BtoBとは?BtoCとの違い、企業の特徴、探し方などを解説

企業研究や業界研究でよく見る「BtoB」や「BtoC」という用語。「どういう意味?」と疑問を持つ学生のために、それぞれのビジネスの特徴や、BtoB企業、BtoC企業で働くメリット・デメリット、BtoB企業の探し方について解説します。さらにBtoBやBtoC以外のさまざまなビジネスモデルについても説明します。

「BtoB」と「BtoC」それぞれの意味は?

「BtoB」と「BtoC」について、それぞれの意味を解説します。

BtoBとは?

「Business to Business」の略称。企業が企業に対して商品やサービスを提供する、企業同士のビジネスであることを意味します。「B2B」と表記されることもあります。

普段の生活の中では目立ちませんが、BtoB企業のビジネスはあらゆる業界で展開されています。例えば、あなたがスマートフォンを買うときに意識するのは、スマホのブランドや通信キャリアのサービスでしょう。しかしその陰で、スマホメーカーが製品を作る過程では、数多くの電子部品メーカーから部品の供給を受けています。また、通信キャリアもサービスを提供するために、ほかの企業から通信機器を購入したり、情報システムの構築・運営をほかのIT企業に委託したりするなどしており、さまざまなBtoB企業がかかわっているのです。

BtoCとは?

「Business to Consumer」の略称。企業から一般消費者(生活者)へ商品やサービスを提供することを意味し、消費者からお金を得るビジネスであることを指します。「B2C」と表記されることもあります。

例えば、コンビニエンスストアにあるお菓子や飲料、衣服、雑貨、家電品、パソコン、映画配信サービス、公共交通機関、保険商品など、私たちが消費者として利用するあらゆる商品やサービスは、BtoC企業によって提供されているものです。

なお、規模の大きな企業では、BtoB(企業向け)とBtoC(一般消費者向け)の両方の事業を手掛けるケースもあります。ですから、企業によってはBtoBかBtoCかを明確に線引きできないこともあるでしょう。

BtoCの中にBtoBが含まれることもある

例えば、一般消費者向けの商品を作っているメーカーは、最終的に消費者へ商品を提供することから、全体としてはBtoCビジネスを行っていると言えるでしょう。
ただ、商品を消費者に届けるプロセスで、卸業や小売業などの企業が間に入る場合、これらの企業に商品を販売するビジネスはBtoBであるとも言えます。このように、企業がほかの企業を経由して、一般の消費者に商品を提供するビジネスについては「BtoBtoC」と呼ぶこともあります。

BtoBの特徴は?BtoCビジネスとの違いについて

BtoB企業のビジネスの特徴や、BtoCのビジネスとの違いについて説明します。 

取引の単価が大きい

一般的に、企業が顧客となるBtoBの製品やサービスは、一般消費者が顧客となるBtoCに比べて単価が高く、出荷の最小単位(ロット)やプロジェクトの規模も大きいため、一度の取引金額が高額に上ることも多いのが特徴です。

市場規模が大きい

企業間の取引であるBtoBビジネスの市場規模は、BtoCの数倍はあると言われています。
例えば、国が実施した調査によると(※)国内のEC市場規模はBtoBで372 兆 7073 億円、BtoCで20 兆 6950 億円となります。BtoBの方が取引のEC化が進んでいることから、単純な比較はできませんが、BtoBの市場は大きな存在感を持っています。

※出典 「令和3年度 電子商取引に関する市場調査報告書」

事業が長期にわたり安定している

BtoBの取引は成約までのプロセスが多く、期間も長くなりがちですが、いったん取引が開始されれば、特に問題がない限り継続されることが多いようです。したがって、常に消費者の動向やトレンドを読んで戦略を考える必要があるBtoCに比べ、BtoBは一度顧客の信頼を得ることができれば、安定した収益が見込まれるのが特徴です。

BtoB企業の営業のイメージ

BtoB企業の魅力とは

商品製造に使う素材や部品の供給、工作機械の販売、企業で使用するツールの販売、人材派遣、システム開発、インフラの設備工事など、BtoB企業のビジネスはあらゆる分野に及びます。BtoB企業で働く魅力は、企業や社会を下支えする重要なビジネスや、多額のお金が動くプロジェクトに、じっくりと腰を据えて取り組めるチャンスがあることでしょう。

また、BtoB企業の中には、学生にとって耳なじみはなくても、しっかりとした売り上げや利益を達成している企業が数多くあります。さらには電子部品や半導体、建設機械や工作機械など、特定の分野で、世界トップクラスの技術力を持ち、大きなシェアを獲得している企業も存在します。

BtoB企業を志望するメリットとデメリット

就活でBtoB企業を視野に入れると、企業選びの選択肢は大きく広がり、「隠れた優良企業」を就職先の候補にすることもできます。選考においても、その企業の魅力を熟知した学生が応募することが多いため、学生の間で名前が知られている企業に比べると、ライバルが少ない傾向にあるかもしれません。

半面、BtoC企業への就活と比べて難しいのが応募先の企業選びです。世の中にどのようなBtoB企業があるのかをよく調べなければ、自分に合う企業と出会ったり、特徴や業務内容を理解したりするのが難しいかもしれません。それでも、BtoB企業を就職先の候補にすることはぜひ考えてほしいと思います。

