長期インターンシップとは?期間、参加するメリット、探し方を解説

「長期インターンシップ」について聞いたことはあるけれど、「期間は?」「何ができる?」「いつどこで参加できる?」など、疑問を持っている人は多いと思います。そこで、人事として新卒採用を20年担当してきた採用のプロ・曽和利光さんに、長期インターンシップとは何か、参加するメリットや、探し方のポイントについて解説していただきました。

リクナビ2026では、インターンシップ等のキャリア形成支援プログラム4タイプの総称を「インターンシップ&キャリア」と呼びます。
この記事では、アンケート実施当時の「インターンシップ」について紹介します。

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長期インターンシップとは

「インターンシップ」とは、社会に出る前の就業体験を通じて、仕事や企業、業界、社会への理解を深めることができる制度のこと。数日間のものから1カ月以上にわたるものまで実施期間はさまざまですが、社会に出る前にビジネスの現場を体感できる良い機会になります。

先輩たちは、長期インターンシップにどのくらい参加している?

実際に先輩たちは、どのくらいの期間のインターンシップに参加しているのでしょうか。2023年卒の内定者500人にアンケートを実施したところ、76.4%が「1日」、60.6%が「2日〜1週間未満」、12.6%が「1週間〜1カ月未満」のインターンシップに参加しています。

それ以上の期間では、「1カ月〜3カ月未満」のインターンシップに参加した人が2.8%、「3カ月以上」のインターンシップに参加した人が2.8%となりました。

長期インターンシップはどれくらいの期間?週に何日行く?

短期のものに比べると、長期間にわたるインターンシップは、実施企業や参加機会そのものがあまり多くありません。そうしたこともあり、新卒採用の領域では、便宜上、1週間以上や1カ月以上のインターンシップを「長期」と呼ぶこともあるようです。

ただ、「○カ月以上」などと期間を区切らない長期インターンシップも多く、結果として、数年にわたりインターンシップを続ける学生もいます。したがって、社会通念として「長期インターンシップ」を定義するなら、最低でも3カ月以上は続けて取り組むものを指すのが一般的だと思います。

また、インターンシップの頻度を週に何日にするか、1日あたり何時間とするかは、実施する企業や募集職種によってさまざまです。一般的には週2、3日から可能なことが多いようですが、夏休みなど長期休暇中は社員と同じように、週5日を求められるケースもあります。多くの場合は、学校の授業やテスト期間などを考慮して、企業と相談の上で調整していくことができるでしょう。

短期インターンシップとの違いとは?

長期インターンシップの特徴として、ほとんどが有償であることが挙げられます。さらに最大のメリットは、企業内での実務、または実務に近い仕事に長期で取り組むことで、報酬を得ながら業界や職種への理解を深め、スキルを身につけられることです。例えば、営業やエンジニアなど専門業務を担当したり、部署の業務全般をオールラウンドに担当したりといった、さまざまな経験を得ることができます。
また、大学1、2年生などの低学年を含めた幅広い学年に門戸が開かれているのも、長期インターンシップの特徴です。企業としては、学生にも一定の責任がある仕事を任せたいため、なるべく長期で取り組める人を歓迎するからでしょう。

それに対して、短期インターンシップは実務ではなく、あらかじめ企業が準備した職業体験的な特別プログラムを行うことがほとんどです。参加資格は就活生を対象としたものが多く、報酬あり・なしいずれのケースもあります。

なお、長期インターンシップを実施するのは、ベンチャー企業や中小企業が中心であり、大手企業が長期で学生を募集することはほとんどありません。ベンチャー企業や中小企業は人手が不足していることが多いため、インターンシップで学生に経験の機会を提供する代わりに、一定の実務を担ってほしいというニーズもあるからです。その点も、企業規模にかかわらず広く実施される短期インターンシップとの大きな違いになるでしょう。

アルバイトとの違いとは?

「報酬ありで企業の実務を任される」となると、「長期インターンシップはアルバイトとどこが違うの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
長期インターンシップがアルバイトと大きく違うのは、企業側に学生の能力を伸ばす意図があり、仕事をする中で「キャリアについて考える機会」や「学びにつなげる機会」を意識して設けている点にあります。学生にとって仕事の経験がより役に立つよう、定期的にフィードバックし、得たことや学んだことを整理する機会をつくることで、学生の「学び」をサポートしてくれるでしょう。

ただ、同じ長期インターンシップでも、社員とほぼ同じ業務を任せる実践的なものもあれば、実務としてのニーズにはない特別な機会を、学生のために提供する「教育度」が高いものもあり、企業のスタンスによってケースバイケースです。

また、たとえアルバイトであっても、正社員と同等の仕事を任されたり、必要なビジネススキルを磨いたりできるケースもあるでしょう。アルバイトをしながら、キャリア教育や能力開発の機会を得られる職場も皆無ではありません。その意味では、「長期インターンシップだから」「アルバイトだから」といった区別は、曖昧なものと言えるかもしれません。

長期インターンシップには行った方がいい?

