自分に合った仕事や企業の見つけ方をプロが解説!適職を選ぶことが大切な理由とは?

就活の際に、「自分に合った仕事とはなんだろう」と、悩んでしまう人は少なくないでしょう。

「自分に合った仕事」とひと口に言っても人によって考え方はさまざまです。この記事では採用のプロである曽和さんのアドバイスを基に、一つの目安として、自分に合った仕事の考え方や見つけ方を整理していきます。

この記事のまとめ

  • 自分に合った仕事とは、以下の要素を満たす仕事です
    ・自分の強みや得意なことをいかせる
    ・ストレスなく業務に取り組むことができる
    ・将来的な成果につながりやすい
    ・やりがいがあると感じる
  • 自分に合った仕事がわからなくて悩む学生は少なくありません。周囲からのアドバイスを参考にしてみましょう
  • 自分に合う仕事を意識して企業を選ぶと、以下のメリットがあります。
    ・モチベーションを維持できる
    ・成果を上げやすくなる
    ・長く働き続けることができる
    ・検討する企業を絞り込む際に役立つことも
  • 以下の3つの段階で考えると自分に合った仕事を見つけやすくなります
    1. 自己分析をする
    2. 業界・企業研究をする
    3. その企業で身につけられるスキルは何かを考える
  • 自分に合った仕事の見つけ方として、自分の「欲求」「価値観」を明確にすると役立つこともあります

自分に合った仕事とは?

自分に合った仕事の定義は人によって異なりますが、総じて「自分らしく働ける仕事」と言って良いでしょう。ただし「自分らしく働ける仕事」が、「自分が好きな仕事」や「やりたい仕事」と一致するとは限りません。

自分に合った仕事を構成する要素

以下の要素を満たす仕事は、多くの人から見て、自分に合った仕事と言えます。

  • 自分の強みや得意なことをいかせる
  • ストレスなく業務に取り組むことができる
  • 将来的な成果につながりやすい
  • やりがいがあると感じる

自分の強みをいかした仕事ができていると実感できれば、ストレスが軽減されます。ストレスが少なければ成果を出しやすく、昇進や昇給として自分に還元され、さらにやりがいを感じられるようになります。こうした循環の中で、前向きに働ける仕事が自分に合った仕事です。

「好きな仕事」と「自分に合った仕事」は別?

キャリア探しの観点に、「Will Can Must」という思考のフレームワークがあります。

「Will」はしたいこと、「Can」はできること、「Must」はすべきことで、それぞれ仕事の原動力となるモチベーションを表しています。

「好きな仕事」は志向や価値観に基づいて見つけるものであり、フレームワークで言うと「Will」に当てはまります。一方、自分に合った仕事は「自分の強みや得意なことをいかす」という観点から、能力や性格に基づく「Can」に当てはまると言えるでしょう。

「好き」と「向いている」は異なる、と考えるとわかりやすいかもしれません。好きなことすべてが、仕事に向いているとは限りません。趣味として気軽に楽しんでいるからこそ好きなのであって、仕事として続けていけるかどうかは別の問題となる場合もあります。

このように、「好き(Will)な仕事」と「自分に合った(Can)仕事」は別物なので、分けて考えるのが良いでしょう。

「好きな仕事」と「自分に合った仕事」が違うときはどうすればいい?

好きかどうかを仕事探しの軸にすることは、問題ありません。「好き」や「やりたい」という気持ちが仕事への熱意に直結するほど強いのであれば、熱意が努力の支えとなり、能力が追い付くケースも考えられます。

一方で、自分に合うかどうかを仕事探しの軸にすると、将来的に成果を出しやすくなったり、周囲から評価されたりと、自分へのリターンを得られる可能性が高まります。

「好き」で「自分に合う」仕事が見つかるのが理想ですが、難しい場合は、自分がどのような将来を歩みたいかを念頭に置き、優先したい価値観を考えてみましょう。

自分に合った仕事がわからなくて悩む就活生は多い?

自分に合った仕事がわからなくて悩む就活生は少なくありません。どうしても見つからないときは、保護者などの周囲の人に相談してみてください。あなたのこれまでの経験や行動を基に良いアドバイスがもらえるかもしれません。

周囲の人から意見をもらう

周囲の人のアドバイスや適性検査で「これが向いている」と勧められた職種に興味を持てなかったり、「本当にこれでいいのか」と悩んでしまったりする就活生は少なくありません。

こうしたときは、「この仕事は自分に合っていると思うか」と、あらためて別の人に意見をもらうのがお勧めです。特に、学校のキャリアセンターの職員、キャリアアドバイザーなど、客観的かつ本音で意見してくれる人が相談相手として適しています。意見をもらう際には、自分の特徴を表す過去の経験や行動などのエピソードを伝えられると、相手も相談に乗りやすくなるでしょう。

このエピソード選びにもコツがあります。短期留学や学校行事での功績などの短期的な成功経験だけでなく、学業などの長期間にわたる「やらなければならないこと」にどのように取り組んだかも交えましょう。困難に対してどのように苦労して乗り越えたかが読み取れるエピソードを伝えることで、あなたの能力や性格がより浮き彫りになります。

「自分に合った仕事」を意識するメリットは?