BtoC企業の魅力とは

私たちは、小売店で食品や衣料品を買ったり、飲食店で食事をしたり、鉄道や飛行機で移動することで、多くのBtoC企業が生活を支えていることを日々実感しています。
BtoC企業で働く魅力の一つは、自社の商品やサービスを通じて消費者の反響に触れる機会が多く、自分の仕事が世の中の役に立っていることを実感しやすいことでしょう。また、常に世の中の変化を敏感に捉えて「新しい提案をしたい」「価値を発信したい」という意思がある人にとっては、やりがいがあるでしょう。

BtoC企業を志望するメリットとデメリット

就活でBtoC企業を志望するメリットとしては、就職先候補として視野に入りやすいこと。広告で見かけたり、商品やサービスを利用したりしていれば、より親近感も湧き、モチベーション高く就活に取り組めるでしょう。半面、有名企業の場合は多くの学生が応募するため、選考において狭き門になることも少なくありません。

BtoB企業の探し方

就活でBtoB企業について調べる場合、社名を知らなければ、直接個別の企業を探すのは難しいものです。まず自分が関心を持っている業界の仕組みを大きく把握することから始めてみましょう。そのヒントを以下にご紹介します。

1.好きな商品やサービスの業界に、どのような企業がかかわっているか考え調べてみる

自分が興味のある業界で商品やサービスを提供するBtoC企業の先に、どのようなビジネスがあるかを考えてみましょう。
例えば、アパレル業界に興味があるなら、フロントのアパレルメーカーについて調べるだけでなく、その先にどのようなBtoBがかかわって活躍しているかを想像し、検索してみましょう。例えば「アパレル」「企業」などで検索すると、生地を卸す企業、生地を製造する企業、立体縫製ができる機械を製造販売する企業など、さまざまな企業が見つかります。企業ページに「取引先」が明記されていれば、自分の好きなブランドにかかわるBtoBと出会うことができ、就活候補先の一つになるかもしれません。

2.関心を持っているビジネスや技術のキーワードで検索してみる

「AI」「自動運転」「再生医療」など、関心のあるキーワードで検索すると、それらに関連した多くの業界や企業がヒットします。例えば「自動運転」ですぐに思いつくのは完成車のメーカーですが、「かかわる企業」「支える企業」といった言葉を加えて検索してみると、部品サプライヤーだけでなく、センサー、カメラ、通信、AIなど、いくつもの業界がBtoBとしてかかわっていることがわかります。また、自動運転の技術を開発する側だけでなく、ユーザー側から自動運転の実用化を目指して実験に取り組む企業(例えば、地域の交通を担うバスやタクシーなどを扱う会社など)もあります。
話題のキーワードからBtoC・BtoBを問わず、知らない企業と出会うことができれば、就職先の候補に加えることができたり、就活のヒントとなる情報が得られたりするでしょう。

3.身近な社会人に聞いてみる

あなたの家族や親戚、学校の先輩などの社会人は、それぞれの社会人経験を通じてさまざまな業界や企業を知っています。自分で調べてもわからなかったことが、クリアになるケースも多いでしょう。

その他のビジネスモデルについても知っておこう

BtoBやBtoC以外のビジネスモデルを指す用語を解説します。
就活視点で注目してほしいのは「G(Government)」に関連するビジネスです。自分が生活の中で行政サービスを受ける際にも、さまざまな企業がかかわっていることを知っておきましょう。
なお、下記の用語もBtoBやBtoCと同様に、「CtoC」→「C2C」、「BtoG」→「B2G」と記述されることがあります。

CtoC(C2C)

「Consumer to Consumer」の略。個人(消費者)から個人(消費者)へ、商品やサービスを提供することです。今は主にインターネットを介して行われることが多く、例としてフリマアプリやオークションサイトなどでの取引があります。

BtoG(B2G)

「Business to Government」の略。企業が、国や地方自治体などの行政機関に対して、商品やサービスを提供することです。道路工事などの公共事業のほか、最近では情報システムの導入やコンサルティングなどのサービスも主要なビジネスになっています。BtoGは財源が国の予算や税金であり、発注に際しては透明性や公平性が求められるため、企業は「入札」という手続きを踏んで受注をするのが特徴です。

GtoC (G2C)

「Government to Consumer」の略。行政機関が消費者に対してサービスなどを提供することで、近年は特に、インターネットなどを通じて電子的に提供されるものを指すことが多いようです。例えば、電子確定申告サービスの「e-Tax」や、図書館やスポーツ施設の電子予約などです。そして、こうした行政サービスをサポートし、質の向上に貢献するのが、一つ上で説明した「BtoG」のビジネスを行う企業です。

BtoE (B2E)

「Business to Employee」の略。企業が従業員に対して商品やサービスを提供すること。従業員も一人の消費者と考え、自社商品の割引販売や、社員食堂やカフェでの飲食物の提供(市場価格、割引販売、無償提供などさまざま)などを行います。ビジネスというよりは福利厚生的な意味合いが強く、就活の企業選びでは「働きやすさ」の一つの目安になるかもしれません。

DtoC(D2C)

「Direct to Consumer」の略。BtoCの販売戦略の一つで、メーカーが卸や小売を介さずに、自社製品を直接消費者に販売することを指します。近年のEC(インターネット通販)の普及によって、メーカーが直接消費者にアプローチするDtoCが注目されるようになりました。

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吉田賢哉さんプロフィール写真

【監修】吉田賢哉(よしだ・けんや)さん
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 上席主任研究員/シニアマネジャー
東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。

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記事作成日:2023年5月10日
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