就活の自己PRで「協調性」をアピールしたい場合、単なる「受け身」や「主体性がない」といった誤解を与えないよう、伝え方を工夫する必要があります。この記事では、「企業が求める協調性の意味」や「就活で協調性をアピールする際のポイント」を解説します。また、ガクチカ別に例文を8つ用意したので、自己PRを作る際の参考にしてみてください。
目次
この記事のまとめ
- 「協調性」とは、周囲と協力しながら、物事を円滑に進めるために調和を図る力のこと
- 企業が「協調性」を評価する理由は、社内外のコミュニケーションを円滑にし、チームの力を最大化させることで、良い成果につながると期待されるため
- 「協調性」をアピールする際は、「受け身」や「自分の軸がない」と誤解されないよう、伝え方に注意する
- 自己PRを作成する際は、「結論、背景、根拠、成果」の順を意識して伝えると説得力が高まる
「協調性」とは?
協調性とは、文字通り「協力して調和する力」を意味します。さまざまな価値観や考えを持つ人たちと意見を調整し、周囲の理解を得ながら、1つの目標に向かっていく力を指します。
多くの企業が「協調性」を重視している
企業の人事担当者向けの調査(※)では、「新卒採用の選考にあたり、特に重視した能力」という設問に対し、第1位は「コミュニケーション能力」(82.0%)、第2位は「協調性」(56.4%)となりました。「協調性」は、「誠実性」「主体性」(共に46.3%)といった項目を上回っており、多くの企業が重視していることがわかります。
※出典:新卒採用で重視した能力は「コミュニケーション能力」が約8割(『日本の人事部』)
企業はどんな「協調性」を求めている?
企業が求める協調性とは、「主体的に周りと協力して物事を成し遂げる力」です。周囲に合わせるのではなく、異なる意見を尊重しながら目標達成のために自ら働きかけ、チームの能力を引き出す姿勢が求められます。
「協調性」を大きく分けると、周りの意見を尊重し、空気を読んで調和していく「従順的な協調性」と、自ら周りに働きかけ、他者を巻き込みながらゴールを目指す「主体的な協調性」があります。
「主体性」は「協調性」の反対にある力と捉えられやすいですが、主体性を「主体的に周りと協力して物事を成し遂げる力」と定義して、協調性とほぼ同じ意味で使うケースもあります。実際に、企業が選考にあたって特に重視する要素として、「主体性」が上位に挙げられていることからも、主体的に自ら発信していく人物を求める傾向があると言えるでしょう。
なぜ企業は「協調性」がある人を評価する?
企業が「協調性がある人」を評価する背景には、主に2つの理由があります。1つは「社内外の人と円滑なコミュニケーションを取るため」、もう1つは「チームワークを必要とする仕事が多いため」です。
社内外の人と円滑なコミュニケーションを取るため
上司や同僚、後輩、他部署のメンバーと良い人間関係を築くことは、業務を円滑に進めるために大切です。また、自分の働く企業内だけでなく、社外の取引先の人とのやりとりが欠かせない業務も少なくありません。相手の立場を尊重しつつコミュニケーションが取れる能力は、周囲を巻き込んで仕事を進める上で重要なスキルと言えます。
チームワークを必要とする仕事が多いため
組織で働く以上、すべての業務を個人で完結させることは難しく、多様なメンバーと協力して仕事を進める場面がたくさん出てきます。チームワークが良好であるほどより良い成果が期待できるため、チームとして高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。そのため、主体的にチームに貢献する「協調性」がある人は、企業から評価されます。
「協調性」を就活の自己PRでアピールする際のポイント
応募する企業が求める「協調性」を意識した伝え方にする
自分が志望する企業がどのような「協調性」を求めているのか、会社説明会やOB・OG訪問などを通じて事前に研究しておきましょう。
その上で、自分の強みである「協調性」をどのように表現すれば、企業にアピールできるのかを工夫することが大切です。
例えば、チームワークを重視する企業であれば、「主体的に周囲を巻き込んで目標を達成した経験」を具体的に伝えると、効果的なアピールにつながるでしょう。
「協調性」を別の言葉に言い換える
「協調性」という言葉だけでは、どうしても抽象的な印象を相手に与えてしまいやすいです。そのため、自分らしさが伝わる別の表現に言い換えることで、自分の強みをより具体的にイメージしてもらうことができます。まずは、協調性を発揮した際のエピソードを深掘りし、その行動のポイントとなる言葉を考えてみましょう。
「協調性」の言い換え例
| 傾聴力 | 話をただ聞くのではなく、 真意を汲み取りながら深く理解する姿勢を示せます。 |
| 柔軟性 | 状況の変化や異なる価値観に対して、 臨機応変に対応できる力を示せます。 |
| 調整力 | 複数の意見や利害を整理し、 全員が納得できる着地点を見つける力をアピールできます。 |
| 適応力 | 新しい環境に素早くなじみ、 組織の一員として機能する姿勢を示せます。 |
| サポート力 | リーダーを支えたり、困っているメンバーをフォローして、 チームを支える力を示せます。 |