自分に合う仕事を意識することは、入社後のモチベーションやパフォーマンスを維持し、評価につなげていく上で非常に重要です。また、数多くの企業から志望する企業を絞り込む上でも、役立つ視点が得られるでしょう。

モチベーションを維持できる

モチベーションを維持して仕事をするには、「自分ならできそうだ」と思える確信や自己効力感(期待感)を持つことが重要とされています。自己効力感があれば、困難な状況に直面しても、過去の成功経験や自分の強みを根拠に、前向きに挑戦する気持ちが生まれます。行動の結果として実際に成果が出て評価されることで、それがさらに「次もできそうだ」と自己効力感の向上につながります。

強みや得意なことに基づいた自分に合った仕事であれば、この自己効力感を感じやすいでしょう。

成果を上げやすくなる

自分に合った仕事とは、能力的な適性があり、さらに高いモチベーションを維持して働ける仕事です。そうした仕事では、おのずと仕事での成果を上げやすくなるでしょう。自分に合った仕事を選ぶメリットは、「成果を上げやすくなる」こと、そしてその結果として「評価と報酬(給与・ポジション)」が得られる点にあります。自分に合った「成果を出せる仕事」を選ぶことは、精神的な満足だけでなく、経済的基盤を安定させるためにも重要です。

長く働き続けることができる

自分に合った仕事に就くと、心身の健康を保つことができます。熱意を持って仕事をしていても、プレッシャーや疲労が重なると、どうしても仕事への熱意を失ってしまう場面があります。一方で、自分に合った仕事であれば、ストレスが軽減され、生き生きと働けるため、結果的に長く働き続けることができます。

同じ企業で働き続けることで、着実にスキルを積み重ねられるだけでなく、業務内容や求められる役割を理解した上で経験を重ねることができます。その結果、次の役割やポジションも見据えやすくなり、長期的な視点でキャリアを形成できます。

なお、大学卒業者の3年以内離職率の全国平均は33.8%(2022年3月卒業者。2025年時点)(※)と、実は3割以上の新卒者が3年以内に離職しています。この要因の一つとして考えられているのが、業務内容や人間関係、自分の能力などにギャップを感じてしまうことです。

特に、「自分はもっとできると思っていたのに、実際はできなかった」という能力へのギャップは深刻で、「リアリティーショック」とも呼ばれています。自分に合った仕事=自分の強みや得意なことをいかす仕事であれば、このリアリティーショックも防ぎやすくなるでしょう。

※ 出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況|離職状況に関する資料一覧|新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」

検討する企業を絞り込む際に役立つことも

自分に合った仕事を考えるのは、就活でも役立ちます。検討する企業を絞り込みやすくなるためです。就活の軸が一つ決まることで、手当たり次第に見つけるよりも、企業研究やOB・OG訪問の対象となる業界や企業をスムーズに見つけやすくなります。

なお、新卒採用は「総合職」での募集が一般的なので、企業研究の段階でどの部署に所属したいかまでを絞り込んで考える必要は基本的にありません。

ただし、大手企業をはじめとする一部企業では、「営業」や「システムエンジニア」といった業務内容を明確にした上で適した人材を雇用する「ジョブ型雇用」が推進されています。このジョブ型雇用で募集している企業を志望する場合は、職種まで絞り込んで「自分に合った仕事」を考えられると理想的です。

自分に合った仕事の見つけ方

では、どのように自分に合った仕事を見つければいいのでしょうか。ここでは見つけ方について解説します。

①自己分析をする

自分に合った仕事を見つけるには、自分の強みや適性を把握することが大切です。自己分析に取り組み、自分の興味や仕事をする上で大切にしたい価値観も含めて明らかにしましょう。

自己分析の方法は、モチベーショングラフや自分史の作成などがあります。以下の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。

