インターンシップ等のキャリア形成支援プログラムや就活本番でオンライン面接に臨む際、どのようなことに気をつけるとよいでしょうか?オンライン面接と対面の面接との違い、オンライン面接にあたっての準備や練習のポイントについて、就職・転職支援スクール「我究館」でコーチを務め、学生とオンラインでのやりとりや模擬面接なども行っている八木橋育子さんにうかがいました。
目次
オンライン面接(Web面接)とは、企業の面接担当者と学生のパソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)間をネット回線でつないで実施する面接のことを指します。質問内容は、対面で行う面接と変わらず、オンライン面接でも話す内容自体に違いはないといえるでしょう。
大きく違うのは、「機器を使う」「画面越しでコミュニケーションを行う」という2点です。
オンライン面接では、音声や映像にタイムラグが生じて、「普段のテンポで対話できない」と感じたり、「カメラと画面の視線をどこに置けばいいのかわからない」という悩みが生じたりします。
また、デジタル化された音声と映像では、声のトーンや醸し出す空気感、お互いの表情の変化や身振り手振りなどが伝わりにくいと感じ、対面の会話との雰囲気の違いに戸惑ってしまう学生も少なくありません。
オンライン面接を経験した学生の中には、対面の面接との違いに戸惑い、「自分らしく語ることができなかった」と後悔する人もいました。一方で、「事前準備さえきちんとしておけば、対面よりも緊張しにくい」という声もありました。対面の場合、会場の雰囲気やほかの学生と一緒に待機する中で緊張することがありますが、オンライン面接は自分の部屋などの慣れた環境で臨めるという利点もあるのです。
本番で自分の思いや企業研究の成果をしっかりと伝えることに集中できるように、オンライン面接の状況を想定してあらかじめ準備しておきましょう。
オンライン面接に必須の機器や役立つ機器、スマホを使う場合の注意点などを紹介します。
オンライン面接には、PCやスマホ、タブレット端末などの機器と、ネット接続環境は必須となります。会話中に画面がフリーズするなどのトラブルが起こるリスクを踏まえ、可能であれば機器を2台用意しておくと安心です。
「回線が途切れて面接が中断した」というケースがよくあるので、ネットの接続状況も事前に確認しておきましょう。家庭用の場合、回線が途切れやすいものもあるので、通信速度が速く、安定してつなげるプロバイダー(回線事業者)に変更した方がいいケースもありますし、Wi-Fiの場合は無線接続に使う機器の状態が悪いという可能性もあるでしょう。また、スマホのテザリングでネット接続してPCを使う場合なども、回線が切れるトラブルが多いので使用を避けた方がいいでしょう。
機器の準備やネット環境の整備が難しい場合は、学校のキャリアセンターや先生などに相談し、PCの貸し出しやWi-Fiのつながる会議室の利用などができるか聞いてみるといいでしょう。
自宅でオンライン面接に臨む場合、生活音などが相手に聞こえてしまう可能性があります。マイク付きのイヤホンやヘッドセットがあると、自分の声をクリアに伝えることができ、相手の声を聞き取りやすくなるでしょう。ただし、デザインが奇抜だったり大き過ぎたりすると、面接担当者がそこに注目して会話に集中してもらえない可能性があります。目立たないデザインや大きさのものを使用する方が無難でしょう。
オンライン面接にスマホで参加することに問題はありませんが、画面が小さいために相手の表情がわかりにくいというマイナス面があります。よく見ようと顔を近づけることで、相手の画面に顔がアップで映ってしまうケースもあるので、注意しましょう。
スマホやタブレットを使用する場合は、専用の台を用意すると便利でしょう。置く場所の固定ができ、面接中に倒れるなどの心配もなくなります。専用の台を用意できない場合は、機器をしっかりと固定する方法を考えましょう。
また、オンライン面接の担当者はPCを使用するので、縦置きにした場合、画面の両端が黒く切れているように映し出されます。そのため、横置きの方が違和感なく対話を進められるでしょう。
面接中に電池切れにならないように、充電ケーブルなどを準備しておくと安心です。事前にフル充電にしておく方法もありますが、1時間ほどのオンライン面接の間、充電が持つか事前に確認しておきましょう。
さらに、通信データ使用量の制限があるスマホの場合、制限を超えてしまうと極端に通信速度が遅くなるという点にも注意しましょう。オンライン面接ではかなりの通信データ量を使用するので、データ通信の残量を確認しておくことも大切です。
オンライン面接の日時が決まったら、面接で使用するツールや接続方法を確認しましょう。
使用ツールによって、接続の手順が異なったり、アカウントの作成が必要だったりするケースもあるので、直前で慌てないように事前に確認しておきましょう。もともとアカウントを持っているツールでも、プロフィール画像をエントリーシートなどに使う就活用の写真や アカウント名を本名がわかるような記載にしておくことをオススメします。
