「やむを得ない事情で予定していたインターンシップに行けなくなってしまった」「志望度のより高いインターンシップと日程が重なってしまった」など、さまざまな理由でインターンシップをキャンセルせざるを得ない状況があるかもしれません。キャンセルの連絡について人事はどう感じるのでしょうか。選考に影響するかどうかについて、アンケートで聞きました。また、キャンセル連絡をする際の企業への伝え方、気をつけるポイントについても紹介します。
リクナビでは、さまざまな「インターンシップ」「オープン・カンパニー&キャリア教育等」のプログラムを見ることができます。気になるプログラムがあるか見てみましょう。
目次
インターンシップのキャンセル、その後の本選考に影響する?
インターンシップ等(※)とは、就業体験を通じて、仕事や企業、業界、社会への理解を深めることができる制度。応募者が多い場合は選考が行われることがありますが、新卒の採用選考で内定・内々定を出す人数に比べて、インターンシップ等の受け入れ人数の方が少なかったり、採用の選考基準ではなく、インターンシップ等の選考基準があったりします。
※「インターンシップ等」とは、インターンシップをはじめとした、オープン・カンパニーやキャリア教育を含むキャリア形成支援プログラムを指します
では、インターンシップ等のキャンセルは、その後の本選考に影響するのでしょうか。インターンシップ等の選考に携わったことがある人事担当者にアンケートを取ったところ、次のような結果となりました。
■インターンシップ等のキャンセルは、その後の本選考に影響しますか?(n=300、単一回答)

最も多かった回答は「選考に影響する場合もある」の49.3%。「選考に影響する」は23.7%、「選考に影響しない」は27.0%という結果になりました。では、それぞれの回答の選択理由について、人事担当者のコメントを紹介します。
「選考に影響する」と回答した人事担当者のコメント
- やむを得ない合理的なキャンセル理由があれば良いが、疑問が残るようであれば相応の評価になる
- 事前連絡が入っていれば、後日の個別対応などができるため一概には言えないものの、連絡がなくキャンセルされると信用が落ちる
- 相手に与える迷惑など、自分の行動がどういう影響を生むか想像できない人材と捉えられてしまう
- 内定など今後もキャンセルされる可能性を想定してしまう
- 弊社に興味がないとの判断につながる
- (受け入れ人数に限りがある中でのキャンセルは)ほかの希望者が参加できなくなるため
「選考に影響する場合もある」と回答した人事担当者のコメント
- 経緯や理由などによるが、スケジュール管理がきちんとできないという印象を抱く可能性はある。ただ事前に連絡があり、誠意ある態度や理由であれば影響はない
- 体調不良など理由が明確なら影響しないが、曖昧な場合は志望度が低いと考えられてしまう
- キャンセルの伝え方や経緯などが、マナー違反や失礼なケースであれば、影響する場合がある
- その後の学生の真摯(しんし)な対応によっては選考には影響しない
- 自己都合やスケジュール管理の甘さによるキャンセルは、入社後の業務に支障が出る可能性があると考えてしまう
- 最終的な判断に迷った場合のみ影響する可能性が少なからずあるため
- なるべく参加してくれた学生を優先したい
「選考に影響しない」と回答した人事担当者のコメント
- インターンシップ等と選考は別物で、興味や志望動機を高めてもらうのが目的のため
- 印象評価のみの採用は行わず、選考中で当社に合う資質があれば影響しない
- 学生にも選ぶ権利はあると考えているため
- キャンセルの理由は、その時々の状況にもよるため
「選考に影響する場合もある」「選考に影響しない」のコメントからは、事前にきちんと連絡が入っていれば問題ない、という意見がありました。また、インターンシップ等と選考は別、とはっきりと分けて考えているという声も。仕事への意欲、スケジュール管理の面で不安に思うといった懸念の声もありました。
「影響する」と回答した人事担当者のコメントでは、マナーの欠如、自己管理能力への指摘なども寄せられました。
キャンセルの連絡をするときに気をつけることは?