もし迷うようなら、保護者や学校のキャリアセンターの職員などの第三者に相談しましょう。自分では気づけない強みや適性を知りやすくなります。

②業界・企業研究をする

自分の強みや適性が明確になったら、業界研究や企業研究を通じて、その業界や企業がどのような人物を求めているのかを確認しましょう。自分の能力と、企業が求める人物像が合致してこそ、「自分に合った仕事」と言えます。

特に、企業が示している「求める人物像」は表面的に捉えず、業務内容や活躍している社員などから、どのような能力・特性を重視しているのかまで深掘りして考えることが重要です。

例えば、企業のホームページにある「求める人物像」に、「コミュニケーション能力を持っている人材」と書いてあるとしましょう。コミュニケーション能力とひと口に言っても、「場の空気を読む力」「論理的なプレゼンテーション力」「懐に飛び込む社交性」など、具体的なスキル・能力には幅があります。実際にはどのようなスキル・能力が求められるのか、業務内容や企業のホームページなどから、詳細なイメージを膨らませて、本当に自分と合致するのかをよく考えましょう。

OB・OG訪問や会社説明会など、企業の人と直接話せる場もぜひいかしてください。「どのような人が活躍しているか」などを質問し、フィードバックをもらうと、その企業では何が求められ、自分に合っているのかを判断しやすくなります。

業界研究とは

世の中にある業界の種類や特徴を知り、自分が興味を感じ、働きたいと思う業界を見つけるために行います。

具体的な業界研究の方法はこちらの記事を参考にしてください。

企業研究とは

自分の能力や性格、興味・関心に合う企業と出会い、マッチするかどうかを見極めるために、企業への理解を深めるために行います。

具体的な企業研究の方法はこちらの記事を参考にしてください。

インターンシップ&キャリアの参加

インターンシップでは実際の業務の一部を経験することができます。それ以外にもオープン・カンパニーなど短期の会社説明会やイベント、OB・OG訪問などでもその企業がどのような働き方をしているのかを知るきっかけになるでしょう。

インターンシップ&キャリアの申し込みはこちらから

③その企業で身につけられるスキルは何かを考える

自分に合う業界や企業が見えてきたら、そこではどのようなスキルや経験が身につけられるかも考えてみましょう。

例えば、チームワークが求められる仕事なのか、若手でも裁量を持って進められる仕事なのかによっても、求められるスキルや鍛えられる能力が変わります。その仕事に就いてどのようになりたいかをイメージすることが大切です。

あなたが持つ強みをいかしつつ、自分が伸ばしたいと考えているスキルを身につけられたり、必要と感じる経験を得られたりする環境なのかを考えてみましょう。そうした視点を持つことで、その仕事が本当に自分に合っているかを判断しやすくなります。

「自分に合った仕事」を見つけるそのほかの方法

上記の方法以外にも、仕事に対する自分の欲求や価値観を知ることから見つける方法を紹介します。

自分の「欲求」「価値観」を明確にする

自分に合った仕事を見つけるためには、まずは自分の仕事に対する欲求や価値観を知ることが大切になります。「なんとなく自分に合いそうだから」と曖昧な理由で就職先を選ぶと、入社してから「こんなはずじゃなかった」と後悔する恐れがあります。以下の2ステップを参考にしてください。

◆Step1 「欲求・価値観リスト」から自分に合いそうなものを探し出す

「欲求」「価値観」は多様であるため、自分が持つ価値観を特定するのは難易度が高いものです。「欲求」や「価値観」をリスト化した心理学者のヘンリー・マレーの「欲求リスト」の中の「心理発生的欲求」が参考になります。

◆マレーによる心理発生的欲求の例

達成欲求…困難を乗り越え成長したい、難しいことをうまくやりたい

承認欲求…周りに認められたい、尊敬されたい

自律欲求…他人の影響や支配に抵抗したい、独立したい

対立欲求…他人と違った行動を取りたい、ユニークな存在でいたい

マレー以外にも、欲求や価値観をリスト化している例(RIASECやビッグファイブなど)もあり、検索するといくつかのリストがヒットします。このようなリストの中から、自分にフィットしそうなものを選んでみましょう。

◆Step2 洗い出された「欲求」「価値観」を一つずつ掘り下げてみる

洗い出されたいくつかの「欲求」「価値観」について、それが自分にとって大切な「欲求」「価値観」なのか、それとも「なんとなくいいな」と思っている程度の「欲求」「価値観」なのかを掘り下げて考えてみましょう。

一つの方法として、「なぜ」選んだのかを考えてみることです。その理由に、これまでの経験やエピソードにひも付いた答えが思い浮かぶのであれば、本当に大切な「欲求」「価値観」と言っていいでしょう。

曽和利光さんプロフィール写真

監修

曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。