを意識して、あらためて自分の強みをどう伝えるかを考えてみるといいでしょう。

4. 簡潔に、わかりやすく書く

1つの文章がだらだら長いと、書かれている内容がわかりにくくなります。

読み手のことを考え、一文一文を短くして簡潔に伝えるように心がけましょう。コツは、「結論・理由・結論」の順を意識して伝えること。結論を簡潔に記入した後、その根拠となる理由や具体的なエピソードを付け加えます。
その上で、自己PRであれば「このような理由で、貴社で活躍できると考えています」、志望動機であれば「このような理由で、貴社に入社したいと思っています」などと付け加えると伝わりやすくなります。

エントリーシートのよくある基本項目の書き方と例文

エントリーシートの書式や質問内容は企業によって異なりますが、名前や生年月日などの「基本情報」のほか、「自己PR」や「志望動機」「ガクチカ」「長所・短所」などを聞かれることが一般的です。また、インターンシップのエントリーシートでは、「インターンシップで学びたいこと」がよく聞かれます。

ここでは、以下の項目について、書き方のポイントをご紹介します。

基本情報の書き方と例

氏名、住所、メールアドレス、日付、生年月日、電話番号などを書く欄があります。

住所は都道府県名から、マンション・建物名なども省略せずに記入しましょう。また、長期休暇中に企業から書類が届く場合がありますので、「現住所以外に連絡を希望する住所」の欄がある場合は、それも正しく記入してください。電話番号は日中連絡が取りやすいものを。日付は、応募先企業に提出する日を記入します。メールに添付して提出する場合は送信日を、郵送する場合は投函日を、持参する場合は持参日を記入しましょう。

▼基本情報の書き方と例

エントリーシート基本情報の記載例

学歴の書き方と例

どの時点から書くべきか、明確な決まりはありませんが、新卒の就活では義務教育の卒業時である「中学卒業」から書き始めるのが一般的です。学校名は省略せず、正式名称で記入するようにしてください。
なお、大学受験や資格取得のための予備校については、一般的には記入しません。

▼学歴の書き方例

エントリーシート学歴の記載例

学歴の書き方例:中退した場合

令和○○年○月 ◯◯◯◯により、〇〇大学□□学部○○学科 中途退学

志望動機の書き方と例文

エントリーシートで聞かれることが多いのが、志望動機です。

志望動機を書くときは、まずは「仕事選びの軸を考える」、次に「なぜこの企業に魅力を感じたのかを考える」、そして「入社後の活躍イメージを伝えてまとめる」のがポイント。あなたの仕事選びの軸とその企業との接点、そしてその企業のどんなところに魅力を感じているかを伝えましょう。さらに、そこに自分の強みも一緒に伝えることで、あなた自身の思いを伝えられるとともに、入社後の活躍イメージを持ってもらいやすくなると思います。

志望動機の例文1:「研究・開発」の仕事に引かれた場合

医療機器の開発に携わりたく、貴社を志望します。私は大学院で光に関する研究に取り組んできました。学会などで話を聞く中で、光に関する知識・技術の医療分野への応用の可能性がまだまだ広がっていること知り、医療機器開発という分野でこれまで学んだ知識や、研究を通して培った粘り強さを生かしたいと思いました。最新の知識・技術を追求しながら、より使いやすく、高性能な製品の開発や、新しい製品の開発に貢献したいと思います。

志望動機の例文2:企業理念、事業戦略に引かれた場合

「既存の商品に追随するのではなく、新しさのある商品を積極的に生み出す」貴社の理念に共感しました。私は、イベント企画サークルで「前例を踏襲するのではなく、何かしらの改善や、新しいことを」という考えで活動しています。例えば、新入生歓迎イベントでは例年バーベキューをしていたのですが、友人同士で固まってしまい、新しい交流が生まれないことを課題に感じていました。そこで私は、参加者全員と必ず1回は話すように仕掛けたゲームを取り入れるようにしてみました。結果、参加者からも好評で、ひと工夫することでより良くできることを実感しました。貴社においても、この姿勢を生かして仕事に臨みたいと思います。

