自己PRで責任感をアピールしたいものの、どのように伝えれば良いかわからない、具体的なエピソードが思いつかないといった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
責任感を2つのタイプに分けた上で、それぞれに合うアピール方法や自己PRの例文を紹介します。
目次
責任感とは?
「責任感」とは、自分に任されたこと、自分がかかわることを義務や任務と捉え、最後までやり遂げようとする思いのことです。また、ビジネスにおいては、自分に与えられた仕事や役割を確実に果たそうとする気持ちを指します。
社会人として仕事をするときに求められる責任感の例として、以下のものがあります。
- 時間やルールを守る
- 目標達成のためにやり切る
- ミスを認める
- 主体的に行動を起こす
- 常に学び続ける
- 後輩や部下を育成する
企業が自己 PRを聞くのはなぜ?
エントリーシート(ES)や面接で問われる質問には、「あなたはどういう人か」を知ろうとする意図があります。しかし、企業が用意した質問への回答だけでは学生の強みを十分に引き出せない場合があります。自己PRでは、学生本人から能力や性格をアピールしてもらい、「自社で仕事をしていく上での適性があるか」を判断します。
企業の特徴や社風を整理してみると、業務を行う上で何が求められるかが見えてきます。その中であなたが発揮できる強みは何かを踏まえて、自己PRを考えてみるといいでしょう。
企業が評価する責任感とは?
企業が評価する責任感には、2つのタイプがあります。タイプを押さえておくことで、あなたの持つ責任感の特徴をより明確にアピールすることができます。
1. 「自責」の責任感
仕事でミスや問題が発生した際に、自分に原因があると考えるのが「自責」タイプの人の特徴です。ミスに対して非を認め、「次は○○をします」のように自分の行動を振り返って、何をすべきだったかを考えることができます。
「自責」タイプの人は、自分に与えられた業務に責任を持って向き合う姿勢があるため、任せられた持ち場を守って業務を遂行していく仕事で高いパフォーマンスを発揮します。インフラなど生活に関わる仕事や医療など命を扱う仕事、金融などお金や重要なデータを扱う仕事、法規制の厳しい仕事などで必要とされる人物です。
一方で、すべての責任を自分で背負おうとする姿勢が、「過度にストレスを抱えてしまうのではないか」「環境を変える変革能力が低いのではないか」といった印象を企業に与えてしまう可能性もあります。
2. 「当事者意識」の責任感
物事の原因が自分以外にあるとしても、自分事として課題解決に向かう「当事者意識」タイプの人は、環境の変革能力に長けています。「ルールがあっても課題解決のために変えれば良い」「上司からの指示が課題解決の障壁になるのであれば、上司を説得すれば良い」といった、状況を打破するための考え方ができます。
変革の激しいIT業界やベンチャー企業、新規事業や商品開発などに携わる職種や、次世代のリーダー候補の人物を求める企業には、「当事者意識」タイプの人が適しているでしょう。
半面、任せられた持ち場の中で遂行するタイプの仕事には、息苦しさを感じてしまうかもしれません。
企業はどちらのタイプの「責任感」を求めているか
ひと言に「責任感」と言っても「自責」「当事者意識」の2つのタイプがあります。自己PRなどで「責任感」をアピールする際には、志望する企業が求める「責任感」はどちらのタイプなのかを正しく理解しておくことが重要です。
責任感を自己PRでアピールするときのポイント
自分と企業が求めている責任感のタイプが一致するか
「自責」「当事者意識」の2つのタイプのうち、自分がアピールしたい「責任感」がどちらのタイプに当てはまるか確認しましょう。
何か問題が発生した際に「自分には何ができただろう」「あのときこうすれば良かった」と、自分の行動や仕事を振り返って反省できる人は、「自責」タイプといえるでしょう。
他者にトラブルがあった際でも、「○○をしてみよう」「解決するために何が必要だろうか」と、解決に向けて何をすべきなのかを積極的に考えられる人は「当事者意識」タイプです。
次に、企業が求めている「責任感」のタイプはどちらなのかを確認してみましょう。採用ホームページや説明会で、求められる人物像、活躍している社員のエピソードなどを確認してみると、どちらのタイプを求めているかが見えてきます。
責任感が企業にきちんと伝わるか
ただ「責任感がある」と表現しても、それだけでは漠然としており、採用担当者にあなたの強みが十分に伝わらないかもしれません。あなたが強みとする「責任感」の中身をより具体的に示すために、ほかの言葉に言い換えて伝えてみるのも良いでしょう。
最後までやり抜く
任された仕事に責任を持って、最後までやり抜く力がある人は「自責」タイプの責任感があるといえます。部活・サークルやゼミで、与えられた役割を最後までやり遂げたエピソードなどを伝えると、あなたの持つ責任感が伝わります。
