そもそもIT業界とは
IT業界とは、IT(Information Technology)を使った便利な製品やサービスを提供している業界のことです。IT業界の企業が開発・提供している身近なものとしては、スマートフォンやパソコン、ネット通販、SNSなどが挙げられます。
IT業界は今や、現代の生活やビジネスを支える重要な分野であり、日本のGDPの約1割を占めています(総務省「令和6年版情報通信白書」)。業界が取り扱う製品・サービスの種類も幅広いため、業界研究の際は各企業の事業内容をしっかり把握することが大切といえるでしょう。
IT業界の5つの分類
IT業界の中には、大きく分けて5つの関連業界があります。それぞれの事業内容の特徴や、代表的な企業例を見てみましょう。
1. ソフトウェア業界
コンピュータ上で動くソフトウェアの開発・販売を担う業界です。企業の業務効率化を支援する業務ソフトや、個人向けのアプリケーションなど、幅広いニーズに応えるソフトウェア製品を提供しているところが特徴といえます。
<代表的な企業>
| 企業名 | 主力製品・サービス |
|---|---|
| トレンドマイクロ株式会社 | セキュリティソフトウェア |
| Sky株式会社 | セキュリティソフトウェア、教育・学習システム |
| 株式会社セールスフォース・ジャパン | CRM(顧客管理システム) |
| 株式会社マネーフォワード | 家計簿アプリ、クラウド会計ソフト |
2. ハードウェア業界
目に見える機械の開発・製造を担う業界です。昨今はモノとインターネットをつないで利便性を高めるIoT(Internet of Things)が普及したことから、パソコンやスマートフォンだけでなく、幅広いハードウェアが開発対象となっています。
<代表的な企業>
| 企業名 | 主力製品・サービス |
|---|---|
| 富士通株式会社 | スーパーコンピュータ、サーバー、メインフレーム(業務システム用の大型コンピュータ) |
| 株式会社日立製作所 | 社会インフラ向けのハードウェア、産業用制御機器、家電機器 |
| ソニー株式会社 | エレクトロニクス製品(テレビ、オーディオ、カメラ)、ゲーム機 |
| キヤノン株式会社 | カメラ、プリンター |
3. 情報処理サービス業界(システムインテグレータ)
クライアントのニーズに合わせたITシステムを設計・構築し、事業の効率化や市場競争力の向上をサポートする、システムインテグレータ(SIer)ともいわれる業界です。システムの導入に加えて、運用支援をはじめとするアフターケアも担います。
<代表的な企業>
| 企業名 | 主力製品・サービス |
|---|---|
| NTTデータグループ (株式会社NTTデータなど) | 公共・金融・医療・物流といった幅広いITソリューション |
| 株式会社野村総合研究所 | デジタルトランスフォーメーション(DX)、AI活用支援 |
| 日本アイ・ビー・エム株式会社 | 生成AIなどのAIソリューション |
| アクセンチュア株式会社 | ITコンサルティング |
4. 通信インフラ業界
固定通信や移動体通信、インターネットといった通信インフラを提供する業界です。ネットワークを構築するだけでなく、実際の運用や監視も担います。
<代表的な企業>
| 企業名 | 主力製品・サービス |
|---|---|
| NTTグループ(株式会社NTTドコモなど) | 国内外の通信インフラ |
| ソフトバンク株式会社 | 通信事業、インターネット事業、キャッシュレス決済事業 |
| KDDI株式会社 | 国内・海外の・移動体・固定通信 |
5. ITサービス・Web業界
インターネットを通して、一般消費者もしくは企業向けにさまざまなサービスを提供する業界です。具体的にはWebサイト・Webエンジン・SNS・ソーシャルゲームの構築や開発などを担います。
<代表的な企業>
| 企業名 | 主力製品・サービス |
|---|---|
| LINEヤフー株式会社 | ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」、SNSアプリ |
| 株式会社サイバーエージェント | Webマーケティング、ソーシャルゲーム開発 |
| 楽天グループ株式会社 | ECサイト |
| Meta Platforms, Inc.(メタ・プラットフォームズ) | SNS「Facebook」「Instagram」、仮想空間「メタバース」 |
IT業界の職種
IT業界にはエンジニアをはじめとして、さまざまな職種が存在します。IT業界の代表的な職種をまとめました。
エンジニア(開発職)
システムやソフトウェアの開発・運用を担います。技術革新が進む中、高度なスキルと問題解決能力が求められるところが特徴です。担当する業務に応じて、システムエンジニア、プログラマー、インフラエンジニア、セキュリティエンジニアというように、職種も細かく分かれています。
ITコンサルタント
企業のITに関する課題を分析し、最適なシステムの導入や活用方法を提案します。業務の効率化や経営戦略の実現に向けて、IT戦略の策定、システム導入の計画・設計、運用サポートなどを行います。
営業
自社のIT製品やサービスの営業を担います。主な業務は、新しい顧客層の開拓、既存顧客との関係の構築、課題のヒアリング、最適なITソリューションの提案などです。顧客の課題解決や業務効率化に貢献する立ち位置といえるでしょう。
カスタマーサクセス
自社製品を導入した顧客が、製品を使って成果を上げられるようにサポートしていく役割を担います。製品のセットアップやトラブルシューティングのフォローに加えて、製品をビジネスに生かす方法もサポートするところが特徴です。