志望動機の具体的な書き方や例文について、さらに詳しく知りたい方はこちらから↓

【例文あり】伝わる志望動機の書き方とは?プロの添削付きで解説(新卒向け)

【例文12選】新卒就活「志望動機」書き方と人事のチェックポイント

自己PRの書き方と例文

自己PRで重要なのは、自分らしさを具体的にエピソードと共にわかりやすく伝えること。

長い時間一緒に働く仲間として「どんな人なのか?」「どういう個性で、何を得意としているのか?」などを正しく人事担当者に理解してもらうことが大切です。また、伝える際は自分の強みや長所、個性、スキルなどをアピールするだけでなく、それらを裏づける根拠を示すことが重要。「こういうことをした」という事実や結論を書くとともに、そこに至ったプロセスを具体的に示すことであなたらしさを伝えられるでしょう。

自己PRの例文1

私はどのようなタイプの人とも良好な人間関係を築き、リーダーとして「一人も取り残さない」組織をつくることができる人間です。
中学時代にふとしたきっかけで自分が仲間外れにされた経験があり、取り残されることのつらさや寂しさを痛感しました。その時、勇気を出して声を掛けてくれた友人がいたことで、孤独にならずに済み、心から感謝しました。また、寄り添ってくれたことで自分自身に欠けていることを理解でき、仲間外れにされた友人たちと再び仲良くなることができました。どのようなタイプの人であっても、寄り添ってくれる人がいれば変わることができると感じ、以来、自らリーダーシップを発揮し、グループ内で仲間外れにされている人や、ついていけていない人がいたら、その人も巻き込んでみんなでハッピーな人間関係をつくることを心がけてきました。社会人になったらリーダーとして周囲を巻き込み、一人も取り残さない組織をつくっていきたいです。

自己PRの例文2

私は「お客さま第一」をモットーに、目の前の人が求めていることに対し、プラスアルファの気配りができる人間です。
高校時代から現在まで、ファストフード店のアルバイトを続けてきました。その中で、お客さまに目を配る意識が芽生えたため、頼まれていなくても椅子やテーブルを整理したり、子どもにおもちゃをプレゼントするサービスをしたり、トイレ清掃に力を入れたり、お客さまが快適に過ごせるように工夫を重ねてきました。
店長からも信頼してもらうことができ、大学1年生になってからはバイトリーダーとして新人の指導を任されるようになりました。また、現在までに、お客さまへの対応や清掃を徹底する改善策を自ら提案し、店舗スタッフ全体の取り組みとして実施することができています。
学生時代に身につけた気配りの力を生かして、社会人になってからはより多くのお客さまのために、プラスアルファの提案をしていきたいです。

自己PRの例文や伝え方について、さらに詳しく知りたい方はこちらから↓

【プロが解説】自己PRで使えるアピールポイントの見つけ方・伝え方

自己PRの例文18選|アピールポイント別に一挙紹介!

学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)の書き方と例文

企業がガクチカを聞く場合、学生が自発的に行動したことに関して、どのような思考をし、どのような工夫をして、どのくらい情熱を傾けて頑張ったのかを知りたいと考えています。また、ガクチカを通して把握した学生の「人となり」や、行動の特徴について、「自分たちの会社で仕事をしていく上で合っているか」という観点から、入社後に活躍する期待値を判断しています。

エントリーシートに自己PRとガクチカの両方が必要な場合、双方のエピソードが書き分けられるのが理想でしょう。両方ともサークル活動をエピソードとして取り上げる場合、例えば自己PRはチームメンバーと一緒に取り組んだ話、ガクチカは個人で取り組んだ話にするなどです。自己PRでは「自分はこんな人間です」「こんな強みがあります」といったアピールポイントに力点を置き、ガクチカでは「こんなふうに思考しました」「こんな工夫をしました」など、プロセスを詳しく伝えるようにすればよいでしょう。