| 相手の立場に立って考えられる力 | 相手の背景や感情を推察して行動できる力を示せます。 |
| 周囲を巻き込む力 | 周囲に働きかけて共通の目標へと動かす力をアピールできます。 |
「協調性」を就活の自己PRでアピールする際の注意点
自己PRでアピールする際は、「協調性」をネガティブに受け取られないよう注意が必要です。協調性があることは、大きな長所である一方、アピールの伝え方次第では、好ましくない特徴(「受け身」「自分の軸がない」「積極的に意見を出さない」など)として判断される可能性があるからです。
それを避けるためには、周囲の意見に合わせているだけでなく「主体性と協調性のバランスが取れていること」が伝わるようなエピソードを盛り込むと良いでしょう。
また、「協調性がある」「協調性が高い」のどちらで表現するかについては、基本的にどちらを使っても、問題はありません。ただし、「高い」「低い」といった程度の判断は相手がするものなので、「協調性がある」と言う方が良いかもしれません。
「協調性」を就活でアピールする自己PRの作り方
「協調性」を効果的に伝えるための組み立てを紹介します。エントリーシートの作成や面接での回答を準備する際は、以下の4つのステップを意識してまとめると、内容に説得力が増すでしょう。
1. 結論…自分の強みを短い言葉(キャッチフレーズ)で端的に表す
志望している企業が求めている「協調性」を意識しながら、自分の強みを簡潔に示します。
2. 背景…強みを身につけた背景を具体的に伝える
協調性や、それを言い換えた自分自身の強みをどのような環境で培ってきたのか、その土台となる経緯を伝えていきます。
3. 根拠…強みの根拠となる経験や、実際に行動したエピソードを具体的に伝える
強みの根拠となる具体的なエピソードを掘り下げます。協調性を発揮した際の経験や実際の行動を、主体性とのバランスを意識しながら具体的に伝えましょう。
4. 成果…経験・行動によって得られた成果や、今後どう生かしたいかを伝える
過去に得られた成果と、自分の協調性が今後の業務においてどのようにプラスに働くかを結びつけると説得力が増すでしょう。
ガクチカ別|「協調性」をアピールする自己PR例文8選
学業に関する例文
私の強みは、周りと協力して目標達成に向かう協調性です。
大学2年生の夏、英語サークルの仲間5人で「TOEIC(R)700点以上を取得する」という目標を掲げました。勉強を始めた当初は、各自が個別に学習を進めていたため、苦手分野の克服に苦戦し、モチベーションが低下してしまうメンバーもいました。
私は全員で目標を達成したいと考え、リスニングや文法など、それぞれが得意なパートの解き方を教え合ったり、週1回の勉強会を企画しました。私は進捗管理とフォローも担当し、学習が予定通り進んでいないメンバーに声を掛けるなど、全体のモチベーション維持に努めました。
その結果、半年後にはメンバー全員が目標の700点超えを達成し、私も自己最高の800点を記録することができました。社会に出てからも周囲と連携して高め合い、チームの目標を達成するために貢献したいと考えています。
サークルに関する例文
私の強みは、対立する意見に柔軟に対応し、着地点をみいだす調整力です。
私は吹奏楽サークルで定期演奏会の企画担当を務めていました。発表曲を決めるにあたって「難易度の高い曲で技術を披露したいグループ」と「親しみやすい曲で楽しく演奏したいグループ」で意見が分かれ、練習が思うように進まない事態になりました。
私は、全員が舞台で輝ける演奏会にしたいと思い、双方にヒアリングして、意見をまとめた案を考えました。具体的には、全員で演奏する曲は親しみやすい曲を選定し、そのほかに、習熟度に合わせてグループごとの発表枠を新たに設けることにしました。また、練習時間もパート別と全体合奏の時間比率を調整し、各自が納得して練習に励めるよう調整しました。
その結果、演奏会後のアンケートでは多くのメンバーから「達成感があった」という評価を得ることができました。社会に出てからも、異なる意見を尊重しながら解決策を考え、チームの円滑な運営に貢献したいと考えています。
部活動に関する例文
私の強みは、リーダーを支えたり、困っている部員をフォローするサポート力です。
私は大学の剣道部でマネージャーを務めていました。当時、主将は「関東大会上位進出」に向けて、激しい稽古を長時間行っていました。しかし、その厳しさから疲労が溜まり、主将に不満を持つ部員が少なくありませんでした。
私は、主将の「勝ちたい」という熱意を大事にしつつ、かつ部員が納得して稽古に励める環境が必要だと考え、一人ひとりと話をして、稽古の疲労度や心理的なプレッシャーなどについて、本音を聞き出しました。その上で、主将に休日の設定や練習メニューの優先順位付けを提案し、一方で部員たちには主将がそれぞれに期待している役割を私から具体的に伝えることで、お互いの理解を深めました。
リーダーの想いを現場が受け入れやすい形で伝え、チームの風通しを良くした結果、部員全員が同じ熱量で大会に臨めるようになり、団体戦ではベスト8を達成しました。仕事においても、チームの力を高めることに貢献したいと考えています。