では、実際に企業にインターンシップ等のキャンセル連絡をする際、どんなことに気をつけるとよいのでしょうか?マナー講師の峯陽子先生に聞きました。
キャンセルを決めた時点ですぐに連絡を
インターンシップ等をキャンセルすることを決めたら、無断で欠席するのではなく、できるだけ早く企業に連絡するよう心がけましょう。企業はインターンシップ等の参加人数に合わせて準備を進めている場合がありますし、場合によってほかの参加希望の学生にインターンシップ等の参加案内をすることもできるでしょう。
メールでキャンセル連絡を送ると記録が残る
キャンセル連絡の際は、履歴が残るメールを送るとよいでしょう。メールの文面に名前や予約しているインターンシップ等の日時を記載しておけば、担当者はそれを基に対応ができます。
より丁寧な印象を残したい場合は、担当者あてに電話でおわびを伝えるのもよいでしょう。電話の後にメールも送っておくと、キャンセル連絡をしたという記録も残ります。
電話をして担当者が不在の場合は、何度も電話はせず、「先ほどお電話いたしましたがご不在でしたので、メールでのご連絡で失礼いたします」と冒頭に一文を入れてメールを送れば、問題ありません。
開催直前で連絡する場合は、電話で伝えよう
プログラム前日や当日など、直前の場合には、電話でキャンセル連絡をした方がよいでしょう。担当者が準備に忙しく、プログラム実施までにメールを確認できない可能性があるからです。
担当者が不在の場合には、電話に出てくれた社員にキャンセルの旨を伝言しましょう。その後、メールもしておくと、事前に連絡したことが相手に伝わります。
そのほか、「メールアドレスがわからない」「メールを送っても返信がない」という場合には、電話でキャンセルの旨を簡潔に伝えましょう。
キャンセルの理由は簡潔に。おわびの気持ちをきちんと伝えよう
メールでも電話でも、キャンセルの理由は簡潔に伝えましょう。家庭の事情などやむを得ない事情があればそのことを、別の予定で参加できない場合はその旨をひと言伝えるだけで十分です。
もし「志望度の高いほかのインターンシップ等と日程が重なった」などの理由だったとしても、すべて正直に伝える必要はありません。
数日前でも直前の場合でも、キャンセルによって迷惑をかけることは変わりありませんので、文中にはおわびの言葉を添えるようにしましょう。
メールでインターンシップのキャンセルを連絡するときの例
以下で、企業にメールでインターンシップ等のキャンセル連絡をするときの例文を紹介します。企業に連絡する際、参考にしてみてください。
例文
(件名)
〇月〇日〇時のインターンシップ キャンセルのおわび(○○大学・りくなび太郎)
(本文)
株式会社△△△△
人事部 □□様
大変お世話になっております。
○○大学・□□学部・○○学科のりくなび太郎と申します。
このたびは、○月○日○時のインターンシップへの参加案内を頂き、ありがとうございました。
誠に残念ですが、大学での研究発表と予定が重なってしまい、参加が難しくなったため、辞退させていただきたくご連絡いたしました。
直前のご連絡となってしまいましたこと、また、せっかくの機会を頂いたところご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。
説明会の機会などを通して貴社について学んでいきたいと存じますので、今後ともなにとぞお願いいたします。
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りくなび太郎(Rikunabi Taro)
○○大学・□□学部・○○学科 △年
携帯番号:×××-××××-××××
メール:taro@××××.ac.jp
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メールでキャンセル連絡するときのポイント
- 件名は、相手にひと目で用件が伝わるように意識して書きましょう。インターンシップ等の日時と所属学校名、氏名も記載しておくと誰から連絡がきたのかが伝わりやすくなります。
- 本文が長くなる場合は、まずインターンシップ等のキャンセル連絡のためにメールしたことを記載しましょう。結論から書き始めるように心がけることで、読み手に内容が伝わりやすくなります。その後、キャンセル理由やおわびを伝えるようにしましょう。
- メールの末尾には、氏名、所属学校名、連絡先を記載しましょう。メールの署名登録機能を活用し、メールを作成する際に必ず署名が入っているように設定するとよいでしょう。
メールの署名について詳しく知りたい人は、こちら↓
電話でインターンシップのキャンセル連絡をするときの会話例
電話でインターンシップ等をキャンセルすることを伝える場合の会話例とポイントを解説します。
電話でのやりとりの会話例
人事:はい、株式会社△△△△です。
自分:お忙しいところ失礼いたします。 私、○月○日〇時のインターンシップに参加を申し込みました、〇〇大学のりくなび太郎と申します。人事部の□□様はいらっしゃいますでしょうか?
人事:はい、私が□□です。
自分:大変恐縮ですが、インターンシップのキャンセルをお伝えしたく、お電話いたしました。
人事:そうですか。差し支えなければ、理由を教えてもらえますか。
自分:はい、大学での研究発表と日程が重なってしまい、おうかがいが難しくなってしまいました。誠に申し訳ございません。
人事:わかりました。今回は残念ですが、キャンセルの旨を承りました。
自分:このたびは本当に申し訳ございません。それでは、失礼いたします。
人事:失礼いたします。
電話でキャンセル連絡をするときのポイント
- 電話をするときは、相手が落ち着いて対応できる時間帯を考えましょう。始業直後や昼食の時間帯などは避けた方がよいでしょう。
- まずはインターンシップ等をキャンセルすることを伝え、その後におわびを簡潔に伝えましょう。
- 電話をする前に、メールでも連絡を入れている場合は、名乗る際に「メールでもご連絡させていただきました、○○大学のりくなび太郎です」と伝えましょう。
- 用件が終わり、電話を切る際には「失礼いたします」と言うと自然に電話を切ることができます。
- 話が終わってからすぐに電話を切るのではなく、2~3秒おくと、急に切られたという印象を相手に与えないでしょう。
社会人に電話で連絡する際に気をつけておきたいことを知りたい人は、こちら↓
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【調査概要】
調査期間:2024年12月4日~2025年1月7日
調査対象:2025年3月卒業学生向けのインターンシップ等の採用選考に携わったことがある人事担当者300人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング
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【監修】峯 陽子さん
約20年の専業主婦の後、人材育成会社で企業の社内研修講師などを経て、独立。企業の会社研修の講師のほか、女性の社会復帰支援、学生へのキャリア育成セミナー・マナー講座なども担当。
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※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。