エントリーシートや面接の自己PRで「忍耐力」をアピールしたいと考えている人に向けて、伝え方のポイントを解説します。忍耐力は就職後にどのように役立つのか、企業は忍耐力のどんな側面を評価するのか、ネガティブに受け止められないようにするにはどう言い換えればいいのかを理解して、効果的な伝え方を検討しましょう。
忍耐力を強みとして伝える自己PRの例文も8つ紹介していますので、エピソードの選び方や表現方法の参考にしてください。
忍耐力とは?
忍耐力の「忍」が我慢する、「耐」が耐えるという意味を持つ漢字であることからわかるように、忍耐力とは痛み、苦しみなどのつらいことをこらえる力を指します。
就活をはじめ、働く人のパーソナリティーとして忍耐力という言葉を使う場合は、上記の辞書的な意味に、「困難な状況に陥ってもくじけず、前向きに仕事をし続ける力」というニュアンスが加わります。
例えば、新商品の売り上げが低調でも成功を信じて営業を続ける、苦情対応などのストレスがかかりがちな仕事を落ち着いてこなし続けられる、といった人は、忍耐力に優れたビジネスパーソンと見なされることが多いでしょう。
就活で、忍耐力をアピールすると良い理由
忍耐力、またそれから連想される「継続力」は仕事のさまざまな場面で必要になる能力です。うまくアピールできれば、入社後に活躍する姿を採用担当者に想像してもらいやすくなります。
以下では、企業が忍耐力を評価する理由を解説します。
1. 忍耐力は、継続力につながる
例えば、大規模な契約締結やマスコミを利用したプロモーションなど華々しく見える仕事も、詳細なデータ分析、関係者との調整、確認の繰り返しといった地道な作業の継続を経て成り立っています。そのため企業は、単調な仕事や手間がかかる仕事でも一定のパフォーマンスを継続的に発揮できる人物を必要としています。
2. 忍耐力は、あきらめない力につながる
どんな仕事でも最初から最後までスムーズに進行するケースは少なく、さまざまな困難が待ち受けています。そのたびにあきらめて投げやりになってしまったり、妥協して目標を下方修正してしまったりしていては、大きな成果は望めません。タフな状況においても目標達成に向けてあきらめずにやり抜こうとする忍耐力は、仕事をする上で頼りになる能力です。
3. 忍耐力は、失敗を糧に成長する力につながる
新しい業務や困難な課題に挑む際、過ちやミスは避けて通れません。しかし、大切なのは、その失敗を経験として吸収し、糧に変えることです。企業が重視しているのは、落ち込むことなく前向きに原因を分析し、改善策を講じて再挑戦できる忍耐力です。試行錯誤を通じて成長できれば、結果的に組織の発展に貢献するでしょう。
4. 忍耐力は、ストレス耐性につながる
忍耐力は、ストレス耐性とも共通する部分が多い力です。ストレス耐性がある人は、予期せぬトラブルや困難な状況に直面しても、感情的にならず冷静に対処できます。人間関係のストレスに強い人は、組織の安定にも力を発揮します。早期離職や休職のリスクも低いと考えられるため、ストレス耐性を重視する企業は少なくありません。
忍耐力をアピールするときのポイント
ここまで見てきたように忍耐力は社会人として大切な要素であり、自己PRでも高評価の対象になりうる力です。ただし、どんな企業に対しても有効というわけではなく、伝え方にも留意する必要があります。
アピールするときのポイントを3つ紹介します。
1.応募企業に対して「忍耐力」のアピールが適切か
企業によって求める力、性格は異なります。志望企業が忍耐力を重視していないのであれば、忍耐力を前面に出したアピールは適切とは言えません。応募する企業が忍耐力を求めているか否かの確認がまず必要です。
忍耐力という言葉には継続力やあきらめない力などいろいろな要素が含まれています。そのため、企業が求める能力を「忍耐力」という言葉で直接的に表現しているとは限りません。例えばあなたが忍耐力のうち「継続力」に自信があり、企業も継続力を求めているのであれば、忍耐力ではなく継続力としてアピールすると良いでしょう。
逆に、企業が「忍耐力」と直接的に表現していても、求められている力を詳しく調べてみると、忍耐力のうちの一要素、例えば「あきらめない力」であるケースもあり得ます。そのケースで「ストレス耐性」をアピールしても、ピントのずれたアピールになってしまいます。企業研究を行い、企業が求めている力をなるべく具体的に知りましょう。
企業研究について、詳しく知りたい人は、こちら
2.「忍耐力」が企業にきちんと伝わるか
「忍耐力」の辞書的な意味は「耐え忍ぶ力」であるため、ストレートに「忍耐力がある」とアピールすると、「言いたいことがあっても言い出せず、理不尽や不条理にひたすら耐える」「課題を解決する道を探らず、現状を仕方なく受け入れる」、「創造性に欠け、人から指示された機械的な作業しかできない」といったマイナスイメージを与える可能性もあります。
自己PRの際は下記のような言葉を使って、忍耐力を補足したり言い換えたりすると、あなたの力、性格が伝わりやすくなるでしょう。
- 粘り強い