妥協せずに取り組む
「自責」「当事者意識」のどちらのタイプにも、課題解決に向けて妥協せずに取り組む姿勢があります。研究や課外活動などを「納得できるまで妥協せずに取り組んだ」経験をアピールすることで、責任感のある人だということが伝わります。
周囲からの信頼がある
課題解決に向けて自分から動き出せる「当事者意識」タイプの責任感を持つ人は、周囲から信頼を寄せられる傾向にあります。「アルバイトで後輩の教育係を任された」「学内イベントで実行委員に任命された」など、責任感があるからこそ頼られた経験を伝えてみると良いでしょう。
真面目にコツコツ努力する
真面目にコツコツ努力できる人も、「自責」タイプの責任感のある人だと言えるでしょう。自己PRで伝える際には、「毎日1時間」「毎週火曜日の午前中」など、積み重ねた時間や作業の量、ペースを伝えると良いでしょう。
計画的に進める
計画的に物事を進めたエピソードも、与えられた仕事を達成するために何をすべきかを考えられる、「自責」タイプの責任感を持つ人だと印象付けられます。「自分が掲げた目標に向けて、何をすべきか、そのためには何が必要か、誰に協力を仰ぐべきかを考えてから実行に移した」エピソードなど、綿密に準備してから取り組んだ経験を伝えてみましょう。
責任感を伝える具体的なエピソードを語れるか
自己PRは、以下の構成でまとめると企業に伝わりやすくなります。
- 結論:自分の強みを短い言葉で端的に表す。
- 背景:その強みを身につけた背景(根拠となる経験をするまでの状況。どんな活動が強みを身につける舞台だったのか。例:大学1・2年次にレストラン「○○」でホール係のアルバイトをしていた、など)を具体的に伝える。
- 根拠:強みの根拠となる経験や、行動したことのエピソード(背景となる活動の中で、強みを身につけた行動の詳細。例:アルバイト仲間3人と、クレームに対応するための20項目にわたるマニュアルを作成した、など)を具体的に伝える。
- 成果:その経験・行動によって得られた成果や、今後どう生かしたいかを伝える。
このうち特に重要なのが、「根拠」となるエピソードです。あなたのことを知らない人にあなたが持つ責任感のタイプや中身が伝わるように、具体的な名称や数値などの客観性のある言葉、また、責任感の言い換え表現を使って説明しましょう。以下の記事も参考にしてみてください。
責任感のタイプ別・例文10選
責任感を自己PRでアピールする際の例文を10個紹介します。「自責タイプ」と「当事者意識タイプ」それぞれの文章の組み立てや、「責任感」の言い換え表現などの参考にしてみてください。なお、例文中では相手の会社のことを「貴社」と呼称していますが、面接など口頭の場合は「御社」と言い換えてください。
ゼミなどの学業に関する例文
自責タイプの場合
私の強みは、課題に対して自分に何ができるかを問い直して、解決のために妥協せずに取り組む責任感です。
ゼミで3人のチームを組み、経済統計を用いた共同レポートを執筆した際、中間発表で分析結果の矛盾を指摘されました。当初、チーム内には「提供データの不備」を理由にする声もありましたが、私は「データの読み込みの甘さが根本的な原因である」と考え、数値の再検証を提案しました。
数百件のデータを1件ずつ精査し直した結果、定義の解釈ミスを発見し、修正することができました。最終的に論文はゼミ内で最高の評価を頂き、教授からも分析の緻密さを称賛されました。仕事においても、常に地道な努力を欠かさず、着実に成果へつなげたいと考えています。
当事者意識タイプの場合
私の強みは、組織の停滞を自分自身の課題として捉え、自ら行動を起こす「当事者意識」です。
所属する経営学のゼミでは、オンライン形式の開催が続く中で学生間の議論が停滞し、発表者以外が発言しないという課題がありました。私は「このままでは全員の学びの質が下がる」という危機感を持ち、議論を活性化させるための仕組み作りを提案しました。
具体的には、授業の1週間前から匿名で質問を投稿できるスプレッドシートを作成し、さらに輪番制の「論点整理係」を導入しました。その結果、毎回の発言数は以前の3倍以上に増え、ゼミの参加者から「議論が深まった」という声を多数得ることができました。貴社においても、役割の枠を超えて組織に貢献する姿勢を貫きたいと考えています。
アルバイトに関する例文
自責タイプの場合
私の強みは、困難な状況でも最後までやり抜く責任感です。
個別指導塾の講師のアルバイトで、数学の偏差値が40台で伸び悩んでいた中学3年生を担当しました。ほかの講師からは「本人の基礎力が不足している」という声もありましたが、私は「生徒の意欲を引き出し切れていない自分の指導法にこそ改善の余地がある」と考えました。
