オンラインインターンシップとはどんなものなのか、プログラム内容や参加のメリット、選び方・参加のポイントについて、「就職みらい研究所」所長の増本全さんに聞きました。
リクナビ2026では、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム4タイプの総称を「インターンシップ&キャリア」と呼びます。
この記事では、アンケート実施当時の「インターンシップ」について紹介します。
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インターンシップは、社会に出る前に仕事の場を体験できる機会です。企業で働いている人から直接話を聞いたり、仕事を体験してみたりすることで、業種や職種、企業による仕事内容の違いや働いている人たちの雰囲気、社風の違いを知ることができます。
もともとインターンシップは、学生と企業が実際に顔を合わせて行う「対面型」が主流でしたが、近年はITツールの発達に伴って、Web上で「オンラインインターンシップ」を実施する企業も出てきていました。
対面型のインターンシップでは、学生が会場まで足を運ぶ必要があるのに対し、オンラインインターンシップは、世界中どこからでもWeb環境が整っていれば参加できる点が大きな違いです。学生にとっては移動時間や交通費の負担がなくなり、企業にとってもさまざまな学生と出会うチャンスが広がります。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業が従来のような対面型のインターンシップを実施するのが難しい状況になりました。今年度のインターンシップについて調査したところ、「中止する」と決定した企業は多くなく、「まだ検討中」と回答する企業が前年より大幅に増加しています。そうした中で、実施を決定・予定している企業は感染予防対策として、学生を集めずに実施できるオンラインインターンシップを検討するケースが増えています。
特に、2021年卒の採用選考をオンラインで実施した企業は、その実績に手応えを感じて、前向きにオンラインインターンシップの実施を検討している傾向にあるようです。就職みらい研究所が実施した「就職プロセス調査」(2020年6月12日時点 内定状況)では、従業員5000人以上の企業の約6割が最終面接をWeb面接で行ったのに対し、従業員100人未満の企業では約2割にとどまりました。
このことからインターンシップに関しても、比較的大きな企業の方がオンラインを導入する割合が多いと考えられます。
また、いち早くオンラインインターンシップの事例を実施した企業を見ると、通常業務の中ですでにオンライン化が進んでいたところが多いようです。
オンラインインターンシップについて具体的にイメージできず、不安を感じる学生さんもいるでしょう。しかし、「学生に就業体験を提供する」というインターンシップ本来の目的は、対面型がオンラインになっても変わりません。
特徴としては、前述のように距離や時間の制約がなくなることで、どこからでも全国のインターンシップに参加することができます。また、オンラインではチャット機能で社員とコミュニケーションを取る場合もあり、対面に比べて気軽に話しかけたり、全員に話題をシェアしたりすることが可能になります。それによって、企業と学生とのコミュニケーションや学びの総量が増えることが期待できるでしょう。
オンラインインターンシップを実施する企業の多くは、例年のインターンシップのプログラム内容をオンライン上で提供するかを検討していますが、中にはオンライン化でプログラムを刷新する企業もあります。説明を聞いたり限られた時間で質疑応答をしたりしていたものを、動画なども織り交ぜて説明をしたり、チャットを活用して多くの参加者が質問できるようにするなど、オンラインであることを生かした工夫を凝らしています。
プログラム内容すべてをオンラインで完結するのが難しい場合には、事前学習などをオンラインで実施し、対面でワークを行うなど、双方の良さを生かしたハイブリッド型を選択する企業もあるようです。
インターンシップには「選考あり」と「選考なし」の2種類があります。「選考あり」は「選考なし」に比べると参加できる人数が限定される場合が多く、事前にエントリーシートや面接により選考があることも。それに対して「選考なし」は、定員数に達するまでは、希望すれば参加することができます。オンラインインターンシップにおいてもこれらの2通りがあり、その点は対面のインターンシップと変わりありません。
