円滑に仕事を進められるように、社内のメンバーはもちろん取引先の方に対しても失礼のないように振る舞いたいもの。インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムでも恥ずかしくない振る舞いをするためにも、最低限のマナー・ルールを理解しておこう。
社内は社員の一人ひとりが仕事に打ち込む場。皆が気持ちよく仕事を進められるよう、冒頭で紹介した「社会人の心構え」を意識して周りを気遣った行動をとろう。
あいさつとおじぎは社内でのコミュニケーションの基本となるもの。朝夕のあいさつはもちろん、お客さまや上司とすれ違うときは「いらっしゃいませ」「こんにちは」「お疲れ様です」などと会釈をしよう。インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム参加中も同様で、社内で会う社員にはあいさつを心がけよう。
電話をかけている人、打ち合わせをしている人などの迷惑にならないよう、必要以上に大きな声で話したり、無駄なおしゃべりをしたりするのは避けよう。また、エレベーターには外部の人も同乗している可能性があるので、必要なこと以外は話さないようにしよう。
おじぎをするときは、頭だけを下げるのではなく、背筋を伸ばして腰から上半身を折るようにしよう。そうすることで、美しく、敬意を示したおじぎになる。面接のときは、足下から1.5~2m 先を見るつもりで。
「おじぎは、あいさつと分離することが重要です。例えば、面接のときはおじぎをしながら『よろしくお願いします』と言うのではなく、『よろしくお願いします』と言ってからおじぎをします。そうすることで、より相手への敬意を表すことができます」(峯先生)。
相手に時間を割いていただいているので、遅刻したり、用件をまとめられていなかったりと、時間を無駄にするようなことがないようにしよう。
遅刻はもちろん、早すぎる訪問も相手に迷惑をかけるので、5分前を目安に訪問しよう。ただし、面接では、受付から担当者に来訪が伝わるまでに時間がかかることもあるので、10分前に到着しておくのが無難。遅刻しそうな場合は、必ず連絡すること。
他社訪問は基本的にビジネススーツで。訪問者のイメージがそのまま会社のイメージにつながるので、清潔感のある服装を心がけよう。ただしインターンシップ等のキャリア形成支援プログラム先の企業がクールビズなどでスーツ以外の服装で訪問していることもある。その場合は、企業の社員と同じスタイルでいいか確認しよう。また、コートやマフラーなどは玄関やビルに入る前に脱ぎ、帰るときも玄関やビルを出るまでは着用しないのがマナーだ。
インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム参加中やOB・OG訪問においては、社会人から名刺をもらうこともある。以下の注意点を参考に、相手に失礼のないように振る舞おう。
席次のルールも、上司や同僚、取引先との関係を大切にするためのマナー。今のうちに覚えておいて、社会人の方と接する際に活用しよう。
来客や立場が上の人など、敬意を払うべき人が座る場所を「上席(上座)」、接客側や立場が下の人が座る場所を「末席(下座)」と呼ぶ。
来客や立場が上の人には、周りに気を払わず、居心地のよい場所に座ってもらい、接客側や立場が下の人はすぐに動きが取れる場所に座る。「室内の場合は『出入口から最も遠く、居心地がよい席が上席』、乗り物の場合は『景色の見える窓側の進行方向に向いた席が上席』と覚えておくとよいでしょう」(峯先生)
運転手の後ろが最上席で、助手席が末席となる。4 名で乗り込む場合は、真ん中の席が一番窮屈なため、3番目になる人が座る。運賃は一番下の立場の人が末席に座り、支払うとスマートだ。取引先の方や上司・同僚が運転する車の場合は、助手席が最上席で、後部座席は2人がけの場合は進行方向左側、3 人がけの場合は真ん中の席が末席となる。
扉から最も奥まった操作盤側のスペースが最上席で、操作盤の前が末席となる。お客さまや上司を案内するときは、外側の「開」ボタンを押してエレベーター内に案内し、自分は最後に乗り込む。降りるときは中で「開」ボタンを押し、案内する人がすべて降りたあとに降りる。混雑している場合は先に乗り込んでスペースを確保するなど、臨機応変に対応しよう。
出入口から遠い長いすがお客さま用で、入口に近い肘かけいすが接客者用。それぞれ、入口からもっとも遠い席が上席となる。ただし、学生が企業を訪問する際は、訪問先に敬意を払うという意味で、出入口に最も近い末席で待つのが礼儀だ。面接などで応接室に通された場合は、末席に着席し、待機しよう。
出入口から最も遠い席を議長席とし、議長席をはさんで出入口から遠い順に奥から上席となる。ただし、人数が多く、最上席に座るべき人を中心に議論を進めるべき会議であれば、最上席に座るべき人に真ん中に座ってもらう場合もある。一緒に参加する上司や同僚の指示に従おう。いずれにしても、入口に近い席が末席ということは変わらない。
基本的なルールがあるとはいえ、会議の利便性を考慮して議論の中心になる人に真ん中の席に座ってもらったり、タクシーで奥の席まで行くのが難しい人にはドアに近い席に座ってもらったり、電車や飛行機でトイレに行きやすい通路側を希望する人には通路側に座ってもらったりと、同席者の希望によって席次にこだわらずに着席する場合も多いので、ルールはルールとして認識したうえで、臨機応変に対応しよう。
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【監修】峯 陽子先生
約20年の専業主婦の後、人材育成会社で企業の社内研修講師などを経て、独立。企業の会社研修の講師のほか、女性の社会復帰支援、学生へのキャリア育成セミナー・マナー講座なども担当。
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