なお、人事が重視するのは、エピソードの華やかさではなく、ガクチカのプロセスに「人となりや特徴が表れているかどうか」の一点に尽きます。ですから、結果が出なかったり、失敗に終わったりした経験でもOKですし、特別な経験である必要もありません。

ガクチカの例文1(学業)

私が力を入れたことは、大学の単位を効率よく取得することです。大学時代は学業だけでなく、ボランティアや志望業界のアルバイトにも時間を使いたかったからです。履修登録の際はシラバスを確認し、同じ学部の先輩から情報を収集。極力空きコマを作らず、1、2年生で上限いっぱいの単位が取得できるよう綿密な計画を立てました。心がけたのは、提出課題を空きコマで片づけるなど、日々の勉強は大学内で完結させることです。難易度の高い単位もありましたが、全授業で履修友達をつくり、共に勉強することで乗り切りました。その結果、3年生以降はゼミのみに集中できました。計画性と、それを実行に移す工夫で、大学生活の時間を何倍も充実させることができたと思います。

ガクチカの例文2(アルバイト)

私が力を入れたのは、自宅の近所にあるコンビニエンスストアのアルバイトです。最初は品出し、棚卸し、調理や宅配の受け取りなど覚えることが多く、要領が悪くてお客さまに叱られることがたびたびありました。でも半年ほどたつと、常連さんとの会話も増え、好みの商品を覚えて、「売れ筋は何か」「どの商品がいつ売れるのか」を観察するのが面白くなりました。売り上げが伸び悩んでいた時期、店長に「住宅街なので、シニアや主婦層向けの商材をもっと充実させてはどうか」と提案したことが実行されて、実際に売り上げが伸びたときは、大きなやりがいを感じました。日々の仕事の中に自分なりの着眼点を持つことで、結果につながることを知りました。

ガクチカの例文3(趣味)

私は、趣味のカメラに没頭しました。もともと友達の写真を撮るのが好きでしたが、「もっといろいろな表現がしたい」と一眼レフを購入してからは、身近な自然や風景の撮影をすることに夢中になりました。一眼レフは操作が難しく、最初はピントが合わないなどの失敗続きでしたが、「毎日撮る」「多くシャッターを切り、撮った写真を見直す」を繰り返すうち、次第にイメージ通りの写真が撮れるようになりました。その後SNSに写真用のアカウントを立ち上げたところ、8000人のフォロワーを獲得。「いつか日本で一緒に写真を撮ろう」と約束する海外のカメラ仲間もできました。好きなことを継続することで、世界が広がる可能性を感じた経験でした。

ガクチカの例文4(サークル・部活)

英語劇のサークルで、新入生の勧誘に力を入れました。当時2年生が数名しかいなかったため、翌年以降の運営を考えて多くの仲間を迎えたかったからです。ところが対面での勧誘は、ほかの大規模サークルに埋もれてしまい、あまり効果が出ませんでした。そこでSNSでの勧誘に切り替えて、練習や合宿、舞台の様子を発信しました。そこでは私たちの魅力を伝えるだけではなく、授業のことや友達づくりについてなど、新入生からの質問や相談に応じ、大学生活への不安を解消することにも力を注ぎました。その結果、12名もの新入生が入部してくれることになりました。この経験から、他者に働きかけるときはまず相手の思いを受け止めることが大切だと学びました。

ガクチカの例文5(日常生活)

家族の食事作りに力を入れました。大学にお弁当を持っていくのを機に自立のつもりで、家族4人の朝食と夕食作りを3年続けています。学業と両立するには、いかに効率よく彩りとバランスの良いメニューをそろえるかが課題です。そのため料理ノートに毎週の献立を作成し、食料品の買い物とホームフリージング、常備菜作りを週2回にまとめています。またメインには、保温調理器に「おまかせ」できる料理を活用しています。学業が忙しい時期は大変でしたが、新メニューを披露したときの家族の楽しげな顔に励まされ、時にはインスタント食品を活用しながら続けてきました。今はレシピを見ずに作れるものが100品を超え、「継続は力なり」を実感しています。

