Uターン就職経験者に聞きました!新卒×地元就職のメリット・デメリット

「Uターン就職って何?」など、Uターン就職に関する就活生の疑問をピックアップ。実際にUターン就職をした先輩の声を基に、メリット・デメリットはもちろん、奨学金の支援制度など、Uターン就職の前に知っておきたい知識をまとめました。

Uターン就職とは?

Uターン就職とは、生まれ育った土地から都市部に進学・就職した後、再び故郷に戻って就職することを指します。例えば地方の故郷を離れて東京の大学に進学し、卒業を機に故郷へ戻って就職するケースなどが該当します。

Iターン・Jターン就職との違い

Uターン就職とよく似たワードとして挙げられるのが、Iターン就職やJターン就職です。

Iターン就職は、もともと都市部で生まれ育った人が地方で就職することです。一方、Jターン就職は「地方で生まれ育った人が都市部に進学・就職する」という点まではUターン就職と同じですが、故郷に近い地方都市に就職するところが異なります。出身地に近い場所に住む安心感はそのままに、より利便性が高いエリアを選びやすいところがJターンならではのメリットといえるでしょう。

先輩に聞いた!Uターン就職を選んだ理由とは?

就活生がUターン就職を選ぶ理由は、「親元で暮らしたい」「地元に貢献したい」などさまざまです。そこで、実際にUターン就職を選んだ先輩200名にアンケートを実施してみました。

■Q あなたがUターン就職を希望した理由は?(n=200、単一回答)

「あなたがUターン就職を希望した理由は?」に関するアンケートの回答グラフ

Uターン就職を選んだ理由で最も多かったのは、「親・保護者や親族の近くで暮らしたいから」(30.5%)。次に「経済的な負担を減らせるから」(20.5%)「都会より地元の雰囲気が好きだから」(19.0%)が僅差で続く結果となりました。

それぞれの理由について、より具体的に回答してくれたコメントもご紹介します。

1位「親・保護者や親族の近くで暮らしたいから」

  • 親と一緒に過ごす時間を大切にしたかったから
  • 初めての社会人生活を一人で行う自信がなかったから
  • 親に何かあったとき、すぐに駆けつけられる距離に住みたかったから
  • 少しでもお金をためて、早く親孝行がしたいから

2位「経済的な負担を減らせるから」

  • 昨今の物価高を考えて、できるだけ節約したかったから
  • 一人暮らしは費用がかかると大学時代に感じたので、将来のための貯金や、自由な時間にお金を使いたいと思ったから
  • 20代のうちにお金をためておきたいから
  • 実家暮らしをすれば生活費や家賃の負担が軽くなるから

3位「都会より地元の雰囲気が好きだから」

  • 大学時代に都会を経験し、通勤時の混雑など、大変さを目の当たりにしたから
  • 都会ほど便利ではないが、特に生活上で困ることがないから

Uターン就職を選んだそのほかの理由としては、「地元に戻って、地元の市役所で貢献したいと思ったから」や、「地元企業で世界を舞台に活躍できる環境が整備されていたから」というコメントも寄せられています。

Uターン就職のここが良かった!実感したメリット

では、実際にUターン就職をした先輩たちは、故郷で働くことについてどのようなメリットを実感したのでしょうか。アンケート結果を以下にまとめました。

■Q Uターン就職をして良かったと感じたことは何ですか?(n=200、単一回答)

「Uターン就職をして良かったと感じたことは何ですか?」に関するアンケートの回答グラフ

Uターン就職をしたメリットとして最も多かったのは、「親・保護者のそばにいられるようになった(27.5%)」。次に「経済的な余裕ができた(24.0%)」がランクインしています。Uターン就職をする理由として「親・保護者のそばにいたい」「経済的な負担を減らしたい」というニーズを挙げた層にとっては、Uターン就職は満足度の高い選択になるといえそうです。

また、「都会住まいのストレスが減った」(20.5%)という理由も3位にランクインしています。それぞれの理由について、より具体的に回答してくれたコメントもまとめました。

