就活を進める際に「自己分析のやり方がわからない」と悩んだら、マインドマップを活用して、自分を知ることから始めてみるとよいでしょう。就職・転職支援スクール、我究館にてコーチを務める立川雄太さんに、マインドマップを作成するメリットや具体的なやり方を聞きました。マインドマップの書き方例や、エントリーシート(ES)や面接における活用例なども紹介するので、就活に役立てていきましょう。
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目次
マインドマップは、自分の思考を具現化し、客観視するための手段として使われています。頭の中で考えていることを紙などに自由に書き出し、脳内を可視化していきます。一つのキーワードをテーマに深掘り、思考や発想を広げていくことができるため、ビジネスの会議やアイデア出しなどにも使われている手法です。自己分析の手法はさまざまですが、マインドマップは自分を深く知るために有効とされています。
マインドマップの具体例を基に書き方を解説します。
左端にまず「自分」と書いたら、自分についてどんなことを掘り下げるのか、テーマを決めて書き込みましょう。今回は、自分の強みや、企業を選びの軸になる「活躍できる環境」を明確にするために、「充実していたとき」をテーマにしました。
テーマに対し、思い浮かんだことを短い文章で次々に書き出していきます。図では「留学」「ダイニングバーのアルバイト」「アパレルのアルバイト」を書いた後、それぞれが充実していたと感じる要因を書き出しています。
例えば「留学」については、「挑戦できた」ことを充実したときとして挙げ、さらに「海外初挑戦」「さまざまなコミュニティーに乗り込んだ」など、思いついたことを書き出しています。
最後に、これらのマインドマップを基に自分の考えを整理し、結論となる価値観についてまとめます。図では「充実していたとき」をテーマに、その結論として「裁量のある環境・自由!」「真面目で向上心がある仲間」「自分独自の立ち位置を見いだせる」などを書き出しています。
これらの結論は「自分が充実感を味わうために大事なこと」という価値観を表しているため「活躍できる環境や仕事に求めること」の軸とすることができます。
また「活躍できる環境」は「強みを発揮できること」と言えます。
例えば、図ではアパレルのアルバイトの経験を基に「独自の立ち位置を見いだせる」と書いていますが、これは「やったことのない仕事でも、独自の立ち位置を自ら見いだして活躍できる」という強みとなるでしょう。
さらに、自分の活躍によって評価されたことや成果を上げたことなどは、自己PRで強みを話す際の具体的なエピソードとすることもできます。
マインドマップ作成で意識したいポイントを「作成前の準備」「作成中」に分けて紹介します。
マインドマップを作成する前の準備のポイントを解説します。
マインドマップを作成する際には、ノートなどの紙に書く方法と、パソコンやスマートフォンからITツールを利用する方法があります。
紙の場合は、たくさんの内容を書き込めるよう、A4サイズ以上のものを使った方がよいでしょう。メリットとしては、ITツールのように操作手順に気を取られることがないため、思いつくままに書き出すことができ、発想が広がりやすくなるという点が挙げられます。ITツールを利用する場合も、最初は紙に書き出すことからスタートするのもオススメです。
一方、ITツールを利用する場合は、入力した内容はすべて残すことが大事です。「ちょっと違う気がする」と考えて、記録した文章を消してから入力し直す学生もいますが、自分自身の思考の流れを把握するために残しておきましょう。ITツールのメリットとしては「記録した内容を転記しやすい」という点が挙げられます。ESを作成する際にも役立てることができるでしょう。
マインドマップでは、なるべく具体的なテーマを設定することが非常に重要です。例えば「学生時代に頑張ったこと」をテーマとした場合は「頑張ったこと」そのものが抽象的なため、自分の考えを明確にしにくい可能性があります。一方「学生時代に多く時間を費やしたこと」であれば、どんなことに時間を費やしたのかを挙げていくことができるため、思い浮かびやすい上、事実ベースで明確に書き出すことができます。
