企業が行うインターン(インターンシップ)には、選考が行われるものと、選考がなく誰でも参加できるものの2種類があります。そのうち、選考がないインターンはどんな内容で、参加するメリットは何でしょうか?実際に参加した先輩たちにアンケートで聞きました。
また、企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける曽和利光さんに聞いた、選考なしインターンの選び方、選ぶときのポイントを紹介します。
リクナビ2026では、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム4タイプの総称を「インターンシップ&キャリア」と呼びます。
この記事では、アンケート実施当時の「インターンシップ」について紹介します。
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「選考なしインターン」は、エントリーシートや面接などによる選考がないインターンのことを指します。開催日までに申し込みをしておく必要があったり、応募が定員に達してしまった場合は参加が難しくなったりする可能性がありますが、選考のあるインターンに比べると、希望すれば誰でも参加できるのが特徴です。
では、選考なしインターンに参加した先輩たちはどのくらいいるのでしょうか。
2020年3月卒業予定の、インターンに参加した経験がある学生300人に実施したアンケートによると「選考なしインターンに参加したことがある」人は、全体の約4分の3に当たる76.0%という結果になりました。
■エントリーシートや面接などによる選考がないインターンシップに参加したことがありますか?(n=300、単一回答)
では、先輩たちが参加した選考なしインターンはどんな内容で、何日にわたって行われたのでしょうか。いくつか例をご紹介します。
・企業の事業内容の紹介と、内定者や実際に働く行員との座談会、業務の模擬体験(銀行/3日間)
・あったらいいと思う保険商品について2日間グループで話し合い、発表。その後、職員との懇親会(生命保険/2日間)
・職場体験して最後にパワーポイントで発表(インターネット/5日間)
・営業同行した(自動車関連/5日間)
・過去の地元に関する新聞の目録作り(公務員/7日間)
・商品をどうやって売り込むかグループワークで話し合う(専門商社/2日間)
多くの先輩たちが参加している選考なしインターン。実際のところ、満足度はどのくらいで、どんなメリットを感じているのでしょうか?
アンケートの結果、選考なしインターンに参加して良かったと思っているのは86.0%。多くの人がそれぞれの手応えを感じていたようです。
■選考のないインターンシップに参加して良かったと思いますか?(n=228、単一回答)
具体的に参加して良かったと感じた理由について、以下のようなコメントがありました。
・気軽にいろいろな業界の会社のインターンに参加できる(ホテル/2日間)
・仕事内容についても、知ることができた(ソフトウェア/10日間)
・グループワークではどういう会話をしたらよいのか、学ぶことができた(専門商社/2日間)
・今まで見ていなかった業界を垣間見ることができた(不動産/2日間)
・参加することで、自分に向いているかどうか知ることができる(病院/2日間)
・選考に行く手間が省ける(鉄道/2日間)
・本選考のときに話せるネタが増えた(銀行/3日間)
一方、「良くなかった」と回答した人の理由には「3月ごろ以降の会社説明会でも聞ける内容だった」「なんとなく来ている人、もらえるもの目的の人がいて、周りのレベルが低く自分の成長にはつながらなかった」という声がありました。
「前提として、選考ありのインターンは、人員や時間、お金の関係で企業が受け入れられる学生の数に限りがあります。それに対して、選考なしのインターンは、参加者が多くても対応できるプログラムであることが多いでしょう」(曽和さん)
その前提を踏まえた上で、選考なしインターンのメリット・デメリットとは何なのか、曽和さんに聞きました。
最大のメリットは、何といっても応募すれば必ず参加できることでしょう。「インターンの選考を5社受けて全部落ちました」となってしまえば、選考のために労力をかけても、インターンに参加して積める経験は得られず、落ちる経験が重なると、心理的なダメージも大きいのではないでしょうか。
選考なしのインターンのプログラムは、多くの参加者を受け入れられる事業説明や職場見学などが主となるケースも多いですが、普通ならできない貴重な体験ができるプログラムもあります。また、募集要項を見た時点では社名を知らない企業でも、選考なしで充実した内容のインターンを実施するところもあります。
インターンは経験してこそ意味があるので、気軽に参加して得られるものがあるという点で、選考を経ずにインターンに参加できるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。
一般的に、選考ありのインターンに比べると、選考なしインターンは学生一人当たりにかけられるリソースは少ない傾向です。そのため充実した内容のインターンがある一方で、プログラムの内容やクオリティーにはばらつきがあります。選考ありのインターンに比べると、気軽に参加できるだけに、行ってみたら「自分には必要のない情報だった」という無駄も起こりがちです。
また、集まる学生の意識にばらつきもあり、業界への志望度や熱意がまちまちであることも考えられます。インターンに参加している周りの学生の雰囲気を見て、志望企業を決める際の参考にする人もいるようですが、選考なしインターンは志望先選びの参考にしない方がよいでしょう。
選考のないインターンを選ぶ際に重要なのは「自分に有益な情報を見つけること」と語る曽和さんに、具体的に選考なしのインターンを選ぶときのポイントを聞きました。
例えば、リクナビで「先着順・選考なしインターン」を検索すると、約400のプログラムが表示されます(2019年12月現在)。その中から自分が参加できる場所や日時を条件指定していくと、件数はもっと絞られてくるでしょう。ここまで絞ってみたら、まずは端から全部チェックしてみましょう。
その際、「名前を知っている企業かどうか」に惑わされないように。社名を知らなかったとしても、BtoB向けの企業だったり、充実した内容のプログラムや体験があるかもしれません。応募時点では入社対象として興味がなくても、インターンに参加することで得られることはあります。
志望業界や企業がある場合は、同じ業界の最大手以外の企業で選考なしのインターンがないか探してみましょう。業界大手の企業は学生の知名度が高く、選考ありのインターンしか実施されていない場合もありますが、選考なしで志望業界の仕事の一端を学べる有意義な体験ができるかもしれません。
また、志望企業の周辺業界に目を向けてみるのもよいでしょう。例えばアパレルに興味がある人は、アパレルメーカーだけでなく、繊維商社など原材料を扱う企業のインターンに参加してみると、アパレル業界全体を俯瞰(ふかん)的に学べる機会になると思います。
インターンのプログラムには大きく分けて「疑似体験型」と「特別プロジェクト型」の2つがあります。
「疑似体験型」は文字通り、企画立案やロールプレーイングなどで仕事の内容を疑似体験するもの。志望する業界や企業が固まっている人は、このタイプのインターンに参加することで、より仕事への理解を深めることができます。
一方、志望業界が特に定まっていない人には「特別プロジェクト型」をオススメします。例えば、自己分析をしたり自分に合う職種を考えたりするプログラムは、仕事全般やキャリアについて幅広く考える場を提供してくれるでしょう。視野を広げたり、仕事に対する自身の価値観などの気づきが得られ、就活準備を助ける経験になります。
先輩たちは実際にどのように選考なしインターンを探していたのでしょうか。アンケートによると、「インターンの検索サイト」で探していた人が一番多く、64.5%。次いで「合同企業説明会」が28.5%、「企業ホームページ」が24.1% という結果になりました。
■選考のないインターンシップはどのように探しましたか?(n=228、複数回答)
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【調査概要】
調査期間:2019年11月18日~11月19日
調査サンプル:就活時にインターンシップに参加したことがある2020年3月卒業予定の学生300人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング
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【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。
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