就活で「セールスポイント」を効果的に伝える方法<具体的な考え方と回答例も紹介>

就活におけるセールスポイントについて、「それって何?」「どんなときに聞かれるの?」「どんなことを話せばいいの?」と思っている学生もいるでしょう。そこで、就職・転職支援スクール、我究館の館長を務める熊谷智宏さんに、セールスポイントの考え方や見つけ方、効果的な伝え方について聞きました。

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そもそもセールスポイントとは?企業が見ているポイントは?

まずは、「セールスポイント」の定義と、企業が見ているポイントについて紹介していきましょう。

セールスポイントって何?

セールスポイントは、面接やエントリーシート(ES)で直接聞かれることは少なく、一般的には、自己PRで話す要素の一つとされています。また、セールスポイントは、その文字の通り、企業に自分を「売り込む」ポイントのことを指します。その企業において、自分の強みを生かして、どんな貢献ができるのかという点をアピールすることが大事です。セールスポイントをしっかり考えておけば、面接での自己PRなど、フリーな時間の中でも、自分の強みを積極的に売り込むことができるでしょう。

企業が見ているのはどんなところ?

企業が見ているのは、「自社で活躍できる人材かどうか」です。つまり、組織や仕事の中で自分の力を発揮して、何らかの価値を提供できるかどうかが重要なポイントになるといえるでしょう。しかし、企業によって活躍できる人材や求める人物像は違いますし、事業内容や社風・文化、働き方なども違うものです。そのため、志望企業が求めているものに、より重なるセールスポイントをアピールすることが大事です。

また、能力の特性だけでなく、価値観の特性も伝えることがポイントになります。例えば、「人を支える」という能力があっても、「人を支えることが好き」という価値観を持っていなければ、その能力を発揮し続けることができない可能性があります。逆に、「幼いころから親戚の子どもたちの面倒を見てきた背景があり、高校時代にもバスケットボール部のマネージャーをしていた。そうした経験を通じて、人を支えることに喜びを感じるようになった」という人物であれば、能力と価値観を育んだ背景に一貫性があるため、入社後にもその価値観を大事にしながら能力を発揮し続けてくれるイメージができるのです。セールスポイントをアピールする際には、「自分が入社したら、このような力を発揮し、こういう部分で役立てる」という能力を伝え、「その力を培った背景には、このような経験があり、こういう思いを大事にしている」という価値観についても説明できるといいでしょう。

セールスポイントを見つけるためにやっておきたいこと

それではセールスポイントを見つけるためにやっておきたいことを紹介していきます。

自己分析で、自分の能力や価値観の特性を探そう

自分が力を発揮した出来事や成功体験などを振り返り、どんな長所や強みを持っているのかを考え、その背景にある考え方や大事にしていることなども分析しましょう。また、「リーダーシップがある」「人に寄り添える」「コツコツ真面目に取り組める」などの抽象的な内容から一歩踏み込むことが大事です。例えば、コツコツ真面目に取り組む力がある場合にも、「体育会系の部活動に所属した経験から、コツコツ練習を積み重ねていく精神力が身についた。苦しいときがあっても、逃げずに頑張ることが大事だと考えている」というケースもあれば、「部活動の練習メニューを考えた際、計画・実行・改善を繰り返した。コツコツ続けていく中で、少しずつ成果が出るようになり、仮説を立てて検証していくことに喜びを感じるようになった」というケースもあるでしょう。自分の経験を基にして、能力と価値観をより具体的に定義付けることがポイントです。

できるだけたくさんの能力と価値観を書き出しておけば、それぞれの企業にアピールできるセールスポイントを探しやすくなります。また、これらを基にして、自分にマッチする企業を探すこともできるでしょう。自己分析で発見した能力は、自分の「強み・長所」でもあり、価値観は「志望動機」となるものでもあるのです。