また当日のトラブルに備えて、人事担当者の緊急連絡先も確認するようにしましょう。
事前にオンライン面接に臨む場所やカメラ位置、明るさなども確認しておきましょう。それぞれポイントを紹介します。
雑音が入らない、静かな場所を選ぶようにしましょう。また、ネット接続環境が安定していることも重要です。カフェや学校などは、周囲の音を拾ってしまう可能性が高く、自分自身も集中しにくいものです。自分の部屋などの方が、落ち着いて面接に臨むことができるでしょう。
ただ、前後に予定が入っていて面接までに自室に戻れないケースもあります。面接日程を調整する際には、その日の行動や移動時間を踏まえ、余裕を持った時間設定をするように注意しましょう。調整が難しい場合は、レンタルオフィスなどの有料の個室や会議室を使用するのも一つの方法です。1時間につき数百円から貸し出しをしているところもあるので、検索してみてください。
オンライン面接を受ける前に、部屋の中でどこを背景にして面接に臨むのか考えておきましょう。学生とオンライン面接の練習をすると、背景に洗濯物やポスターなどが映り込んでいることに本人が気づいていないことがよくあります。相手に余計な情報を与えない方が会話そのものに集中してもらえるので、シンプルな壁など映り込みの少ない場所を選ぶ方がいいでしょう。
オンライン面接では、カメラのレンズが自分の視線と同じ高さになるように設置することをオススメします。背筋を伸ばして、姿勢が良く映るように意識することで、堂々とした印象になります。カメラが視線より低い位置だと、うつむき加減でカメラをのぞき込む姿勢になってしまい、消極的な印象を与えかねないので注意しましょう。
また、カメラとの距離も重要です。顔しか映らないほど近いと違和感につながり、遠いと表情などが伝わりにくく受け身の印象を与える可能性があります。胸から上がバランスよく映る程度の距離で設置するといいでしょう。
照明の位置によって顔が暗く映ってしまったり、表情が伝わりづらくなったりするため、対面の雰囲気とまったく違う印象を与えてしまう可能性があります。照明の位置を調整したり、デスクライトなどを利用して、顔全体を明るく照らしたりするといいでしょう。顔映りを良くする専用の照明を使用する方法もあります。
続いて次は、オンライン面接当日に気をつけたいポイントを紹介します。
自宅などでオンライン面接を行う場合、「プライベートとの切り替えができず、気が緩んだ状態のまま面接が終わってしまった」という学生の声があります。いい意味での緊張感を持って面接に臨むためにも、対面の面接と同様、髪型や服装などの身だしなみを整えることをオススメします。
また、「上半身しか映らないから、下は適当でいい」と考える学生もいますが、面接の最後に、立ち上がってお辞儀をするケースもあります。面接担当者が立っているところで、上半身しかきちんとした格好をしていなかったために立ち上がることができず、気まずい思いをしたという学生もいます。全身の身だしなみを整えておいた方がいいでしょう。
面接開始の10~15分前には、機器のセッティングやツールの接続準備を完了しておくイメージで行動するといいでしょう。余裕を持って準備することで、落ち着いて臨むことができますし、機器や接続トラブルにも対応できます。
また、5分前にはツールに接続し、待機室に入室しておくことをオススメします。開始直前に接続した場合、「ギリギリで行動する人物」「時間や約束を守る意識が薄い」という印象を与える可能性があるでしょう。
オンライン面接では、相手のネット接続環境でトラブルが発生するケースもあります。開始時刻になっても面接担当者の接続が確認できない場合は、5分ほど待機しましょう。慌ててすぐに電話をかけている間に相手が接続すると、動揺したまま面接が始まってしまいます。5分待っても入室しない場合は、緊急連絡先に電話し、状況を確認しましょう。
初めてのオンライン面接の際にどうすればいいのかわからず、固まってしまう学生も少なくありません。接続した瞬間から、相手に音声もつながっているので、ハキハキとしたあいさつからスタートしましょう。「初めまして、◯◯大学の△△です。本日はよろしくお願いいたします。こちらの音声は聞こえておりますでしょうか」とあいさつしながら、音声の確認をするとスムーズです。
イヤホンやヘッドセットは初めから装着していても問題ありません。途中から使用する場合には、「音声が聞き取りにくいのでイヤホンを着けてもよろしいでしょうか」と伝えるとよいでしょう。
続いて、 オンライン面接中に意識したいことのポイントを紹介します。
オンライン面接では、相手の顔が映る画面を見ながら話してしまいがちですが、カメラを見ることを常に意識しましょう。自分が話すときはカメラをしっかりと見て、その向こう側に相手がいるつもりで話せば、熱意が伝わりやすくなります。逆に、相手が話すときは画面を見るようにすれば、相手の反応や表情を見逃すこともないでしょう。
