私たちの周りには、スマホや財布、食品や自動車までさまざまな製品がある。メーカーとは、そうした「モノ(製品)」を生産する企業のことで、製造業とも呼ばれている。作っている製品の分野ごとに、自動車メーカー、鉄鋼メーカー、精密機械メーカー、食品メーカー、アパレルメーカーなどに分類される。
製造業は日本のGDP(国内総生産)の2割を占める基幹産業であり、優れたモノづくりが、日本の産業や文化の発展を支えてきた。政府もさまざまな政策や顕彰制度で「モノづくり日本」のさらなる振興を目指している。
製造現場では、生産工場の海外展開が増え、この傾向は今度も拡大していくとみられる一方、本部機能を国内拠点に集約するなど、海外拠点と国内拠点の役割の明確化を進める企業も多い。また、モノづくりがIoT(後述)やAI、デジタル化によって大きな変革期を迎えている今、オープンイノベーションやベンチャー企業との連携、人材の多様化を進める企業も増えつつある。
メーカーは、企業規模や製品によって、素材の加工から組み立てまで全工程を自社で行う企業もあれば、素材の加工、組み立てなど、一部だけを担う企業もある。
メーカーは、手がけている製品によって「素材メーカー」「加工・組立メーカー」「自社生産・加工メーカー」の3つに分類することができる。「素材メーカー」にあたるのは、化学メーカー、鉄鋼メーカーなど。化学素材、樹脂、ゴム、鉄鋼、非鉄金属、紙、ガラス素材といった、製品の基となる素材を作っている。一方、「加工・組立メーカー」は、素材メーカーで生産されたモノを加工・組立てる役割。自動車、食品メーカーなどがこちらに分類される。3つ目の「自社生産・加工メーカー」で代表的なのが化粧品メーカーや医薬品メーカーだ。自社で素材となる化学物質を研究・開発・生産し、自社内で加工して最終製品に仕上げ、消費者に販売するというように、自社の中で原料(素材)加工から製品化までを一貫して行うスタイルを取る。
また、「製品を販売する相手が誰か」によってメーカーは2つのタイプに分類できる。企業に向けて製品をつくっている、B to B(=Business to Business)型と、一般消費者に向けて製品をつくっているB to C(=Business to Consumer)型だ。
B to Bのメーカーには、原料や副原料を加工して企業に販売する鉄鋼メーカーや石油・化学メーカーなど素材を扱うメーカー、生産設備をつくって企業に販売する機械メーカーなどがある。B to Cのメーカーは、食品メーカーや化粧品メーカー、自動車メーカーなど、店頭で消費者が購入できる製品をつくっている。自社で生産・加工までするメーカーや、素材を仕入れて加工・組み立てを行うメーカーなど、企業規模も製造内容もさまざまだが、製品名や企業名が身近なため、就職を考える学生にはなじみがあり人気がある。一方、B to Bのメーカーは、日常生活での接点は少なくても、中には世界的な特許や技術を保有していたり、海外の市場で大きなシェアを獲得していたりする企業もある。
B to B、 B to Cにかかわらず、現在多くのメーカーが取り組みを進めているのが「IoT」だ。これはInternet of Thingsの略。「モノのインターネット化」とも呼ばれ、従来はインターネットと縁遠いと考えられたモノに通信機能を持たせ、遠くからでも位置確認や操作、情報のやりとりなどを可能にする技術を指す。例えば、橋にセンサーを埋め込み、振動などの情報を集めて最適な時期に整備を行ったり、自社工場と取引先企業との間で商品がどのように保管・輸送されたかを把握(トレーサビリティ管理)したり、設計開発と生産現場の間でデータを共有して開発にかかる時間(リードタイム)を削減するなど、多様な領域で新たな活用法が模索されている。
製品開発のスピードが加速し、新製品を出しても話題性や新規性が失われるのが速く、また追随商品の登場までの期間が短くなっている。そうした中、「モノ」そのものによる高付加価値化だけでなく、「サービス」や「モノの背景にあるストーリー」などの+αの価値を生み出そうという動きが出ている。製品のライフサイクルの長期化のための、ブランド化や差異化を図るねらいだ。
従来のメーカーは、製品を売った段階でビジネスが完結していたが、その後もさまざまなサービスを継続的に提供することで、製品販売後も収益を得る仕組みづくりが模索されている。例えば健康機器メーカーの場合、インターネットに接続された機器から利用者の健康状態を把握し、適切なアドバイスを行うサービスを提供するなど、長期間にわたって顧客と接点を持ち続ける取り組みがなされている。
