複数の学生が同時に受ける「集団面接(グループ面接)」。個人面接と共通する部分もありますが、集団面接ならではの気をつけたいマナーがあります。今回は、企業の採用担当者に集団面接でどんなところが気になるのかアンケートを実施しました。それを基に、マナー講師・峯陽子先生が集団面接のマナーについてアドバイスします。
目次
「集団面接」は「グループ面接」とも言われ、複数の学生が1つのグループになって、同時に面接を受けます。個人面接と違って、「ほかの就活生もいるからマナーは目立たないんじゃない?」なんて考える人もいるかもしれませんが、それは違います。ほかの就活生がいるからこそ、あいさつや人の話を聞くときの態度などが、きちんとしている学生とそうでない学生の差がわかりやすくなるものなのです。
では、実際に企業の採用担当者はどのくらいマナーが気になっているのでしょう。人事部門で採用担当を経験し、集団面接の面接経験がある方を対象にリクナビがアンケートを実施しました。
■今まで面接担当者として経験した集団面接の中で、就活生のマナーが気になったことはありますか?(n=223)
有効回答223人のうち、集団面接でマナーが気になったことが「ある」という回答は87.4%。ほぼ9割の人が、マナーが気になっていることがわかりました。
では、アンケートのボイスを基に採用担当者が気になったポイントを紹介します。
採用担当者のボイスを見てみると、特に目立ったのは、「髪の色や服装に清潔感がない」「靴下が鮮やかな緑」「しわのスーツや面接にふさわしくない靴」など、身だしなみについての指摘でした。
就活中は、「相手に不快感を与えないこと」を意識して身だしなみを整えるようにしましょう。ビジネスの場面にふさわしいかどうか、一歩引いた視点でチェックしてみてください。
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『社会人と接する最低限のマナー 服装編』
『プロが教える! 就活時の髪型のポイント』
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ついで多かったのは、「敬語が間違っている」「口調がいわゆるタメ語」「挨拶がまともにできない」など、言葉遣いやあいさつについて。敬語は社会人になってからも常に求められるマナーの一つ。すぐに完璧に使えなくても、よく使われる尊敬語と謙譲語をチェックして、日ごろから意識して使うようにすることで、自然に自分の言葉として使えるようになっていくでしょう。
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実は「貧乏ゆすり」や「腕組み」、「座り方」など、無意識でいるときの癖や態度も、面接担当者には見られています。そして、さまざまな立ち居振る舞いの中でも特に多かったのは待ち時間に「スマホばかりいじっている」「すぐにスマホを見る」ことを指摘する声でした。
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次に、集団面接のシーン別にどんな点に気をつけたらいいのか、面接担当者はどんな態度が気になっているのかをご紹介しましょう。
受付でのマナーは個人面接の場合も、集団面接の場合も違いはありません。まずあいさつすることは、最も基本的なマナーです。「おはようございます」「失礼します」などひと言あいさつをしてから、学校名と氏名を告げ、来訪目的を告げましょう。
面接が始まるまでの間は、別室や廊下のソファで待機することになります。待ち時間はつい気を抜いてしまいがちですが、待機室からすでに面接は始まっているつもりでいましょう。 アンケートのボイスにも「待ち時間の態度の悪さ」「控室でスマホをいじっている」などの指摘も見られました。スマホに記録している就活関連のメモを見ている場合もあるかもしれませんが、面接担当者にはスマホで何を見ているのか判断ができません。アンケート結果からわかるように、面接担当者に誤解を与えるケースもあるので、気になる人はスマホではなく、紙で確認をするようにしましょう。 また待っている間も、足を投げ出したり姿勢が悪くなったりしないように心がけましょう。深呼吸をすると、丸まっていた背筋が自然と伸び、肩の力が抜けて正しい姿勢が取りやすくなります。
集団面接の場合、個人面接と勝手が違うのは入退室、着席などのタイミングです。入っていく順番は企業の担当者からの指示に従います。
先頭になった場合はドアをゆっくりと3回ノックし、「どうぞお入りください」と言われたらドアを開けましょう。ドアの前で「失礼します」と一礼してから入室します。
2番目以降になった場合も、ドアのところでいったん立ち止まり「失礼します」と言って一礼してから入室しましょう。
最後に入室する場合は、入室したら扉のほうに向き直り、扉を静かに閉めましょう。閉め終わったら、面接担当者のほうに向き直り、扉の前で「失礼します」と一礼してから椅子に向かいましょう。 全員が入室し終わり「お座りください」と面接担当者から声をかけられるまでは立って待っています。このとき、目をキョロキョロさせていると、落ち着きがないような印象を持たれかねません。姿勢を正して前を向いていましょう。
面接中は、かばんは足下に置き、手は軽く握った状態、もしくは手を重ねてひざの上に置きましょう。姿勢を正して、面接担当者の目を見ながら自然な笑顔で受け答えするように心がけて。アイコンタクトでのコミュニケーションが大切です。 これらは個人面接、集団面接の両方で言えることですが、集団面接だからこそ気をつけておきたい点が2つあります。
一般的に最初に自己紹介が求められますが、限られた面接時間のうち、ひとりで長々と話し続けたら、ほかの人が自己紹介をする時間がなくなってしまいます。自己主張ばかりで周囲への配慮が欠けると見られかねません。実際、アンケート回答の中には、「自分を売り込もうとするあまり、言いたいことを話し続ける学生が見受けられる」という指摘も。 アピールしたいことがたくさんあったとしても、コンパクトに伝えられるように、あらかじめ整理しておきましょう。
同じ質問を全員に聞かれる場合、自分の順番ではないとしても、姿勢を正してほかの就活生の話に耳を傾けましょう。「人の話を聞く態度が、よろしくない学生がいる。発言内容に関心がないことがあからさまな態度が気になった」「ほかの就活生が発言している間、ずっと上の空で貧乏ゆすりをしていた」など、発言していないときのマナーも見られています。実際に聞いていれば、おおげさにうなずいてみせたり、無理な姿勢で顔を発言者の方に向けてみせたりしなくても、自然に態度に表れます。
退室も集団面接の場合は、個人面接と同様です。 面接が終わったら着席したまま一度「ありがとうございました」と一礼し、起立していすの横で再度お礼と一礼をします。その後、ドアの手前で面接担当者のほうに向き直り、「失礼いたします」とあいさつし、退出します。 ただ集団面接の場合には、一緒に面接を受けた人同士の親近感が湧き、エレベーターの中やトイレで終わった面接についての感想を言ったり、情報交換をしたりしがちです。しかし、その場に社員が居合わせるかもしれないので、退出後も注意が必要です。建物を出るまでは面接の一環と思って、気を引き締めていたいものです。
「個人面接」についてのマナーが詳しく知りたい人はこちらから↓
『社会人と接する最低限のマナー 面接編』
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調査期間:2018年7月19日
調査サンプル:1~5年以内に新卒採用を担当したことがある223人
調査協力:株式会社ジャストシステム
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【監修】峯 陽子先生
約20年の専業主婦の後、人材育成会社で企業の社内研修講師などを経て、独立。企業の会社研修の講師のほか、女性の社会復帰支援、学生へのキャリア育成セミナー・マナー講座なども担当。
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