アルバイトに関する例文➀
私の強みは、周囲の状況を把握し、連携して行動できる協調性です。
私は映画館のアルバイトを2年半続けています。映画館の仕事はチケット窓口、売店、入場案内などがあり、週末や大型連休の混雑時には、各ポジションの連携が欠かせません。私は自分が担当する入場案内だけでなく、ほかのポジションの状況にも目を配るよう意識しました。
例えば、売店が長蛇の列になり、上映時間に間に合わない可能性のあるお客様が増えた際は、会計を手伝うなど売店スタッフのフォローに回りました。また、上映が始まり、ロビーの混雑が収まった瞬間に、売店の清掃や備品補充を先回りして行うなど、ほかのスタッフが接客に集中できる環境を整えました。
その結果、混雑時もトラブルが減り、支配人やほかのスタッフから信頼を得ることができました。仕事においても、お客様や共に働く仲間のニーズを先読みし、チーム全体がスムーズに動けるよう、貢献したいと考えています。
アルバイトに関する例文②
私の強みは、新しい環境に素早くなじみ、チームの一員として働ける適応力です。この強みを、スーパーのレジ業務のアルバイトで発揮しました。
私が働くスーパーはベテランのパートスタッフの方が多く、初めは独自のルールやスピード感に戸惑いました。私は少しでも早く仕事を覚えるため、先輩の動きを観察して、現場ならではの優先順位や連携のタイミングを学び、疑問点は積極的に質問するようにしました。また、年代の異なるスタッフの方々に対しては、相手の立場に合わせたコミュニケーションを取るよう意識しました。
そのほかにも、レジの混雑状況に応じて品出しやカゴ回収など、他部門へのサポートも先回りして行った結果、3カ月程度で店長から「頼りになる」と評価されるようになりました。このように、新しい環境に柔軟に適応し、周囲と歩調を合わせて仕事をする姿勢を、社会に出てからも発揮したいと考えています。
ボランティアに関する例文
私の強みは、相手の立場に立ち、状況の変化へ臨機応変に対応できる柔軟性です。
私は、大学2年生から高齢者施設でボランティア活動をしています。施設では、利用者一人ひとりの体調や気分の変化が大きく、事前の計画通りにレクリエーションが進まないことがありました。私は、事前に用意したやり方にこだわらず、その場の空気や相手の反応を最優先に考えた行動を取るように心がけました。
例えば、耳が聞こえにくい方や、その日の気分によって会話を拒まれる方などに対しては、声のトーンや話すスピードをその都度調整して対応しました。また、急な対応で施設の職員の方の手が足りなくなったときには、自分にできるサポートを判断し、積極的に動くよう努めました。
このように、目の前の状況に合わせて行動するようにした結果、職員の方々からも信頼されるようになりました。社会に出てからも周囲と歩調を合わせながら、自分の役割を果たしたいと考えています。
ゼミに関する例文
私の強みは、周囲の状況を察して行動し、チームの一体感を高める協調性です。この強みは、ゼミのグループ発表の際に発揮されました。
私たちのグループは、公開データが少なく、自分たちでアンケート調査を行う必要がある研究テーマに挑戦したため、途中で意欲を失いかけるメンバーが出て、グループ全体の雰囲気が悪くなった時期がありました。そこで私は、全員が前向きに取り組めるようにすることが必要だと考え、一人ひとりと話をして状況を把握しました。その上で、作業の進捗を確認するだけでなく、困っているメンバーのフォローを申し出たり、それぞれの得意分野を生かせる役割分担を提案したりすることで、全員が「自分の果たす役割」を再認識できるようになりました。
その結果、最終的にはメンバー全員で納得のいく発表ができました。教授からも「チームワークが良かった」との言葉を頂き、研究内容も高く評価されました。仕事においても、チームが最大限の力を発揮できる環境を支えていきたいと考えています。
趣味に関する例文
私の強みは、問題を解決するために周囲を巻き込む力です。
私はアウトドアが趣味で、昨年、友人5名と湖畔にキャンプへ出かけました。しかし、夕方から突然雨が降ってきた上に、夕食用に準備していたカセットボンベを忘れてしまうというアクシデントがあり、暗い雰囲気になりかけました。
私は唯一のキャンプ経験者でしたが、自分一人が無理をして頑張るのではなく、全員で協力してピンチを乗り切ろうと考えました。そこでまず、「皆で分担して焚き火をおこそう」と提案しました。友人2人には火を絶やさないための「薪探し」を、別の2名には雨よけの「タープ設営」をお願いし、自分は焚き火の管理を担当しました。さらに、焦る友人たちに「これがうまくいったら、きっと最高の思い出になるよ」と声を掛け、作業中も明るい雰囲気になるように努めました。
その結果、全員で協力して無事に夕食を完成させることができ、友人たちとの絆も深まりました。この経験から、個人の力だけに頼るのではなく、チームとして力を発揮する大切さを学びました。仕事においても、チームに不足している役割を自ら見極め、周囲を巻き込みながら課題解決に貢献したいと考えています。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。
