「自分の強み」をエントリーシート・面接で聞かれたら?「強みや長所」の見つけ方・伝え方<回答例も紹介>

エントリーシートや面接で、「自分の強み」を聞かれたとき、「自分の強みがわからない」と考え込んでしまうケースは少なくありません。そこで、これまでに1000人以上の学生の就活を支えてきた就活コーチ・廣瀬泰幸さんに、強みや長所の考え方・探し方、企業にアピールする際のポイントなどを聞きました。自己PRでの回答例も参考にしながら、あなたの「強み」を上手に伝えましょう。

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「自分には強みや長所がない」と悩む前に押さえておきたいポイント

「自分には強みも長所もない」と悩む学生もいますが、誰しも必ず強みや長所はあるものです。まずは、なぜ悩んでしまうのか、強みや長所になるものとは一体何なのかを知りましょう。

特別な“実績”や“経歴”が強みになるわけではない

強みや長所がないと思い込んでしまいがちな学生は、「形として見える実績や経歴がないといけない」と考えていることが多いです。特別なことを成し遂げた実績や、部長やリーダーなど、何らかの役職に就いた経験がないために、「人に言えるほどの強みも長所もない」と考えてしまいがちです。

しかし、部活動において部長は一人だけですし、スポーツの大会で優勝するチームも一つだけで、レギュラーになれない人もたくさんいます。特別なことをしていなくても、その場やその団体において、自分としてどんな努力を積み重ね、どう影響力を発揮したのかということが、強みや長所につながるものだと考えましょう。

「本人の資質」を基に、「社会人としての強みや長所」につなげる

強みや長所は、特別な能力を指すものではありません。例えば、協調性、リーダーシップ、努力家など、「本人の資質や素養」がベースになりますが、「社会人となったときに、それを仕事でどう生かせるのか」を考えることが大事です。以下に、経済産業省が発表した「人生100年時代の社会人基礎力」を紹介するので、自分に重なるものを探してみましょう。

前に踏み出す力

主体性(物事に進んで取り組む力)、働きかけ力(他人に働きかけ巻き込む力)、実行力(目的を設定し確実に行動する力)

考え抜く力

課題発見力(現状を分析し目的や課題を明らかにする力)、計画力(課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力)、創造力(新しい価値を生み出す力)

チームで働く力

発信力(自分の意見をわかりやすく伝える力)、傾聴力(相手の意見を丁寧に聴く力)、柔軟性(意見の違いや相手の立場を理解する力)、情況把握力(自分と周囲の人々や物事の関係性を理解する力)、規律性(社会のツールや人との約束を守る力)、ストレスコントロール力(ストレスの発生源に対応する力)

「自分の強みや長所」を見つける4つの方法

ここで、自分の強みや長所を見つけることに役立つ4つの方法を紹介します。これらの手法を基に、まずは自己分析で自分自身を見つめ直し、強みや長所になりそうな点を洗い出すことから始めましょう。

(1)過去の経験を振り返る

誰かに褒められた出来事、達成・成功した経験を振り返ってみましょう。評価や成果などの客観的事実において、その時、自分が何をして、どう影響を与え、どんな役割を果たしたのかを分析することが大事です。

(2)自己分析ツールなどを使う

自己分析ツールの設問に答えることで、客観的に自分を見つめることができます。外的な刺激を受ける機会は、自分の内面に深く向き合うことにつながり、一人では気づけなかった強みや長所を見つけることにも役立つでしょう。

 

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(3)友人や先輩に他己分析してもらう

他人から見た自分の強みや長所を知ることで、より多面的な自己分析ができます。ゼミやサークル、部活動、アルバイト先など、「自分がイキイキできる」と感じる場所で、周囲の人たちにどう思われているかを聞いてみるといいでしょう。

(4)「短所」から「長所」を考える

短所・長所は表裏一体なので、シチュエーション次第で逆転します。例えば、「移り気で飽きっぽい」は、同じ作業を積み重ねる場では短所となります。逆に、広くアンテナを張ることが必要な場では、「いろんなことに興味を持てる」という長所になります。短所に目が行きがちな人は、それを生かせるシチュエーションを考えれば、長所を見つけやすいでしょう。

 