前提として、インターンシップは「志望業界について知りたい」「社会人の先輩に話が聞きたい」といった目的を持って参加するものであり、必ず行かなければならないというものではありません。また、単純に「就活でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)などのアピールに使いたい」と考えるのであれば、必ずしも長期インターンシップである必要はなく、長期のアルバイト経験でも何ら遜色はありません。

企業の採用担当者の多くは、学生が長期間続けてきた活動をとても重視しています。なぜなら、社会人の仕事の多くは長距離走であり、時間をかけて取り組まなければいけないからです。そうした場合、単発的なエピソードよりも、学生が長く継続した経験の中で学んだことや、発揮した人間性にこそ「再現性」があり、入社後もそれを生かして活躍してくれると期待します。つまり大切なのは、継続した経験から「何を得たか」であって、エピソード自体は長期インターンシップでも、アルバイトやサークル活動でも、何でも構わないのです。

ですから、就活に有利かどうかではなく、「キャリアについて考えるため経験が積みたい」「志望業界や企業について深く理解したい」という本来の目的に合致するなら、長期インターンシップに取り組むことも有意義だと考えましょう。

長期インターンシップに参加中の学生のイメージ

長期インターンシップの探し方

より学びのある経験をするための長期インターンシップの探すためのポイントを紹介します。

興味のある職種から探す

志望する職種があり、学生のうちから実務経験を通してスキルを身につけておきたいのなら、職種から探してみると良いでしょう。長期インターンシップで経験できる職種には、営業職、企画職、事務職、マーケティング、ライター、コンサルタント、エンジニア、デザイナーなど、さまざまなものがあります。募集要項でどのような業務を任され、どのような点で成長できるのかを確認しましょう。

志望度の高い企業の取引先企業から探す

前述したように、短期インターンシップと比較して、長期インターンシップを実施する企業は少なく、特に大手企業が実施することはほとんどありません。ただ、それらと付き合いのあるベンチャー企業や中小企業は、人手不足のため、インターンとして学生を募集しているケースがあります。したがって、自分が知りたい・研究したいと考えている企業が長期インターンシップを実施しない場合は、その取引先企業や、同じ業界の中からインターンシップを探すのもオススメです。

例えば大手のA社に興味がある場合、その組織の中に入るよりも、同じ業界の企業や取引先でのインターンシップを経験した方が、むしろ見えてくることも多いものです。加えて、成長著しい業界のスタートアップやベンチャー企業には、有名企業から転職してきた社員が所属していることもあります。そうした先輩と接することで得られる情報も、キャリアを考える上で大いに役立つかもしれません。

興味のある企業に直接アプローチする

成長著しいベンチャー企業では人手が不足していることも多く、公式にインターンシップを募集していない場合でも、学生からの依頼で採用してもらえるケースがあります。「この会社でインターンシップをしてみたい」という企業があれば、直接連絡を取り、業務内容や勤務時間などの希望を伝えた上で交渉してみるのも一つの方法でしょう。

今後のインターンシップの定義について

経団連と大学が直接対話する枠組みとして発足した「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(以下「産学協議会」)が定めた、新たなインターンシップの定義が2023年度から適用となりました。
その定義の中では、産学協議会は従来のインターンシップを「学生のキャリア形成支援活動」として、以下の4類型に分けました。

<学生のキャリア形成支援活動 4類型>
• タイプ1:「オープン・カンパニー」
個社や業界に関する情報提供・PRが目的

• タイプ2:「キャリア教育」
働くことへの理解を深めるための教育が目的

• タイプ3:「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」
学部3年・4年ないしは修士1年・2年が主な対象
就業体験が必須
学生にとっては自らの能力の見極め、企業にとっては学生の評価材料の取得が目的

• タイプ4:「高度専門型インターンシップ」
博士課程や修士課程の学生が主な対象
就業体験が必須
学生にとっては実践力の向上、企業にとっては学生の評価材料の取得が目的

【ポイント】
上記の4類型のうち、タイプ3とタイプ4のみを、これからは「インターンシップ」と呼ぶ

リクナビ2026では、4類型の総称を「インターンシップ&キャリア」と呼びます。また、タイプ1とタイプ2については「オープン・カンパニー&キャリア教育等」、タイプ3と4は「インターンシップ」と呼びます。

インターンシップ&キャリアについて、詳しくはこちら

【調査概要】
調査期間:2022年9月13日~9月16日
調査サンプル:2023年3月に卒業予定の大学生、大学院生、短大生、専門学校生500人
調査協力:株式会社クロスマーケティング

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曽和利光さんプロフィール写真

【監修】曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャーなどを経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』(ソシム)など著書多数。最新刊に『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)がある。

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記事作成日:2023年2月24日 記事更新日:2024年2月1日

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