【例文あり】コミュニケーション能力を自己PRで伝えるときのポイント

職場でコミュニケーションをとる社員たち

この記事でわかること

・企業が求めるコミュニケーション能力には、意見を伝える「表現力」と、思いをくむ「感受性」があります。

・志望企業が求めるのはどちらなのかを事前に調べ、自己PRでアピールしたいものとズレがないかを確認しておきましょう。

・伝える際はまずアピールしたいポイントを伝え、数字や実績など具体的なエピソードを盛り込むようにしましょう。

・採用担当者が「コミュニケーション能力のアピールで最も説得力を感じる内容」の1位は「わかりやすく伝える力」で29.8%(リクナビ調査)

「コミュニケーション能力」は、企業が学生に求める力としてよく挙げられます。では、コミュニケーション能力とは一体どんな力を指すのでしょう。また、就活で自己PRする際にコミュニケーション能力を伝える場合、どんなことに気をつけるとよいのでしょうか。人事として新卒採用を20年担当し、現在はさまざまな企業の人事・採用コンサルティングを手掛ける採用のプロ・曽和利光さんに聞きました。

企業が評価する「コミュニケーション能力」とは?

経団連が調査した「企業が学生を選考するときに求める力」の16年連続トップが「コミュニケーション能力」です。企業は具体的にどのような「コミュニケーション能力」を評価するのでしょうか?

実は、コミュニケーション能力とひと言で言っても、人によって想定するものはさまざまです。企業が学生に求める「コミュニケーション能力」は、大きく以下の2つに分類されると考えられます。

・アイデアや意見を言語化して伝える“表現力”
・相手の感情をくみ取る“感受性”

例えば、クリエイティブな発想や、人の心をつかむプレゼンテーションが必要とされるような仕事をする場合には“表現力”が求められるでしょう。営業や接客など、相手の思いをくみ取って行動に反映させる仕事であれば、“感受性”が必要です。

自分が志望している企業の仕事では、どんな力を求めているのか、企業研究などを通して理解を深め、自己PRでアピールしようと考えている「コミュニケーション能力」とずれがないか、選考の前に考えておきましょう。

企業研究の方法について、詳しく知りたい人は、こちら↓

志望企業が求める「コミュニケーション能力」の調べ方

志望する企業がどんな力を求めているかを知るには、会社説明会やOB・OG訪問などで先輩社員に聞いてみるとよいでしょう。

職種を限定しないで採用するケースが多い日本の新卒採用では、企業カルチャーと合う学生かどうかを見ていることが多くあります。そして、企業カルチャーは、その企業の主力事業組織、つまり花形組織に合わせてつくられていることがほとんどです。

複数の事業を展開している企業でも、営業カルチャーが強い組織なのか、エンジニア主導なのかで、求められるコミュニケーション能力は異なるでしょう。その企業で活躍している社員がどういう人材なのか、業績を出す上でどんな力が必要なのかを聞いてみることで、「その企業が求めるコミュニケーション能力は何か」が見えてくるはずです。

<アンケート調査>就活生と採用担当者で「コミュニケーション力」のイメージが変わる?

【リクナビ独自調査結果】「コミュニケーション力」で最もアピールすべきと思うポイントについて、就活生の1位は「すぐ打ち解ける力」33.2%となりました。一方、採用担当者が最も説得力を感じる内容の1位は「わかりやすく伝える力」で29.8%です。

コミュニケーション能力の捉え方について、就活生と採用担当者にアンケートを行ったところ、両者のイメージには興味深い違いが見られました。

まず就活生に「自己PRでコミュニケーション力を伝えたいとき、最もアピールすべきポイント」を聞くと、最も多かったのは「初対面の人や世代の違う人ともすぐに打ち解ける力」が33.2%で、2位以下を大きく引き離しました。“誰とでも仲良くなれる社交性・親しみやすさ”を、コミュニケーション力の代表格と考えている学生が多いようです。

■<就活生回答>面接の自己PRで「コミュニケーション力」を伝えたいとき、あなたが最もアピールすべきと思うポイントを選択してください。

*本調査は、当サイトの独占コンテンツとして独自に調査したものです。

調査概要

調査期間:2026年6月26日~30日
調査対象:2025年~2026年に卒業した就職活動経験者289人
調査協力:株式会社メンバーズ

一方、採用担当者に「コミュニケーション能力をアピールされた場合、最も説得力を感じる内容」を聞くと、1位は「自分の考えや難しい話をわかりやすく伝える力」の29.8%で、つまり“表現力”でした。僅差で「すぐに打ち解ける力」が27.9%で続き、さらに「相手の意図や感情を正しく聞き取る力」いわゆる“感受性”も22.4%を集めています。

