理系学生はインターンシップに参加した方がいい?理系向けインターンシップの特徴と参加メリット

理系学生はゼミや実験、研究など学業が忙しいことから、「インターンシップに行く時間がない」「本当に行かなきゃダメだろうか」などと悩む人も少なくないようです。この記事では、理系学生がインターンシップに参加するメリットや、理系向けインターンシップの特徴やスケジュールを組むポイントなどについて、キャリアアドバイザーの山田英子さんに教えてもらいました。

インターンシップとは?

インターンシップとは、学生が社会に出る前に企業などで一定期間「就業体験」を行うことを指します。インターンシップに参加して実際に仕事を体験したり、企業で働く人の話を聞いたりすることで、「社会人になるとはどういうことか」「業種や職種による仕事内容の違いややりがいは何か」「企業によってどんな風土の違いがあるのか」などの理解を深めることができます。

実施日程が5日以上で、就業体験が必須のプログラムが「インターンシップ」、それ以外は「オープン・カンパニー」「キャリア教育」と呼びます。
なお、リクナビでは実施日程と就業体験が必須かどうかで「インターンシップ」と「オープン・カンパニー&キャリア教育等」の2つに分類しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

インターンシップ基礎知識ガイド

新しいインターンシップの定義とリクナビの「インターンシップ&キャリア」について

実験をする二人の学生

理系学生は忙しい…それでもインターンシップに参加した方がいい?

実験や研究、課題提出などに追われる理系学生の中には、時間のなさからインターンシップへの参加を迷う人が少なくありません。生活のためにアルバイトをしている学生の場合は、時間をやりくりできず参加を断念する人もいるようです。

ただ、たとえ忙しくても、参加した方がいいと考えられます。特に専攻を生かして働きたいと考える人が多い理系学生の場合は、自分にマッチした就職先を選ぶためにも、インターンシップの場を有効に活用することをオススメします。

理系学生がインターンシップに参加するメリット

理系学生がインターンシップに参加した方がいい理由について、解説します。

リアルな就業体験ができる

理系学生向けのインターンシップの場合、研究開発に携わったり、プロジェクトチームに参加したりするなど、実際の業務内容に沿った就業体験ができるというメリットがあります。企業側も「特定の知識やスキルを持った人を、ミスマッチなく採用したい」との思いがあるため、さまざまな就業体験を用意しているケースが多いようです。

専攻を仕事にどう生かせるかがわかる

理系学生は、「専攻を生かして○○分野の研究にかかわりたい」のような希望を持っている人が多いようです。ただ、「A社は専攻が生かせそうな企業だ」と思っていても、実際にはやりたい分野の研究開発には力を入れていないなど、希望通りの働き方ができないケースも少なくありません。

インターンシップで実際に働く現場を体感することで、企業がどんなことに力を入れているのか、専攻が生かせそうかどうかを確認することができます。選考がある程度進んでから、やりたいことができないことがわかり、一から就活をやり直し・・・なんてことのないよう、インターンシップの場でじっくり見極めることをオススメします。

働く現場の雰囲気がわかる

理系学生は、専攻を生かして働きたいという人が多いことから、本格的に就活を始める前から、ある程度志望企業や職種がイメージできている人も少なくないようです。

その企業のインターンシップに参加することで、社風や文化、そこで働く人、仕事の進め方など、実際に働く現場の雰囲気を体感することができます。たとえ同じ職種であっても、社員のカラーや職場環境は会社によって大きく異なるため、インターンシップで自分に合いそうかどうか、力を発揮できる環境かどうかをつかみ取ることもできるでしょう。

理系学生限定や推薦のインターンシップもある

インターンシップの中には理系学生のみを対象にしたものや、理系学生の推薦枠を設けているものもあります。それぞれについて詳しく解説します。

理系学生限定のインターンシップ

技術職や研究・開発職などのいわゆる理系職種において、理系学生限定でインターンシップの募集をしている場合があります。これは、企業が本番の新卒採用において特定の専門知識やスキルを求めているからです。学生を含めた双方のミスマッチを防ぐためにも、一定の要件を満たした学生に絞って働く現場を体感してもらうことで志望度を高めたいという企業側の意向によるものです。学生にとっても、より企業理解、仕事理解が深められる上、採用にもつながりやすいためメリットが大きいと言えます。

理系学生用の推薦枠

大学と企業が連携して理系学生用の推薦枠を設け、インターンシップの選考を免除するというケースもあります。近年増加しており、インターンシップのトレンドになりつつあります。

推薦枠を利用すれば、希望のインターンシップに確実に参加できるので、研究室の先生やキャリアセンターに推薦枠がある企業について確認してみましょう。また、このインターンシップ先の企業で高い評価を得られたら、就職に直結するチャンスもあります。就職情報サイトなどには出てこない情報なので、こまめにキャリアセンターなどに確認するといいでしょう。