また「今までの人生で最も良かったと思う意思決定」をテーマにすれば、意思決定の基準が明確になり、企業選びや内定承諾の決断などに役立てることができます。
マインドマップ作成に役立つ具体的なテーマ例を紹介するので、図と併せて参考にしてみましょう。
自分の生涯に対し「人からどのような評価をされたいか」を通じて「こうありたい姿=将来のビジョン」を明確にすることができます。
後世の人たちに向けて伝えたいアドバイスを具体的に考えることで「社会に与えたい影響」を明確にできます。「仕事を通じてどんなことを成し遂げたいのか」という自分の価値観を見つけるために役立つでしょう。自分にとって大切な人をイメージし、伝えたいことを考えると発想しやすくなります。
マインドマップを作成する中で意識しておきたいポイントを解説します。
思いついたことは大小にかかわらず、すべて書き出しましょう。「これはたいしたことじゃないから書く必要はないかもしれない」と思う学生もいますが、実はそこに大事な価値観が隠されている可能性もあります。
長い文章を書こうとすると、発想の広がりが止まってしまうので、なるべく短い文章で端的に書きましょう。次々に書き出していくことで、自分の発想が広がり、今まで気づいていなかった自分の価値観を発見しやすくなります。
「しっかり結論につなげなくては」「価値観を導き出そう」などと目的を意識するあまり、自分の発想を狭めてしまうケースは少なくありません。また、目的意識にとらわれることによって、自分では意識していていなかった考え方や価値観を拾えなくなる可能性もあります。
マインドマップの作成ではテーマに集中することが非常に重要です。テーマに関係する場面を「思い出すこと」「想像すること」に全力を傾け、その状況をしっかりと頭に思い浮かべることで細かい部分まで洗い出すことができます。
テーマごとに書き出した内容を見渡し、共通項を探して結び付けていきましょう。例えば「充実していたとき」で明確にした活躍できる環境と「後世の人々に残したいアドバイス」で明確にした将来のビジョンを結び付けることで「どのような環境で活躍し、どんな将来を目指したいのか」が見えやすくなります。
書き出した内容を整理し、結論を書く前には、特に大事だと思うことや、自分の価値観において共通していると感じたことなどに色をつけてみるのもよいでしょう。ポイントを把握しやすくなるため、自分の考えも整理しやすくなります。ES作成や面接準備で振り返りを行う際にも、自分にとって大事な要素をひと目で把握しやすいでしょう。
マインドマップの作成は、親しい友人と一緒に取り組むことがオススメです。テーマについて、お互いのことを質問し合うことで、掘り下げやすくなります。会話の中で「留学ではどんなことをしていた?」「バイト先でどんな役割をしていた?」などと聞いてもらうことができれば、自然に回答が出てくるでしょう。また「このテーマについて自分のことをどう思うか」など、客観的な視点で自分の行動や特徴などを教えてもらうこともできます。
一人で作成して行き詰まった場合は、誰かと一緒に取り組んでみましょう。
マインドマップとそのほかの自己分析を並行することで、混乱してしまう学生は少なくありません。まずはマインドマップを作成し、それを基に周囲の人たちにフィードバックをもらうことをオススメします。自己分析は一人では完結させられないものなので、より自分自身を掘り下げていくためにも周囲の人に客観的なアドバイスをもらうことが大事です。それを経た上で、また違う方法で自己分析をすることが必要だと感じたらトライしてみるのもよいでしょう。
就活では、自己分析をしっかり行うことが非常に重要です。自分の思考を整理し、就活の軸を明確にしておけば、自分にマッチする企業を探しやすくなり、ESや面接でも説得力のあるアピールができるようになります。
自己分析を進める際、マインドマップを活用することには、さまざまなメリットがあるので、以降で紹介していきます。
マインドマップではテーマとする項目に対し、思い浮かんだ短い文章を次々につなげていく手法のため、誰にでも簡単にできます。長い文章を考える必要もないため、文章作成が苦手な人にもやりやすいでしょう。
また、マインドマップは紙とペンがあれば実践できますし、パソコンやスマートフォンなどでマインドマップを作成できるツール・アプリもあります。特別な準備は必要ないため、手軽に実行できる点もメリットです。