入試本番の3カ月前に自身の指導案を全面的に見直し、毎回の授業後にその生徒専用の復習プリントを手渡しました。また、生徒が理解できるまで、校舎の閉館間際でも質問に応じるなど、伴走を徹底しました。その結果、生徒の偏差値は15上がり、無事に第1志望校に合格させることができました。貴社での業務においても、目標達成に対して言い訳をせず、責任感を持って最後までやり抜く覚悟です。
当事者意識タイプの場合
私の強みは、自身の役割に限定せず組織全体の課題を考えられる点です。
私がアルバイトをしていた居酒屋では、繁忙期にスタッフ間の連携ミスが多発し、お客さまからのクレームが相次ぐ時期がありました。「お客さんが離れてしまう」という危機感から、状況を改善するために周囲に働きかけました。
働くうちに曖昧になってしまっていたマニュアルをあらためて見直して、本来の正しい接客や料理提供の手順をほかのアルバイト仲間に周知しました。自ら率先して手本を示す姿勢を続けた結果、「〇〇がいれば店が回る」と周囲から信頼を置かれ、最終的には時間帯責任者を任されるまでになりました。貴社でも、周囲を巻き込みながら組織の課題解決に貢献したいと考えています。
サークル・部活に関する例文
自責タイプの場合
私の強みは、問題やミスに対して自分の至らなかった点を考え、課題解決に向けてコツコツと努力するところです。
私は大学のサッカー部に所属しており、県内ベスト8を目指していました。しかし、2年次の大切な公式戦で、私のミスが失点に直結し敗北した経験があります。周囲からは「仕方のないミスだ」と慰められましたが、私は「今大会で見えた自分の課題を次の大会までに克服して、チームに貢献する」と決意しました。
その日から、自身の弱点であった空中戦の競り合いを克服するため、練習後の自主トレーニングとして体幹トレーニングを大会まで欠かさず継続しました。その結果、次年度の大会では失点数を前年の半分に抑え、守備の要としてチームのベスト4進出に貢献できました。
貴社においても、常に高いプロ意識を持ち、成果に対して小さな努力を惜しまず取り組む所存です。
当事者意識タイプの場合
私の強みは、組織の課題を考えて改善のために主体的に動く点です。
100名規模のテニスサークルに所属していましたが、例年、新入生の約半数が夏までに辞めてしまう課題がありました。私は「活気あるサークルを維持したい」という思いから、後輩たちがなじめる環境づくりを提案しました。
初心者専用の練習時間を週に一度設け、経験者がマンツーマンで指導しました。また、練習後の交流会も少人数制にするなど、孤独を感じさせない工夫を凝らしました。その結果、それらを実施した年からは退会者が例年の3割以下に減り、周囲からも「周りをよく見て、行動を起こしてくれる存在」として信頼を得られました。貴社で課題に直面した際には、自分に何ができるかを考え行動したいと考えています。
インターンシップに関する例文
自責タイプの場合
私の強みは、ミスを「環境や不運」のせいにせず、自分に任された仕事に責任感を持って取り組む点です。
マーケティング企業の長期インターンシップで市場調査データの集計を担当した際、単純な入力ミスにより、社員の方の分析作業を1日遅延させてしまった経験があります。
二度と同じ過ちを繰り返さないため、ミスが起こりうる作業内容を洗い出し、確認の作業の際に漏れなくチェックできる方法を考えました。作業工程に「自動エラーチェック関数」を組み込み、さらに独自の「トリプルチェック・リスト」を自作して運用しました。その結果、その後の半年間、1度もミスを出すことなく、最終的には複雑なデータの集計も1人で任されるようになりました。仕事においても、自身の行動を常に疑い、高い品質を維持し続ける自信があります。
当事者意識タイプの場合
私の強みは、自身の担当範囲にとどまらず、組織全体の利益のために動く「当事者意識」です。
IT企業の長期インターンシップで、マーケティング部門の業務に携わらせていただいた際、広告データの集計作業に毎回2時間費やされている様子を拝見して、本来注力すべき分析作業が圧迫されているという課題に気づきました。
週に1回行われるインターン生と社員のミーティングの際に、この問題点について改善方法を提案したところ、社員の方の協力の下、集計作業を自動化するツールをVBA(マクロ)で作成することとなりました。
このツール導入により、集計作業の時間は30分に短縮されました。社員の方々からも「任された仕事以外の分野で成果を出せるインターン生はなかなかいない」と評価を頂きました。貴社においても、与えられた役割以上の価値を組織に提供できるよう、広い視野を持って行動したいと考えています。
ボランティアに関する例文
自責タイプの場合
私の強みは、自分に与えられた仕事に責任を持って取り組み、成果を出すためには何をすべきか考えられる点です。