製造業のグローバル化は、生産拠点を海外に移すことによる製造コストの削減や、現地生産・現地販売による輸送コストの削減だけではない。自社の強みを生かして、国際市場の開拓に取り組む、いわゆるグローバルニッチを目指す動きもある。突出した技術で特定の分野では唯一無二のグローバルトップの製品を作ったり、多品種少量生産に応える、生産性の高い製造ラインを海外でプロデュースしたりするなど、B to Bの海外展開にも新たなビジネスモデルが誕生している。
ほかの企業や研究機関などを巻き込んで革新を起こす「オープンイノベーション」の推進を、経営課題ととらえているメーカーは多い。これまでは自社の人材や技術だけを使って製品開発をしてきたが、ニーズの変化や多様化に対応していくために人材の多様化・ダイバーシティ化を図る企業や、技術革新のスピードに応えるために、開発に要する時間を短縮化するオープンイノベーションを推進する企業が今度は増えていくだろう。
顧客企業や流通に適切な製品を提案・販売する。問屋、卸、商社などに向けた営業と、大手小売りチェーンなどの流通に向けた営業とがあり、それぞれの相手先のニーズを満たす製品を提案し、ときには新たなルートも開拓する。
製品が一定の品質と、市場に応じた適切な製造量を保てるよう、スケジュールや計画を立て、生産ラインと製造量を管理する仕事。
市場のニーズを調査・分析し、既存品の改良や新製品の方向性を提案する。試作や開発、対顧客企業に向けたセールスツールやキャンペーンの企画まで行うケースもある。
製品を生み出すための技術を研究したり、商品企画や生産部門と連携しながら既存品の改良や新製品の開発をしたりする。素材メーカーや、自社生産・加工メーカーでは、素材の開発や技術開発などの基礎研究も行われる。
工場などの生産ラインで実際にモノづくりに携わる仕事。
マスメディアやインターネットなどを使い、自社製品の情報を消費者に伝える。
製品を作るために欠かせない素材や材料を、国内外から買い付ける。
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【監修】吉田賢哉(よしだ・けんや)さん
株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 上席主任研究員/シニアマネジャー
東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。
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※記事制作時の業界状況を基にしています
志望業界や志望企業を絞り込んだり、志望動機をまとめたりするうえで、業界や業種への理解を深めるために「
業界ナビでは、各業界の仕組みや現状など、業界研究に役立つ情報をわかりやすく解説しています。業界の平均
日本の自動車メーカーの存在感は、グローバル市場においても非常に大きい。世界の自動車販売ランキングの上位には、複数の日本企業が入っている。 国内の自動車市場は、人口減少などの影響で頭打ちになると予測されている。一方、グローバル規模で見れば、市場は好調だ。日本自動車工業会によると、2015年における四輪車の世界生産台数は9080万台で、2010年(7761万台)に比べ17パーセント伸びた。けん引役となっているのが中国で、2015年の四輪車生産台数は2450万台に上っている。ただし、中国経済は減速の危険性も指摘されており、仮に中国市場の伸びが鈍化すれば各社の業績にも影響が出るかもしれない。中国など新興国市場の動向には注意が必要だ。
鉄鋼業界の仕組み、トレンド、仕事内容などを分かりやすく解説しています。また、鉄鋼業界の企業を検索することもできます。その他、就活準備に役立つ情報が満載。リクナビの業界ナビで業界研究をしてみよう。
食品業界の企業は、加工食品(菓子、乾燥めん、レトルト・冷凍食品、大豆製品、乳製品など)、清涼飲料水やアルコール類、また調味料や小麦粉などの食品原料などを製造し、小売店などを通じて消費者に販売している。
化粧品メーカーは、「化粧品」の開発、製造、販売などを手掛ける企業である。 ここに含まれる「化粧品」の種類は実にさまざま。化粧水や洗顔料などの肌のコンディションを整える「スキンケア化粧品」、ファンデーションや口紅などの「メークアップ化粧品」、シャンプーやリンスなどの「ヘアケア化粧品」、ボディクリームなどの体をケアする「ボディケア化粧品」や香水などの「フレグランス化粧品」などがある。また、これ以外にも紙おむつや入浴剤、歯磨き剤なども化粧品メーカーが手掛けている場合が多い。そして、これらすべての総称として「トイレタリー用品」と一般的に呼ばれている。
