就活の作文の書き方で押さえておきたいポイント<出題例と回答例文も紹介>

就活では、エントリーシート(ES)を提出する際に、「作文」をする機会が必ずあり、企業によっては作文試験を実施するケースもあります。「就活の作文の書き方がわからない」と悩んでいる学生も少なくはないでしょう。そこで、これまでに1000人以上の学生の就活を支えてきた就活コーチ・廣瀬泰幸さんに、就活の作文について、押さえておきたい書き方や注意しておきたいポイントなどを聞きました。出題例や回答例文も紹介するので、作文の参考にしてみましょう。

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就活の作文、書き方を知っておいた方がいい理由

まずは、就活の作文について、書き方を知っておいた方がいい理由を紹介します。

大前提として、エントリーシートに作文は必須。作文試験があるケースも

新卒採用の就活で選考を受けるためには、エントリーシートや履歴書の提出を求められることがほとんどであり、その際、設問に対する回答の作文は必須となります。エントリーシートや履歴書の内容は、選考の判断材料となるものなので、就活の作文の書き方を押さえておき、自分の考えや良いところが伝わるようにしましょう。

 

また、マスコミ業界をはじめとする一部の業界・企業によっては、選考試験の際に作文試験が実施されるケースもあります。出題されたことに対し、その場で自分の考えをまとめ、1000文字、1500文字などで伝えることが必要なので、長文の作文の書き方を練習しておくことがポイントになるでしょう。

一枚一枚のエントリーシートをじっくり読み込んでもらえる可能性は低い

新卒採用には、多くの学生がエントリーするものです。企業によって応募者の人数に違いはありますが、採用担当者の多くは、書類選考の際、大量のエントリーシートに目を通しているはずです。一枚一枚のエントリーシートに長い時間はかけられないものなので、じっくり読み込んでもらえる可能性は低いと理解しましょう。要点を簡潔にまとめ、短時間で内容を把握できるような書き方を意識することが大事です。

面接では、エントリーシートの作文内容を深掘りされる

学生の中には、「期限に間に合わせるために、とりあえずエントリーシートの空欄を埋めよう」と考える人も少なくありません。しかし、面接では、エントリーシートに書かれた内容をベースに質問をされるものです。作文をする際には、「目的は、面接で『自分がアピールしたい点』について質問してもらうこと」と考えましょう。面接での対話における「きっかけツール」だという意識を持てば、書く内容も、書き方も、おのずと変わってくるはずです。

企業は作文を通じて、学生の何を見ている?

エントリーシートに書かれた作文や作文試験の内容を通じて、企業は学生のどんなところを見ているのでしょうか。そのポイントを紹介していきます。

ある程度のコミュニケーション力があるか

回答内容や作文そのものを通じて、「設問の意図を理解しているか」「自分の考えを理論立てて回答できているか」「相手にわかりやすく伝えることを意識した書き方をしているか」などを見ている企業は、少なくありません。相手の話を理解した上で、自分の考えを整理し、相手に伝えることを意識できるかどうかという点は、本人のコミュニケーション力に直接関係しているものであり、社会で仕事をするに当たって大事な力といえます。

面接だけでなく、作文の段階でも、ある程度のコミュニケーション力があるかどうかを判断している可能性があると考えましょう。また、その場で長文を書く作文試験においては、自分の考えを明確に持っているか、それを論理的に説明できるかという点を見ているといえるでしょう。

回答内容がその企業の価値観にマッチしているか

企業は、設問や出題テーマに対する回答を通じて、「自社の価値観にマッチする人材かどうか」を見ています。例えば、エントリーシートに「これまでに挑戦したこと」という設問があったとします。同じ設問でも、積み重ねた信頼や信用を大事にしている企業と、失敗を重ねて成長していく社風を大事にしている企業では、「挑戦」に対する考え方そのものが違う可能性があるのです。

前者の場合は、リスクに配慮しない無謀な挑戦をする人材は、マッチしないと判断する可能性が高いでしょう。逆に、後者の場合は、リスクを恐れずに挑戦していく人材の方が評価されやすいといえるのです。一方、クリエーティブな事業を展開している企業の場合は、「挑戦したことの内容やそのプロセスに、本人なりの発想力やオリジナリティが発揮されているか」を見ているケースも多いでしょう。また、若いうちから大きな数字を動かす仕事を任せている企業などは、「挑戦を通じて、難易度の高い目標に取り組んだか」を見ているケースもあります。特別な経験でなくても、本人にとってクリアすることが難しいような目標を設定し、達成に向かって頑張ったことを知りたいと考えているのです。

また、企業によって、エントリーシートの設問内容に違いがあり、そこに企業理念や企業文化などを反映することで、自社にマッチする人材かどうかを見極めているケースも多くあります。いずれにしても、企業研究をしっかり行い、それぞれの企業が大事にしている価値観を理解しておくことが重要です。その上で、エントリーシートの設問を通じて、「この企業が知りたいことは何か」をしっかり考えることがポイントになるでしょう。