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他己分析も行い、自分では気づかなかった価値観を見つける

自己分析は本人の主観がベースとなっているので、友人や先輩、家族などに協力してもらい、客観的な視点で他己分析してもらうこともオススメです。特に、自分が大事にしている価値観は、本人にとって当たり前のこととなっているケースが多く、他人に指摘してもらうことで初めて気づくことも多いものです。「あなたはいつも人の相談に乗っているけれど、どうして面倒くさいと思わないのか。その原動力は何なのか」など、客観的に指摘されることで、「相談に乗るのは当たり前じゃなかったのか」「自分は、問題解決をすることが好きで、相手が笑顔になる瞬間がうれしいんだな」などの気づきを得ることができます。

企業研究を行い、マッチする価値観や能力からセールスポイントを考える

その企業が大事にしている理念や事業内容、働き方、社風、求める人物像、活躍できる人材などを理解し、自己分析と他己分析で導き出した自分の価値観や能力と重なるものがあるかを考えましょう。まったく重ならない場合には、マッチしていない可能性があるので、志望するかどうかを判断する材料にしてもいいでしょう。双方が重なる部分を見つけたら、それをベースにし、「どんな場面で、どんな力を発揮できるのか。どんな思いを大事にしながら、どう貢献していきたいのか」を考えれば、その企業にマッチするセールスポイントを導き出すことができます。

セールスポイントを上手にアピールする方法

ここでは、セールスポイントを上手にアピールするために気をつけたいことについて紹介していきます。

セールスポイントは1つに絞る

面接では、限られた時間の中で簡潔に回答することが求められます。その企業に対し、自分の能力や価値観と重なる部分がたくさんあった場合でも、セールスポイントの要素を増やせば、その分、話す時間が減り、内容も薄まってしまうものです。最もその企業にマッチするセールスポイントを考え、1つに絞ることが大事です。

より具体的に定義付け、裏付けとなるエピソードも伝える

抽象的な言葉ではなく、具体的に定義付けることが大事です。「最後まであきらめない力がある」などは抽象度が高く、本人の個性が伝わりにくいものですが、「うまくいかない原因を突き止めるために、コツコツと分析を続け、結果にたどり着くまであきらめない力がある」とすれば、ほかの学生とは違う自分らしさをアピールできるでしょう。一方、「自分がいることで、これだけ場が盛り上がった」など、曖昧な力をセールスポイントとした場合も、「それがどう役立つのか」と思われてしまうので、「その能力とは、一体どういうものなのか」をしっかり考え、定義付けすることが大事です。また、裏付けとなるエピソードを伝えることもポイントです。どんなことに取り組み、どう努力し、どのような成果につなげることができたのかまで伝えましょう。これらを伝えることで、「実際にそのような力がある人物」として、説得力を増すことができるでしょう。

学生の中には、「自己PRで目立つためには、自分の強みにキャッチフレーズをつけた方がいいのでは?」と考える人もいるでしょう。しかし、「私を食べ物に例えると、納豆です」など、奇抜な言葉を使えば、逆にわかりにくくなってしまう可能性があります。相手がイメージしやすいようなエピソードを語ることに時間を使いましょう。

セールスポイントがその企業でどう役立つかをアピールする

その企業で働く際に、自分のセールスポイントがどう役立つのか、どう力を発揮していけるのかをアピールしましょう。企業研究の成果を基に、企業理念や事業内容、働き方などに重ねて話せば、熱意や志望度の高さをより伝えていくことができるでしょう。ただし、専門職採用でない場合は、配属先や仕事内容を限定し過ぎないことも大事です。総合職採用の場合、入社後に配属先が決定し、配属後にも異動するケースが少なからずあります。「この部署のこの仕事で、こういう力を発揮して活躍していきたい」というセールスポイントをアピールした場合、「配属先や仕事内容が本人の希望と違った場合、入社してもモチベーションを維持できないのでは?」などの疑問を持たれてしまう可能性もあります。例えば、「企画を実現することが得意だから、商品開発などの企画の仕事で活躍したい」という場合は、希望の部署を限定していると受け取られかねません。どうしてもその仕事がしたい場合でも、「さまざまな企画や提案をすることが好きで、人を喜ばせていくことで力を発揮したい。将来的には商品開発にもチャレンジできればと思っている」など、力を発揮できる場面に幅を持たせ、将来のビジョンとして希望を伝えるといいでしょう。