- 継続力がある
- やり切る力がある
- あきらめない
- (失敗や落ち込みからの)回復力がある
- 失敗を糧に成長する
- ストレス耐性が強い
- 打たれ強い
- 苦境や環境の変化を前向きに捉える責任感が強い
3.「忍耐力」を伝える具体的なエピソードが語れるか
自己PRは、以下の構成でまとめると企業に伝わりやすくなります。
- 結論…自分の強みを短い言葉で端的に表す。
- 背景…その強みを身につけた背景(根拠となる経験を行うに至るまでの状況。どんな活動が強みを身につける舞台だったのか。例:大学1・2年次にレストラン「○○」でホール係のアルバイトをしていた…など)を具体的に伝える。
- 根拠…強みの根拠となる経験や、行動したことのエピソード(背景となる活動の中で、強みを身につけた行動の詳細。例:アルバイト仲間3人と、クレームに対応するための20項目にわたるマニュアルを作成し…など)を具体的に伝える。
- 成果…その経験・行動によって得られた成果や、今後どう生かしたいかを伝える。
このうち特に重要なのが、「根拠」となるエピソードです。あなたのことを知らない人にあなたが持つ忍耐力の性質や強さが伝わるように、具体的な名称や数値などの客観性のある言葉で説明するように意識しましょう。以下の記事のリンクも参考にしてください。
忍耐力をアピールする自己PRの例文を8つ紹介
「忍耐力」をアピールする際のポイントを踏まえた、自己PRの例文を紹介します。エピソードとして、学業、ゼミなど8つの題材を取り上げています。また、それぞれの例文では忍耐力の意味を細分化して、ほかの言葉に言い換えています。取り上げるエピソードや忍耐力をどのように表現しているか、参考にしてみてください。
学業における忍耐力
私の強みは、決めたことをやり切る継続力です。
大学1年の時に中国の歴史に興味を持ち、原書で読みたいとの思いから中国語の授業を取ることにしました。履修している30人の大半が既修者で私とは語学レベルに差があった上、毎週末に課されるテストの結果を基に、定期的に習熟度別のクラス分けが行われる厳しい環境でした。私は毎回上位のクラスに入ることを目標に、授業の前後には必ず2時間ずつ、予習と復習に費やしていました。
履修を開始して1年半後には日常会話をある程度話せるようになり、学習を2年間継続した3年次には中国語検定2級に合格。今も中国人留学生の学内サポートのボランティアとして活動しています。
ゼミにおける忍耐力
私は、任せられた役割や役職を最後までやり通す責任感があります。
私が所属していた法学部のゼミでは、3年次に各グループで設定したテーマの研究発表があります。私はグループリーダーに任命され、メンバーの統括や発表内容の取りまとめを担いました。発表の半年前から仲間とコツコツと準備を進めましたが、発表直前にミスが発覚しました。時間がない中でも妥協せず修正箇所を洗い出し、仲間に指示を出して、無事に発表を終えました。その結果、教授や他グループのゼミ生からゼミ内での最高評価を受けることができました。
この経験から、あきらめずに最後までやり切る大切さを学びました。
サークルにおける忍耐力
私は音楽サークルで部長を務めた経験により、粘り強く困難に向き合い続ける力を培いました。
私の学校の文化祭では音楽サークルによるライブが伝統となっており、メンバー25人総出で選曲や演出にこだわりました。どのような曲であれば観客の方々に楽しんでもらえるか、予算の中でできる最高の演出は何か、メンバー内で意見がぶつかり合うこともありました。しかし、より良い文化祭にするためにおのおのの意見を粘り強く聞いて調整役を務め、皆が納得いく内容に仕上げられました。文化祭当日には、140名の方が足を運び、約1時間、11曲にわたるライブを楽しんでもらえました。来場者数は、過去5年間で2番目に多かったとのことです。
一連の経験から、課題から逃げずに正面から解決策を探る大切さを知ることができました。
アルバイトにおける忍耐力
私の強みは、短期的な結果に一喜一憂し過ぎず、前向きに取り組む姿勢です。
私は大学1年生から3年生まで同じ飲食店でアルバイトをしていました。業務も一通り覚え、新人のアルバイトの教育役を任されたころ、業務と教育の両立による忙しさのあまりケアレスミスをしてしまいました。店舗に迷惑をかけてしまい、エリア管理者から注意を受けてその日は意気消沈しましたが、すぐに思い直し、同じミスを繰り返さないためにも翌日から自分の業務を見直すことにしました。注意すべき点を洗い出し、店長に報告した結果、店長から安心して接客を任せられるとの言葉をもらえました。
以来、失敗してもクヨクヨするのではなく、同じ失敗をしないために何をすべきなのかを考えるようになり、いろいろなことに前向きに取り組めるようになりました。
部活における忍耐力
大学では硬式野球部に所属し、小さなことでもコツコツ努力できる力を養いました。