また、開催期間については、例年は数日~数週間で実施している企業でも、オンライン化によって、期間に変化があるかもしれません。日数だけにとらわれず、プログラムの内容も含めていろいろ調べてみましょう。
オンラインインターンシップは、対面のインターンシップと同様に職種や仕事内容などについて知ることができますが、オンライン上での業務の進め方やコミュニケーションの取り方を体験できる場でもあります。
オンラインインターンシップに積極的な企業は、すでに通常業務のオンライン化が進んでいるケースが多いため、入社してからも社員同士や顧客とオンライン上でコミュニケーションを取ったり、オフィスに行かずに業務をしたりする機会があるかもしれません。オンラインインターンシップは、そうした企業の様子を垣間見られるチャンスでもあるでしょう。
社風や職場の雰囲気を知りたいけれど、実際にオフィスに行けないのでわからないと思う学生さんもいるかもしれません。そんなときは、オンラインインターンシップで接点を持った社員に自分の知りたいことを聞いてみるとよいでしょう。
また、中にはVR技術を使ってリアルな職場の様子を体験できるというプログラムを実施している企業もあります。自分が知りたいことをプログラムに組み込んでいるオンラインインターンシップを探してみるのも一つの方法です。
オンラインに限らず、インターンシップを選ぶときは「自分がインターンシップを通してどんな体験をしたいか」「そこで何を知りたいのか」を明確にし、それを実現できるプログラムを探すことが大切です。そのように目的意識をはっきりさせて選ぶと、参加して得られる情報も有意義なものになることでしょう。
以下にオンラインインターンシップの選び方のヒントをいくつか紹介するので、参考にしてみてください。
・営業同行の体験がしたい…オンライン上での顧客とのやりとりを体験できる企業のインターンシップを探す
・人事だけでなく、現場をよく知る社員と話したい…直接社員と話す時間を十分に取っているインターンシップを探す
・社員同士の関係性や雰囲気が知りたい…複数社員が関与してくれるプログラムや、オンラインで歓迎会や打ち上げを予定しているインターンシップを探す
また、Webツールやオンライン上でのコミュニケーションに不安がある学生さんは、積極的にオンラインインターンシップに参加することをオススメします。今後は就活本番でもオンライン上で選考が進む可能性があるので、インターンシップに参加することで慣れておくのも方法です。
例えば、「まずはWebツールに慣れたい」という人は、別のWebツールを使用する選考のないインターンシップにいくつか参加してみたり、「パソコンの画面越しで自分の思いを伝えられるか確かめたい」という人は、選考のあるインターンシップに参加してみるとよいでしょう。
インターンシップでは、実際の業務に近い体験や社員との会話から社風を感じ取ることができ、働く社員と接点を持ってフィードバックをもらえる機会も、採用選考よりも充実しています。ここで仕事のリアルを感じることで、自分に合う仕事を選択するための価値基準を作ってくれることでしょう。
またインターンシップに参加することで、入社後すぐに「こんなはずじゃなかった。辞めよう」とミスマッチを感じ、早期に離職を選択することの防止にもつながります。
若手社会人の早期離職の理由は、「仕事内容への不満」と「人間関係への不満」が多くを占めています。一方で、就活生が知りたいと思った情報と、知ることができた情報のギャップを調査したところ、やはり「社内の人間関係」と「具体的な仕事内容」が上位にランクインしました(出典:就職みらい研究所「就職白書2020」)。入社前にこのギャップを埋めることができれば、多くのミスマッチは防げたかもしれません。
こうした企業の開示情報では得られにくいことを、直接見たり聞いたりすることができる機会がインターンシップです。ぜひ自分から知りたい情報を取りに行く気持ちで、インターンシップに臨んでほしいと思います。
「オンラインインターンシップでは企業間の違いがわかりにくいのでは?」という心配もあるかと思いますが、複数のオンラインインターンシップを経験すると、企業ごとに社風や取り組み方の違いは見えてくるはずです。参加して見比べることで「合う」「合わない」といった、自分の判断基準もできてくるでしょう。
オンライン上での就業体験は、本番の就活ではもちろんのこと、将来仕事をする上でも必ず役に立つはずです。変化の時代への対応力を磨くチャンスだと捉えて、ぜひ積極的に参加してみましょう。
監修:就職みらい研究所所長 増本 全
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