面接で自己PRする際、自分の強みとして「真面目さ」を伝えようと考えている学生も少なくはないでしょう。ほかの学生に埋もれず、より自分らしさを伝えるためには、どうすればいいのでしょうか。そこで、就職・転職支援スクール、我究館の館長を務める熊谷智宏さんに、自己PRで「真面目さ」を伝える際の考え方や、自分らしく伝える方法のポイントについて聞きました。
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自己PRで「真面目さ」を伝える際、「ほかの学生とかぶるのでは?」「そもそも真面目さを企業は評価してくれるのだろうか」と悩む学生もいるでしょう。まずは、これらについてのポイントを紹介します。
「真面目」という言葉は、さまざまな意味を持つビッグワードといえます。例えば、「コツコツ一つの作業を続ける」「何事もきちんと計画を立ててから実行する」「規則やレポートの提出期限などを絶対に守る」などは、すべて「真面目」な人の性質として挙げることができるでしょう。
このように、「真面目」という言葉は広い意味で使われるものであるため、学生が自己分析をした際に、最初に思いつきやすい言葉の一つといえます。そのため、人とは異なる「真面目さ」を持っていても、具体的にどんな性質なのかまで掘り下げることなく、「真面目」という言葉をそのまま使って自己PRをしてしまう学生は非常に多いものなのです。
企業は、学生が持つそれぞれの特質を知りたいと考えているため、「真面目さ」についても、その人らしい具体的な話を求めているものです。学生が「真面目さ」という言葉で自分の特質をひとくくりにすれば、ほかの学生との違いがわかりにくくなり、「真面目さをアピールする学生の中の一人」として見られてしまう可能性もあります。
もちろん、エピソードで具体的な内容を伝えることはできますが、「真面目」という言葉からエピソードを掘り下げた場合、誰でも思いつきやすいものとなるケースは非常に多いのです。実際、「真面目だから学校も無遅刻・無欠席だった」「真面目だから部活動でも毎日一生懸命に練習した」「真面目だから、アルバイト先の仕事をいち早く覚えようとした」などは、面接の場でよく話されているエピソードでもあるのです。
自分らしい「真面目さ」を伝えるためには、そこから一歩踏み込んで「自分にとって、『真面目』とは何なのか」という定義づけを行うことが大事です。また、自分なりの真面目さをベースにエピソードを掘り下げていくことで、人とは違う特質や強みを発見できます。企業にも「自分ならではの真面目さ」を具体的に伝えていくことができるでしょう。
「真面目さ」については、「ルールや期限をきちんと守ることができる」「与えられた仕事に対し、一生懸命に取り組める」などの性質が想定できます。組織で働くことにおいて大事な素養といえるので、これらをポジティブに評価する企業もあります。しかし、その一方、「その人ならではの付加価値」をさらに求める企業もあります。「ルールを守り、与えられたことを真面目に頑張る」のみでは、企業に貢献できることが限られてしまいますし、本人が自主的に成長していく姿も想像しにくいといえるのです。
また、「真面目さ」の持つ性質として、「臨機応変さに欠ける」「柔軟性がない」などのネガティブな側面を想定されるケースもありますし、企業の文化や仕事内容によっては、「うちの会社に合わない」と判断される可能性もあります。「コツコツ積み上げていく姿勢」を大事にしている企業もあれば、「自分で掲げた目標をやり抜くこと」を大事にしている企業もあり、それによって、「求める真面目さ」も違ってくるものです。
まずは「真面目さ」に対して自分なりの定義づけをした上で、「その真面目さによって、どんな力を発揮し、その企業にどう貢献していけるのか」という、よりポジティブな内容を伝えることがポイントとなるでしょう。
ここでは、自分らしい「真面目さ」を見つけるためのステップを紹介します。
まずはこれまでを振り返り、「真面目」だと思えるような行動をしたエピソードを書き出してみましょう。学校の授業やゼミ、部活動、サークル、アルバイト、家族との関係、友人との関係など、それぞれの場において、自分自身を「真面目」と思ったことや、人から「真面目」と言われたことを書き出しましょう。
どんな小さな出来事でも、一度、書き出してみることがポイントです。「こんな話は大したことじゃないから、就活で語れない」と思わず、すべてのエピソードをアウトプットしましょう。
書き出したエピソードの全体を見渡し、共通点を見つけましょう。場面や相手が変わっても繰り返し発揮できている「真面目さ」は、再現性が高いものなのです。つまり、社会人として仕事をする際にも「必ず発揮できる、自分ならではの特質」としてアピールできるでしょう。
また、「真面目であること」に対し、人から褒められたり、感謝されたりしたエピソードから共通点を発見できれば、「その真面目さによって、何らかのいい影響を周囲に与えることができる」といえます。自分が思う「真面目さ」だけでなく、人から評価されたことも含めて考えれば、自己PRの際にも「客観的な強み」として説得力を持って伝えることができるでしょう。
ステップ1、ステップ2を俯瞰(ふかん)してみて、「真面目とは、自分にとって一体どんな性質なのか」を考えてみましょう。「部活動やアルバイト先などで、みんなが嫌がることも率先してやる」「一つの課題に対し、納得がいくまで徹底的に追求する」「自分がやると決めたことは、最後までやり抜く」など、真面目さの捉え方は人それぞれに違うものです。自分が思う「真面目」についての定義をしっかりと掘り下げ、言語化していきましょう。