1位「親・保護者のそばにいられるようになった」

  • 親の健康状態を直接確認したり、日常的に顔を合わせたりできるようになり、安心感が増した
  • 何かあったときに頼れる人が近くにいるため安心できる
  • 親と会う頻度が増えたので、親の体調変化などに気づきやすくなった

2位「経済的な余裕ができた」

  • 毎月一定額を家に入れているが、一人暮らしに比べたら支出が少なくなった。そのため、自由に趣味にお金を使えるし、同世代よりも多く貯金ができている

3位「都会住まいのストレスが減った」

  • 都会は緑が少なく殺伐としていたが、今は地元の自然に癒やされている
  • 地元の慣れ親しんだ空気を吸って、心にゆとりができた

Uターン就職のそのほかのメリットとしては、「気の許せる友人と飲みにいける」など、知り合いが多い故郷ならではの過ごしやすさが挙がっています。

また「奨学金を返済する必要がなくなった」という意見も寄せられました。

「都会に戻りたいかも…」Uターン就職で困ったポイント

魅力的なポイントも多いUターン就職ですが、事前に知っておきたい注意点も存在します。実際にUターン就職をした先輩に質問したところ、「Uターン就職の就活中もしくは就職後に困ったこと・後悔したことがある」と答えた先輩はいずれも2割前後になりました。

■Q Uターン就職をして困ったこと・後悔したことはありますか?(n=200、単一回答)

「Uターン就職をして困ったこと・後悔したことはありますか?」に関するアンケートの回答グラフ

また、Uターン就職の就活中もしくは就職後に困ったこと・後悔したことについて、それぞれの具体的な理由についてもアンケートを取りました。

Uターン就職の就活中の苦労1位は「交通費などのコスト面」

就活中の苦労として最も多かったのが、交通費や宿泊費などのコスト問題です。続いて、地元の求人が少なかったことや、日程調整や移動の大変さなどが挙がっています。

■Q Uターン就職の就活中に困ったこと・後悔したことは何ですか?(n=46、単一回答)

「Uターン就職の就活中に困ったこと・後悔したことは何ですか?」に関するアンケートの回答グラフ

宿泊費の対策としては、「実家に泊まった」「マンスリー契約のアパートを借りた」という声が寄せられました。移動費の対策としては、「一度の移動で複数企業の日程を入れるようにした」という声が挙がっています。

Uターン就職の就活はどうしてもコストがかかりやすいため、事前にある程度資金をつくっておくか、面接や説明会のスケジュールをできるだけまとめるなどの工夫が必要といえるでしょう。

Uターン就職後の悩みには給与面や交通面など、さまざまな理由がランクイン

■Q Uターン就職後に困ったこと・後悔したことは?(n=34、単一回答)

「Uターン就職後に困ったこと・後悔したことは?」に関するアンケートの回答グラフ

Uターン就職後の悩みとしては「交通の便が悪い」がトップに入り、移動に車が必要になりやすいことや、「地元の友人の多くが都心で就職しているため孤独を感じる」など、なかなか友人に会いに行けないという声も挙がりました。

慣れ親しんでいるはずの故郷での暮らしですが、都心との違いにあらためてギャップを感じることも珍しくありません。交通の利便性、娯楽・商業施設の充実度、都心と比べた給与額の高低など、自分が不満に感じる可能性があるポイントをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

PCを開いて物思いにふける大学生のイメージ

Uターン就職先の探し方は?オススメの情報収集法4選

Uターン就職先を探す際に欠かせないのが、オンラインや説明会を活用した情報収集です。Uターン就職を成功させた先輩に、「最も利用したサポートサービス」について聞きました。

■Q Uターン就職をする際、最も利用したサポートはどれですか?(n=200、単一回答)

