デルタ工業株式会社

世界に挑み続ける日本の自動車産業とともに、私たちは自動車用シートメーカーとして貢献してきました。当初、自動車シートは単なる設備品でしたが、やがてデザイン性を追求したインテリアとしてのニーズも高まるようになり、さらに今では情報を読み取るデバイスへと進化しつつあります。そのようななか、私たちは「座る」環境にこだわり、感覚的な「座り心地」を数値化して評価しながら、人間工学や感性工学などの先端テクノロジーを結集。これにより、感情や行動に働きかける機能を実現しています。シート環境によって、人間にどのような新しい感覚と体験を生み出せるのか。私たちは、これからも追求し続けます。

デルタ工業では、未来のクルマを見据えた研究や開発にも力を入れています。ドライバーをサポートする機能を持たせたシートもテーマのひとつ。8年間の研究により開発されたのが、居眠りを警告するシート「スリープバスター」です。これは、シートの背もたれにセンサーを埋め込み、眠りの落ちる前の脈拍と呼吸の変化を検知し、アラームで警告するというもの。最大の難関だったのは、測定の精度と、座り心地のよさを両立すること。その実現のため、独自に開発した特殊な3Dネット素材シートを採用。これにより、測られている感覚はなく、長時間座っても疲れないシートを完成しました。展示会でも大きな反響を呼び、業務用車にも採用されています。

実は、当社が創業当時、開発・製造していたのはボールペンです。もののない終戦直後、飽くなき探究心と創意工夫で実現しました。その後、家庭用毛糸編物機、回転式灰皿など、さまざまなものづくりの実績が評価され、自動車部品や自動車シートも任されるように。まさに、技術力が当社の事業フィールドを広げてきました。その歩みは今も止まりません。自動車のシートの開発を通じて、最新のテクノロジーの知見を得たことにより、自動車メーカー以外からもオファーが増え続けています。救急車に搭載される防振架台も、実用化されたもののひとつ。スポーツスタジアムのシートなど、今も新たなシートの開発プロジェクトが動いています。