「学生時代に力を入れたこと」の例文や伝え方について、さらに詳しく知りたい方はこちらから↓

ガクチカとは?探し方、書き方のコツを解説【例文5つ】

長所・短所の書き方と例文

長所や短所は、その人の能力や性格、価値観を基に、これまでの行動パターンに共通したその人ならではの行動や思考の特徴のことを指します。長所・短所を考えるときは、「好奇心旺盛」「慎重」「最後までやり切る力がある」などのように、まずは自分の特徴をいくつか書き出してみましょう。特徴を書き出していったら、それらの中から長所や短所になるものを選んでいきましょう。

人の特徴を表現する言葉には、表と裏があります。例えば、「頑固」は一見すると短所に見えますが、「やり切る力がある」と言い換えて書くと、仕事内容によって大きな強みになり得ます。そのほかの特徴も同様です。中には、短所として「約束の時間をいつも守れない」のように、ポジティブに転換しづらい内容を正直に書こうとしてしまう就活生もいます。しかし、採用選考時に人事担当者に向けて、不採用の決め手になってしまうようなマイナスの情報をあえてさらけ出す必要はありません。

企業は、エントリーシートに書かれた長所や短所を通じて、学生の特徴を知りたいと考えています。なぜなら、どんな特徴を持った人かを知ることで、入社後にどんな状況でどんな特徴を発揮できる人物かを判断するからです。

長所・短所の例文

私の長所は、主体性があることです。自分が決めたことをやり遂げるために主体性を持って動くことができます。学生時代に大会出場を目標にダンスサークルを立ち上げ、ほとんどが未経験者のメンバーだったところから大会出場を果たしました。
一方で短所は、時に自分の考えで突っ走ってしまうところにあります。そのため、相手の気持ちを知ること、尊重することを常に心がけています。サークルを運営していた際も、メンバー一人ひとりと地道に意見を交わして意識の統一を図り、その結果4年間誰も辞めることなく全員で大会にも出場することができました。

長所・短所の例文や伝え方について、さらに詳しく知りたい方はこちらから↓

エントリーシートに書く長所・短所の例、考え方と書くときのポイント【プロが解説】

インターンシップで学びたいことの書き方と例文

インターンシップ(インターン)に応募する際、エントリーシートが必要になることも少なくありません。「インターンシップを通して学びたいことは?」と参加動機を聞かれることも多いでしょう。

この記事で紹介する「インターンシップ」は、リクナビ2026の名称に基づいた、就業体験のある5日以上のプログラムのことを指します。
リクナビ2026の「インターンシップ&キャリア」についての詳細はこちら

「インターンシップを通して学びたいこと」を考える上で大切なのは、まず公表されているプログラムの内容をきちんと読んで、主催者の狙いは何かを考えることです。
例えば、社員の働いている様子を近くで見る機会のないプログラムなのに、「会社の風土を知りたい」と書いては、ピントがずれていると思われかねません。

次に大切なのは、「学びたいこと」だけでなく、「なぜそう思うように至ったのか」を考えておくことです。「視野を広げたい」「多様な価値観を学びたい」といった一般論や理屈ではなく、「学校のゼミでの〇〇といった経験から、貴社のインターンシップで△△について学びたい」というように、個人の経験にひもづいた理由があると、説得力のある内容になるでしょう。

また、インターンシップは期間が限られています。短期間での劇的な変身願望よりも、「今すでに持っている自分の要素をもっと伸ばしたい」という表現の方が、企業にはポジティブな印象を与えるかもしれません。