とはいえ、オンライン面接に慣れないうちは、視線を置く場所が定まりにくいものです。カメラを見る意識づけをするためにも、画面そのもののサイズを小さくして、カメラの真下に寄せておくといいでしょう。
面接では、自分の話だけを演説のように語ってしまう学生もいます。特に、オンライン面接の場合、目の前に相手がいない分、対話していることを忘れてしまいやすいものです。しかし、オンライン面接を受けるのは「その会社で働きたいから」であり、対話をしているのは、「自分の魅力やいいところを最大限に知ってもらうため」なのです。オンライン面接をしている目的を念頭に置き、相手の話をしっかり聞き、それに対して自分の伝えたいことを話す「会話のキャッチボール」を意識しましょう。
とはいえ、 オンライン面接は対面よりも相手の話に集中しにくいのか、面接担当者の質問を聞き逃しやすい傾向があります。また、相手との会話にタイムラグが発生しやすいため、会話のテンポ感がつかめずに焦ってしまうケースも少なくありません。
面接中は、「いつも以上に、相手の話をしっかり聞く意識を持つこと」「自分が話す前には、ゆっくり過ぎるくらいの間を置くこと」を意識しましょう。相手の話を聞くことに集中し、要所要所で相づちを打ち、話が終わった後は、焦らずに間を置いて、自分の答えを返していきましょう。
画面がフリーズした場合は「しばらく待ち、数分たっても固まったままなら緊急連絡先に電話をする」、会話の中で声がかぶってしまった場合には、「相手の話が終わってから、一拍置いて話す」など、起こりうるトラブルの対処法を頭の片隅に入れてオンライン面接に臨むと、いざというときにも動揺せずに対処できます。
オンライン面接では、手元にエントリーシートのコピーやスマホを置いておくことはできますが、見るためには視線を下に向けなくてはなりません。そうすると相手にカンペを読んでいることが伝わり、「面接に臨む準備をしていない」「志望度が低いのでは?」という印象を与える可能性があるでしょう。
また、カンペを読んでいる最中は相手の顔が見えないため、自分の話に興味を持ってくれているのかわからなくなります。対面の面接で相手の目を見て話すのと同様、オンライン面接も相手に視線を向けるよう意識しましょう。
カンペがないと不安な人は、伝えたいことを付せんに書き込み、カメラの横に貼っておくといいでしょう。視線をカメラから少しずらすだけで確認できます。
オンライン面接本番に似た形式で面接練習を行い、やりとりの様子を録画しておくと、画面越しに自分がどう映り、相手にどう見えるのかを客観的に把握できます。また、面接本番と同じ環境で機器の使用や接続の手順を経験しておくことで、緊張しにくくなります。仲のいい友人同士で実践すれば、お互いに指摘しやすいでしょう。就活を経験した先輩などに頼んで、アドバイスをもらうこともオススメです。
オンライン面接の練習後は、気になったポイントについて率直に指摘してもらいましょう。姿勢や視線の位置、表情、声のトーン、話すスピードなどをチェックしてもらい、改善した方がいいと感じた点についてアドバイスをもらうことが大切です。
画面越しのコミュニケーションは、対面よりも、熱意や思いが伝わりにくいものです。こうした部分を補うためにも、身振り手振りなどの動作や抑揚をつけた話し方などについても指摘してもらうとよいでしょう。また、対面のときと同じ内容を話しても、画面越しでは聞き手が「話が長い」と感じる傾向があるので、どのくらいの長さで話をまとめると伝わりやすいのか確認しておくといいでしょう。
オンライン面接の練習後は、改善点を意識しながら話す練習を行い、録画をチェックして表現力に磨きをかけるといいでしょう。自分がどう見えるのかを知り、どう話せばより伝わるのかを理解することは、自信につながるものです。面接本番もリラックスして話すことができるでしょう。
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株式会社リクルートにて広告提案営業を経験した後、女性の社会進出に対する問題意識を持ち、女性の再就職・転職に特化した人材会社に転職。女性のみで構成される営業代行チームのマネジメントやキャリアコンサルタントとして、結婚・妊娠・出産などのライフイベントとキャリアの両立に悩む女性2000人以上を支援。自身の結婚を機に、「キャリアデザインを一人でも多くの人にしてほしい」という思いから2011年に我究館コーチに就任。学生、社会人の受講生を担当し、本人のあいまいな夢や、隠れた本音を明確にすることを得意とする。特に、女性の就・転職におけるマーケットに精通している。メイクアップや服装・マナー講座も担当。
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