自己分析の詳しいやり方を知りたい人はこちら 「自己分析の目的は?先輩たちに聞いたオススメの方法を詳しく紹介!」

企業が見ている「強み・長所」のポイント

「自分の強みや長所」について、企業はどんなところを見ているのでしょうか。自己PRでしっかり伝えられるようにするためにも、まずは企業の視点を理解しましょう。

企業は、「入社後、活躍できるか」を見ているので、強みや長所についても、今後の仕事に生かせるかどうかが大事です。先に紹介した「人生100年時代の社会人基礎力」を参考に、課題や目標にどう取り組むのか、チームの中でどう力を発揮できるのかを考えるといいでしょう。

また、企業は「自社にマッチする人材か」も見ています。企業は一つの集団であり、それぞれに会社の文化があり、社員のカラーがあるものです。自社で活躍している社員に重なる強みや長所がある人材なら、入社後の活躍を期待できると考える傾向があります。

面接を受けている就活生のイメージ画像

自分の強みや長所をアピールする前に意識しておきたいこと

自分の強みや長所について、企業にアピールする内容を具体的に考える前に、意識しておきたいポイントを紹介します。学生に対し、企業が求めている根本的なポイントを押さえておきましょう。

「事実」を述べる

強みや長所にまつわるエピソードを話す際、評価されるために話を盛ったり、作ったりするのは逆効果です。企業が求めているのは「事実」なので、自分の経験を基に「どんなことをして、どう思い、その結果がどうなったのか」という事実を述べることが大前提です。事実と異なる話をしても、深くやりとりするうちに相手にも伝わってしまうものだと考えましょう。

また、面接では、エントリーシートに書かれた内容を基にやりとりします。エントリーシートを書く時点で、過去を振り返り、多くの出来事や経験を思い出した上で、事実をベースとする意識を持ち、書き切なかった内容は面接で伝えるということまで意識しておきましょう。

「企業研究」を結び付ける

企業は自社に合う人材を求めているので、企業研究の際に「求める人物像」「活躍している社員」を知り、自分に当てはまる強みや長所があれば、それを伝えることも意識しましょう。また、企業理解を深めていること自体、「この会社に入りたい」という強い気持ちの表れなので、評価ポイントにもつながるといえます。

逆に、企業研究をせず、自分とは合わない会社を選んだ場合、本人が不幸になるケースもあるでしょう。「働いている先輩が輝いて見えた」「すごい先輩たちがいると感じた」など、“憧れ”を語る学生もいますが、ただ憧れている場合には、本人との距離があるものです。先輩に自分自身を重ね、「自分もそのように成長していきたい」と思えることが大事でしょう。

自分の強みをアピールする際のポイント

自分の強みや長所をアピールする際、背景のエピソードに説得力があることは非常に大事です。また、本人の経験に基づいた強み・長所でなければ、誰にでも当てはまる「ありがち・かぶりがち」な回答になる可能性も高いでしょう。以下のポイントを参考にし、自分の強みや長所を伝えましょう。

スポットより、「長期的な時間軸」で語る

社会人生活は、学生時代の経験の延長上にあり、本人の能力や素養も同じく延長上にあります。そして、「時間の流れの中で本人が変化・成長してきた過程」は、そのまま、「入社後にどう変化・成長していくのか」に重ねることができるのです。強みや長所のエピソードを語る際、一つの出来事や成功体験など、スポットの話をする学生は多いですが、半年から3年程度の長期的な時間軸の中で、「自分がどう変化したのか」を時系列で語ると、より説得力を増すことができるでしょう。

目を引く経験より、「語れる事実」が大事

目を引くような、特別な経験を話さなくてはならないと考え、「短期留学に行って、話せるエピソードを作ろう」「サークルで副幹事長だったから、何とか強みに結び付けよう」「アルバイト先で売り上げ120パーセント達成したことを話そう」と考える学生も少なくはないでしょう。しかし、企業は、変わった経験や目を引く経験を求めているわけではありません。また、実績のみを伝えても説得力にはつながりません。小さなことでも、「自分の行動で、周囲をこう変えた。自分はこう変わった」という事実として語れるエピソードなら、説得力は増し、人とかぶることもないはずです。

