就活には、どのくらいのお金がかかるか知っていますか? 実はスーツや靴だけでなく、交通費や飲食費、宿泊費など想像以上にいろいろなお金がかかります。そこで今回は、先輩たちの経験を基に、就活にかかるお金の内訳や出費を抑えるコツなどについて詳しくご紹介します。
就活ではどんなものに、どのくらいのお金がかかるのでしょう?リクルートの就職みらい研究所による「就職プロセス調査(※)」を基にご紹介しましょう。
(※)出典:就職みらい研究所「【2024年卒 就職活動TOPIC】就職活動の費用は増加傾向 対面での選考増加が影響」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article_topics/20230831001/
2024年卒(24卒)の先輩が就職活動に使用した金額は、平均8万2905円(2023年6月12日時点)。2023年卒(23卒)と比べると7660円増加しています。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、就活のオンライン化が急速に進みましたが、24卒では最終面接などでは対面面接を行う企業が増えました。対面での選考機会が増えたことが、就職活動費用の増加に影響したものと考えられます。
「就職プロセス調査」では、就活でお金がかかると考えられている「交通費」「被服費」「宿泊費」「飲食費」「書籍費」「スキルアップ費用」「公務員対策費※」(※受験者のみ)について調査しています。
就職活動費用の内訳
大学生_全体(平均金額:就職志望者のうち各項目で「1円」以上使用した学生 / 数値回答)※大学院生除く
24卒の先輩が使用した金額の内訳を見ると、「交通費」「被服費」「宿泊費」の項目で、平均金額が大きく増えています。対面での選考機会が増えたことで、企業に出向くための交通費や宿泊費、面接のためのスーツや靴などといった被服費が増えたものと考えられます。
面接など採用選考だけではなく、業界研究セミナーや説明会などにも参加するとその分交通費がかかります。首都圏のオフィス街に出向いた場合、昼食代や喫茶代の水準も高いため、飲食費が負担になったというケースも少なくないようです。
また、就活のピークになると1日に何社も回らねばならず、タクシーを使わざるを得なかったとの声もあります。
そして被服費はスーツや靴はもちろん、ヘアサロン代など身だしなみの費用も意外とかかるもの。業界研究や筆記試験準備による書籍費が予想以上にかさんだという人もいるようです。
なお、「交通費」の平均金額を地域別で見ると、「近畿」「中国・四国」「九州」で前年に比べて大きく増加しています。対面による選考が増えたことで、主に地方から首都圏への移動が増えていると見られます。
就職活動交通費の地域別平均金額
大学生_全体(平均金額:就職志望者のうち交通費で「1円」以上使用した学生 / 数値回答)
就活での出費を少しでも抑えるポイントをご紹介します。
まずは、就活の中で「いつ」「どこで」「どういった」お金がかかりそうかを事前に把握しておくことが大切。就活スケジュールや、先ほど紹介した調査でお金がかかるとされている「交通費」「被服費」「宿泊費」の平均額などを考慮し、できる限り就活スタート前にアルバイトなどで就活資金づくりをしておくことをお勧めします。
必要に応じて、保護者からのサポートをお願いすることも検討しましょう。お金の心配を減らすことで、就活に思う存分打ち込むことができるでしょう。
スーツやバッグ、就活関連の書籍や問題集など使う頻度が多いものは、家族や先輩から借りたり譲ってもらったりなどして、買わずに済ませるのも一案。学校の生協を活用して学割で書籍を購入したり、スーツ販売店が展開する就活生用割引などのキャンペーンを利用したりするのもいいでしょう。
前述の調査結果のように、「交通費」「宿泊費」は特にお金がかかる項目です。特に地方の学生が首都圏の企業を受ける場合は、かなりの出費が予想されます。
交通費、宿泊費の負担を少しでも減らすためには、以下のような方法が考えられます。
業界研究セミナーや説明会などは、可能な限りオンラインで参加できるものを選ぶという方法があります。これにより、移動時間や交通費をかけずに業界・企業研究を進めることができます。
業界研究セミナーや説明会などの中には、交通費やギフト券などが支給されるものがあります。また、企業によっては面接などの交通費を支給してくれるところもあるので調べてみるといいでしょう。
リアル開催の説明会や面接の予定が複数日程あると、それだけ何度も足を運ばねばならず、交通費がかさみます。地方から首都圏の企業に応募する場合、もしくは首都圏から地方企業に応募する場合はなおさら、何度も出直すのは負担が大きいでしょう。
金銭的に厳しいという場合は、企業側に事情を説明し、例えば「○月〇日に東京にうかがう予定があるため、可能であれば同日に面接を設定いただくのは可能でしょうか?」などと相談を。応募や選考参加をあきらめる前に、相談してみることで、なんらかの対応を検討してくれる可能性が高いでしょう。
宿泊先の割引など、就活生をサポートするサービスを実施しているところを調べ、利用してみるのは一つの方法。単に「安いから」と飛びつくのではなく、内容を見極めた上で利用するか否かを決めることが大切です。交通費も学割を使えば、ある程度抑えることができます。
ただ、くれぐれも無理は禁物です。安さから長時間にわたる移動手段を選んでしまった場合は、その分、体力を消耗するでしょう。また、交通トラブルや天候不順などにより想定以上に時間がかかってしまうケースもあるようです。万全の体制で就活に臨むためにも、身体的に負担のない方法を選びましょう。
就活のお金を捻出する主な方法について、ご説明します。
先輩たちの多くは、事前にアルバイトでお金を貯めたり、就活中も可能な限りアルバイトをしたりして、就活資金を調達したようです。有償のインターンシップに参加して、得たお金を就活に充てたという人もいるようです。
ただ、就活期間中は急に面接の予定が入るなど、通常のペースではアルバイトできなくなる可能性が高いでしょう。就活の途中で余裕がなくなることも想定して、就活スタート前に一定以上のお金を確保しておくことをお勧めします。
家族から経済的なサポートを受けたという先輩も少なくありません。就活中はアルバイトに割ける時間も限られるため、家族に就活にお金がかかることを説明し、援助をお願いするのは一つの方法です。前述のような就活費用の平均金額を見せたり、どのくらいの費用がかかりそうなのか試算したりして、根拠を示した上で交渉すれば納得してもらいやすくなります。
なお、事前にアルバイトなどでお金を貯めていても、予想外の出費が続き、就活の途中で足りなくなってしまう可能性もあります。「できれば援助は受けたくない」という場合でも、事前に家族と一緒に就活について話し合う機会を設けておくと、いざというときに相談しやすくなるでしょう。
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監修:リクナビ編集長 栗田貴祥
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