「Uターン就職をする際、最も利用したサポートはどれですか?」に関するアンケートの回答グラフ

最も多くの先輩が活用したサービスは、一つの会場内で複数の企業説明会に参加できる「合同企業説明会(Uターンフェア)」でした。都心にいながら地元の複数の企業説明会に参加できる利便性はもちろん、「地元の労働市場や生活面に関する情報を得られて、非常に有益だった」という声が挙がっています。

続いて、「求人サイトやエージェント」を利用したという声が上位にランクイン。また、「自治体の支援サイト」を使ったという先輩からは、「一般企業主催の就職フェアなどへの出展がない複数の自治体から詳しく話を聞けた」という利点が寄せられました。合同企業説明会や各種求人サイト、支援サイト、大学の支援センターなどを活用することで、地元との往復頻度を減らしながら効率的に就活を進められそうです。

Uターン就職の交通費や奨学金をサポート!自治体の補助金制度をチェック

昨今は地元をより活気づけたいという思いから、若い人材のUターン就職を支援する自治体も増えています。具体的な支援制度の一例を以下にまとめました。

交通費や宿泊費を補助

一部の自治体では県外在住の大学生などを対象に、県内での就職活動にかかる交通費や宿泊費を補助する制度を設けています。

例えば富山県は県内企業の職場見学やインターンシップ、選考面接などに参加した学生に対して、往復交通費のうち2分の1を支援しています(上限1万円/回・年度内2回まで)。また、新潟県では、往復の交通費と宿泊費の2分の1に当たる額を支援しているとのこと(上限1万円/回・年度内3回まで)。Uターン就職先の自治体の補助制度を活用することで、移動や宿泊にかかるコストを抑えることが可能です。

■富山県内での就職活動等にかかる交通費助成制度のご案内
https://www.pref.toyama.jp/1303/sangyou/roudou/roudoukoyou/kj00018902.html

■新潟県内で就職活動等を行うU・Iターン学生への交通費及び宿泊費の補助制度のご案内
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/shigototeijyu/1356841151769.html

奨学金の返還を支援

新潟県や福井県などの一部の自治体には、県内にUターン就職をした学生の奨学金返還を支援する制度があります。例えば福井県の場合は、奨学金の貸与を受けており、かつ一定の要件を満たす学生もしくは社会人であれば、最大100万円(6年制大学や大学院卒業見込み・卒業者は最大150万円)の支援を受けることが可能です。

■UIターン就職する大学生等の奨学金返還を応援します | 福井県ホームページ
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/wakatei/uisyougakukin/jigyougaiyou.html

移住支援金が出ることも

就職を機に県内へ移住する学生に対して、移住支援金を支給している自治体もあります。例えば岩手県で実施しているいわて若者移住支援金制度では、岩手県公式就職マッチングサイト「シゴトバクラシバいわて」に掲載されている「移住支援金対象求人」に就業した東京圏の新卒者(※)に対し、1人あたり15万円を支給しています。
※他にも要件がありますので詳細は岩手県公式HPをご確認ください

■いわて若者移住支援金について【東京圏から移住する若者を応援!】
https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/1021252/1041052.html

このように、自治体によってはUターン就職を行う新卒生向けの補助金制度が設けられている場合があります。なお支援を受けるに当たってUターン前の申請が必要になることがあるほか、年度によって制度が変わる可能性があるため、詳しくは各自治体のHPや告知を確認してください。

終わりに

Uターン就職のメリット・デメリットや、奨学金の支援制度など、Uターン就職の前に知っておきたい知識についてご紹介しました。

出身地で働くUターン就職には、「親・保護者が近くにいる」「家賃や生活費の負担が軽くなりやすい」などのさまざまなメリットがあります。就活や移住に際して移動費などのコストはかかりますが、各自治体の補助制度を活用することで費用を抑えることも可能です。自治体の支援サイトやエージェントも活用しながら、事前にしっかり情報収集を行ってみてくださいね。

 

【調査概要】
調査期間:2024年11月8日~11月10日
調査サンプル:大学・大学院卒業後の新卒入社時に、Uターン就職をした社会人200人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング

記事作成日:2024年12月20日
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