全国大会を目指して練習していた2年生のころ、練習中に肘を故障してしまいました。野球を続けるのは難しいかもしれないと思い、一時は引退も考えました。しかし、入部時から仲間と目指してきた全国大会出場の夢をあきらめきれず、地道なリハビリ、肘を使わない練習メニューの工夫、部活以外の時間での個人トレーニングを実施。3年次の全国大会3カ月前に選手として復帰できました。一歩一歩努力を積み重ねた結果だと自負しております。惜しくも予選で敗退してしまい、全国大会出場の夢はかないませんでしたが、けがをしても復帰を信じてあきらめなかった経験が、今の私をつくってくれています。
留学における忍耐力
私は、大学2年生の時に経験したオーストラリアへの留学を機に、困難があっても自分ができることを考えて、突破口を見つけ出す力を身につけました。
留学当初は英語のスキルが足りておらず、渡豪してからの3カ月間、授業内容が理解できていませんでした。英語に接する時間、経験の少なさが問題点だと考え、誰よりも早く教室に行き、先生やクラスメイトに自分から話しかけることを心がけました。次第にコミュニケーションが取れるようになると、困っていることはないかと皆から話しかけてもらえる機会が増え、ますます会話の量が増える好循環が生まれました。1年間の留学を終えるころには授業でも毎回発言できるようになり、先生からも語学力の向上を褒められました。
自分なりの努力を続ければ、きっと困難を突破できるという自信がついたように思います。
趣味における忍耐力
趣味のトレーニングにより、一度決めた方針や目標に対して一貫性を持って行動し続ける力を養えました。
私は、体力づくりのためにほぼ毎日トレーニングジムに通っています。高校時代はテニス部に所属しており、毎日体を動かしていましたが、大学に入ってからは運動の機会が減ってしまい、生活習慣を見直すために始めました。始めたばかりのころは、目に見えるほどの結果が出ずくじけそうになることもありましたが、「成果が出るのは3カ月後」というトレーナーのアドバイスを信じ、毎日のメニューを着実に消化し続けました。
1年後には体重や体脂肪率などの目標数値をクリアし、今では自分でメニューを考えたり、食事管理にも気を使ったりしながら、トレーナーの資格取得を目指すほど熱中しています。
資格取得における忍耐力
私は、宅地建物取引士の資格取得の経験から、日々コツコツと努力を積み重ねられるようになりました。
大学2年生のころ、お客さまの人生の転機に寄り添える仕事として不動産業に興味を持ち、資格取得を目指し始めました。学業やアルバイトとの両立は大変でしたが、通学中の電車内、就寝前の15分などスキマ時間を探しながら、一日に一度は必ず参考書や問題集に目を通すようにしていました。毎日欠かさず続けた努力が実り、勉強を始めた約1年半後に受けた初の試験で合格できました。
この経験から私は、目標のために堅実に努力を継続できると自負しています。
忍耐力の伝え方のポイント
同じ忍耐力をアピールするにも、エントリーシート(ES)なのか面接なのかによってアプローチの方法が若干異なります。それぞれのポイントを押さえて、効果的にあなたの強みを伝えましょう。
エントリーシートの場合
エントリーシートは面接と異なり、補足説明ができず、記入した内容がすべてとなります。限られた字数の中で、結論、背景、根拠、成果をバランス良く記入し、伝えたい力を確実に理解してもらえるように努めましょう。
特に根拠となるエピソードについては、何を書き、何を書かないかの取捨選択が重要です。冒頭に「結論」として挙げた力を実際に持っていることを、第三者に対して証明する意識で書くと良いでしょう。課題に挑んだ状況と、挑んだ結果を読み手が思い描けるように、数字や固有名詞を使って定量的、具体的に記述してください。
面接の場合
面接でも、最初に結論を伝えること、エピソードの中に数字や実績などの具体的な事実を入れることが大切です。
面接は一方的なアピールではなく、面接担当者とのやりとりを通してのアピールである点がエントリーシートとの違いです。ただし、面接担当者が深掘りしてくれることを期待して話を簡潔にまとめ過ぎると、質問がなかった場合に説明不足で終わってしまう危険があります。「1分でまとめてください」などの制限がある場合を除いて、用意した説明をすべて話しきってしまう方が良いでしょう。
特に、集団面接やオンライン面接などでは、質問のやりとりがないプレゼンテーション型の自己PRになる場合も少なくありません。伝えたい内容をしっかりと言い切れるよう、あらかじめ重要なポイントを整理しておきましょう。
まとめ
仕事をする上で、「忍耐力」が役立つシーンは多々あります。しかし、企業によって求めている忍耐力の種類やその優先度には違いがあり、また、説明が不足するとネガティブな印象を持たれかねない力でもあります。
自己PRで「忍耐力」をアピールする場合は、志望企業が求めている力を具体的に見定めた上で、ポジティブに受け止めてもらえるように表現を工夫することが大切です。ここで取り上げた解説と例文を参考に、あなたが持つ忍耐力の伝え方を考えてみてください。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。
