就活の二次面接では、人事担当者はどんな点を見ているのでしょうか?二次面接を担当したことのある社員へのアンケート結果と、人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和利光さんによる解説を基にご紹介します。
目次
まず、二次面接は、どのような社員が担当しているのでしょうか?二次面接を担当したことがある社会人333人に担当時の役職・ポジションを尋ねたところ、最も多かったのは「現場社員(責任者・管理職)」で34.8%。次に「人事担当者」(23.4%)、「現場社員(一般社員)」(22.5%)、「役員」(18.0%)が続きました。
■二次面接を担当した際の役職・ポジションを教えてください(n=333、単一回答)
次に、二次面接で見ているポイントを尋ねたところ、最も多かったのは「企業とのマッチ度」で66.1%。次いで、「入社意欲」(64.0%)、「会話力、論理的思考能力などの学生の特徴」(53.5%)という結果に。そのほかにも、「企業や事業に対する理解度」(43.5%)、「将来のビジョン」(38.1%)を見ている人もいるようです。
■二次面接では、学生のどんな点を見ていますか?(n=333、複数回答)
なお、役職・ポジション別に見てみると、現場社員(責任者・管理職)と人事担当者において、1位が「企業とのマッチ度」(責任者・管理職65.5%、人事76.9%)、2位が「入社意欲」(責任者・管理職64.7%、人事74.4%)となり、現場社員(一般社員)においては、1位が「入社意欲」(61.3%)、2位が「企業とのマッチ度」(58.7%)となりました。
大手企業の場合、一次面接と二次面接の目的を分けて設定している場合が多い傾向にあります。一次面接は、多数に上る応募者をある程度の人数に絞り込む場。具体的には、会話力や論理的思考力など、ビジネスパーソンに必要な基礎的な能力の有無を判断します。これを、現場社員を含めた社員で手分けして行います。
二次面接は、面接参加者の性格や能力、価値観を把握し、自社が求める人物像に合致しているかどうかを見極める場。性格や能力、価値観を見極めるにはスキルが必要ですから、一次面接によってある程度人数を絞った上で、二次面接で現場の管理職や人事など「人を見る」ことを仕事にしている人たちによって見極めていくのです。アンケート結果において二次面接で見るポイントとして「企業とのマッチ度」が最も多かったのは、応募者の性格や能力、価値観が自社の求める人物像と合っているかを測っていることの表れだと思います。
ただし、企業によっては、一次面接の段階で性格や能力、価値観まで見る場合があったり、基礎的な能力を見る面接を複数回行った上で性格や能力、価値観が求める人物像に合致しているかを見極める面接を行う場合があったりします。また、求める人物像として複数掲げているもののうち、絞り込みの基準に当たるものは一次面接で見る場合もあります。
その面接が基礎的な能力を見るものなのか、個人の性格や能力、価値観と求める人物像への合致度合いを見るものなのかは、面接担当者が現場社員なのか、人事ないし現場の管理職なのか、というところで判断するとよいでしょう。
では、面接担当者は二次面接でどのような質問をするのでしょうか?アンケート結果をご紹介します。
・入社してやりたいことを教えてください。
・なぜ当社で働きたいのですか?
・仕事についたら何を目的に頑張りたいですか?
・あなたはこの会社のマネージャーとなったときに、どう会社を引っ張っていきたいですか?
・10年後のあなたは、どうなっていますか?
・学業以外に最も力を入れていることを教えてください(掘り下げて詳しく聞き、入社後の業務につなげられるか判断する)
・組織人としての「成功」とはどういうものだと考えますか?
・これまでの人生で「われながらすごいことをしたな」というエピソードがあれば教えてください。次に、大きな失敗をしたエピソードがあれば教えてください。
・学生時代に自らが行った問題解決について教えてください。
・好きなことは何ですか?そのためにこれまで何をしてきましたか?その結果、得られたものは何でしたか?
・自身の長所と短所をどのように把握していますか?それを今後どう生かして生きていきたいですか?
・壁にぶち当たった際、どうしますか?
・学生時代に取り組んできた研究について教えてください。
・当社の強みをどのように考えていますか?
・業界の近未来予測をしてください。
・入社したら、どの部門でどのような仕事をしたいと考えていますか?
・5年後、10年後の自分の姿をどのように考えていますか?
・当社入社後の将来ビジョンを教えてください。
・あなたの将来設計を教えてください。
分類はしていますが、実際は、例えば、「学生時代に力を入れたことは?」という質問を通して、特徴だけでなく企業とのマッチ度も見るなど、1つの質問に対する回答を複数の観点で評価している場合もあります。どの質問も「どのような性格や能力、価値観を持った人なのか」「それは自社の求める人物像に合致しているのか」という点を中心に見るためのものだということを念頭に置いて面接に臨むとよいでしょう。
これらを踏まえて、曽和さんに二次面接に向けてやっておきたい準備を教えていただきました。
先述した通り、二次面接と一次面接では、評価の観点や基準が異なります。例えば、同じ「学生時代に力を入れたことは?」という質問であっても、一次面接であればエピソードをわかりやすく伝えられれば通過する可能性がありますが、二次面接になると、そのエピソードを通して「だから私はこういう人となり(性格、能力、価値観)です」「そしてその性格または能力、価値観は御社の求める人物像に合っているんです」というところまで伝えることが重要になってきます。
したがって、二次面接に向けては、自分の性格や能力、価値観を伝えるための具体的なエピソードの中から、面接を受ける企業が求める人物像に合致することがわかるエピソードを選び、伝える準備をすることがポイントとなります。その方法は2つあります。
1つ目は、企業が明示している「求める人物像」を調べてみることです。企業の採用ページに書かれていたり、会社説明会で話していたりすることが多いです。その中から、自分と合致するものを見つけて、それを具体的に表すエピソードを自分の経験の中から選ぶといいでしょう。
2つ目は、自己分析・適職診断ツールに用いられている「この仕事にはこういう特徴を持った人が向いている」という枠組みを参照して、面接を受ける企業の主たる業務に適した人の特徴を調べ、それに合うエピソードを自分の経験の中から選ぶことです。
なぜ2つ目も提案するかというと、企業が明示している「求める人物像」が採用基準と合致していない場合があるためです。企業も意図しているわけではなく、社内の分析が不十分なために、その企業で活躍している人物の特徴をうまく求める人物像の表現に落とし込めず、求める人物像と採用基準(=活躍している人物の特徴と合致する人)に乖離(かいり)が起こってしまう場合があるのです。
したがって、できることなら、1つ目と2つ目の両方を見た上で伝えるエピソードを決められるとよいでしょう。
アピールする特徴やエピソードを検討する上で一つ注意したいのが、社会的に「良い」と考えられる傾向にある特徴を伝えれば評価されるとは限らないということです。例えば、「好奇心が旺盛」という特徴は、幅広い業種の顧客を担当する仕事であれば評価される場合がありますが、コツコツと時間をかけて進めなければならない仕事であれば「目先の変化がなければ飽きてしまう人」と評価される場合もあります。
すなわち、どんな特徴であっても、評価する企業があれば評価しない企業もあるということ。一度、自分の特徴を書き出してみて、ポジティブな特徴であればネガティブな表現に、ネガティブな特徴であればポジティブな表現に変えてみましょう。そして、これから二次面接を受ける企業はそれらをどう捉えるかを検討し、ネガティブに評価されない特徴とエピソードを選ぶとよいでしょう。
【調査概要】
調査期間:2018年8月6日
調査サンプル:過去5年以内に新卒採用の二次面接の面接担当者経験がある社会人333人
調査協力:株式会社ジャストシステム
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【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。
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