自己分析で自分の思考を掘り下げようと思っても、うまく整理できない人や掘り下げ方がわからない人は少なくありません。マインドマップは一つのテーマに対して掘り下げ、頭に浮かんだことを書き出していくのでやり方もわかりやすいでしょう。
また、強みや弱みなどのテーマごとに行うため、自分の考えを整理しやすい点もメリットです。「自分がどのような人間であるのか」が見え、どのような価値観を大切にしているのかを発見することができます。
マインドマップでは、自分の思考を書き出して可視化していくため、自分自身でも気づいていなかった考え方や価値観などを明確化することができます。テーマとする項目を書き、そこから線を引いて「過去に経験したこと」「自分自身で考えていたこと」など、思いついたことを短い文章で次々に書き出していくため、自分の思考を地図のように描き出すことができます。
さらに、書き出したそれぞれの文章を客観的に眺めることで、自分の思考における共通点が見えてきます。自分の強みや長所などを把握しやすくなり、それに対する弱みや短所などもわかりやすくなるでしょう。曖昧だった自分の考えを整理し、思考を深めるために有効な手立てとなってくれます。
マインドマップは、自己分析へのフィードバックをもらう際にも役立ちます。自己分析は、自分一人では完結できないものです。周囲の友人や先輩などに自分の考えを伝え、客観的なフィードバックをもらい、より深い自己分析につなげていくことが大事です。
1枚のシートに自分の考えが整理されているマインドマップを見せる方が相手も理解しやすいです。より的確なフィードバックをもらいやすくなるでしょう。
マインドマップを就活に役立てる具体的な方法を紹介します。
マインドマップ作成でさまざまなテーマに取り組めば、仕事に対して求めることや将来目指したい姿、強みを生かして活躍できる環境などを明確にでき、それを軸に企業探しをすることができるでしょう。また、企業探しの軸について社会人の先輩に話してみることで「それならこういう企業が向いている」「こんなポイントで企業を見てみるといい」などのアドバイスをもらうこともできます。
マインドマップで明らかにしたことは、ESや面接にも生かすことができます。自分の価値観や考え方、これまでの経験が明確になるため、それを基にアピールしたいことを考え、背景となるエピソードを伝えるとよいでしょう。
特に「志望動機」「将来どういう人になりたいか」「就活の軸」などの質問項目については、応募企業に合わせようとするあまり、自分らしさを失ってしまうケースがあります。企業は学生の価値観を知った上で、自社にマッチするかどうかを判断するため、合わせることより、自分の意思を明確に伝えることがまず重要と言えます。マインドマップで見つけた自分の価値観を大切にしながら、企業に伝えたいことを整理していきましょう。
また、面接の前にマインドマップを確認すれば、伝えたいことを把握しやすいので、ぜひ活用していきましょう。
マインドマップは、一度作成して終わりではなく、日常生活の中で変化した考えや思い出したことなどもどんどん書き足していくことができます。簡単に修正・更新できるので、後日に思いついたことも可視化していけば、さらに思考を深めることができるでしょう。
先輩訪問で話を聞いたり、面接を受けたりした後、自分なりに感じたことや思ったこと、思い出したことなどを書き足し、変化した自分の思考を可視化するとよいでしょう。
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オーストラリアへの留学・学習塾講師やアパレル販売店員など9つのアルバイトを掛け持ちした後「人生の転機にポジティブな影響を与えられる存在になりたい」と決意。2019年にエン・ジャパン(株)へ新卒入社。人材紹介事業部の営業担当として関西の大手から中小まで300社の担当企業の採用支援に携わる。落ち込んだIT領域の立て直しや積極的な面接対策等の求職者対応を通じて確固たる地位を築く。3年の勤務を通じ、目の前の人の「やりたい」を実現できる仕事に就きたいと考えて上京。2022年、我究館・就学コーチに就任し、300名以上の就活生の支援を実施。
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