■<採用担当者回答>自己PRで「コミュニケーション能力」をアピールされた場合、最も説得力を感じる内容を選択してください。

*本調査は、当サイトの独占コンテンツとして独自に調査したものです。

調査概要

調査期間:2026年6月26日~30日
調査対象:新卒採用業務担当、もしくは経験した社会人416人
調査協力:株式会社メンバーズ

注目したいのは、就活生が1位に挙げた「すぐに打ち解ける力」が採用担当者では2位、就活生が2位の「わかりやすく伝える力」が採用担当者では1位となっており、上位2つの順位が入れ替わっている点です。

また、「伝える力(表現力)」と「聞き取る力(感受性)」を合わせると、採用担当者では52.2%、就活生では44.0%になります。採用担当者は、この記事で紹介した“表現力”と“感受性”という双方向の力をより重く見ていることがわかります。一方、就活生が選んだ「周囲を巻き込む力」は、就活生10.7%に対し、採用担当者では6.0%と最も低い評価となりました。

自己PRでコミュニケーション力を伝える際は、自分のもつ力が「表現力」と「感受性」のどちらに当たるのかを見極め、具体的なエピソードとともに示すことが大切です。それが、次に紹介するアピールのポイントにもつながります。

コミュニケーション能力を自己PRで伝えるときのポイント

コミュニケーション能力という言葉が多義的なため、エントリーシートや面接で「私にはコミュニケーション能力があります」と伝えても、企業には「具体的にはどういう能力?」という疑問が残ってしまいます。
「コミュニケーション能力がある」とアピールする以上は、あらかじめ自分が伝えたいコミュニケーション能力は「表現力」「感受性」のどちらに当たるのか、それを示すエピソードは何か、を選考前に振り返っておき、答えられるとよいでしょう。

【例文】エントリーシートで「コミュニケーション能力」を自己PRする場合

自己PRをエントリーシートに書く際は、「アピールしたいポイントから書くこと」と「数字や実績などを具体的な事実と共に伝えること」を意識しておきましょう。
「コミュニケーション能力」は、文字数が多いものの、具体的に何を指すのか説明しなくてはいけません。
文字数が限られている場合もあるので、「アピールするのだから、『コミュニケーション能力』という言葉を絶対入れないといけない」と思わず、具体的な力とそれを表すエピソードが盛り込めるように意識してみましょう。

【伝えたいこと:表現力】

家電量販店のアルバイトで、相手の立場を考えて商品の魅力を伝える表現力を身につけました。勤務していた店舗では、毎月、販促強化商品がありました。ビジネスパーソンからファミリーまで幅広い客層が訪れる駅前店だったので、同じ商品でもお客さまによって使うシーンはさまざまなだと考え、接客の際は、“相手の生活を具体的に想像した上で商品の良さ伝える”ことを意識しました。結果、都内25店舗の中で販促物売り上げのトップ成績を取ることができました。

【回答例】面接で「コミュニケーション能力」を自己PRする場合

面接でも、アピールしたいコミュニケーション能力は何かを先に伝え、面接担当者がイメージできるような具体的なエピソードを盛り込むことが大切です。

【伝えたいこと:感受性】

大学でダンス同好会を立ち上げ、メンバー一人ひとりの思いをくみ取る感受性を鍛えられました。初期メンバーが10人集まりましたが、練習に遅刻や欠席が多く、ミーティングを設けても発言するメンバーはひと握りという状況でした。そこで1対1で個別に話す場を設けて、主張するのが苦手なメンバーにも、本人の言葉が出てくるまでじっくり時間をかけて向き合いました。異なる考えにも耳を傾けたことで信頼関係が生まれ、メンバー間でも意見を言い合えるようになり、立ち上げから1年後には初の大会出場という目標を全員で達成することができました。

企業が自己PRを聞く意図は?

最後に、そもそも企業が自己PRを聞く意図についても解説します。

就活の選考において、企業が学生にする質問は、「あなたはどういう人かを知りたい」という意図があります。自己PRは、それを直接的に聞く質問です。また、企業は自己PRを通して、「あなたの能力・性格(何ができるか)」が、「自社で仕事をしていく上で合っているか」という点を見ています。

そのため、自己PRを考える際は、数ある自分の能力や性格のうち、その企業が求めるものは何かを踏まえて検討してみるとよいでしょう。
物事にコツコツ取り組む姿勢を求めている企業に対して、「好奇心旺盛で行動力がある」と伝えては「うちには合わない」と評価されてしまうかもしれません。自分がアピールした能力や性格が、企業が求めている要素と合っているかどうかを見極めることが重要です。

企業が自己PRを聞く意図について、詳しく知りたい人はこちら↓

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曽和利光さんプロフィール写真

監修

曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。