「忍耐力」は自己PRになる?伝えるときのポイントとエピソード例

エントリーシートや面接で、自己PRとして「忍耐力」を伝えたい場合、どのような点に注意するとよいでしょうか。人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和利光さんに聞きました。

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企業が自己PRを聞く意図は?

エントリーシートや面接で問われるあらゆる質問は、「あなたはどういう人か」を知るためのものです。自己PRは、それを最もダイレクトに聞く質問であり、企業は自己PRを聞くことで、あなたの「能力・性格(何ができるか)」が、「自社で仕事をしていく上で合っているか」という点を見ています。

ただ、一方的に自分がアピールしたい能力や性格を伝えても、それを企業が求めていなければ意味がありません。業務上の特徴や会社のカルチャー、どういう要素が求められているかを整理した上で、その環境で発揮できる強みは何かを考えるといいでしょう。

 

企業が自己PRを聞く意図について、詳しく知りたい人はこちら↓
【例文付き】就活で自己PRを聞く意図は?人事に評価される書き方・話し方のポイントは?

企業が評価する「忍耐力」とは?

忍耐力とは、「忍んで耐える力」のこと。「忍ぶ」には「つらいことを我慢し、黙ってじっとこらえる」意味があります。そのため、「忍耐力がある」というアピールは「言いたいことがあっても我慢して、理不尽や不条理に耐えることができる」「保身の道を選んだ」と捉えられることもあります。

我慢を続けて、万一心身に支障をきたしてしまっては、本人にも企業にとっても良いこととは言えません。それよりも、「もっとこうしてみては?」と意見する主体性や、状況を変えようとする行動力の方が、社会的に求められる傾向にあるため、「忍耐力」をストレートに求める企業は減ってきています。

また、実際は「忍耐力」を求めている企業があっても、理不尽な職場環境を連想させる言葉のため、採用戦略上マイナスと考えて、使っていないケースもあるでしょう。「ストレス耐性が強い」「打たれ強い」といったほかの言葉で表現していることもあるので、企業が求める要素をチェックしてみましょう。

忍耐力を自己PRで伝えるときのポイント

自己PRで「忍耐力」をアピールしたいときは、上記のような誤解を生まないようにほかの言葉に置き換えてみることをオススメします。

例えば、わかりやすいのは「継続力」です。継続力は、一度やり始めたら結果が出るまでやり続ける力。社会人になると、中長期的なプロジェクトに携わることが多く、何らかのスキルを身につけるためにも時間とパワーを割いてトレーニングや経験を重ねなくてはいけません。その過程で大変な困難にぶつかり投げ出したくなっても、決めたことはやり続ける。そんな継続力は、どの業界の仕事でも求められます。

また、「継続力」は、「粘り強い」「決めたことをやり切る力がある」と言い換えることもでき、「忍耐力」が連想させかねない「理不尽なことに耐える力」とはまったく異なります。自分が伝えようとしている「忍耐力」はどんな言葉に言い換えられるかという視点で、自己PRを考えてみてはいかがでしょうか。

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エントリーシートの自己PRに「忍耐力」を書くときの例

企業の人事担当者が目を通すエントリーシートは、相当な数です。1行目を読んだだけで伝えたい内容がわかるよう、結論を先に明記するようにしましょう。また、数字や実績などを具体的な事実と共に伝えるように意識してください。

例【「忍耐力」を「やり切る力」に言い換えた例】

私の強みは、決めたことをやり切る力です。
大学3年時にイタリア料理店でのバイトをきっかけに興味を持ったイタリア語の授業を取ることにしました。履修している30人の大半が既修者でレベルに差があった上、毎週末のテスト結果によってクラス変動が起こる厳しい環境でした。私は「授業を履修すると決めた以上、毎回満点を取る」と決め、授業のあとは毎回必ず図書館で2時間の予習・復習を続けました。その結果一度も赤点がつくことなく、1年で日常生活レベルのやりとりができるようになり、受験したイタリア語検定に合格したり、イタリア人留学生の学内サポートのボランティアができるようになりました。

面接で「忍耐力」を自己PRで伝えるときの例

面接でも、「最初に結論を伝える」「エピソードの中に数字や実績など“事実”を具体的に入れる」ようにしましょう。

集団面接などでは、面接担当者との質問のやりとりがない「プレゼンテーション型の自己PR」も少なくありません。その場合は、エピソードをすべて言い切れるよう、伝えたい内容を整理しておくといいでしょう。

何らかの成果を伝えたいのであれば、達成することの難易度や、どんな努力をしたのかを具体的に伝えられるとよいでしょう。

例【「忍耐力」を「継続力」に言い換えた例】

私の強みは、結果を出すまでやり続ける「継続力」です。
大学では陸上長距離部に所属し、大会出場枠を目指して練習してきました。2年時に練習中足首を捻挫してしまい、部活を辞めることも頭をよぎりました。しかし3年秋の全国大会出場をあきらめきれず、コーチと一緒にリハビリ、個人練習メニューを考え、部活以外の時間で個人朝練、筋力トレーニングを1日も欠かさず続けました。その結果、体幹を強化できたことがタイムアップにつながり、40名の部員の中から選抜メンバーに選ばれ、全国大会出場の夢を叶えることができました。

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

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記事作成日:2020年1月27日
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