漠然とした強みは、「結果」が重要

「ムードメーカーになれる」「やる気だけは負けない」「人に寄り添える」などの漠然とした回答もありがちといえます。客観性がなく、説得力がないと思われがちです。その強みを生かして、周囲や集団にどんなプラスの影響を与えることができたのかが大事です。「人が集まらないサークルで、ムードメーカーとなって声をかけ続け、イベントの参加率がこれだけ上がった」など、「結果」をしっかり伝えることがポイントになります。

自分の強みや長所が伝わる自己PRの回答例

最後に、先輩たちの強み・長所の面接回答例を紹介します。どんな企業に対し、どう伝えるのか、実際に内定を得た先輩たちの回答例を参考にしてみましょう。

(1)短所を強みに変えたケース

内定先企業:海運会社

私の強みは、マルチタスクができるところです。高校時代、部活動をやめた後に成績が下がり、「続けていたときの方が、成績も良かった」と感じました。そこで、大学時代には勉強だけでなく、サークルやアルバイトも並行し、常に3つの軸を持って生活するようにしました。その結果、一つのことを突き詰めるよりも、同時並行をしていく方が、自分にとっていろんな気づきがあり、成長できたと感じます。御社の仕事も、いろんな人とかかわり、意見をすり合わせながら同時並行していくため、私には向いていると考えています。

*ポイント解説

高校時代から大学時代という長期的な時間軸の中、自分の短所を強みへと変えたことが伝わります。また、「マルチタスク」は、一つのことを続ける仕事では短所とされる可能性もありますが、志望先の企業の仕事内容を理解し、そこに生かせる強みを伝えたことも評価ポイントとなります。

(2)自分の軸と企業をマッチさせたケース

内定先企業:総合商社

私の強みは、自ら考えて実行し、自分の責任の下、試行錯誤を続けている点です。高校時代、アメフト部で活動を続けていく中、「自分たちで練習内容や試合方針を組み立てることができたら」と考えたため、大学はあえて自由な風土が評判のアメフト部があるところを選び、自分の考えを実践していく面白さを味わうことができました。私はこの経験から、仕事においても、自分の責任の下にトライ&エラーを続けていきたいと思っています。御社には、指示待ちではなく、やりたいことを自ら考え、プレゼンして実行できる風土があるため、自分に合う会社だと思いました。

*ポイント解説

高校時代に得た気づきを基に、やりたいことのできる大学を選び、実際にやりたいことを実現しているため、非常に大きな説得力があります。時間の流れの中で成長した結果、自分の強みを生かす働き方を見つけ、それができる企業風土を選んだことがわかります。志望先の企業の文化を理解していることまで伝わる内容です。

(3)汎用性が高いエピソードを伝えたケース

内定先企業:生命保険会社

私の強みは、国際的な課題解決の視点を持てることです。学生時代に国際寮で生活し、外国人留学生たちと接する中、「もっと国際交流できる場が欲しい」という声を聞くことが多くありました。そこで、寮内で交流できる方法を考え、さまざまなイベントを企画し、より多くの人と交流できる仕組みを作っていきました。寮生活という与えられた枠組みの中でも、留学生や日本人学生のためになる企画を考えた経験は、自分の視野を広げてくれたと感じます。御社のビジネスは国内外のフィールドで展開されているので、この経験で得た視点を生かしていきたいと考えています。

*ポイント解説

寮長などの特別なポジションや、海外留学などの目を引く経験ではなく、一人の寮生として、与えられた環境の中で行動したエピソードを語っているため、与えられた仕事の中で成果を出していける人材であり、社会においても汎用性が高い強みがあることが伝わります。また、自ら課題を解決し、周囲に良い影響を及ぼしただけでなく、そこに国際的な視点が必要であったことを伝え、企業のグローバルな事業展開に、自分の強みをマッチングさせています。

説得力を持って自分の強みを伝えるためには、これまで自分が経験したこと、思ったことなどの「事実」を基にすることが大事です。これらは、回答例にすぎないため、あくまで伝え方の参考としましょう。

 

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廣瀬泰幸さん

【監修】廣瀬泰幸さん
株式会社オールウェイズ代表。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。株式会社リクルートにて管理職として10年間勤務しながら、大企業からベンチャー企業まで1000社を超える企業の採用と人材育成を支援。その後、1部上場企業の人事部採用責任者として年間500名の採用と人材育成を行う。就活コーチとして独立後、現在までに1000名を超える学生に就活コーチングを実施。

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記事作成日:2019年12月17 日  記事更新日:2023年2月15日
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