理系学生ならではのインターンシップの一例

理系学生には、技術職、SE職、研究職の「インターンシップ」の人気が高いようです。加えて、コンサルティングファームの「インターンシップ」を希望する理系学生も多い傾向にあります。いずれの職種においても、理系学生向けの「インターンシップ」では、実務を経験してもらうプログラムが多いようです。SEならば開発チームに参加して、社員の指導を受けながら実際に手を動かしたり、プロジェクトメンバーに入って客先に同行したり、会議に参加したり、業務を手掛けたりする場合もあります。

技術職や研究職の場合も同様で、その企業で実際に手掛けている技術開発や研究開発チームに入り、実務の一端を経験してもらうというものも多いようです。コンサルタント職の場合は、プロジェクトチームに入って会議の議事録をまとめたり、パワーポイントで資料を作ったり、実際に客先に出向いてヒアリングやプレゼンのサポートを行ったりと、アシスタント的な業務を任されるケースが多いようです。

いずれも、実際の仕事を経験することで、自分の専攻が仕事でどのように生かせるのか、より深く理解できるでしょう。なお、これらのインターンシップでは、例えばプログラミング言語経験や特定分野の研究経験など、応募に際して理系ならではのスキルを求められるケースがあります。

理系学生の「インターンシップ」、スケジューリングのポイント

忙しい理系学生がインターンシップに参加するためには、スケジューリングが重要です。スケジュールを組む際のポイントをご紹介します。

学業が忙しい時期を把握しておく

まずは授業や研究室のスケジュールを確認することが重要です。研究室の先生や先輩などに確認し、年単位でざっくりとしたスケジュール感をつかんでおきましょう。どの学校でも、この時期には研究発表があって忙しい、この時期は比較的余裕がありそうだ・・・など大まかにつかむことはできると思います。余裕がある時期にインターンシップに参加する、前倒しできる研究や実験、レポートなどは早めに着手しておくなどすれば、無理のないスケジュールが組めるでしょう。

この時、「特に忙しい時期」を把握することが重要です。先生や先輩などに忙しい時期を確認して、それ以外の期間で「インターンシップ」を探しましょう。
「オープン・カンパニー」や「キャリア教育」は単日開催のプログラムが多くあります。インターンシップだけに限定せず、興味のある企業や内容のプログラムがあるか確認してみましょう。

教授に状況を共有しておく

研究室の先生と日ごろから良いコミュニケーションを取ることは大切です。中には、就活準備よりも実験や研究を優先させる先生も少なからず存在します。就活に関しての姿勢や方針を共有したり、「この時期にインターンシップに参加したい」という意向を伝えておくことはもちろん、普段から真面目に研究に臨み信頼関係を築いておくことも有効。あらかじめ、インターンシップに参加できる態勢づくりを進めておきましょう。

早めに就活準備を進め、卒業後のキャリアを考える

インターンシップやオープン・カンパニーに参加するのは、大学3年生・大学院1年生の夏が多いようです。理系学生の場合は、学業が忙しい時期と重なる可能性があるので、学部生の1・2年生も参加できる「オープン・カンパニー」「キャリア教育」に参加するなど、就活準備を進めておきましょう。

プログラムに応募する前や参加後に自分の興味のある業界、職種などを考えることで、自己分析や企業理解も進みます。卒業後に就職するか大学院に進むか迷っているという場合も、低学年のうちに参加すれば卒業後の進路をより具体的に考えるきっかけになると思います。

大学院への進学を決めているという場合も、学部生のうちに「オープン・カンパニー」や「キャリア教育」に参加して、本当に自分が大学院に進学して研究を続けていきたいか、ほかにもやりたいことがないか見ておくことをオススメします。大学院での研究は、学部生の時よりもますます忙しくなると考えられるため、比較的スケジュールが組みやすい学部生時代の方が、さまざまな企業を見られる可能性が高いでしょう。

リクナビでは理系のインターンシップやオープン・カンパニーなどが探せる

リクナビでは、実施日程と就業体験が必須かどうかで「インターンシップ」と「オープン・カンパニー&キャリア教育等」の2つにプログラムタイプを分類して掲載しています。実施開始月や業種、実施期間、実施場所など、さまざまな軸ごとにプログラムを検索することができます。
また、インターンシップは、土日祝日または、長期休暇期間に開催されるように配慮しています。理系学生にも検討できるインターンシップが見つかる可能性が高いので、ぜひ活用してみてください。

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山田英子さんプロフィール写真

【監修】山田英子(やまだ・えいこ)さん
早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒業。 大手ファーストフードサー
ビス企業、人材サービス企業を経て、IT系コンサルティングファームに入
社。採用部門のリーダーとして新卒・中途採用業務全般に加え、就職セミナ
ーでの講演などの広報活動や人事制度設計などに携わる。2005年5月に個人事業
主として独立し、大学生の就活支援、社会人の転職支援などを中心に活
動中。 【保有資格】国家資格キャリアコンサルタント。米国CCE,Inc.認定G
CDF-Japanキャリアカウンセラー

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記事作成日:2025年1月29日
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