就活中の適性検査には、「どんな問題が出されるの?」「効果的な準備は何?」「受検前にできることはある?」など、不安や疑問を感じている方もいることでしょう。テストセンターや自宅受検に最も多くの企業で採用されているSPIの練習問題はありませんが、問題例やパソコンでの受検に慣れるための準備をご紹介します。
企業が採用選考を行う際、応募者の能力や人となりを把握するために「適性検査」と呼ばれるテストが行われることがあります。その適性検査の一つが「SPI」。リクルートマネジメントソリューションズが開発したもので、1万5500社の企業がSPIを利用しています(2023年3月期実績)。
SPIには「能力検査」と「性格検査」の2つがあります。
能力検査は、働く上で必要となる基礎的な知的能力を測る検査です。具体的には、「言語分野」と「非言語分野」の2種類の問題を通して、「問われていることを正しく理解し、合理的に考え、目的に向けて効果的・効率的に処理していく能力」を測ります。
「言語分野」では、「言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解できるかどうか」。非言語分野では、「数的な処理ができるか」「論理的思考力があるかどうか」を測っています。
SPIの能力検査の問題例を見てみましょう。
<問題例1>語彙(ごい)
下線部のことばの意味を考え、意味が最もよく合致するものを1つ選びなさい。
火を消すこと
A.火事
B.火気
C.消火
D.発火
E.放火
【正答】C
実際のパソコン画面上では以下のように表示されます。
<問題例2>文章読解
つぎの文を読んで各問いに答えなさい
豊かな森林土壌は、小動物や微生物によって粉砕され分解された枯葉や枯枝が堆積(たいせき)しており、隙間が多くスポンジ状である。このスポンジ状の土壌は一時的に雨水をそのなかにため込むことができる。雨が降ると、土壌表面の枯葉・枯枝が上から落ちてくる雨の勢いを止めるクッションの役割を果たし、水はどんどん土壌に吸収されていく。雨がやむと、森林土壌は吸収した水をゆっくりと放出し、その水はやがて河川に供給される。森林がしばしば「緑のダム」と呼ばれるのは、雨水を一時的に貯える機能が、河川の流量の平準化に役立っているからである。
樹木が水を消費するので、流域に森林があると利用できる水資源が少なくなる、と考える人もいるだろう。確かに、森林が失われると河川の総流量自体は増加する。しかし、大雨のときには洪水になりやすく、雨が降らなければ渇水になりやすく、安定的に水を利用していくことが困難になるのである。
Q1.森林が多量の雨水をためることができるのはなぜか。
A.森林には小動物や微生物が多いから
B.森林土壌がスポンジ状であるから
C.森林の樹木が水を消費するから
D.森林から雨水が徐々に河川に流れるから
Q2.森林が失われるとどうなるか。
A.河川の総流量が減少する
B.大洪水が起こりにくくなる
C.渇水になりにくくなる
D.安定的な水利用が困難になる
【正答】Q1. B Q2. D
<問題例>計算
つぎの文を読んで各問いに答えなさい。
ある書店で、Pさんは400円の文庫本を4冊と300円の雑誌を1冊、Qさんは600円の文庫本2冊と400円の雑誌2冊を購入しました。
Q1.Pさんが購入した文庫本はQさんが購入した文庫本より何冊多かったか。
A.1冊
B.2冊
C.3冊
D.4冊
Q2.Pさんが文庫本の代金として書店に支払った金額はいくらか。
A.300円
B.400円
C.600円
D.900円
E.1000円
F.1200円
G.1600円
H.2000円
I.AからHのいずれでもない
Q3.Qさんが書店に支払った代金は総額いくらか。
A.600円
B.800円
C.1000円
D.1200円
E.1400円
F.1600円
G.1800円
H.2000円
I.2200円
J.AからIのいずれでもない
【正答】Q1.B Q2.G Q3.H
性格検査は、日ごろの行動や考え方について問うさまざまな質問から、人との接し方や仕事への取り組み方などを把握し、人となりや、どのような仕事や組織に向いているかなどを知るための検査です。
具体的には、日常の行動や物事に対する考え方について選択肢が提示され、自分に当てはまるものを選択していきます。
SPIの性格検査の問題例を見てみましょう。
<問題例1>
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢を1つ選んでください。
1 A. 一人で旅行するのが好きだ
B. 皆で旅行するのが好きだ
2 A. 買い物ではよいと思ったらすぐ買ってしまう
B. 気に入っても一度店を出て考え直す
3 A. 勝負は時の運だ
B. 勝負は努力の結果だ