バックオフィス
IT企業の運営に必要な業務全般を担います。経理・財務、法務、人事、総務、企画といったさまざまな役目から、事業成長を支えています。
クリエーティブ職
デザインやコンテンツ制作を通じて、ユーザー体験を向上させる役割を担います。主な職種には、UI/UXデザイナー(Webサイトやアプリの使いやすさを設計)、Webデザイナー、ゲームクリエーター、動画・CGクリエーターなどがあります。
IT業界の現状と今後の課題
技術の発展が目覚ましいIT業界を目指すに当たって知っておきたい、IT業界の現状と今後の課題をまとめました。
IT業界の現状
- ◎市場規模は拡大傾向
- ◎業界外においても「ITの素養がある人材」の需要は高め
ITソリューションやサービスへの需要増加により、国内IT業界の市場規模は拡大を続けています。クラウドサービス、AI、IoT、デジタルマーケティングといった多くの分野が成長していることから、将来性も大いに期待できる業界です。
また、多くの企業がITを活用したDX化(業務の効率化)を進めています。IT業界に限らず、「ITの素養がある人材」の需要も高いといえるでしょう。
IT業界の今後の課題
- △少子高齢化による人材不足
- △各職種の専門性が高まっていることによるスペシャリストの不足
経済産業省が発表した「IT人材育成の状況等について」によると、2030年にはIT人材が最大で約80万人不足すると予測されています。人手不足の原因の一つとして挙げられているのが、少子高齢化です。IT業界の需要が高い一方で、2019年をピークにIT業界への入職者が退職者を下回っていることから、供給が追いついていない状態といえるでしょう。またIT技術の成熟により、各職種の専門性が高まっていることも人手不足の要因となっています。
このような情勢を受けてIT企業は、IT人材の育成に注力しつつ、少ない人員でも無理なく顧客に対応していけるビジネスモデルにシフトしています。例えば「よりわかりやすく、直感的に使える製品作りを目指すことで、カスタマーサポートの負担を軽くする」などの取り組みが顕著です。このような課題に対処しつつ、技術革新を進めることが業界全体の今後の成長に欠かせないといえるでしょう。
IT業界が求める人材は?就活準備のポイント
IT業界は社会的な需要の高まりを受けて、若手を含めた人材の育成・獲得に力を入れています。IT業界で求められる人物像の特徴や、就活に際して準備できそうなポイントを紹介します。
IT業界で求められる人物像
- 学習意欲が高い人…新しい技術やツールが次々と登場するため
- 論理的思考力がある人…開発などに際して課題を分解・解明する能力が必要なため
- コミュニケーション能力がある人…クライアントやチームと意思疎通をするため
- 柔軟性がある人…クライアントの要望に応じて、仕様変更などの対応が必要なため
- チームワークを重視する人…プロジェクトはチーム単位で行うことが多いため
- スケジュール管理ができる人…納期内に対応するため
IT業界は主に、お客さまの仕事や生活を効率化していく製品・サービスを開発しています。だからこそ、「相手が何を必要としているか」を考えることができる想像力や、日々発展していく技術力を意欲的に学んでいける姿勢などが求められます。
また、特に重視されやすいのが「目標達成力」です。定められたスケジュールの中で確実に仕事をやり遂げる必要があることから、適切な目標や計画を設定し、実行・評価・改善を繰り返しながらより良い進め方を考える力が求められます。思いがけないトラブルが起こったときに、粘り強く分析する忍耐力などもあるとよいでしょう。
就活準備のポイント
IT業界を志望する場合は、ほかの業界と同じく、以下の就活準備を進めていきましょう。
- 自己分析
- 業界研究
- 企業研究
- 業界の最新トレンドをチェックする
- インターンシップ、オープン・カンパニー、キャリア教育に参加する
IT業界にはさまざまなビジネスモデルがあるため、「どんなIT事業にかかわりたいか」をしっかりと考えることが大切です。各企業の違いや魅力をリサーチしながら、興味を持てそうな企業を探っていきましょう。
プラスアルファで準備できること
IT企業を志望する場合は、普段からITへの興味や学習意欲を持っておくことをオススメします。具体的には、以下の方法が挙げられるでしょう。
- 「こういうプログラムを動かせるようになりたい」とイメージし、実際に開発してみる
- 気になるソフトを触ってみる
- 翻訳ソフトを用いながら英語のITニュースサイトを読んでみる
- 開発に携わったことがあれば、実績をポートフォリオにまとめておく
IT業界は専門性の高い業界ですが、就職に際しては専門知識の有無ではなく、「ITへの好奇心があるかどうか」が重視される傾向にあります。学生のうちからさまざまなインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムやニュースなどに触れて、ITに親しむ姿勢を持っておくとよいでしょう。IT業界に関するインターンシップやオープン・カンパニーに興味がある方は、下記ページもぜひチェックしてみてください。
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東京工業大学(現:東京科学大学)大学院社会理工学研究科修士課程修了。新規事業やマーケティング、組織活性化など企業の成長を幅広く支援。従来の業界の区分が曖昧になり、変化が激しい時代の中で、ビジネスの今と将来を読むために、さまざまな情報の多角的・横断的な分析を実施。
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