医薬品メーカーは、医薬品の研究開発から効果の確認、販売までを手掛けている。 医薬品は、大別すると、医師の処方箋が必要で、薬局や病院で処方される「医療用医薬品」と、処方箋が不要でドラッグストアや薬局などで売られる「一般用医薬品」の2つに分けられる。
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
16.9
タイヤ・ゴム製品
16.7
総合電機(電気・電子機器)
15.4
石油・石炭
15.3
紙・パルプ
15.2
化学
14.9
半導体・電子部品・その他
14.9
非鉄金属
14.9
重電・産業用電気機器
14.8
家電・オーディオ機器
14.8
精密機器
14.8
プラント・エンジニアリング
14.7
建設
14.6
機械
14.6
繊維
14.6
印刷
14.6
輸送機器
14.5
鉄鋼・鉱業・セメント
14.2
水産
14.0
建材・エクステリア
13.9
自動車
13.9
ガラス・セラミックス
13.8
医薬品
13.7
金属製品
13.6
設備・設備工事
13.5
文具・事務機器・インテリア
13.4
医療機器
13.2
その他メーカー
13.0
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
12.8
食品
12.3
ゲーム・アミューズメント機器
11.5
農業・農林
10.7
住宅
9.8
化粧品
9.8
化粧品
37.1
住宅
37.9
農業・農林
38.4
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
38.7
文具・事務機器・インテリア
39.3
食品
39.5
自動車
39.9
医薬品
40.1
印刷
40.3
ガラス・セラミックス
40.3
金属製品
40.3
家電・オーディオ機器
40.5
輸送機器
40.5
化学
40.9
医療機器
40.9
その他メーカー
40.9
機械
41.0
水産
41.0
繊維
41.3
設備・設備工事
41.3
鉄鋼・鉱業・セメント
41.4
総合電機(電気・電子機器)
41.5
石油・石炭
41.5
半導体・電子部品・その他
41.5
非鉄金属
41.5
重電・産業用電気機器
41.5
建材・エクステリア
41.5
精密機器
41.7
ゲーム・アミューズメント機器
41.7
紙・パルプ
41.9
タイヤ・ゴム製品
42.0
プラント・エンジニアリング
42.0
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
42.9
建設
43.3
水産
100.0
印刷
100.0
医療機器
100.0
重電・産業用電気機器
100.0
ゲーム・アミューズメント機器
100.0
繊維
100.0
石油・石炭
100.0
ガラス・セラミックス
99.8
紙・パルプ
99.3
化学
99.2
医薬品
99.1
自動車
99.0
機械
98.8
精密機器
98.7
食品
98.6
半導体・電子部品・その他
98.4
輸送機器
98.3
鉄鋼・鉱業・セメント
98.2
その他メーカー
98.1
化粧品
98.0
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
97.9
住宅
97.1
建設
97.0
プラント・エンジニアリング
96.9
文具・事務機器・インテリア
96.2
総合電機(電気・電子機器)
96.0
建材・エクステリア
95.8
非鉄金属
95.8
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
94.8
家電・オーディオ機器
94.8
農業・農林
94.3
金属製品
94.3
設備・設備工事
91.6
タイヤ・ゴム製品
88.0
水産
60.7
農業・農林
50.3
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
45.3
住宅
42.7
食品
42.1
その他メーカー
41.0
文具・事務機器・インテリア
40.9
建設
40.2
設備・設備工事
39.8
印刷
39.4
半導体・電子部品・その他
38.5
精密機器
38.3
タイヤ・ゴム製品
38.2
機械
36.9
建材・エクステリア
36.6
非鉄金属
35.5
金属製品
34.2
医療機器
34.0
化学
33.6
総合電機(電気・電子機器)
33.6
プラント・エンジニアリング
33.6
化粧品
33.0
重電・産業用電気機器
32.9
ゲーム・アミューズメント機器
32.1
家電・オーディオ機器
31.5
輸送機器
31.3
医薬品
31.2
自動車
30.5
紙・パルプ
30.1
