インターン(インターンシップ)は、就活準備の第一歩ともいえるもの。しかし、気になるインターンを見つけて選考を受けたものの、落ちてしまってモチベーションが下がってしまった人もいるかもしれません。
そこで、「インターンの選考に落ちたらその企業に入るチャンスはなくなってしまうの?」「本選考にも影響が出る?」など就活生の気になるところを“採用のプロ”曽和利光さんに聞きました。併せて、落ちた経験の生かし方や実際にインターンに落ちた先輩の声も紹介。ほかのインターン選考や就活本番の準備の参考にしてみてください。
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社会に出る前に企業で就業体験をしたり、業界や企業について理解を深める機会が得られるインターンは、多くの企業で実施されています。しかし、年々参加を希望する学生も増えていて、中には選考を実施する企業も。選考形式は、エントリーシートや履歴書による書類選考、面接やグループディスカッションなど、本選考に近い場合もあります。このため、「インターンの選考で落ちたら、その企業に入るチャンスはなくなってしまう?」と不安を抱いてしまう学生さんもいるのでは?
人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける曽和さんに聞きました。
この記事で紹介する「インターンシップ」は、リクナビ2026の名称に基づいた、就業体験のある5日以上のプログラムのことを指します。
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就活本番の選考の場合、採用する学生の一生にかかわることですし、企業にとっても運命を共にする相手選び。書類選考や面接などを重ねて企業の社風に合うか、入社して活躍してくれる人材かどうかを見ています。最終面接には役員や社長自ら臨席するなど、慎重に検討をしています。
これに対して、インターンは、就業体験や職場見学を通じて仕事や業界を学生に理解してもらうためのもの。インターンのために選考を実施するのは、企業がインターンで受け入れられる人数に対して応募者が多いため。選考過程がいくつも設けられているのも、多すぎる応募者を絞るためなのです。
また、企業によっては採用人数よりインターンで受け入れる人数の方が少なく、内定を得るよりもインターンに参加することの方が狭き門の場合もあります。
上記のように、就活本番とインターンでは選考の意味合いが異なる企業が多いため、インターンの選考に落ちてしまっても本選考への影響は少ないと考えられます。
ただ、就活本番の選考でも同じ人が選考を担当する可能性もあり、面接などで出会った場合には、影響があるかもしれません。インターンの選考と本選考は人事など同じ部署が担当しているので、そのときの印象が残っている可能性はあります。また社員数が少ない会社の場合は、インターンの選考面接にも経営者が当たることがあり、そうした場合は、インターンの選考のときに落ちた理由を克服しないと、本選考でも同じ評価をされる可能性はあるでしょう。
インターンの選考に落ちてしまい、ほかのインターンを探したり選考を受けるモチベーションが下がったり、就活準備をするのが億劫(おっくう)になってしまった人もいるかもしれません。どのように気持ちを切り替えたり、本選考までに準備をしたりするとよいのでしょうか?続けて曽和さんに聞きました。
1次面接など早い段階で落ちると、「自分は全然ダメだった」と思ってしまう学生さんが多いのではないでしょうか。しかし、初期段階で落とされたなら本選考で復活の可能性は十分あります。
というのも、選考の初期段階は現場の若手社員が担当することが多く、後の工程になるほど役職が上の人がジャッジをするものです。若手社員が出した判断に対して上の人が違う視点や評価を提示することは十分あり得ますが、例えば、社長が最終面接で出した評価がその企業内でひっくり返ることはあまり期待できません。
インターンシップの選考も参加者を絞るという性質上、経営陣ではなく人事や現場社員が担当するケースが多く、合否判断も本選考に比べるとざっくりしていると企業も自覚しています。行きたいと思っている企業であれば、インターンの選考結果を気にせず本選考にチャレンジしてみてください。
また、ほかの企業では選考する人の観点も変わってくるので、気になるインターンがあれば、応募してみましょう。
他方、選考が進んだ段階で落ちてしまった人は、企業に「インターンへの参加意欲」や「その企業のインターンプログラムにどんなことを期待しているか」がきちんと伝えられていたかを振り返ってみましょう。
インターンの選考でも本選考でも志望動機を聞かれることは多いでしょう。本選考では、企業も「どうしてうちに関心を持ったのか」を聞くことで、入社してからその企業で働く十分なモチベーションがあるかを判断します。
しかし、インターンの選考では、「インターンに意欲を持って参加してくれるか」や「インターンに参加することで何を学びたいと思っているか、それはなぜか」など、企業はあくまでもインターンのプログラムに対しての動機を聞きたいと考えています。
選考を振り返って、自分が企業の知りたいことに答えられていたかを振り返り、ほかのインターンの選考などでも意識してみるとよいのではないでしょうか。
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どう考える?どう伝える?インターンシップの志望動機
選考に落ちてしまうと、「もともと自分には向かない企業だった」「企業に見る目がない」などと思いたくなります。これは心理学者のフロイトが唱えた「防衛機制」と呼ばれるもので、傷ついた自分を落ち着かせるための、自然な心の働きです。
しかし、プライドを保つために相手を悪く思うように気持ちをすり替えてしまっていたらもったいない。冷静に振り返ってみて、その企業に興味があるとしたらぜひ本選考にチャレンジしてみましょう。インターンの選考で落ちたけれど、本選考を受ける人の割合は決して多くないので、むしろ再チャレンジするくらい志望度が高いということをアピールできるかもしれません。
逆に、面接での社員とのやりとりや企業の雰囲気などから、「何か違う」と感じていたならば、具体的に何が自分に合わないと感じたのか深掘りしてみましょう。ここを考えることで、自分の企業選びの軸や仕事に対する価値観が見えてきて、ほかのインターンや就活時の志望企業の検討に役立てることができるでしょう。
インターンは、参加することで初めて業界や仕事の理解が深まったり、自身の価値観に気づくことができたりするものです。選考のあるインターンばかりに応募して、落ちて参加できないよりも、インターンを経験することをオススメします。中には選考がなく、先着順や事前応募のみで参加できるインターンもあるので、調べてみてください。
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最後に、実際にインターンの選考に落ちた経験のある内定者の声を紹介します。先輩の落ちたときの心境、そこからどんな気づきを得て就活本番に生かしていったのか参考にしてみてください。
私は14社のインターンの選考を受けましたが、そのうち4社に落ちてしまいました。そのうちの1つA社は、先輩からプログラム内容が良かったと聞いていたので、ぜひ参加したいと思っていた企業でした。
選考形式は、書類選考、グループディスカッション、1次面接、2次面接を経てインターンへの参加という流れで、2次面接で落ちたときは、がっかりしました。
当時は、「何で落ちたの?面接での質問にも結構答えられていたのに!」と思っていました。落ちた理由をすぐに振り返ることはできなくて、自分なりに分析できたのは、その後もインターンの選考をいくつも受けて、面接の場数を重ねてからでした。あのときの私の回答が質問とかみ合っていなかったことや、深い回答ができていなかったことに気づいたのです。
そこからは、面接担当者の質問やほかの人の応答などを意識して聞くようになり、どんな表現や順番で話したら伝わりやすいかを考えていくようになりました。
選考に落ちたら、がっかりしたり不愉快な気持ちになったりしますが、嫌な気分を引きずるよりも、そこから何を学ぶかに焦点を当てた方がいいですよね。落ちたとしても、裏を返せば問題点を解決する余地がある、伸びしろがあるということなので、落ち込みすぎず、あきらめず、就活を乗り切ってください。
(2020年3月卒業予定、IT企業に内定しているKさん)
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【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。
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