テレビ局は、以下の5つに大別できる。
キー局は地方局を「全国ネット網」として組織し、全国的な放送網を構築している。 さらにキー局はBS・CS各局を関連会社に持っている場合もある。
民放局の収益はCMによる広告収入が中心である。 株式会社電通が発表した「2016年 日本の広告費」によると、2016年の「総広告費」は6兆2880億円、前年比101.9パーセントとなり、5年連続でプラス成長となった。 そのうち、「テレビメディア広告費」(地上波テレビ+衛星メディア関連)はマスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の中でも飛びぬけて大きく、1兆9657億円(前年比101.7パーセント)と、総広告費の3割以上を占める。 2011年は東日本大震災の影響もあって、一時的に広告市場は縮小したが、それ以降のテレビ広告は緩やかではあるものの、拡大傾向が続いている。
しかし、「マスコミ4媒体広告費」(衛星メディア関連を含む)全体でみると、2兆8596億円、前年比99.6パーセントと、減少傾向にある。 消費者のマスコミ4媒体への接触時間は減少傾向にあり、中長期的にマスコミ4媒体の広告費も縮小傾向が続くのではないかと懸念されている。
一方、2016年の「インターネット広告費」は1兆3100億円(前年比113.0パーセント)となっており、急激な伸びを見せている。
テレビのビジネスモデルは、視聴者から利用料を徴収せずに広告費で収益を上げる「無料放送」と、加入者からの利用料で収益を上げる「有料放送」に分かれる。
無料放送を行う民放局は、視聴者に支持される番組を作り、広告代理店を通じて広告主(番組スポンサーとも呼ばれる)にCM枠を売り、その広告収入で番組を制作する。 しかし、テレビを視聴する世帯が減り続けている中で、広告収入の大きな伸びは今後も期待できないため、広告以外の収益構造作りが行われている。 例えば、過去に放送した番組を有料でインターネット視聴できるようにする、人気ドラマをDVD化して販売するなどの取り組みも盛んだ。 また、製作委員会方式(映画会社とさまざまな企業が協力して、映画などの製作を行う仕組み)に参加することも収益源の一つとなっている。 映画がヒットすれば出資比率に応じた収入が得られるほか、映画上映から一定期間が経過した後には、テレビで放送することによって収益を得ることもできる。 これ以外にも、例えば夏休み期間中に子ども向けイベントを開催したり、主婦層に向けた通販番組を手掛けたりなど、各局は事業の多角化を図っている。
地方局は、より地方に密着することで価値を高め、ビジネスチャンスを拡大している。 インターネットで世界中に情報が広まる時代だからこそ、地域と密接な関係を築いた放送局にしかできない独自の番組制作を通じて、価値のある情報を視聴者に届けようとしている。 最近では、地方の観光名所などを外国人に紹介する番組を作成し、海外に輸出するといった動きも見られる。
有料放送は、海外ドラマやスポーツ番組、オリジナルドラマの制作など、加入しないと見られないコンテンツを揃えて独自性を出している。
またラジオでは、パソコンやスマートフォンから番組を聴くことができる、 IP サイマルラジオサービスの利用者が堅調。 さらに、有料で全国のラジオ局を聴取できる「エリアフリー」の会員数を増やし、新規リスナーの獲得を進めている。
映画、ドラマ、アニメ、ドキュメンタリーなどの動画配信サービス。 定額見放題制と、作品ごとに料金を支払うPPV(ペイ・パー・ビュー)制がある。DVD・CDなどのレンタルを手掛ける企業や通信会社のほか、NHKや民放局もサービスを展開している。
「i-dio」とは、地上アナログテレビ放送終了後に空いた周波数帯を利用して創設された、既存のテレビでもラジオでもない「第3の放送」のこと。スマートフォン用のアプリを通じて、音楽チャンネル、ショートムービーなどの映像放送や、車の走行位置に応じた交通情報や天気情報などのマルチな放送サービスを展開する。
デジタル放送の機能を使って視聴者投票を行ったり、Twitterなどを使って放送中に意見を募集したりするなど、放送時にリアルタイムで視聴者が参加できる番組が増えている。
キー局も地方局も新聞社が資本参加していることが多い。ニュース番組などで制作協力するなどのつながりがある。
人気ドラマの映画化や製作委員会方式での映画など、テレビ局の社員が映画製作に深くかかわることもある。
テレビ局は番組内容の方針が決まると、営業や広告代理店を通じて広告枠を販売。スポンサーがつくことで、番組作りの予算も大きく変わってくる。
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【監修】吉田賢哉(よしだ・けんや)さん
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 上席主任研究員/シニアマネジャー
東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。
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※記事制作時の業界状況を基にしています
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出版社には、多彩なジャンルの雑誌、書籍を手がける総合出版社と、文芸、情報、学習参考書、地図など特定の分野に強みを持つ出版社とがある。 出版科学研究所によると、2016年の雑誌・書籍の推定販売金額は前年比3.4パーセント減の1兆4709億円で、12年連続で前年を下回った。書籍はヒット商品の有無によって、販売金額は大きく変動するが、1996年をピークにしばらく低落傾向が続いている。雑誌はそれ以上に減少が続き、2015年の前年比8.4パーセント減に続き、2016年は前年比5.9パーセント減の7339億円。書籍の販売金額を41年ぶりに下回った。
テレビ局は、以下の5つに大別できる。1. 公共放送局の「NHK」2. 民間放送局(以下、民放局)である、番組を全国配信している「キー局」3. 各地域の情報を扱う「地方局」4. 衛星放送などで提供される「BS・CS局」5. ケーブル網で放送する「CATV(ケーブルテレビ)局」キー局は地方局を「全国ネット網」として組織し、全国的な放送網を構築している。さらにキー局はBS・CS各局を関連会社に持っている場合もある。
広告とは、商品やサービス・アイデアを多くの人に伝えるためのもの。従来はテレビやラジオを使ったり、新聞・雑誌に掲載したりしていたが、インターネットの普及に伴い、近年ではWebを使うケースも広がっている。広告業界の仕事には、広告を出したいと考えている広告主に対して提案したり、広告企画やイベントの制作・運営をしたり、広告を出す場所や時間帯などの「広告枠」の販売などがある。
※1 2024年3月6日時点のリクナビ2024の掲載情報に基づいた各企業直近集計データを元に算出