インターンシップで学びたいことの例文

IT企業での「チームに分かれてスマートフォンアプリの企画立案をし、社員から審査を受ける」1週間のプログラムに応募する場合

このプログラムを通して、スマートフォンアプリ開発の工程を学び、どんな人たちとの協業によってアプリが完成していくのかを学びたいと考え、応募しました。大学のゼミでは現在4人で論文に取り組んでおり、自分にはない仲間の発想に刺激を受けたり、意見をまとめることに苦労したりしながら、チームで完成を目指しています。大学でのこのような経験が、会社のプロジェクト遂行においてどの程度役に立つのかチャレンジし、チームで仕事を成し遂げる難しさと達成感を体感したいと考えています。

インターンシップで学びたいことの例文や伝え方について、さらに詳しく知りたい方はこちらから↓

【例文付き】「インターンシップで学びたいこと」の書き方をプロが解説!

エントリーシートを書く際に守りたいマナー

エントリーシートを書く際には、最低限以下のポイントを押さえましょう。

普段の話し言葉は使わない

「~な感じ」「わたし的には」などの話し言葉は、社会人と接する上では適さないので使わないようにしましょう。下書きをして客観的に見直し、普段の話し言葉を使っていないか確認してください。

顔文字や記号は使わない

エントリーシートは企業に提出する公式の応募書類です。メールやSNSでよく使う顔文字や「☆」「!」などの記号、そして(笑)(泣)などの使用は公式書類にはふさわしくないので避けたいものです。気持ちを表現したい場合には、言葉で伝えるよう心がけましょう。

大きな余白はできるだけなくす

「志望動機」や「自己PR」などの記入欄は、なるべく余白のないように記入しましょう。記入欄の大きさは、企業がその質問に対する適切な回答スペースとして設けているものです。「書くことがないから…」と大きな余白を残すと、「やる気がない」「熱意に欠ける」と受け取られる可能性があるので注意が必要です。

なお、手書きの場合、余白を埋めるために全体のバランスを崩すような大きな文字で書くのは避けましょう。書くことがなく、ごまかそうとしていると誤解される可能性もあります。

手書きの場合、読みやすい文字で丁寧に記入する

手書きの場合は黒のボールペンまたは万年筆を使って、丁寧に記入しましょう。字のうまい、下手にかかわらず、読み手のことを考えて、読みやすい字で書くことが大切です。

誤字・脱字に注意する

誤字・脱字ゼロは社会人の基本です。誤字や脱字があった場合は、注意力不足や雑な印象を与えてしまうこともあります。記入後は見直しを忘れずにしましょう。

エントリーシートを送る前のセルフチェックポイント

エントリーシートを企業に送付する前には、以下の項目に従ってセルフチェックをしましょう。

Webからエントリーする場合のチェックポイント

  • 変換ミスはないか
  • 機種依存文字を使っていないか
  • スペースの8割以上を埋めたか
  • 日付はエントリーシートの送付日になっているか
  • 普段の話し言葉は使っていないか
  • 顔文字や記号は使っていないか
  • 誤字・脱字はないか

手書き書類でエントリーする場合のチェックポイント

  • 文字は誰が見ても読めるようになっているか
  • 文字は適切なサイズ、バランスで書かれているか
  • スペースの8割以上を埋めたか
  • 日付は投函日を記載したか(作成日ではない)
  • 写真は剥がれないようにしたか、万が一剥がれたときのために裏側に記名をしたか
  • 消せるボールペンを使用していないか
  • 普段の話し言葉は使っていないか
  • 顔文字や記号は使っていないか
  • 誤字・脱字はないか

エントリーシートを書いている学生

エントリーシートの書き方に関するQ&A

ここでは、就活生が悩みがちな内容について、回答していきます。

Q. 趣味・特技欄には何を書いてもいいの?

A. よく質問されるのが、ゲームやアニメを記入してもよいですか?という内容。自身が打ち込み、熱中してきたものであれば、基本的には何を書いてもOKです。面接の際に、話のとっかかりになることが多いので、話しやすいものを選ぶといいでしょう。

Q. 「リーダーシップを発揮した経験を教えて」という質問がありましたが、リーダーの経験がないので書けない場合は?

A. 「リーダーシップを発揮した経験」と「リーダーの経験」は違います。ここで問われているのは、サークルや部活動、アルバイト先など、何かの組織の中であなたが率先して周囲を引っ張った経験のこと。
例えば、チームワークを維持するためにメンバーの間に入り、率先してみんなの意見を調整した、などの経験はありませんか?「チームをまとめるために、自分なりに一番頑張ったこと」をエピソードとして交えながら伝えることで、リーダーシップは伝わるでしょう。