訪日外国人向けのガイドボランティアに初めて参加した際、寄せられた質問に十分に答えられず、担当した方を困惑させてしまった経験があります。「旅行で楽しい思い出を残してもらうために、最大限のサポートをしたい」と思い、次に参加するときには抜かりなく下準備をしてから臨もうと思いました。
まず、想定される質問を100項目以上洗い出し、現地の歴史だけでなく最新のトレンドまで網羅した独自マニュアルを作成しました。また、先輩の案内に何度も同行して話し方を研究しました。その結果、次の案内の機会には「あなたに頼んで良かった」と感謝の言葉を頂けました。貴社においても、常に自分に実力不足な点がないかを振り返り、最高の成果を出すための努力を惜しみません。
当事者意識タイプの場合
私の強みは、不測の事態においても「自分に何ができたか」を振り返り、改善策を考えられる点です。
震災復興支援の物産展にボランティアで参加した際、来場者の誘導係を務めました。初日は想定以上の来場者により列が混乱し、多数のお客さまに迷惑をかけてしまいました。私は「現場の状況をいち早く察知して、対策を講じるべきだった」と反省しました。
翌日は、カラーコーンを配置して混雑時でも列が乱れないよう動線を整理するとともに、会場内で配布されていた「周辺の見どころマップ」を並んでいるお客さまに手渡しして、不満を和らげる工夫をしました。この行動により混乱は収まり、最終的にイベントは無事に終了しました。貴社において、トラブルが起きた際でも、自らの行動で状況を好転させる粘り強さを発揮したいと考えています。
責任感の伝え方のポイント
エントリーシートなのか面接なのかによって責任感を伝える時のアプローチ方法が若干異なります。それぞれのポイントを押さえて、効果的にあなたの強みを伝えましょう。
エントリーシートの場合
エントリーシートは面接と異なり、補足説明ができず、記入した内容がすべてとなります。限られた字数の中で、結論、背景、根拠、成果をバランス良く記入し、伝えたい力を確実に理解してもらえるように努めましょう。
特に根拠となるエピソードについては、何を書き、何を書かないかの取捨選択が重要です。冒頭に「結論」として挙げた力を実際に持っていることを、第3者に対して証明する意識で書くと良いでしょう。課題に挑んだ状況と、挑んだ結果を読み手が思い描けるように、数字や固有名詞を使って定量的、具体的に記述してください。
面接の場合
面接でも、最初に結論を伝えること、エピソードの中に数字や実績などの具体的な事実を入れることが大切です。
面接は一方的なアピールではなく、面接担当者とのやりとりを通してのアピールである点がエントリーシートとの違いです。ただし、面接担当者が深掘りしてくれることを期待して話を簡潔にまとめすぎると、質問がなかった場合に説明不足で終わってしまう可能性があります。「1分でまとめてください」などの制限がある場合を除いて、用意した説明をすべて話し切ってしまう方が良いでしょう。
特に、集団面接やオンライン面接などでは、質問のやり取りがなく、自己PRが終わってしまう場合も少なくありません。伝えたい内容をしっかりと言い切れるよう、あらかじめ重要なポイントを整理しておきましょう。
自己PRで「責任感」をアピールするときの注意点
自己PRでアピールポイントとなる「責任感」ですが、伝え方によっては、かえってマイナスイメージにつながることもあります。あなたの強みを正確に伝えるために、「責任感」をアピールするときには次のようなエピソードは避けましょう。
与えられた役割を行っただけのエピソード
与えられた仕事を行っただけのエピソードでは、「指示を忠実にこなした」以上の好印象を与えるのは難しく、責任感のアピールとしては十分とは言えません。与えられた仕事の中から自分が感じた課題にアプローチや、組織をより良くするための行動といったエピソードを付け加えれば、独自性が出てあなたの強みが伝わりやすくなるでしょう。
例えば、「部活の部長になり、部長として部員をまとめました」だけではアピールとしては弱い印象があります。「1年生部員は高校時代からの経験の有無によって習熟度に差があったため、初心者に向けて2・3年生がマンツーマンで指導する制度を作った」など、役割や任務をこなす中で起きた課題に、どう対処したのかまで言及しましょう。
自分1人で抱え込んでしまうと思われやすい内容
責任感を持つあまり、課題解決のために1人で無理をして何かをやり遂げたエピソードは、誰かに頼れない、協調性がないと評価される可能性があります。1人で抱え込みすぎてしまう人は精神的な負担が大きいことから、バーンアウト(燃え尽き症候群)などにつながる可能性を企業は懸念します。
責任感をアピールする際は、自分1人で抱え込んでやり遂げたエピソードよりも、周りの人に協力を仰いで達成したエピソードを話すと良いでしょう。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。