就活の作文の書き方で、押さえておきたい注意ポイント

ここでは、就活の作文の書き方について、押さえておきたい注意ポイントを紹介していきます。

文字数指定に対し、8割以上を埋める内容を意識する

それぞれの設問では、「400文字程度」「300文字以内」など、回答欄に書く文字数が指定されていることがほとんどといえます。これに対し、「文字数が少ないと、評価が下がるかもしれない」と考えている学生も少なくはないでしょう。しかし、企業が設問に対する文字数を指定するのは、「そのボリュームで伝えられる程度の要素は知りたい」と考えているからです。

例えば、「400文字」を指定した回答欄に対し、7割を埋めた場合には「280文字」となります。しかし、280文字程度の内容を求めていたなら、「300文字」と指定しているはずなのです。また、「30文字以内」など、非常に少ない文字数を指定する企業もありますが、これは「端的に結論のみを書いてほしい。余計な要素は必要ない」と考えているからといえるでしょう。文字数指定には企業の意図があるので、作文をする際には、8割以上を埋める内容とする意識を持ち、「どんな要素を入れるのか」を考えることが大事です。

質問の意図を理解し、的確な回答をする

質問されていることに対し、その意図を理解し、的確に回答することを心がけましょう。例えば、「学生時代に力を入れたこと」について問う質問にも、さまざまな意図があります。「学生時代に力を入れたことは何か」と、そのものズバリを聞かれた場合には、頑張ったことの詳細を知りたいという意図があります。一方、「学生時代に力を入れたことによって、何を得たか」という場合は、取り組んだことそのものより、そこから何を学び、どう成長したかという点に注目しているといえます。また、「学生時代に力を入れたことを、仕事にどう生かせると思うか」という場合には、その企業で働く際に、どんな力を発揮できるのかを知りたいと考えているでしょう。

エントリーシートの回答欄には、文字数制限があるものなので、相手の知りたいこととズレている内容に文字数を割くのは、非常にもったいないものです。質問の意図をしっかりくみ取り、「何を書くことに文字数を割いた方がいいのか」を考えましょう。

その企業が「なぜこの設問を挙げたのか」を考える

設問に対し、「何を書けばいいのか。自分のどんな部分を伝えればいいのか」と悩んでしまうケースは少なくありません。例えば、「これまでに挑戦したこと」がテーマだった場合には、「時間や労力をかけて目標を達成したこと」を挙げることもできますし、「試行錯誤を続けて新しいことにトライした経験」を挙げることもできます。

どんなことを書けばいいのかわからないと思ったら、その企業が「なぜこの設問を挙げたのか」という背景を考えてみましょう。企業理念をはじめ、企業文化や求める人物像、活躍している人材など、企業研究で理解したことを踏まえた上で、自分なりに「どういう人材を求めているのか」を想定してみることがポイントです。地道な努力を大切にしている企業もあれば、情熱的に周囲を巻き込む人材が活躍している企業もありますし、クリエーティブな発想を生かす事業を展開している企業もあるので、そこにマッチすることを書くといいでしょう。

自分にとっての「事実」を簡潔に書く

少しでも評価されようと話を盛る学生もいますが、エントリーシートの作文では、自分にとっての「事実」を書くことが重要です。面接で深掘りされれば、話を盛っていることが伝わってしまうので、事実として自分が経験したことや感じたこと、考えたことのみを書きましょう。また、質問されていないことにまで話を広げてしまう学生もいますが、伝えたいことがわかりにくくなる上、内容も薄くなってしまいます。「質問の意図を理解できていない」と判断される可能性もあるので、問われていることに対し、簡潔に書くことを意識しましょう。

「結論」から述べ、「根拠となるエピソード」をセットで伝える

作文をする際には、結論から述べる書き方を意識しましょう。最初に結論を明確にすることで、何を伝えたいのかがわかりやすくなります。「志望動機」などを問う設問で、結論を1つに絞れない場合は、「志望動機は3点ある」などと最初に述べてから、それぞれについて書くといいでしょう。また、結論に対し、根拠となるエピソードをセットにして伝えることもポイントです。その結論を出した理由や背景について、説得力を増すためには、根拠となる具体的なエピソードまでしっかり書くことが大事です。

作文試験の準備は、「過去問で練習すること」がオススメ

作文試験がある場合は、その企業の試験に出た過去問で練習しておくことがオススメです。長文の作文を書く力を身につけることができますし、過去の出題傾向を知っておくことにも大きな意義があります。多くの企業は、採用を行う際、「過去からの連続性」を大事にしています。企業には、それぞれのカラーや文化があるため、これまでに採用した人物との共通点がある人材を求めるものです。

また、これまで採用した人物と同等以上の能力があることも重視するでしょう。過去の出題傾向を知ることは、企業が「作文を通じて学生の何を見ているのか、どんな素養を求めているのか」を理解することにつながります。まったく違うテーマの出題がされた場合にも、どんなことを書けばいいのかが見えやすくなるでしょう。