自分なりの「真面目さ」について、エピソードも含めた上で、300文字〜400文字程度の自己PRとして文章にまとめてみましょう。これを友人や学校の先輩、キャリアセンターの担当者などに読んでもらい、客観的なアドバイスを受けることがオススメです。「あなたの真面目さって、実はこんなところじゃない?」「こんなエピソードもあったよね」など、自分一人では気づかなかった点、思い出せなかった出来事などを指摘してもらい、それらを取り入れながらブラッシュアップしていくといいでしょう。
それでは、自己PRで「真面目さ」を伝える際のポイントを紹介していきましょう。
エントリーシート(ES)に書く際は、1行目で「自分なりの真面目の定義」について説明しましょう。さらに、「いくつかの場面で、常にこのように真面目に取り組んできた」という複数のエピソードを交え、再現性の高い特質であることを簡潔に伝えましょう。
面接では、やはり最初に「真面目の定義」を説明し、そこから時系列で複数のエピソードについて語ることがポイントです。長期的に発揮し続けている特質であることが伝わるので、「入社後も、そのような力を発揮してくれるだろう」とイメージしてもらいやすくなります。
エピソードでは、自分なりに真面目さを発揮したことで、自分や周囲にどんな好影響があったのかまで伝えましょう。「以前はこうだった」「その後、こうなった」という、ビフォー・アフターを見せることで、真面目さを生かしてどう成長し、周囲にどう貢献していけるのかがわかりやすくなります。人に評価された点や、具体的に成果につながった点なども伝え、より客観性を持たせることで、説得力も増すでしょう。
企業の文化や仕事内容によって、求められる真面目さは変わるため、その企業にマッチしているかどうかは、大きなポイントになります。例えば、顧客からの信用を大切にし、多額のお金を預かるなどの責任を負う企業の場合、「ミスをしないように心がける」「報告・連絡・相談をマメに行う」などの真面目さは必要な力といえるでしょう。
一方、新規事業の展開に力を入れ、「失敗してもいいから、どんどんチャレンジしてほしい」という社風がある企業では、「人のアドバイスを素直に聞けること」「あきらめずに何度も取り組んでいけること」を真面目さとして評価するケースもあります。自分では判断できない場合には、OB・OG訪問や会社説明会などで出会った社員に、「こういう真面目さは、御社で生かすことができますか」と直接聞いてみるのもいいでしょう。
「真面目」を自己PRする回答例を紹介するので、「自分らしい真面目さ」を伝える際の参考にしてみましょう。
私の強みは、「人の嫌がることも率先してやる真面目なところ」です。中学、高校時代には、サッカー部に入り、練習に使う道具の出し入れや手入れを率先してやり続けていました。黙々と続ける中、監督や部員たちから、「おかげで練習をスムーズにできるようになった」と言ってもらえるようになり、チームに貢献できている喜びを感じました。
高校3年生のとき、キャプテンに「チームのことを一番考えてくれている存在だと思っている」と言ってもらえて、地味な頑張りでも自分を認めてもらえることを実感しました。また、この経験は、大学時代に飲食店でアルバイトをしたときにも生かしています。トイレの清潔感に対するクレームが多いと気づき、自ら見回りの回数を増やしてキレイに保つように努力しました。数カ月後、店長から「君のおかげでトイレへのクレームが圧倒的に少なくなった」という評価をもらい、大きな達成感を得ることができました。これから先、仕事においても、みんなが嫌がることに自ら取り組める真面目さを生かし、チームを支えていく力を発揮したいと考えています。
私の長所は、「一つのことにコツコツ取り組み、極めていく真面目さ」です。小学校から高校まで野球チームに入りましたが、当初、なかなかレギュラーになれず、唯一、監督から褒められた「バント」の技術を高める練習に力を入れ続けました。その結果、中学校時代には、バントが必要な場面で試合に出場できるようになりました。メンバーからも一目置かれるようになり、練習方法について意見を求められることも増えました。
この経験を生かし、高校時代には、チームの練習メニューとしてバントの技術を教えることを買って出ました。それによって、全員の技術を向上することができ、大きなやりがいを感じました。私自身は試合に出ることはできませんでしたが、バントが必要な場面でレギュラーのメンバーが活躍してくれることが増え、チームの勝利に貢献できたと感じています。御社に入社後も、コツコツ努力を積み重ね、自分なりに極めた力で、組織全体の業務に貢献していければと考えています。
「真面目」な点のほかにも自己PRで伝えるアピールポイントがあるかも?気になる人はリクナビ診断を活用して、自分の強みや特徴を調べてみましょう。
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我究館館長。株式会社リクルートに勤務した後、2009年、株式会社ジャパンビジネスラボに参画。現在までに3000人を超える大学生や社会人のキャリアデザイン、就職・転職、キャリアチェンジのサポートを行ってきた。難関企業への就・転職の成功だけなく、MBA留学、医学部編入、起業、資格取得のサポートなど、幅広い領域の支援で圧倒的な実績を出している。また、国内外の大学での講演や、執筆活動も積極的に行っている。 著書に、就活全般の考え方や面接対策などを指南する『絶対内定2021』(ダイヤモンド社刊行)シリーズがある。
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