4 A. 気が合うのは想像力のある人だ
B. 気が合うのは実行力のある人だ
5 A. うそも方便である
B. うそはついてはいけない
〔選択肢〕
・Aに近い
・どちらかといえばAに近い
・どちらかといえばBに近い
・Bに近い
実際のパソコン画面上では以下のように表示されます。
<問題例2>
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢を1つ選んでください。
1.いろいろなところに出かけるのが好きだ
2.何ごとも継続が大切だ
3.あまり欲がないほうだ
4.立ち直りは早いほうだ
5.新しいものは何でも試してみたい
〔選択肢〕
・あてはまる
・どちらかといえばあてはまる
・どちらかといえばあてはまらない
・あてはまらない
SPI受検に向けて心がけておきたいのは、以下の3つです。
手元で計算して画面上で答えを選ぶ、次の画面に進むと前の画面には戻れないなど、パソコン受検では、日ごろのパソコン検索やテキスト入力とは異なる点があるため、パソコン上での受検を体験し慣れておきましょう。
語彙・文章読解の問題や計算問題など、落ち着いて解けばわかる問題も、あらためてテスト形式で問われると慌ててしまうことも。本番を迎える前に問題を解く感覚を取り戻しておきましょう。
性格検査について、準備の必要は特にありません。ただし、回答する際は正直に答えるように心がけることが大切です。志望企業の求める人材像に合うように取り繕って回答しても、その後の面接で回答内容と実際の人物との間に、ズレや違和感が生じてしまいます。仮に希望する企業に入社できたとしても、入社後、企業に合わず苦労する可能性もあります。
自分の持ち味に合う仕事や企業に出会うために、正直に答えましょう。
SPIの模擬試験ではないですが、リクナビオリジナルの練習問題を解いてみることで、SPIの受検をイメージすることができるでしょう。
制限時間は、言語系15分、非言語系35分の計50分で、制限時間が過ぎると自動的に終了します。練習問題にチャレンジできるのは一定期間内に一度だけ。中断しても回答結果は保存されないため、50分間は本当の受検のつもりで練習問題に向かいましょう。
非言語系の受検では、筆記用具とメモ用紙、計算機を用意しておきましょう。
また練習問題を解き終わると、総合得点と、言語・非言語それぞれの分野別得点、受検者の中での順位、総受検者の平均点などが表示されますので、その時点での自分の実力を知ることができます。力をつけるためのアドバイスも表示されますので、実力を把握した後は、自分なりに課題を設定して、日常の中で必要な力を磨く工夫をしてみましょう。
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一人1回受検できる性格検査です。制限時間があり、所要目安時間は約30分。回答を始めると途中保存ができないため、受検の際は、時間を確保したり通信環境のよいところで回答したりするとよいでしょう。
結果には「人との接し方」「目標の持ち方」「物事の受け止め方」「物事の進め方」などの傾向が表示されるほか、性格の特性を踏まえた上で、「持ち味がいきやすい社風と企業探しのヒント」も読むことができます。
自身の特徴を理解することで、自己分析や自己PRの準備に役立てたり、企業探しのヒントから、企業研究の幅を広げたり逆に絞り込んだりといったことにも役立てましょう。
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企業研究をしたい人は
必要とされる合格点は企業によってそれぞれ異なり、○○点以上というような一般的な合格ラインはありません。すべての問題を正解しなければならないわけではありませんので、落ち着いて解ける問題をミスなく回答しましょう。
SPIの問題は、「問題ごとの制限時間」と「全体の制限時間」が設けられています。「問題ごとの制限時間」がくると、自動的に次の問題に進みます。時間内に解けない問題があっても、気持ちを切り替えて次の問題に集中しましょう。「全体の制限時間」内に出題される問題数は人によって異なります。解けるものを着実に回答しましょう。
日ごろから新聞記事や本などでさまざまな分野・テーマの文章を読んで、長い文章に慣れておきましょう。長文問題で問われるのは、長い文章を読んで内容を理解し、要旨をつかむ力などです。回答するために必要な情報はすべて本文中に書かれているため、前提知識などは求められません。
書店には数多くのSPI対策本が並んでいますが、いずれも公式のものではありません。リクルートマネジメントソリューションズが公認している本はありませんのでご注意ください。
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