書類に記入をする女性の後姿

出題されやすい設問例と回答例文を紹介

エントリーシートで出題されやすい設問例と、作文試験のテーマの傾向を紹介します。内定者の回答例文も紹介するので、作文の書き方のヒントにしてみましょう。

エントリーシートで出題されやすい設問

エントリーシートでは、「自己PR」「志望動機」「学生時代に力を入れたこと」「強み・長所」などを設問とするケースが多いでしょう。説明会に参加した際に、その場でエントリーシートを書く企業もあるので、それぞれの設問に対して、どんなことを書くのかを事前に考え、伝えたい要素と根拠となるエピソードを整理しておく方がいいでしょう。また、「企業として掲げている価値観の中で、自分に当てはまるものを書く」など、企業理念などに関連する設問を出題する企業もあるので、企業研究をしっかりしておくこともポイントになるでしょう。

「志望動機」に対する回答例(アパレル企業に内定)

私が貴社を志望した動機は、「これまでの自分の経験を生かして、大きな挑戦ができる」と考えたからです。大学時代の3年間、若者向けのアパレルブランドの店舗で接客のアルバイトを続け、お客さまの魅力を引き出すコーディネート提案をすることにやりがいを感じるようになりました。本人が気づいていない魅力を引き出すことで、イキイキと輝くような表情に変化することに大きな喜びを味わいました。また、売れていない商品の魅力を引き出す展示を提案し、売り上げアップに貢献する面白さも実感しました。

貴社は、幅広い世代に対応し、さまざまなアパレルブランドを展開しているため、より多くの人々を輝かせる提案ができると考えています。また、EC事業にも注力していると知り、全国の人々に向けて発信していけることにも魅力を感じました。これまで自分が培った創造力や能力を生かし、ファッションの新たな可能性を引き出す挑戦をしていきたいと思います。

「学生時代に力を入れたこと」に対する回答例(総合商社に内定)

私が力を入れたのは、大学時代に所属していたアメリカンフットボール部の活動です。2年生でレギュラーとなり、試合に出場する中、作戦数が少なく、試合展開に幅がないことが課題だと気づきました。そこで、足りない部分は何か、どんな領域の作戦に力を入れればいいのかを自ら考えるようになり、具体的な作戦を立案し、チームのみんなに提案していきました。

当初はメンバーから反発されましたが、なぜその戦略が必要なのか説明を続けるうちに、同期のメンバーが協力してくれるようになり、最終的には先輩も説得することができました。それからは、試合で自分が考えた作戦を実行し、うまくいかない場合には再度作戦を練り直すことを続けていきました。3年生になった時、ついに強豪校を倒すことができ、チームを勝利に導く大きな喜びを実感しました。この経験を通じて、多様な視点で戦略を考える力と、多くの人を巻き込む力が身についたと感じます。

作文試験に出題されるテーマには、どんな傾向がある?

作文試験の出題では、社会性があるテーマを出すケースはよくあります。社会における課題に対し、どんな考えを持っているのかを問われるので、さまざまな時事問題に敏感になり、「今、社会において何が問題になっているのか」を知っておくことが大事です。また、その企業が掲げる企業理念に重なる経験を問うケースもあれば、「働くとは、どういうことか」など、本人の価値観を問うケースもあります。

いずれのテーマにおいても、自分自身の考えを明確にし、しっかりと結論を書くことがポイントです。特に、社会性があるテーマについては、「こんなことも言えるが、こんな可能性もある」など、状況分析に終始してしまう学生も少なくはないので、自分なりの結論を述べることを意識しましょう。

就活の作文では、「ディテール(詳細)」まで表現しよう

就活の作文において、背景やエピソードの「ディテール」をしっかり表現できていない学生が多くいます。「こんな状況があった」「こんな場面で起きた出来事だった」などの詳しい説明を心がけ、読み手がそのシーンをより想像しやすくなるような書き方を心がけるといいでしょう。

また、エピソードを書く際には、「以前はこうだったが、自分がこんな行動をしたことで、こう変化した」など、前後の状況を比較することで、事実として結果を出していることが伝わりやすくなります。「アルバイトでこんなことを頑張り、売り上げがこれだけアップした」など、具体的な数字で客観的な成果を伝えれば、より説得力を増すことができるでしょう。

作文に自信がない場合は、第三者に読んでもらい、アドバイスをもらうこともオススメです。その際は、文章表現にたけている友人や、キャリアセンターの担当者など、自分よりも作文力があり、伝わる書き方を理解している人物に見てもらうといいでしょう。

 

「OpenES」を使えば、あらかじめ登録したES・履歴書を数千社に提出できるので、ES作成にかかる時間を大幅に短縮できます。中には「OpenES」しか受け付けていない企業もあるので、ぜひ活用してみましょう!

 

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廣瀬泰幸さん

【監修】廣瀬泰幸さん
株式会社オールウェイズ代表取締役。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社リクルートにて管理職として10年間勤務しながら、大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、1部上場企業の人事部採用責任者として年間500名の採用と人材育成を行う。就活コーチとして独立後、現在までに1000名を超える学生に就活コーチングを実施。

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記事作成日:2020年4月14日
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