就活中に何かしらの悩みに頭を支配され、歩む道が明確になったと思ったとしても、悩んでいる周りの学生を見ると、自分も悩み出してしまう。社会人になっても、みんなキャリアについて悩んでいるから、学生がキャリアについて悩むというのは別に変な話じゃない。だから、とことん悩めばいいし、悩みを無くそうなんて思わなくていい。きっと、どんな決断を下しても、何かしらの悩みは存在し続けるから。
時代が変わっても、就活のタイミングで悩み出す学生は多い。本当なら、高校から次のステージに進学する時に、就活と同じくらい悩んでほしいけど、現実は違う。短大・専門学校・大学というのは、専門的な分野を学べる学校だから、「これを学ぶ、なんのために?」ということを明確にしないと、本当にもったいない。「これを学ぶ、なんのために?」という問いに対して答えを明確に持てたら、それは「学んだ先にどんな仕事をやりたいか?」ということも考えられている可能性が高いので、就活での悩みは軽減されるはず。
就活のタイミングになって、「自分は何をやりたいんだろう?」と考えても、なかなか明確に答えが見つからない。「これがやりたい」となっても、文系だからダメとか、これを学んでないからダメとか、その時点で消去法的にやりたいことを無理に決めていくことになりかねないん。なので、就活のタイミングで仕事について考え始めたのだとしたら、「やりたい」よりも「できる」から考えた方がいい。
「できる」から考えるというのは、自分がこれまで積み重ねてきたことと向き合うことが大切になってきます。ただ、「できる」と断言できないこともあるし、自分の「できる」という感覚は他者から見て「できない」に該当するかもしれないので、「できそう」というくらいで充分。
◆こういう経験があるから、これができそう。
◆こういうことを学んできて、こういう知識はあるから、これができそう。
そういう感覚を大切にしながら、それだけでは『現在』の視点しかないので、少し未来を想像して、「こうありたい」「こうなりたい」という自分の理想の姿について考えるんです。
現在の視点しかないと、「なんで自分がここにいるのか?」という問いに対して、「これができるから、できそうだから」という答えしか見出せない可能性も出てきます。なので、「こう成長したいからここで頑張る」という理由を持てるように、未来の自分の姿を考えるんです。
自分ってどんな人間なんだ・・・?
これに答えられない人も案外多いです。自己分析をやってるはずの就活生でも、この問いに自分の言葉で答えられない人が多い。世の中の「自己分析を支援します」と言ってる人は、何をやってんだと思うくらい。自分が何者なのかを語れないのに、理解できてないのに、上っ面の知識や経験で自分を固めようとする。芯がフニャフニャなのに、周りを固めたらなにが起こるか。固めたと思っていた周りが崩れた時に、芯もフニャフニャだから何も残らなくなって、自分の存在意義すら疑い始めてしまう。
「やばい、就活で語れるエピソードを作るために何か経験しなきゃ」となって、心から必要だと思っていない活動に参画するようになったりする。「周りを固められるものがない」という焦りから、自分と向き合うこともせず、表面的に固い何かを集めようとする。そんなことをしても、自分を確立できていなかったら意味がないのに。
現在の自分は、過去の自分の積み重なった結果です。だから、目の前の人のことを知るために、これまでの経験を聞きます。「どのような過程で現在のあなたがいるのか?」ということを、自分の言葉で伝えられるかを知りたいんです。大切なのは、「過去の自分と繋ぎ合わせて現在の自分を伝えられるか?(自己理解を深められているか?自己認識しているか?)」ということです。
「就活を始める前のタイミングで何をしてましたか?」と、インターン生に問われました。僕は「自分と向き合ってました」と答えました。会社のことを調べることも大切、情報を集めることも大切、それらも大切なんだけど、何よりも、自分と向き合って、自分が何者なのかを語れるようになってから就活を始めないと、行きたいと心から思う会社なんて見つけることはできません。
会社が掲げているものと、自分が掲げているものがリンクするか。それは、『自分が掲げているもの』を明確にすることをしないと、判断できないですからね。