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
26.5
繊維
26.0
鉄鋼・鉱業・セメント
22.9
ガラス・セラミックス
20.4
繊維
9.5
医薬品
11.8
ゲーム・アミューズメント機器
11.9
化粧品
12.2
化学
12.8
農業・農林
12.8
文具・事務機器・インテリア
13.3
タイヤ・ゴム製品
13.3
水産
13.8
紙・パルプ
14.5
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
14.5
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
14.7
重電・産業用電気機器
15.3
精密機器
15.3
家電・オーディオ機器
15.3
ガラス・セラミックス
15.6
医療機器
15.9
非鉄金属
15.9
食品
16.0
建材・エクステリア
16.3
その他メーカー
16.4
輸送機器
16.7
半導体・電子部品・その他
16.8
金属製品
16.9
機械
17.6
総合電機(電気・電子機器)
17.9
自動車
18.2
印刷
18.4
プラント・エンジニアリング
18.4
鉄鋼・鉱業・セメント
18.5
建設
19.4
石油・石炭
19.6
住宅
20.2
設備・設備工事
21.8
ガラス・セラミックス
13.3
重電・産業用電気機器
13.1
石油・石炭
13.0
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
12.7
総合電機(電気・電子機器)
12.7
輸送機器
12.6
家電・オーディオ機器
12.5
非鉄金属
12.4
半導体・電子部品・その他
12.4
自動車
12.3
化学
12.0
医薬品
11.9
プラント・エンジニアリング
11.9
鉄鋼・鉱業・セメント
11.9
精密機器
11.8
医療機器
11.8
タイヤ・ゴム製品
11.6
機械
11.6
化粧品
11.3
ゲーム・アミューズメント機器
10.9
紙・パルプ
10.9
金属製品
10.7
繊維
10.6
その他メーカー
10.5
農業・農林
10.4
建材・エクステリア
10.4
食品
10.2
設備・設備工事
10.2
印刷
10.1
文具・事務機器・インテリア
9.9
建設
9.6
水産
9.2
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
9.0
住宅
8.7
化粧品
24.0
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
20.4
文具・事務機器・インテリア
16.4
食品
14.5
その他メーカー
14.0
印刷
13.6
住宅
13.5
金属製品
13.4
設備・設備工事
12.5
繊維
11.8
建設
11.6
農業・農林
11.5
医薬品
10.6
医療機器
10.3
鉄鋼・鉱業・セメント
9.8
非鉄金属
9.2
総合電機(電気・電子機器)
9.0
水産
8.9
重電・産業用電気機器
8.6
機械
8.4
建材・エクステリア
8.4
プラント・エンジニアリング
7.8
化学
7.7
精密機器
7.5
輸送機器
6.7
半導体・電子部品・その他
6.3
ガラス・セラミックス
6.2
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
5.7
紙・パルプ
5.7
自動車
5.3
石油・石炭
2.8
タイヤ・ゴム製品
2.5
家電・オーディオ機器
2.2
化粧品
33.4
アパレル・服飾・雑貨・皮革製品
29.6
繊維
18.7
食品
16.0
農業・農林
15.4
医薬品
15.1
住宅
13.0
水産
12.0
その他メーカー
11.9
文具・事務機器・インテリア
10.4
印刷
8.4
金属製品
8.2
医療機器
7.8
非鉄金属
7.3
化学
7.2
家電・オーディオ機器
7.0
設備・設備工事
6.8
建設
6.5
精密機器
6.1
ガラス・セラミックス
6.1
建材・エクステリア
5.4
総合電機(電気・電子機器)
5.0
機械
4.8
自動車
4.5
タイヤ・ゴム製品
4.4
プラント・エンジニアリング
4.3
石油・石炭
4.2
コンピュータ・通信機器・オフィス機器
4.0
半導体・電子部品・その他
3.9
紙・パルプ
3.9
鉄鋼・鉱業・セメント
3.3
重電・産業用電気機器
3.3
輸送機器
3.2
※1 2024年3月6日時点のリクナビ2024の掲載情報に基づいた各企業直近集計データを元に算出