一方的な演説とならないよう、コンパクトにまとめる

セールスポイントは、自分の価値観にかかわるものであるため、それが育まれた背景などをすべて語ろうとすれば、非常にボリュームが大きくなります。自己PRで、1人につき1分の時間を与えられた場合でも、あれもこれも詰め込んで一気にすべてを話し切ろうとすれば、一方的な演説のように聞こえてしまう可能性があります。時間を使い切ることにとらわれず、興味を持って聞いてもらえる長さかどうかを考えてみるといいでしょう。できるだけ要点をコンパクトにまとめ、面接担当者に気になったポイントを質問してもらう方が、自分の良さを引き出してもらうことにつながるものです。面接は、一方的に自分の話したいことを伝える場ではなく、会話をやりとりするコミュニケーションの場です。自己PRでセールスポイントを語る時間を与えられても、常に相手がいることを意識するように心がけましょう。

笑顔で話す就活生

セールスポイントの伝え方の例文を参考にしてみよう

自己PRでセールスポイントを伝える例文を紹介するので、参考にしてみましょう。

リーダーシップを「合意形成」と定義付けたケース

私には、合意形成によってみんなをまとめていくリーダーシップがあります。学校の文化祭で出し物を企画する際、クラスのメンバーの意見も意欲もバラバラで、なかなか方向性がまとまらない経験をしました。そこで、真面目な人や、やる気のない人、変わったことがやりたい人など、それぞれから意見を引き出し、企画をまとめていきました。最終的に「謎解きイベントを開催する」「問題作成や小道具の担当、コスプレをして司会進行をする担当など、それぞれの力を生かして役割分担する」ということで合意を形成した結果、みんなが団結し、多くの来場者に楽しんでもらうことができました。もともと一致団結して1つの目標を達成することに喜びを感じるので、御社に入社後は、チームのメンバーやお客さまとの合意形成を図りながら、プロジェクトをまとめていく力を発揮していければと思います。

人を支える力を「察する力」と定義付けたケース

私は、人をサポートすることで、物事を前進させていくことを大事にしています。幼いころから親戚の子どもたちの世話をし、保護者のように見守ってきました。本人が口に出さなくても、「元気がない」などの変化に気づけるようになり、相手のことを察する力が身につきました。また、高校時代には、バスケットボール部のマネージャーを務め、どうすればチームを支えていけるのかを考えるようになり、メンバーそれぞれの様子を見守り、励ましの声をかけたり、先輩と後輩の間を取り持ったりすることにやりがいを感じるようになりました。小さなことも見逃さず、一人ひとりの気持ちを察しながら支えていくうち、チーム全体のコミュニケーションもスムーズになり、意思決定ができずに物事を進められなかった状況を変えることができました。物流インフラを手がける御社では、社会全体を支えていくことができると考えています。入社後は、いろんな部署とかかわり、それぞれの思いを察しながら支えていく存在になれればと思っています。

セールスポイントは、自分が大事にしてきたことを伝えるチャンス!

自己PRでセールスポイントを伝えることは、自分の強みと価値観を同時に伝えるチャンスでもあります。面接でよくある質問に、「学生時代に力を入れたこと」が挙げられますが、特別なエピソードがないことに引け目を感じてしまう学生は少なくありません。しかし、セールスポイントでは、自分がこれまで大事にしてきたことをアピールすればいいのです。そして、短期的に経験した派手なエピソードを語るより、時間をかけて培われた価値観や強みを語る方が、説得力も大きいといえるのです。自分のこれまでの人生について、自信を持ってアピールしていくためにも、自己分析をしっかり行い、セールスポイントとなるものを探していきましょう。

 

 

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熊谷智宏さんのプロフィール写真 撮影/hikitachisato

【監修】我究館 館長 熊谷智宏さん

我究館館長。株式会社リクルートに勤務した後、2009年、株式会社ジャパンビジネスラボに参画。現在までに3000人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職・転職、キャリアチェンジのサポートを行ってきた。難関企業への就・転職の成功だけなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。 著書に、就活全般の考え方や面接対策などを指南する『絶対内定2021』(ダイヤモンド社刊行)シリーズがある。

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記事作成日:2020年3月30日
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