Q. 大したことをしてきていないのでエピソードに自信がなく、答えにくいときは?

A. 誰もが目を見張るような経験がなくてもいいのです。積極的に取り組んだ工夫、姿勢、行動を前面にアピールしましょう。
例えば、サークルもバイトもしていない、ただ勉強だけを頑張ってきた…というケースであれば、「いい成績を取るという目標のため、何を考え、どう行動したのか」を整理して記入すれば、目標達成意欲の高さや、計画を立てて着実に行動できるといった強みがアピールでき、あなたの個性が伝わるでしょう。

Q. 学業、アルバイト、趣味、部活・サークルの中で、どのテーマをアピールすれば良い?

A. アピールする内容は、自分なりに積極的に取り組んでいたことであれば、何をアピールしても大丈夫です。どのテーマをアピールする方が有利/不利といったことはありません。
大切なのは、どう考え、どう行動し、その結果どうなったのかを具体的に語れることです。

Q. アルバイトのエピソードを書く学生は多そうですが、かぶっても問題ない?

A. まったく問題ありません。ほかの学生とかぶらないように珍しいエピソードを話そうとする必要もありません。例えば「自分としては頑張ったけど、大型チェーン店のアルバイトなんてありきたりだから書くのはやめよう」と考える人もいるかもしれませんが、非常にもったいないと思います。企業が見ているのは、あなた自身が経験したこと、その中で感じたこと、行動したことです。具体的なエピソードと共に、アルバイトで発揮したあなたの特性を伝えることを意識してみてください。

Q. エントリーシートと履歴書はどう違う?

A. エントリーシートは採用選考に使う書類で、履歴書は人事データとしても使う公的な書類です。
エントリーシートはあくまでも、採用選考において参考にするもの。一方の履歴書は、選考が終わった入社後も、データが保管されるケースが多くあります。履歴書に記載した氏名、生年月日、住所、連絡先、学歴などが従業員データとして使われるのです。また、履歴書は公的書類のため、記載事項に虚偽があった場合は「私文書偽造」に当たり不採用、解雇の原因にもなり得ます。フォーマットも企業が独自に用意する場合や、学校独自の履歴書などがあります。
企業によっては、エントリーシートと履歴書の両方を提出するよう求められるケースもあるでしょう。この2つの書類は、使う目的が違うため、同じ項目があった場合に、内容が重複していても問題ありません。なお、エントリーシートの提出がなく、履歴書のみ提出を求められる企業の場合は、履歴書の内容を基に選考が進みます。この場合は、履歴書に「自己PR」や「志望動機」をしっかりと書き込みましょう。

(エントリーシートの書き方まとめ)読みやすさ・伝わりやすさを意識して書こう

エントリーシートの書き方には「これが正解!」というものはありません。だからこそ、まとめ方に悩む人も多いでしょう。しかし、今回ご紹介したコツやポイントを押さえることで、読みやすく、伝わりやすい文章にすることは可能です。特筆すべき経験や実績がない…と不安に思う必要もありません。自分なりに努力してきたこと、工夫を凝らしてきたことを、自信を持ってアピールしましょう。

「OpenES」を使えば、あらかじめ登録したES・履歴書を4000社以上に提出できるので、ES作成にかかる時間を大幅に短縮できます。中には「OpenES」しか受け付けていない企業もあるので、ぜひ活用してみましょう!

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

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記事作成日:2017年9月27日 記事更新日:2023年10月30日
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